「ひぐらしのなく頃に」の二次創作小説【エロパロ】SSをひたすら井戸に放り込んでYappa♪だめぇ〜というwikiです。

「り、り、梨花ちゃんっだめだっ」
 本来ならばまったく逆の立場になるであろう男と女が互いに譲り合えない何かを必死にぶつけあっている。
 もちろん男もまだ少年とも呼べる幼さを兼ねていたし、対する少女はどうみてもまだ幼い。だからこそこの二人の行為はどこか欠けていて、脆く――とても一生懸命に見えた。
 少女は口に含んだそのモノを大事にしゃぶる。
「ふぁ・・・うっ・・・」
「け・・ぇ・・い・・ち」
「り、梨花ちゃ・・・」
 股間のあたりで小さな頭がゆっくり上下に動いている。フェラチオと呼ばれる行為を知っていたとしても実際に今行われている行為がそうだということを頭の中で理解することに時間がかかった。理解した後で、それを梨花ちゃんが行っているということにさらに興奮を覚える。
「ふふ・・・どんどんおっきくなってますですよ・・・」
 ちゅぶ、と自分の唾液と先端から吐き出された先走った汁を絡ませて梨花ちゃんが口を男根から離す。先ほどまでの抵抗など忘れて今やもう離れてほしくない、もっとしてほしいという感情に変わってしまうのだから恐ろしい。
 そしてそんな感情の変化にすぐ気づく梨花ちゃんも、自分より年下だとは思えない。
「圭一、もっとしてほしいのですか?」
「うぅ・・・」
「黙っていてはわかりませんですよ?してほしいのならしてほしいと、ちゃんとそのお口でいってください」
「あ、おれ・・・は・・・」
 咽喉の奥で何かが擦れる。乾いた咽喉に嫌な空気がぺたりと張り付いて離れない。だめだ、そんなことを求めてはだめだと必死に理性が訴えかける。だがその一方で、ここまでしておいて現実を拒否するのかと頭が叫んでいる。
「本当に圭一はだめな男ね」
 呆れ顔で梨花ちゃんが尻餅をつく。もう先ほどまでに執拗に大きく膨らんだ部分を触ったり舐めたりしてくれない。呆れられてしまったのだとため息をつこうとしたとき、梨花ちゃんの生き物のような艶かしい動きをした足の指先がぴたぴたと赤黒い先端に張り付いた。
「り、り、梨花ちゃっ・・・」
「圭一、こういうの好き?足でぐちゅぐちゅっていじられるの」
 梨花ちゃんの一本一本の指が器用に絡んでくる。先端から吐き出される発情した雄の体液は性器を包み込み、足と擦れあう摩擦力をあげていく。くち、くちゅくちゅくちゅ・・・どんどん足の動きは激しさを増していく。尿道のあたりをつつくように刺激され、裏筋に沿って足が伸びたかと思えば急に挟まれる。両足で挟み込まれて擦りあげられる。
 まだ幼い梨花ちゃんの足は大地の硬さにまだ慣れていない。人は年を重ねて歩みを増やすごとに足の裏の皮は厚くなっていく。
 だが梨花ちゃんのような幼女はまだまだやわらかい。土踏まずだってまだ成長しきっていない。例えるなら子猫の肉球のような柔らかさだ。
「くぁああ・・・・」
 反則だ。こんなのはどっかのアニメやマンガでしかありえないことだ。知識としては知っていても、実際に経験がしたことがない自分にとって金属バットで頭を殴られたような衝撃が走る。それでも快感はしっかり自分の脳髄を刺激して気持ちいい、気持ちいいのだと繰り返す。
「そろそろ我慢も限界ではないのですか?」
 したり顔で梨花ちゃんが顔をこちらへと向ける。唯一自分にできる抵抗といえば情けないことに精を吐き出すということを抑えることだった。一回でも果ててしまえば負けてしまう、負けてしまえば自分を抑えることなんかできなくなってしまう。それが恐ろしかった。
「げ、限界って・・・何だよ・・・うぅっ・・・ちくしょう、梨花ちゃん、そこぁっ・・・」
「みー。圭一ったら変なところも我慢強いのですねー・・・よくわかりましたですよ」
 うん、と自分だけ納得したように頷いて梨花ちゃんは足の動きを止めた。解放されたと感じると同時に尾を引くような感情。ちくしょう、しっかりしろ前原圭一、こんな小さな女の子にこんなことされて無抵抗で情けなくないのかっ。ズボンをずり下ろされて下半身を晒した状況で悲しくないのかっ。
 そんな風に頭の中で自分を叱咤していると、不意に自分の下半身に熱いモノがこみ上げてきた。あわててその感触の原因を探ろうと自分の下半身を見ると、梨花ちゃんが、その、小さな小さな自分の部分を指先でくちゅりとイジりながら濡れた部分を押し付けていた。
「り、り、梨花ちゃん!!!そ、それはさすがにヤバい!」
「何でですか?安心してもいいですよ、僕はまだ女の子の日になったことはないです」
