「ひぐらしのなく頃に」の二次創作小説【エロパロ】SSをひたすら井戸に放り込んでYappa♪だめぇ〜というwikiです。

 綿流しの夜。やはりその事件は起きた。沙都子の意地悪な叔母は頭を割られて死んだのだ。彼のあの人を撫でる優しい手は人を殺めた手に変わってしまった。沙都子の両親の事件も悲劇というのなら、これもまたあの悲劇を引きずった避けられない悲劇。
 私は悟史がこれからどうなるかを知っている。知っているのにそれに抗いたくて、いつものように彼が辿る足取りを先回りする。
「・・・大きいぬいぐるみですねえ・・・」
「魅音」
 片手に包帯を巻いた魅音。いいえ、詩音。その手を隠しながら、おもちゃ屋のショーウィンドウを物欲しそうに覗く悟史に声をかける。
 私はその様子を少し距離を置いて見ている。二人の会話の内容を羽入が聞いている。こうやって二人がおもちゃ屋のショーウィンドウを見つめているのは、悟史が沙都子の誕生日に大きなぬいぐるみを買ってあげようとしているからだ。そしていつまでもショーウィンドウの前でウジウジしている悟史に呆れて詩音が予約をしようと腕を取りおもちゃ屋へ入る。
 全てはいつもの通り。早く予約すればよかったと安心した顔で出てくる悟史、なぜそうしなかったのと責める詩音も安心する悟史の顔を見て自分のことのように胸をなでおろしていた。
 でもそれも束の間。じきにオヤシロ様の使いが姿を現す。ここから全てが狂いだすのだ。悟史が鬼隠しに遭うまでもう時間はない。

 私は暫くオヤシロ様の使いが現れるの待ってからその場を去ろうとしていたが、いつまでたってもおもちゃ屋の前で談笑している二人の間を割ろうとする者はいない。
「・・・羽入、どういうこと?」
 不思議に思った私が、二人の近くで様子を伺っていた羽入に向かって疑問めいた表情を浮かべる。無言で羽入はあうあうと取り乱している。それから呟く。
「あうあう・・・いつもと違うのです・・・」
「でも悟史は叔母を殺したのよね?」
「あぅ・・・そうなのです。あの時、確かに悟史は叔母を殺したのです。そのせいでもう末期症状を迎えています・・・」
「そして悟史を疑ってあの男が現れる。そうよ・・・大石が・・・」
 考えろ。よく考えろ。まず何かがおかしい。いつもと食い違っている。確かにこの場面は何度も見ている。それはさっき自分の頭の中で繰り返した通りだ。何が違う?何が食い違っている?考えろ、考えるんだ・・・。
「詩音の手・・・!」
「あぅ・・・手、ですか?」
「よく見て、あの手。包帯を巻いてる。詩音がケジメをつけさせられるのは悟史を庇って大石に自分が魅音の双子であることを暴露して園崎家につれていかれるからよ。それがもう爪を剥がされて?・・・それでも悟史がまだここにいるっていうことは・・・」
「ありえないのですよ?だって詩音は暫く興宮に近づきすらできないのです。住むことが許されて、おもちゃ屋へ1人でやってきてあのぬいぐるみがなくなっていることを知り・・・さらに大石から悟史が失踪したことをやっと知ることができるのです」
「じゃああの爪は何なのよ。詩音は何のために爪を剥がしたっていうのよ。どうみてもあれはケジメをつけた跡じゃない!」
 あぅ、あぅ、僕にもそんなことはわからないのですよ、羽入は繰り返す。わかってるわかってるわよ、私だってわかってる。羽入がわからないんだから私もわかるわけないじゃない。
 でもこれはいつもの繰り返しと違うんだ。一体なぜ?何が違ってこういう結果になったというの?

