ゴッドイーターでエロパロスレの保存庫です

『――じゃあ、アナグラの方はもう大丈夫なんだな』

――深夜。夜間任務に出ている部隊や、夜勤の人間以外は殆ど寝静まった時刻。

彼の声が、通信端末越しに部屋に響く。同い年の割に硬質な、低音の声。
あちらこちらにアラガミの資料や工具、神機の設計書などの類が散乱した、我ながら女の子らしくない部屋。
据え付けられたベッドに腰掛けて、右手に端末を持って、彼の声に肯定を返す。

「うん。ブラッドの隊長さんや、防衛班――タツミさんやみんなのおかげで、大体はね」

まだ、声は震えてない。犠牲者も出てないよ、と付け足す。
聊か音声伝達に難のある通信端末の向こうから、彼の安堵する様な溜息が聞こえた。
感情を言葉であまり示さない分、こういった音や息から読み取れる情報が多い。

『大型種や感応種の大群だったと聞いている。整備班も、大変だっただろう』

無理をしていないか、やっぱり、俺も戻った方が良かったんじゃないか、と続く声。
心配してるのがよくわかる。今までもそれなりの頻度でこうして話してはいたけれど、珍しく声がざわついている感じ。
それを理解しただけで、一瞬視界が眩んだ。思わず右手の端末を取り落としそうになる。
久々だけれど、経験はあるもの。声も、僅かに詰まった。

『リッカ? 大丈夫か?』
「……あ、ごめん。大丈夫。何でも無いよ」

再び心配そうな声。またも躰が震えるけれど、どうにか耐える。
声がさっきよりも近い。通信端末に顔を近づける彼の様子が、まぶたに浮かぶ。
左手がそわそわと蠢く。思わず喉が鳴った。

『ならいいんだが……無理は、するなよ』

ぶっきらぼうに見えて、やっぱり優しい声。
あの時の声に近い、柔らかいトーンの音。ここ数か月はずっと聞いていないからか、躰が反応する。
……流石に、通信機器越しでお互い、という訳にもいかない。けど。
「……うん、大丈夫」

左手が動いて、薄手の下穿きに向かってしまうのは仕方がない、はず。
最後に触れられてからもう何か月だろう。
彼がクレイドルの任務で行く前夜からだから――なんて、思っている間に、整えられた爪の先がそこに触れていた。
思わず、声が漏れる。

『もう一度言うが、無理はするな。リッカが倒れたら、整備班も苦労するだ……?』

説教のようにつづけられた彼の台詞の、最後のトーンがちょっとだけ上がる。
気が付かれたかな、と指先が動きを止める。否、止めようとした。
でも駄目だった。彼の声を聴くだけで、指が勝手に動く。
彼の指の動きをまねるみたいに、すっかり覚え込まされた「彼」の責めをトレースして。

「な、に……あ、大丈夫、だから。なんでもない、よ」

だから、もっと喋って。声を聴かせて。そう言いかけて、声が震える。慌てて口を閉じた。
これ以上は、まずい。もしかしたら、変に誤解されるかもしれない。
ただでさえ遠距離なのに、もし変な風に誤解でもされたら、凄く辛い。
勿論、彼には言えないけど。
そんな風に考える間にも、指は勝手に動き続ける。ぐり、と肉をかき分けて、襞の間に潜り込もうと。

『熱があるように聞こえるぞ。寝た方がいいんじゃないのか』
「ま、まだ、大丈夫。……もうちょっと、話したい、しっ」

彼の声が、頭を痺れさせる。
問いかける様な言い方は心配しているときだけでなくて、致してる時の、責め立てるときのものでもあるから。
半ば意志を離れた指に責められてる状態だと、まるで、彼に愛撫されてるような。

『……そうか』
「う、ん。もうちょっと、君の声、聞いてたい、から。キミの声、やっぱり、聴いてて気持ち良い、し」

少し、彼が黙り込む。また溜息の音。
さっきとは少し毛色が違う。照れ隠しのような、そう言った音。
そんな動作の音だけでも、もう実際に致しているときの吐息を連想させて、思考が痺れる。
どれだけ好きなのさ、と冷静な部分が自嘲するのがわかるけれど、止められない。
息が自然と荒くなって、頬が上気するのがよく判る。
『…なら、少し朗報かもしれないな』
「っ、ん……へ?」
『ようやく当面の目途がついたんだ。あと半月ほどで、一端アナグラに戻る』

言葉の意味を脳が理解した瞬間、背中がぞくりとした。声が、また間近に感じられる。
半月したら彼が帰ってくる。また近くで、話せる。
彼の神機の整備ができて、前みたいに真夜中まで話を詰められて、
最後は、当たり前みたいに、彼に押し倒されて、数か月分を埋めるみたいに沢山。
思考が妄想に走って、今度こそ背筋が痺れる。指が勝手に、頂点目掛けて激しく蠢いて。

『神機のバランス調整が必要になりそうなのもあるんだが、少なくとも二日、三日は休暇が――リッカ?』
「っ、あ、あっ! だ、い、大丈夫、っ、聞こえてる、か、あ、んぅっ!」

とうとう嬌声と言い切れる声が電波に乗った。自分でも恥ずかしくなるくらいのもの。
また、彼が黙りこむ。同様とも照れ隠しとも違う、意味深な沈黙。
しまった、と蒼褪める冷静な自分と、前にも覚えがある感覚に微笑む自分が混在した。

『……楽しみにしてるといい。俺も、限界だ』

凶暴性を滲ませた、何だか楽しそうな声のあと、通信が途切れた。
リンドウさんが帰ってきた日の夜や、超大型アラガミと死闘を繰り広げた後と同じ雰囲気の彼の声が、耳の奥で反響する。
壁に飾られた鏡に、頬を上気させた女が映る。
……その顔は、まるでご褒美を待つ飼犬のようだった。

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Posted by 極東の神機使いF 2014年12月17日(水) 22:15:22 返信

良いね

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Posted by ヴェアヴォルフズヴィーガー 2014年11月01日(土) 21:22:53 返信

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