「そうじゃなくてっ・・・そうじゃなくてだなあ・・・!」
 なんといえばいいのだろう、言葉が見つからないだけに彼女を制止させることが難しい。小首を傾げて梨花ちゃんは「圭一は嫌なのですか?」と皮肉も答えなんかわかりきっていることを尋ねてきた。
「い、嫌なわけない・・よ」
「人の目が気になるのですか?」
「ーッ・・・」
 是非もない。梨花ちゃんと肉体関係を持ったことを誰かに知られたらそれこそ身の破滅だ。それはわかっている。まだ幼い少女だ。それをまだ大人とはいえない未熟な自分と性交渉を行ってもよいものだろうか。
「・・・僕が圭一のことを許します」
「え・・・」
「誰が許さなくても、僕が許しますです」
 それは罪に対して赦しを得るということなのか、身体を許すのは自分なのだから私はこの行為を厭わないと宣言しているのか。深く考えても答えはでそうになかった。ただこうして自分に女性としての部分を見せてくれる彼女の気持ちに応えないのはよくないと思った。ただそれだけだ。
 今度はゆっくりと自分が押し倒す。そして頬を優しく撫でる。梨花ちゃんはいつものように笑ってくれた。
「ようやく圭一がその気になってくれてうれしいのですよ」
「・・・悪かった、ごめん」
「謝る必要はないのです。ただ・・その、優しく、してほしいのです」
「わかった、約束する。優しくする」
 頷いてすぐに梨花ちゃんの首筋に自分の顔を埋める。仄かに香る少女の匂い。
 甘くて、酸っぱくて、それを舌先で大事に拾うにようにして舐めあげていく。
「ふぁ・・・けぇ、いち・・・ぁ・・・」
「梨花ちゃん、・・・かわいいよ」
「あっぅ、・・・歯の浮くような台詞がよく圭一には似合いますです」
 とんだ言われようだ。だがそれでもそれがいつもの梨花ちゃんなのだから構わない。自分よりも一回りも小さい梨花ちゃんの右手、左手、両方の手首を押さえつける。
「んっ・・んぅっ!」
 首筋から口を離し、耳のそば近くを通るとビクビクッと梨花ちゃんが身体を震わせた。
「もしかして、耳弱い?」
「・・・そ、そんなこと・・・」
 にやり、と性感帯を見つけたことに悦びを覚える。容赦なく彼女が悶えたその部分に息を吹きかける。
「や、やだ、くすぐっ・・たい・・・」
 今度は唾液で濡れそぼった舌先を耳の穴に入れてみる。くちゅ、という音がして梨花ちゃんは両肩を震わせた。
「け、けぇえ、いち、耳は・・あぁうっ・・・耳は、だめ・・・」
「ん?何?聞こえねえなあ。・・・耳がいいって?もっとしてほしい?」
「違う・・・だ、だめ・・・だって・・・」
「嘘だな。だってほら、ここもこんなに濡れてきてる」
「やっ・・・」
 さっきとは違う立ち位置。男して圭一は梨花の上に立ち、まだ未熟な女体を蹂躙しようとしているのだ。
 彼の指先、第一関節のあたりがぬぷりと埋まる。繰り返すが彼女は本当に幼い。だから彼の指が必死に埋まってくるのに痛みに耐えなければならなかった。
「・・・いたいか?」
「ん・・・っ・・・ん、いいの、いい、大丈夫・・・続けて」
「いや、でも」
「・・・不思議・・なの。私、これまで痛みしか知らなかった。痛いものは痛いと、ただ受け入れて涙を流してきた。でもあなたに与えられてるこの痛みは違うの。気持ちいいの。痛いのに、・・・不思議なの」
 泣きながら笑う。
 それはきっと、とても不思議なこと。痛くて、気持ちよくて。嬉しくて、悲しくて。
 さまざまな感情が入り乱れて、彼女を沈めていく。
「ん・・・」
 彼女の口から零れた甘い吐息を逃がすまいと唇を重ねる。舌先で柔らかな唇を食み、吸い上げ、唾液で濡らす。
 ちゅ、ちゅちゅちゅう、と互いに音を立てながら激しく求め合う。
「ずっと好きだった」
「すっとあなたの助けを待ってた」
「ずっとずっとずっと・・・」
 圭一には何のことかわからない。
 これほどまでに彼女が自分を求める理由がわからない。助けてほしい。死にたくないと彼女は助けを求めてきた。
 繰り返されてきた悲劇に疲れたからではなく。殺され続けることへの理不尽さや悔しさからではなく。
 彼なら助けてくれると“信じる”ことができたから。
 だから彼女は、彼に全てを託す。
「・・・いれていい?」
 こくりと、頷く。華奢なあごが小さく揺れて、緊張から震えているのがわかった。
「落ち着いて。優しくする。絶対だ。・・・俺を信じろ」
 そして彼はくしゃくしゃと頭を撫でてくれる。
 それはまるで百年の旅へのご褒美。
 幼い姿のままで時を重ねすぎた。知りたくないことをたくさん知った。それは絶望ばかりだったかもしれないが、ちょっぴり幸せもあった。