「よかったですねえ、予約できて。いつまでたっても悟史くんウジウジしているんだもん。もうドキドキして仕方なかったですよ」
 魅音が言う。僕がいつものようにショーウィンドウに額をくっつけてため息をついていたのをいつから知っていたのだろう。そんな姿を見られていたのかと思うとなんだかとても恥ずかしい。
「いやあ、こんなに簡単に予約できたらすぐにしておけばよかったよ・・・」
 思わずクシャクシャにしてしまった予約票をもう一度、手のひらに広げる。もちろんこれを引き取りにこなくてはいけない。バイトがもうすぐ終わって、・・・もう一つの出来事も、やり遂げた。もう僕たちを邪魔する奴らはいない。やっと幸せになれる。なれるんだ。また一つ、大きなため息をつく。
 ため息をついたところをまた見られてからかわれやしないかとふと、予約票から顔を上げて隣にいる魅音を見る。あ、これ可愛いと今度は魅音が両手をついてショーウィンドウの先にあるふわふわとしたこう・・・女の子が好きっていうのはこういうのだろうなというような人形を指差している。
 僕は人形を見てすこし笑みがこぼれた。それからその人形を可愛いと指差す魅音の手を見た。
 その手は包帯で巻かれていた。包帯は割りと新しめだけれど、指先からわずかに血がにじんでいるのが見えた。
 その手の先には白い腕があり、その腕の先には魅音の体があって。いつもの魅音の服装なのだけれど、僕の知っている人とは違うのだ。だから僕はその知ってる人のために用意された名前を口にする。
「しおん・・・?」
「はい?」
 その名前が口から出ると、自然と僕の目の前にいる魅音はその名前に応じた。
「え?あれ?今悟史くん、なんて?」
 返事してすぐに、あ、いけないなんて顔に出すのはいつも何かを失敗した魅音の態度と変わらない。
 そして無意識のうちに自分が伸ばしていた手に巻かれている包帯に気づいて、慌てて手を背中に庇うように隠した。次になんて言葉を続けたらいいのかわからないのだろう、不思議そうに僕の顔を眺め、なんだかバツが悪そうにしている。
「・・・僕と初めて会ったとき・・・」
「え、・・・あ、学校で、かな・・?」
 魅音との出会いはそうかもしれない。当時の僕は自分たちを苛め抜いている園崎家の娘だと知って表面上では笑顔を装っていてもどこからか憎しみが湧いてきていた。そしてそんな自分が悔しかった。疑うことや憎しみを持つことのほうが容易くて心が軽くなるなんて信じたくなかったから。
「ううん・・・僕と初めて会ったとき、髪を下ろしてたよね・・・」
「へ・・・そ、そうでしたっけ」
 あくまでも認めようとしないのはやっぱり魅音だから?僕は少し笑いながら、続ける。
「ねえ、しおんってどう書くの?」
「うたの詩に、おとの音・・・」
 また詩音が驚いた顔をして素っ頓狂な声をあげる。もう僕を騙せない。いいや、詩音は騙したりなんかしてない。僕が勝手に勘違いをしていただけなのだから。
「ご、ごめんなさいごめんなさい・・・私、ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
「いい名前だね」
