ゴッドイーターでエロパロスレの保存庫です

「全員、揃いましたか?」
朝の事件から数時間。時刻は午後の三時を過ぎた頃。
「「「はい」」」
ある一室において、四人の少女達による緊急対策会議が行われようとしていた。
「それでは早速始めましょう。まずは被害状況の報告をお願いします」
臨時指揮を執っているのはヒバリ。オペレーターとしての情報処理能力の高さがここで生かされる。
「では私が」
ヒバリの指示に対し、アリサが答える。
「正確な数は分かっていませんが…。今朝のエントランスでの一件を始めとして、アナグラ内の神機使いや職員の女性が二十名以上。…あと、男性も数名被害にあったようです」
「そ、そんなに…」
「整備班の子も何人かやられてたみたいだったしねぇ…」
報告された被害規模に驚くカノンと呆れ気味のリッカ。
男が何人か落とされていることには誰も触れない。
報告を続けるアリサ。
「私が直接確認できた被害者は…。他隊の神機使いの方が三名程、ジーナさん、アネット、エリナちゃん…。…そしてツバキ教官」
「ツバキさんまで…」
「そういえば…。
『一周りも年が離れた子供相手に…私がここまで心を乱されるとはな……』
なんて言ってました」
あんなツバキさん見たことないです。と、カノンは言う。
「まぁ、今となってはそんな驚くことでもないかもしれないね。私なんて、清掃員のおばちゃん口説いてるとこ見ちゃったしさ」
「……どん引きです」
最早見境も何もあったものではない。
「今アナグラにサクヤさんが居なかったのは不幸中の幸いでしたね…」
「まったく…」
現在、リンドウとサクヤの二名は諸事情もあり、ハネムーンも兼ねて他の支部に出張中である。
「リーダーがリンドウさんの前でサクヤさんを口説いてる光景なんて…。考えるだけでも恐ろしい…っ!」

「そんなことにならない為にも、早く対策を考えないと。それで、レイジさんの現在の状況は?」
ヒバリの問いにカノンが答える。
「えっと…確か今はコウタさんとカレルさんと一緒にミッションに出てる筈です」
今朝の事件以降、被害の拡大を防ぐため、男性陣にできるだけレイジをミッションに連れ出すように要請した。
最初は嫌々だった男性陣もその惨状と自分達の明日からの立場を危ぶみ、現在は積極的に協力する姿勢を見せている。
その間に彼女達が対策を考える、というのが現状である。
「多分、そろそろ帰還する頃だと思います」
「そうですか…」
しかし、これといった解決策が考えつかない。
そうしてただ時間だけが過ぎていく。
「どうしてこんなことになってしまったのでしょうか…。不覚にもときめいてしまいましたし…。あんなのズルいです…」
「あうぅ…」
「うーん…」
今朝のことを思い出し、顔を赤くする面々。
「皆さんよく聞いてください!」
と、勢いよく立ち上がり身を乗り出すアリサ。
「このままリーダーを放置しておけば、被害は増えていくばかりです!だから、事情を少しでも把握している私達で何とかしないといけないんです!
それに…皆さんはあんなナヨナヨしたリーダーのままでいいんですか!?」
そう言ってみんなを叱咤激励するのだが
「『だがそれがいい』って、顔に出てるよアリサ?」
「そ、そんなこと思ってませんっ!」
満更でもなかった、というのを隠せなかったようだ。
「大体、少しでも把握してるって言うけどさ。私達、彼が何でああなったのか全然知らないんだよね」
「それは確かに…。リーダーに何があったのでしょうか?」
「昨日までは普通だったようですし…」

何が彼をあそこまで変えてしまったのか。心当たりを探し始める四人。
「やっぱり…昨日の訓練での私の誤射のせいで…」
「「「いや、それはない(です)」」」
もしそれが本当なら、今頃極東支部の神機使いは皆おかしくなっている筈である。
「でも、タイミングとしてはそのくらいなんだよね。カノンさん、訓練の時のレイジくんの様子は?」
「いつも通りのレイジさんでした」
「では、その後に何かがあった、ということでしょうか…」
うーん。と考え込む一同。
すると
「あっ…」
何かを思い出した、という感じで顔を上げるヒバリ。
「どうかしましたかヒバリさん?」
「ええ。実は昨日、カノンさんとの訓練の後にレイジさんが支部長に呼ばれてたのを思い出して…」
「博士が?」
現在、極東支部支部長を務めているペイラー・榊。その立場上、第一部隊の隊長であるレイジを呼び出すことは珍しくはないことだ。
「どんな用事だったんでしょうか?」
「そこまでは分かりませんでしたけど…」
「まぁとにかく、聞きに行ってみようか」
他に手掛かりがあるわけでもないし、とリッカが言い、一同は支部長室へ向かうことにした。
「一応、レイジさんも連れて行きましょうか?」
「そうだね」

