最終更新:ID:Dq9DyBzpOA 2016年04月04日(月) 10:48:44履歴
アリサの部屋に届けられた配給品に、見たことも無い見慣れない箱が一つ。
中に入っているのは、この前サクヤさんの部屋に行ったときに見かけた配給ビールの様だった。
「まぁ、ちょっとくらいならいいですよね…」
アラガミによって荒廃してしまった国家のルールがまだ生きているなら…
【彼女が居たロシアでは18歳まではアルコールの購入は禁じられている】
…こっそりと、ちょっと味わうオトナの味。
プルタブを開けると「プシッ」と泡の弾ける音を立てて、泡が弾ける。
そっと一口ビールを飲んでみる……
…
……
………
「う… 苦い……。」
…大人ってこんなのを飲んでるの?? こんなの私には無理ですわ…。 そう思うアリサ。
とりあえず机の上に一口飲んだだけの缶を置いて気が付いた。
その箱は中身が全部 ”配給ビール”
「これ、どうしよう…?」
捨てると言う事も考えたが、配給の明細に登録されてしまっているなら、記録が残る。
誰かに分からないように…と言うのも難しいし、外の人たちはそれもままならない生活を送っているのだ。
それを思うと、とても捨てるわけには行かず、別の方法を考えよう。
「よいしょ、と。」
ビール缶のケースを抱えて部屋を出るアリサ。
とりあえずサクヤさんの所に行ってみよう、ここにある缶と同じ絵が入っていたし。
…ラベルの名前は私には読めなかったけど、貰ってくれますよね。
そう思ってアリサの足取りはサクヤの部屋に向かって歩みを始める。
…
「よう、アリサ。 どうしたんだ? そんなにビールを抱えて。」
暫くして曲がり角から出てきたオオグルマに見つかってしまった。
「ああ、これは間違って私の部屋に届けられてしまったんですよ。 これからサクヤさんの所に届けに行くんです。」
その場を適当に取り繕って、オオグルマから逃れようとするが、
「お、いいビールじゃないか。」
オオグルマはそう言いながらアリサの持っている箱の中から1缶取り出して、おもむろにビールをあおる。」
「プハァ! やっぱビールはこうじゃなくっちゃな!」
…こんな物が美味しいのか? とアリサが思う間もなく、一気に飲み干すオオグルマ。
「サクヤの部屋に行くんだろ? んじゃ俺も丁度用事があるんで一緒に行くぜ。」
そう言いながらニヤニヤするオオグルマ。
アリサのタゲ反らし工作虚しく、オオグルマにサクヤさんの部屋に同行されてしまった。
「サクヤさ〜ん。 ちょっとお届け…?」
部屋に入るとそこには配給ビールを飲んでいるリンドウさんとサクヤさんが居た。
「おぅ、遅かったな。 こっちは適当に始めさせてもらってるぞ」
「あらぁ、アリサちゃん。 珍しいのね、こんな所に。」 サクヤとオオグルマの姿を見て、リンドウさんとサクヤさんが声を掛ける。
「なんだ、もう始めてるんだな。 俺も混ぜてくれよ。 今日はアリサがいい物持って来てくれたぞぉ!」と配給ビールを手にとって飲み始めるオオグルマ。
「お酒の席なんですか? なら丁度良かった。 この配給ビールを…」
そう言いながらケースを置こうとしたのだが
「高級品じゃないか! どうしたんだ? こんな珍しい物!」とリンドウさんに言われて返答に困ってしまう。
そしてまたニヤニヤし始めるオオグルマ。
…コイツは何を考えているんだろう?
リンドウさんがケースから缶を取り出して、ビールを飲む。
「ぁあ! 久しぶりだなぁ! この味!」
「おうよ、やっぱこうじゃなくっちゃな!」
「そうなの? 私には同じように感じるんだけど??」
アリサが持ち込んだビールで、たちまちの内に談義が始まる。
「飲み会と言う事でしたら仕方がないですわね。 では私はこれで。」
そう言いながら「丁度良かった」と思いながら退室しようとする彼女の背後から
ビールを飲みながら、持ち込んだビールの感想を聞こえるように言う。
「やっぱビールはヱ○スだな!!」
ドキィ! 「な…何ですか? いきなり…そんな変な事言うなんてっ!」
突然に変な事を言い出すオオグルマに向かって、アリサが怒る。
「いや、俺はビールのブランド名を言っただけだがな。 ○ビスだよ、 ヱ・ビ・○」と
ニヤニヤしながらオオグルマ。
「あぁ、ヱ○スは最高だな! この喉ごしが堪らなく良い!」
…リンドウさんまで………
「私はいつものよりもキツく感じるから、ヱビ○は嫌いだわ…」
……えぇ?? サ、サクヤさんまでそんな事を!?