「え・・・」
「詩音っていうんだ?」
「どこで名前を知ったの?・・・まさかお姉から聞いた?」
「まっさか、魅音は嘘でもそんなこといわないよ」
「じゃあどうして?」
「わからない。どうして僕が君の名前を知ってたのか・・でも、ここに」
 胸をとんとんと叩く。少し前だ、梨花ちゃんと話をしたとき。殺すしかないのですか、とこれから何か起こるのかを予想していたように尋ねた梨花ちゃんに僕は応えた。「そんなことはないよ」と。
 色んな人に相談して色んな考え方をすれば、もっと違うやり方があった。自分の手を血に染めて、手に入れた未来なんて長続きはしない。きっと色もつかないうちに崩れて粉々に砕けてしまうだろう。
 それでも僕は北条悟史だったから。
 僕にしかできないこと、沙都子がただ擦り切れてしまうのを待つことなんか僕にはできなかった。だから僕にしかできないことをするしかなかった。
「ここに君の名前があったんだ。詩音っていう名前が」
「・・・悟史くんは超能力者ですか・・・」
「あはは、違うよ・・・ねえ、詩音」
「・・・あの、もしかして、怒ってます・・・?」
 少し僕が顔を強張らせたので、詩音が視線を合わせづらいといった様子で僕から目を離す。僕は目を閉じて。それからゆっくりと罪を犯してしまった手で許すを乞うように詩音を撫でた。もう、誰かを撫でたり慰めたりする資格なんかないのに。もしかしたら・・・自分自身を許して欲しくて、彼女を撫でたのかもしれない。
 そんな僕の手を払わずに詩音はただ受け入れ、肩を震わせてボロボロと涙を零すのだった。それはもう痛々しくて、泣かないでなんて止める言葉すらかけることもできない。
「・・・どうして、泣くの・・・?」
「悟史くんが・・・泣かないから・・・」
「・・・どうして僕の代わりに泣いてくれるの・・・?」
「じゃあどうして悟史くんは我慢ばっかりするの・・・どうしていってくれなかったの・・・?」
 僕のために怒って泣いて。詩音は僕の鏡だった。
「悟史くん・・・頑張ったね・・・すごく頑張ったよ・・・誰にも負けない、強い心で・・・あなたは立ち向かった・・・」
 僕より少し背の低い詩音が全てを振り払うように胸に飛び込んできて、それから僕をゆっくりと抱きしめて頭を撫でた。
 僕はいつもこうやって沙都子を慰めていたのだろうか。
 慰めながら、慰めてほしいと思っていたんだろうか。
 気がつくと頬をなぞり落ちてくるものがある。それを咄嗟に拭おうとして僕の手がゆっくりと詩音の頭から離れる。もうずっと忘れてしまっていた。こんなものは僕の中で枯れ果てて消えてしまったのだと思っていた。嫌、嫌だよと詩音が頭を振る。言うことを聞かない子供みたいに・・・そう、沙都子みたいに・・・。僕は沙都子のことを一番に考えているようで考えていなかった。詩音の優しさに気づいているようで気づいていなかった。こんなにも僕のことで泣いてくれる人がいることに今頃気づくなんて、なんて僕は馬鹿なんだろう。
 ただ、こぼれて落ちて。全部を上手に救うことなんかできなくて、僕は自分の不器用さに悔いながらただ肩を震わせることしか今はできなかった。