「縛って黙らせてから…ね」

ここ数時間で、とりあえずの彼の扱いが決まっていたようである。



「………極秘事項だ」
「極秘…ということは支部長がレイジさんに何かしたんですね!?」
「し、しまった…。墓穴を掘ってしまった…」
手掛かりを求め、支部長室へやって来た彼女達。
どうやら大当たりだったようだ。
「一体何をしたんですか?」
「それは……」
カノンの問いに口ごもる榊。
「言わないなら…力づくでも…!」
「ひぃっ!分かった言うよ!ちゃんと言うから!」
鬼気迫る顔で拳を鳴らすアリサに怯え、榊は観念したように話始めた。
「実は……」
「これが今回君に飲んでもらう実験薬だ」
そう言って榊はレイジに液体の入った容器を手渡した。
「…何か、色も毒々しいし匂いも酷い代物ですね」
「ハハハ、そこは我慢していただきたい。まだ実験段階だが、それが完成すれば、対アラガミ装甲のような大発明になるだろうからね」
明らかにヤバそうなな薬を前に顔をしかめるレイジに榊は言う。
「でも何で俺なんですか?」
そう榊に訊ねるレイジに対し、彼は答える。
「…本来こういった実験薬はいくつもの実験を経て、効果や副作用などを明らかにした後、実用性があると判断されたものをさらに検証していき完成するんだ。
そして、それには膨大な時間を要する。私としては今はこの時間が惜しい」
「はぁ…」
突然の難しい話に何とか相槌をうつレイジ。
「その薬にある程度の効果があるのはデータから実証されているんだが…。あとは正確な効果や副作用の特定だけなんだが…。
こればかりは実際に使用してみないと分からない。一昔前なら、動物実験という手段があったんだがね」
アラガミによって動植物の大半が死滅してしまった現在では困難な話である。
「なるほど、すぐにでも実用化したいから実際に人間で試してみよう、というわけか。
それで、何で俺なんですか?それだったら誰でもいい気がしますけど」

そんなレイジの問いに榊は答える。
「この薬の実験はその性質上、特務と同じような扱いになるんだ。だからこそ、このことは外部に漏らしてはいけないし、話を聞けば君も拒否はできない」
「………」
いつになく真剣な表情の榊に身構えるレイジ。
「これは私の個人的な研究だ。無理に付き合ってもらう必要はない。だが…できることなら君に協力して欲しい」
この通りだ、と頭を下げる榊。
「……分かりました。協力します」
そして、答えるレイジ。あの博士がここまで真剣にお願いしているんだ。恐らく相当な理由があるに違いない。そう判断した上での返事だ。
「ありがとう。…この薬をすぐにでも実用化したい理由…それは…。コウタ君やリンドウ君…そして私にも…。もうあまり時間が残されていないかもしれないからなんだ…」
「なっ!?コウタにリンドウさん!?それに博士までって、どういうことですか!?」
告げられた事実に動揺を隠せないレイジは榊に訊ねた。
「…………」
しかし、彼は答えない。
しばらくの沈黙の後、彼は口を開いた。
「君が彼らの大切な仲間であり、私の良き理解者だからこそ打ち明けた。その理由は…大体察してくれるね…?」
「……っ!」
(まさか、コウタやリンドウさんの身体に何かあったっていうのか!?
例えば、オラクル細胞に関係する何かとかで…。でも…それなら何故博士まで…?)
レイジ達神機使いとは違い、榊の身体は普通の人間のものである。それ故、オラクル細胞の暴走等には関係ない筈だ。
(まさか博士…実験の過程で自分の身体にオラクル細胞を…)

