涼宮ハルヒ性転換設定
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繋いだ手

 いつもと変わらない北高への道を、私は重い足取りで歩いていた。
なぜ足取りが重いかというと、それは珍しくSOS団の奇々怪々な事件に悩ませれているのではなく単なる私の体調不良だった。朝から頭がジンジンと痛み体がだるかった。まあ、多分原因はSOS団に振り回されてその疲れが出たんだろうと私は思い、勉強につきていけなくなっても困るのでこうして長い坂道を苦労しながら歩いているわけだ。
 教室に着くと私はハルヒコに軽く声をかけた。
 「おはよ・・・」
なぜか声に力が入らなかった。
 「おう。」
ハルヒコのいつものそっけない返事を聞くとなんだか少し安心したように思った。すると、体の力が抜け、目のピントがあわなくなり、足がふらつきいた。私は倒れそうになった。誰かに当たる。というよりかかえられたと言った方が正しい。目がかすむ中、ハルヒコらしき人物の顔が私の目に写った。
 「おい!どうしたキョン子!キョン子!」
耳元で私を呼ぶ声がする。
――うるさいな。今頭が痛いんだ。静かにしてくれ。
頭の片隅でそんなこと思っている私って、意外と余裕あるんだな。だけど、思っていることとは反対に私を抱えている腕は大きく、すごく安心できた。少しずつまぶたが閉じていく。私を呼ぶ声はまだ続いている。
 そこで、私の意識は途絶えた。





 目を覚ましたとき、私の目に写ったのは見慣れた天井だった。自分の部屋の天井である。
――何で私は部屋にいるんだ。私は学校へ・・・
私は起きあがってみる。頭がジンジンした。
――頭が痛い。何があったんだ・・・・・
そこで右手に違和感を感じた。視線を右手へ落とす。握られていた。しかもハルヒコに。そのハルヒコは私の手を握ったままベッドに突っ伏して寝ていた。
――ちょっと待て。なぜ私の手をハルヒコが握っている?その前に、なぜハルヒコが私の部屋にいる?
状況が理解できず、そのままハルヒコに握られる自分の手を見ていると顔に熱を感じた。柄に似合わず動揺してしまう。
――何でハルヒコが、ハルヒコが・・・・
キョン子がアタフタしているとハルヒコが目を覚ました。
 「んん・・・・キョン子・・・?」
 「へ?」
キョン子はハルヒコが起きていることに気づく。
 「お前、もう大丈夫なのか!?」
 「えっ・・・何が?」
キョン子は訳がわからず聞き返す。
 「なにがじゃねぇよ!」
キョン子の右手を握る手に力が入る。
 「お前は倒れたんだよ。で、俺が保健室まで連れって、それから」
 「ちょっと待って。その前に、手はなして。」
 「えっ?・・・・」
ハルヒコは自分が強く握っている手を見る。ハルヒコの顔が徐々に赤くなっていく。
 「あ、ああ。すまねぇ・・・・」
握っていた手をはなす。それから、ハルヒコはキョン子が朝倒れたことを話した。
 「お前が倒れてから俺が保健室まで連れてって、お前の親に迎えに来てもらうように電話してもらった。
  思い出したか?」
 「んー、何となく。」
ハルヒコの説明はわかりやすかった。キョン子はその話を聞いて少し疑問ができた。
 「なあ、1つ聞いていいか?」
 「なんだ?」
 「お前は何でここにいるんだ?」
 「は!?な、なんでってそりゃ・・・・だ、団員の緊急時に団長がぞばにいるのは当たり前だろ!」
ハルヒコは少し赤くなりながら言った。
 「いつからいたんだ?」
 「学校終わってから。今日はSOS団、休みにした。」
 「ふーん」
 「だ、だいたいな自分のことが管理できないなんてSOS団としてゆゆしき問題なんだぞ。ちゃんと自分のことは
  自分で」
 「はいはい。」
キョン子はハルヒコの言葉をさえぎり言った。
 「ハルヒコ。」
 「なんだよ。」
 「ありがと。」
 「・・・おう。」
ハルヒコは少し赤くなりそっぽを向いた。




 次の日、キョン子は無事登校する事が出来た。
 その日の昼休み。
 「ねえ、キョン子。おもしろいものみせてあげよっか。」
 「なに?」
そう言われて谷口に見せられたのはハルヒコが私を抱えている写真だった。
 「・・・なに、これ?」
 「昨日の写真。あんた姫だっこで保健室つれてかれたのよ。見てよ、この涼宮のマジな顔。もう、真剣そのもの
  だったんだから。」
 「ホント。昨日の涼宮君すごかったよね。」
それまで弁当を食べていた国木田が話し始めた。
 「キョン子が倒れて、保健室までつれてく時すっごい早く走ってたもん。」
 「ふ〜ん。」
キョン子は自分の右手を見る。昨日のことを思い出して少し頬が赤くなる。
 「どうしたの?右手」
国木田が話しかけてくる。キョン子は自分の右手を軽く握る。
 「ううん。なんでもない。」

――あいつの手、大きかったな。
 
 
2010年05月15日(土) 17:30:25 Modified by suzumiyaharuhiko




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