「結局・・同じなのでしょうか」
 様子を窺い知る羽入が私に向かって疑問の答えを求めてくる。私は二人の姿を見ながら、羽入を介して聞いた二人の会話をもう一度頭の中で繰り返す。
「これが同じに見える?」
「あぅ・・・でも結局、同じだと思うのです。おそらくこの後、悟史はぬいぐるみを引き取るために入江に車を出してもらって、そのまま発症してしまうのです」
「ねえ羽入、あんた泣いたことある?」
「泣く、ですか・・・ううん、最初は梨花が辛いを思いを繰り返しているのを見て・・・でもなんだか涙が枯れてしまったというか・・・そんな感じです・・・」
「私もよ。でも見て、あの二人を見てたらなんだか・・・」
「あぅあぅ、梨花?なんですか、目が・・・目が痒くて・・・」
「ねえ羽入・・・」
「なんですか?」
「泣いた数の分だけ、人は強くなれるかしら・・・」
「わからないですけど・・・今回の世界はいつもと違うのはわかります・・・。これまで繰り返してしまった出来事は変わりませんが、これから圭一が引っ越して僕たちが積極的に動けば変わるかもしれません」
「やっぱり圭一に頼るしかないのね・・・悟史は自分の役割を演じただけの悲劇の役者・・・?」
「そうなるかならないかはこれからの皆の意思の強さにかかってます」
「うん・・?」
「僕が知ってる世界でいつもと違うのは悟史が最後に手を伸ばしたということです。これはきっと、悟史を助けるのに必ず役立ちます。最後の最後で悟史は自分の本当の罪に気づけたのです」
「そう・・・でも、だとしたらもっと早く救い出す手立てはなかったのかしら」
「梨花。いつかの世界で魅音が言っていました。人は生きている限り業を背負っていくものだと。そしてそれは当たり前なのだと。無菌室で育った人間もない限り、人はそんな俗世に生きていくものです。罪を大きさで図ろうとも心を縛るのは同じ。ただそれに気づけるかどうかなのです」
 そう・・・これは自分の罪を打ち明けた圭一に魅音が掛けた言葉。
 罪はけして滅ぼせない、後悔しても、その罪は自分を縛りつけ、他人を疑わせる。隠し事をするなんて仲間じゃない。疑心に囚われたレナの言葉に一度は膝をついた圭一も、魅音のこの言葉で涙を流して自分を取り戻した。
 泣くことは恥ずかしいことでも、負けを認めることでもない。
 自分を許すことなのだ。
 そして相手を想って流す涙、それは痛みや苦しみを、心をわかちあうからこそ流れる涙なのだ。
 遠くで悟史が泣いているのが見えた。悟史が泣いているのなんて初めて見た。この世界でようやく今になって彼は涙を流すことを許されたのかもしれない。
「罪に気づいたのなら最後にすばらしい人間になればいい。そういっていたではありませんか。そしてそれは悟史も例外ではありません。さあ、梨花。行きましょう、僕たちの戦いはこれからです。運命に抗い、打ち破ろうではありませんか!」
「・・あんた、鼻が真っ赤よ・・・」
「あぅあぅあぅ!?これは梨花が泣いたりなんかするからなのですよ!ぼぼぼくは神様なので泣いたりなんかしないのです!」
「別に、神様が泣いてもいいと思うけど・・・あんたなんかいつも謝ってばかりだし・・・」
「そんなことないのです、ひどい、ひどいのですよ梨花ぁ!」
 遠くで髪を下ろした詩音の姿が見えた。もう偽らなくてもいい。悟史に言われたのだろう。そして何かを必死に悟史に訴えていた。もう詩音は気づいているのだ。誰が叔母を殺したのか。いや詩音だけじゃない。状況から誰が考えても悟史がやったとしか思わないだろう。
「迎えにいくから!」
 圭一が引っ越してくるまで、あとは同じ。そう思って背を向けた私の耳に詩音の叫ぶ声が聞こえた。これはどの世界でもいつも聞こえてくる詩音の悲鳴にも似た叫び声。でもこの声は、いつも詩音の内なる声だった。だからきっと悟史には届かなかった。それは一方から伸ばした手だったから。
 片方がどれだけ手を伸ばしても、もう片方が手を伸ばさないと意味がない。それは果てない世界を繰り返して気づいたことの一つ。
「必ず・・・悟史くんのこと、迎えに・・・いきますから・・・ッッ」
 今は悟史が伸ばした手を必死で掴もうとしているのは詩音の手。伸ばせば伸ばすほど遠くに、力を入れれば入れるほど腕は歪んで揺れて、目の前にあるのにそれを上手に掴めない。
 詩音のことだ。大石が嗅ぎつけていることはもう園崎家経由で知っているだろう。悟史が大石に捕まればすぐゲロしてしまうのは予想がつく。だからきっと匿ってあげるとか、逃げようとか、そういう話をしたに違いない。
 でもきっと悟史は困ったように笑ってこう言ったに違いないのだ。
「もう少し待っていて。もう少しで沙都子の誕生日だから。もう少しで終わるから・・・」
 お互いの指先は触れたのに。指と指は絡んだかもしれない。でもその指を、ゆっくりと悟史が解いていく。
 あの大きなぬいぐるみ、さっき二人で予約したじゃないか。そのために悟史くんは必死でバイトをしてお金を貯めていた・・・もう園崎家ではケジメをつけた。悟史くんには手を出さないって約束させた。だから大丈夫。大丈夫だから、今は悟史くんの優しい気持ちを大事にしてあげよう。そんな辛いことじゃない。だってほら、空は続いてる。顔は見えなくても、空を見上げればきっと同じ空の下にいることを実感できるから。今度はきっとあなたを信じる。だって「待っていて」とあなたは言ってくれたから。
 私、待つよ。
 ・・・でもね、遅かったら私迎えにいくよ。
 だって私、あなたの困った顔が好きだから。