有り得る話だ。現にこうやって人体で実験薬を試そうとしているのだ。
自分の身体ですら実験に使っていそうだと、そうレイジは考えた。
(この実験薬がその症状に対抗するもので、完成には時間がかかる。それまでに博士達の身体が保たないしたら……)
それならば…。
彼の答えは決まっていた。
「…分かりました。やります。その薬の実験台になります」
「レイジ君…。ありがとう。…最終確認だが、この薬の効果や副作用は未だ未知数だ。正直、何が起こるか分からない。それでもやるかい?」
「ああ。それが仲間や博士の為になるなら…」
「もしかしたら…肉体的だけでなく精神的な異常が現れるかもしれないよ?」
「それでも…!」
最早彼に一切の迷いはなく

「俺が…仲間を守れるなら!」

そう言って彼は、実験薬を一気に飲み干した。





「そんな…ことが…」
「リーダー…」
「レイジくん…」
事の顛末を聞き終えた彼女達は悲痛な面持ちでいた。
「では、レイジさんがおかしくなったのはその薬の副作用…なんでしょうか?」
と、ヒバリは呟く。精神的な変化も有り得るという話なら、あの豹変も納得できる。
「それよりも博士!コウタやリンドウさんの身体がどうかしたんですかっ!?そんなに急がなきゃいけない程危ない状態なんですかっ!?」
必死の剣幕で榊を問い詰めるアリサ。
それを
「うん?アリサ君、君は何を言ってるんだい?」
なんのこっちゃ、という顔で迎える榊。
「しらばっくれないでくださいっ!薬の完成はそんなに待てないんですよね!?」
「あぁ、その通りだよ」
何をそんなに必死に、と分からない様子だった彼はそこで何かに気付く。
「あぁーなるほど。どうやら勘違いさせてしまったようだね」
「はい?」
いやーすまなかったね、と言って榊は続ける。
「大丈夫だよ。彼らも、勿論私も何も問題はないよ」
「あの…でも、あの二人と博士自身の為に薬を作ってたんですよね?時間もあまりないかもって…」
そんなカノンの問いかけに榊は
「え、あ…そう、その通りだよ…。あー…これ以上はちょっと…」
しどろもどろで答える。
どうにも怪しい。この場にいた全員がそう感じ取った。
「リッカさん!私の神機すぐ使える!?」
「お安いご用だよ!」
「あああぁっ!言う!言うからっ!」
アリサとリッカによる本気の脅迫に榊は根負けしてしまった。
「それで、この薬は何なんですか支部長?」
「これは…」
ヒバリの問いに対し、彼は告げた。

「対アラガミ用の…惚れ薬だよ」

「「「「はぁ!?」」」」
全員目が点になった。

「正確には惚れさせ薬、というべきかな。この薬は初恋ジュースの成分を基に作ったものでね、これを飲んだ人間はアラガミを虜にする特殊なフェロモンを放出するようになるんだ。
このフェロモンにあたったアラガミは対象に対する攻撃意欲と捕食意欲を完全に削がれ、たちまち使用者に懐いてしまうんだ。
どうやら今回レイジ君が飲んだものは少し調整を間違えてしまったせいで神機使いのオラクル細胞…特に女性のオラクル細胞や、女性の身体自体に直接作用してしまったようだね」
いやぁ失敗失敗。参ったなー、と話す榊。
「ちょっ、ちょっと待って下さい博士!」
何とか話を飲み込んだアリサは榊に訊ねる。
「じゃあ、時間がないというのはどういう…」
「君らもご存じの通り、アラガミは常に進化を続ける存在だ…。昨日まで有効だった兵器が今日には効かなくなっている…なんてよくある話だ。
この薬だってそう。完成する頃には通用しなくなっているかもしれない…。だから急ぐ必要があったんだ」
確かに、せっかく完成して意気揚々と戦場に赴くものの、
効果が全くなく、無防備なままアラガミに頭をマミっとやられてしまったとあっては目もあてられない。
「それじゃ、博士達がこの薬を必要な理由って…?」
リッカは疑問を口にする。
確かにこれが完成すれば、事実上アラガミを無効化できるのだ。アラガミとの戦いに革命的な変化が訪れることだろう。
しかし、それなら神機使い全員に使用されて然るべきで、コウタやリンドウ、そして榊にだけ必要とされる理由が分からない。
彼女達はその答えが榊の口から告げられるのを待った。
そして
「この薬があれば…」榊は答える。
「「「「あれば?」」」」