「ちょっ! みんなしてからかわないでくださいっ!!」
皆が言う言葉に顔を赤面するアリサ。
「おいおい、なんでビール飲んでないお前が赤くなってるんだぁ?」と言う、ニヤニヤしているオオグルマ
「まぁ、お前も大人になったら分かるかもな、この違いが。」とリンドウ。
「ふふふっ、アリサちゃんもそのうち分かるわよ。」とサクヤさん… 信じていたのに……………。
「っ! …そんな事分からなくてもいい!!」
アリサはそう言いながら部屋を飛び出した。
「リンドウさん… サクヤさん…… あんな、あんな事を平気で言うなんて………グスッ」
部屋に戻ってベッドに泣き崩れるアリサ。
そして私を甚振るオオグルマが許せない…。
「ピピピピピピピピピ………」
何も考えないように、忘れてしまおう… と暫く眠りについていたアリサの耳に、自分に組まれてる特別プログラムにに行かなきゃならない時間を告げるアラームが聞こえる。
「あぁ、寝ちゃってたんだ。 いかなくちゃ…」
支度を整えて、何時もの特別プログラムが組まれてる部屋に向かうアリサ。
…またニヤニヤしてる。
ベッドで睡眠学習するかのように装置を付けられて寝かされたアリサに向かって
「今日はお前にこの国の言葉を教えてやろう。 俺の後に続いて復唱していくだけで良い。簡単な事だ」
とオオグルマが言う。
…始めはこの極東支部がある国の言葉。
そして色々と別の国の言葉とか冗談交じりにプログラムが進んでいく。
オオグルマかの言う言葉を復唱していくうちに、コイツはまたとんでもない言葉を口にする。
「ヱ○ス!!」
「ちょ… 変なことをまた言わないでください!!」
…
「なんだ?お前がサクヤの部屋に持って来たビールのブランド名だぞ、○ビスってのは。 それに復唱はどうした??」
…そんな言葉、とてもじゃないけど言わされるとは思ってもいなかった。
何度も怒られながら…このままじゃ終わらないプログラムに、ついに屈してしまって弱々しく言葉を復唱させられる。
そしてソレを叫ばされるまでに、コイツの研究室から外に声が響き渡るまで延々と………。
アリサはこの時思った「外国で、母国語に言葉を頭の中で変換して考えるのはやめよう」と。
そしてアラガミとの戦いの中で…散々に「あんな言葉」を言わされたオオグルマも、信じていたリンドウさんも居なくなってしまった。
そしてサクヤさんは支部長の陰謀を探るために、単身エイジスに向かったと聞き、アリサは後を追いかて彼女と合流する。
今アリサの前に対峙している、支部長とオオグルマ。
「なら、二人で闘ってもらおうか… один(アジン)!」
追い詰めたオオグルマが言い放つ、意識の奥まで刷り込まれた言葉によって鼓動が早まる。
「два(ドゥヴァ)!」
「アリサ…ちゃん?」
意識がどんどんと支配されて行く感覚に従って神機をサクヤに向かって構えるアリサ。
「…ッ! させない!!」
「три(トゥリー)!!」
オオグルマが最後の言葉を告げると、サクヤに向かって攻撃を始めようとした刹那にサクヤの声が飛び込んできた。
「ビールはヱ○ス!!」
「ッ!」
…急激に意識の覚醒を迎えたアリサのガトリング砲から放たれるバレットに、アイツは倒れた。
支部長には逃げられてしまったようだった。
「なんとかなったわね。 でも私達の戦いはまだ終わらないのよ。」
「えぇ。 陰謀を打ち砕くまで…ですよね」
そう言ってサクヤに【思い出した言葉】で、頬に赤みが差した表情で、火照る体を預けるアリサ。
私達の戦いはこれからよ!!
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エビス=女性器