 どうルーレットが回っても、運命は抱き合わせというものもある。
 悟史が叔母を殺したということこそ本当に定められた運命だったのかもしれない。
 でも私たちは負けない、挫けない。
 当たり前のように起きていた出来事にだって意味があった。そしてそれを当たり前だなんて思っていたことが百年も生と死を繰り返した魔女の傲慢だった。
 一つ一つの世界に皆がいた、確かにいた。
 そして皆にはその世界しかなかった。限りがあったのだ。限りがあるこそ抗い、ひたすらに信じて、生きようとした。
 悟史は繰り返す世界の中で、自分の罪に気づきながら、誰にも許しを乞うことができずにいた。
 自分で気づけないことは多すぎる。それが限りのある世界なら尚更だ。
 私は自分の運命を打破することに夢中になるばかりで、何回も何回も繰り返し機会を与えられているのに彼の罪に気づいてあげることも、救いを与えることもできなかった。
 それが今回は少しだけ、違う。

 悟史が何を想い、どうして叔母を手にかけたのか―ただ雛見沢症候群という病気と沙都子を守りたい、単純な動機から犯してしまった罪なのだと考えていた。
 殺すしかなかったのですか、との問いに悟史は私が毎回解釈していた自分勝手な思いを一気に断ち切らせた。気づいていたのだ、自分は間違っていると。そして助けて欲しかった。誰かにそんな恐ろしいことを考えている自分を止めてほしかった。
 助けて欲しいのに、彼は涙を忘れてしまった。助けを求めるということを忘れてしまった。
 だからそんな悟史のために、詩音は怒り、泣いた。
 雛見沢という土地から一線を引き、しがらみのなかった詩音は悟史の助けてほしいと泣いてる声が聞こえたのかもしれない。
 もしかしたら、妹が声をあげて泣いているのを彼女は朧げに覚えていたからかもしれない。
 私が助けてあげないと。胸の奥に、妹を助けてあげたいと想う気持ちが詩音のどこかにまだ残っていたのかもしれない。ああ、また詩音が泣いている・・・助けなくては、と。

 あの後、悟史はアルバイトでお金を貯めてぬいぐるみを買うことができるのだが、大きすぎて自転車に入れることができず入江に電話をかけて、大きなぬいぐるみを運んで欲しいと頼んだ。
 その車中で羽入が言う通り発症してしまうのだが・・・入江は危険ではない、ただ深い眠りに落ちているだけだ、泣き叫び、疲れた子供が反動的に深い眠りに陥った・・・そのようなものだと説明していた。

 雛見沢症候群の検査結果はやはりL5。叔母殺しの罪は抗えない事実。
 だけど悟史の流した涙はこれから先に待ち受ける運命を打破するための強い絆になる。一緒に翻弄される仲間たちと悟史の想いを無駄にしないように胸に灯した強い意思を紡いでいくしかない。
 誰かの揺るぎない意思でこの運命はビクともしない。
 でもその運命を私たちは受け入れない。
「迎えにいくから」と詩音は言った。そうだ。迎えにいこう、悟史を。今こそ反撃の狼煙をあげよう。
 これから雛見沢に新しい仲間を迎えて、時は動き出す。
「僕も逃げることはやめました。もう見ていることしかできない無力な存在ではいたくないのです」
「あら、1人で半ベソかいててもいいのよ?あんたが泣くとなんだか泣きたくなるんだけどね」
「あ、当たり前なのです、僕と梨花は五感を共有しているのですから」
「嘘よ、う・そ。私は私、あなたはあなた。これからそうやって生きていくのだから。さあ、行こう」

 羽入の手を取る。
 いつもなら透き通ってしまうその手をしっかりと一瞬だけ・・・握ることができた。温かい、人が生きているという証。なんだかわかる。
 
 私たちはやり直せる。
 そこには皆がいて、楽しい毎日が待っている。
 全員が気づけた奇跡を今こそひとつにしよう。
 だから皆で生きる、たどり着いてみせる。
 ――そう、ひぐらしのなく後も。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Wiki内検索

counter/watcher

since 2008.02.07

管理人/副管理人のみ編集できます