「この薬があれば、私達は…サリエルやヴィーナスと思う存分イチャイチャできるようになるんだ…っ!」

「「「「…………」」」」
想像を絶する答えに開いた口の塞がらない四人であった。

「この薬、本来なら対アラガミ用として素晴らしい効果が期待できるんだが…。どうにも有効な相手が限られてしまうようでね…」

「………」
黙るカノン。

「本来全てのアラガミの身体を構成するオラクル細胞は全て同じもので、同じ働きをするのだが…。それでも各系統の体構造の差によって微妙な違いが生じるらしいんだ…」

「………」
黙るアリサ。

「この薬はどういうわけかその系統の内、サリエルやヴィーナス、アマテラスのような人間の女性に酷似した体構造を持つアラガミにしか効果がないようでね…」

「………」
黙るリッカ。

「何度試しても結果は同じ。全く使えないわけではないが、あまりにも限定的すぎるからどうしたものか、という話をこの前リンドウ君に話したら彼はとても興味を持ってくれてね…」

「………」
黙るヒバリ。

「そうしたらこんな使い方があるのでは、と教えられたわけだよ。いやはや、盲点だったよ。
そしてそれをたまたま聞いていたコウタ君も他言無用を条件に引き入れて今に至る。というわけだよ」

「「「「…………」」」」
四人が黙り続ける中、ひたすらに喋り続ける榊。

「どうやら今回、女性に薬の作用があったのはこの特異性に由来するもののようだね。
まぁ結果としては失敗だったが、いいデータが取れたことだし良しとしよう。これを基に再調整し直せばきっと問題な「ドズンッ」うぐぅおっ!?」

腹にアリサの強烈なブローをもらった榊はその場に崩れ落ちる。
「さて…。選んで下さい支部長…」
そんな彼の前に仁王立ちしてヒバリは告げる。
「その薬の研究と使い方を改めるか。……今までの人生を悔い改めるか…」
「け、研究と使い方を改めることにするよ…」

あっけなく身も心も折れてしまう極東支部支部長であった。
「あの、それでどうやったらレイジさんは元に戻るんですか?」
「解毒剤とかないの?」
よろよろと立ち上がる榊にカノンとリッカが訊ねる。
「…一応中和剤ならあるにはあるが…」
そう言いながら事務机の引き出しから液体の入った瓶を取り出す。
「それでは早速」
瓶をひったくってレイジに飲ませに行こうとするアリサ。
それを榊が止める。
「ちょっと待つんだ。その中和剤はいささか特殊な使用手順があるんだ」
「…何ですか一体」
眉をひそめるアリサに対し、説明を始める榊。
「まず、その中和剤はそれ単体では意味を成さない。フェロモンにあたってしまった対象の分泌物や体液を少量でもいいから加え、25〜30℃くらいの温度にして飲ませないといけないんだ」
「随分と面倒くさい手順だね…」
リッカが呆れたように言う。
「温度の方はどうにかできますけど…。もう一つの方は…」
躊躇うのも無理はない。自分の身体から出たものを他人に飲ませることになるのだ。特殊な性癖でもない限りそんなことはおいそれとできるものではない。
そうして悩んでいる四人に、榊は爆弾を放り込んだ。

「手っ取り早い方法だと…口移しという手があるようだが…」

「「「「…っ!?」」」」
確かに口移しなら、口内で唾液を加えつつ、ある程度温度を保ったまま中和剤を相手に飲ませることができる、のだが。
「………」ジーッ
「あの…アリサさん、どうして中和剤をそんなに見つめてるんでしょうか?」
「い、いえ!これは何でもなくて…!ていうかっ何でこんなややこしい作りになってるんですかっ!?」
動揺を隠す為に榊の首を締め始めるアリサ。最早支部長に対する敬意のかけらもない。

「ちょっ!首が!あぁっ…っくうぅっ!し、仕方ないじゃないか!そういう絶妙なバランスで成り立っている薬なんだから…っ!」
「でも、だからって、く、口移しでだなんて…っ!」
「ぐうぅっ…っ!でも、今の君たちならっ満更でもないんじゃっ…!?」
「「「「…ひっ!?」」」」
榊の言葉に顔を赤くする四人。
「う…」
「う?」

「うるさあぁーい!」ゴキンッ
「うぎゅっ…!」

アリサは榊を一気に締め落とした。
再び崩れ落ちる榊。しばらく目覚めることはないだろう。
「ハァハァハァ…」
「…とにかく早く治してしまわないとね」
「は、はい、そうですね」
「支部長…」
何とも微妙な空気だけが流れていくのだった。

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