IIS6.0がデフォルトで持つ、Qosを保つ予防措置には、大きく分けて2つあります。

予防措置	説明
ワーカープロセスサイクル	ワーカープロセスがシステムのある条件に達した場合に、現在動作しているワーカープロセスを終了し、新しい ワーカープロセスの立ち上げを準備します。 メモリリークや、接続数の瞬間的な増加に対してのレスポンスの極端な低下を回避します。
ラピッドフェール保護	ワーカープロセスがある一定条件のリサイクルを行った場合の処理を行います。 ワーカープロセスに根本的な問題が存在する場合に、処理を継続させないようにする非常措置を意味します。 ラピッドフェール保護が発生した場合は、対応するソースコードを見直して下さい。

※上記の措置は、あくまでもWebサイトの安定性・セキュリティを第一考えたものです。
　Webサイトのパフォーマンス改善に直接結びつける事は出来ません。

一般的なWebサイトのQoSを維持する方法を、以下の表に記します。

方法	説明
接続数を制限する	パフォーマンスタブで、Webサイト接続の最大値を設定します。
接続タイムアウト時間を設定する	Webサイトタブの接続タイムアウトの時間を設定します。 ※接続タイムアウトの時間設定の見積は、パフォーマンスモニター等を使用し、正確に安全圏を見積もって下さい。
HTTP圧縮を利用する	サービスタブでHTTP圧縮を有効に設定します。
バンド幅を調整する	パフォーマンスタブで、最大帯域幅を設定します。 最大帯域幅を制限する前に、必ず必要帯域幅の見積りを行って下さい。 また、本機能はIPV6ではサポートされません。
HTTP Keep-Alive設定を有効にする	WebサイトタブのHTTP Keep-Alive設定を有効にします。

• ワーカープロセスリサイクル
  • ワーカープロセスリサイクルを使用することで、Webサイト環境をより安定・安全に保つことが出来ます。

シナリオ	説明
オーバーラップモデル	リサイクルされるワーカープロセス（現プロセス）と新しいプロセスがオーバーラップするモデルでデフォルト設定になります。 このモデルでは、リサイクル対象となったプロセスは、新しいプロセスが起動してくるまで、生き続けます。 すなわち、リサイクルされるプロセスの処理を続行することが可能です。 （処理接続は、アプリケーションプールの作りに依存します。）
スイッチモデル	このモデルでは、リサイクルされるワーカープロセス（現プロセス）が完全に終了してから、新しいプロセスが起動されます。

※１．リサイクルのタイミングでは、HTTPコネクションは切断されずに、接続されたままになっています。
※２．ワーカープロセスリサイクルは、以下のような場合に使用すると効果的です。

• アプリケーションの挙動が怪しいときにデバッグする場合
• 導入最終段階での負荷テスト時など、現状をモデリングしてバグを洗い出す場合
• お客様要件を確実に守る為の安全性の保障の為に、運用時に入れ込むような場合

　ただし、静的なコンテンツだけで構成されているようなWebサイトでは、ワーカープロセスリサイクルを使うべきではありません。

　ワーカープロセスリサイクルが発生した場合、イベントログに履歴が出力されます。
　管理者は、このイベントログの監視を行い管理することが必要となります。
　また、サービスが停止していた場合等、まずイベントログを参照してみることを推奨します。

◆ワーカープロセスリサイクルが発生した際のイベントログ

• ラピッドフェール保護
  • 一定期間に一定回数以上のワーカープロセスの不良状態を検出した場合に、ラピッドフェールを始動させることが出来ます。
    このラピッドフェール保護により、対応するワーカープロセスを擁するWWW接続が切断されます。
    クライアントからのリクエストに対し、「503」エラーが返ります。

◆ラピッドフェール保護が発生した際のイベントログ