 ただ本当は。
 こうして、誰かに褒めてほしかったのだ。
 ずっとずっと背伸びをして、届かない手を無理矢理求めた。でもそれは寂しいだけだった。
 だから今こうして、地面に足をつけたままでも褒めてもらえることが、嬉しい。
「圭一。ありがとう・・・わからないかもしれないけど、聞いてほしい。・・・私・・・あなたに出会えてよかった」
 おでこをぴったりとくっつける。意地悪そうに圭一は笑って、梨花の額にキスをする。「よし、いくぞ・・・?」
 ブツリ。
 例えるなら、そんな感じ。開いてはいけない肉の裂け目を遠慮なしに引き裂いてくる。そして下半身を突き抜けるような痛みと異物感。十分濡れて、潤滑油として滑りがあるはずなのに、痛みからすぐに干上がってしまう。
 乾くと擦れて痛い。
「ひぐっ・・・」
「お、おい、平気か?」
「ん、、・・・ん、へ、いき、続けて」
 不安そうな顔をして自分を見下ろす圭一の視線が逆に痛々しい。だから、ヒクヒクと緊張から力を入れすぎている腰をうまくつかって、どうにか侵入してきた圭一のモノを優しく包んでみる。
「う、お・・・梨花ちゃん・・・」
 自分から腰を進めたので、突然の温かみに驚いているのだろう。ぶるるっと尿意を我慢するように圭一は顔を歪めた。
「・・・全部入ったわ・・・すごい、大きいのが、入ってる・・・」
「あんまり口でいうなって。・・・梨花ちゃん、恥ずかしくないのか?」
「恥ずかしい? 圭一は恥ずかしいのですか?」
「いや、・・・そうだな、恥ずかしいっていうよりも、その」
 腰を揺らす。
「あっ・・・んうっ・・・」
「たまらなく気持ちいいよ・・はぁ・・・梨花ちゃんの中、すんげえいい」
 ぬるぬると、脈打った温かいものが中で動いているのがわかる。それはまるで呼吸をしているように膨らんだり、少し縮んだりを繰り返す。
 ゆっくり小刻みに、揺らすように中を掻きまわしはじめた。乱暴ではない、いつもの圭一とは違う繊細な動きだ。
「ああうう・・・けぇいち・・やんっ・・あぅ・・・」
「どこが気持ちいい?梨花ちゃんの好きなように動いてやるから・・・」
 吐息が首筋にかかり、さらに濡れた舌が這いずり回る。鼻先で道をさがすようにしながら唇のふくらみをみつけると、それを口に含む。
 くちゅ・・・・くちゅ・・・
 上も下も。だらしなく濡らしながら執拗な愛撫に応えていく。
 だんだんと圭一の動きが激しくなる。腰を回しながら、出し入れを続けた。
「けいいち・・・もっと、強く動いてもいいのですよ・・?」
 どことなく遠慮がちな動きに催促する。
「でもよ、梨花ちゃんのアソコ小さいから・・・あまり強くすると痛いんじゃないか?」
「平気なのです。僕は十分気持ちいいのですよ・・・だから、圭一にも、もっと気持ちよくなってほしいのです」
「・・・んじゃ、まあお言葉に甘えて」
 ずるり、と泡立ちながら十分にかき混ざった粘り気のある愛液を先端に糸引きながら、圭一は抜いてしまう。
 塞がれていたものが抜けて逆に違和感を覚えるように、梨花は圭一にすがる。
「いやあ・・・なんで抜いてしまうのですか・・・僕は圭一のがほしいのです・・・」
 甘えることなんか無かったのに、今は与えられないもどかしさに自然と声がでる。 
 圭一はニヤニヤしながら、「梨花ちゃんって意外とエッチだな。そんなに俺のこれが欲しいのか」と、見せびらかすようにほれほれと竿を持って目の前にかざした。
 それに梨花の小さな手が触れ、さらにそれに口をつけたかと思えば舐め始める。
「欲しいのです・・・とても欲しいのです・・・ね、圭一、いじわるはいやなのですよ」
「じゃあちょっと態勢変えるぞ」
「圭一がそうしたいなら・・・僕は構わないのですよ」
 梨花の華奢でとても小さな腰に圭一が手を回す。すべすべの肌。どちらかというと赤ちゃんに近い。少し力をいれると弾力があって、温かみがあって、跳ね返ってくる。
「後ろむいて・・・そう。膝折って。そうだ、四つんばいになって・・・お尻をこっちに突き出して」
「あの・・・けぇいち・・・こんなの、がいいのですか?」
「ああ。俺はこっちも好きだぞ」
 突き出された桃色に染まった二つの膨らみ。尻の肉をぎゅっとつかむと、それを圭一が揉みあげる。
「すげえ、やわらかいな」
「あう・・・ふう・・・」
 圭一の指先が梨花の割れ目を辿り、穴を見つける。すぼんだそこを少し刺激すると梨花がびくんと身体を震わせた。
「圭一っ、お尻に興味があるのですか?」
「い、いや・・・小さいなあ・・・と思ってさ」
 つぼみのようなその部分から伝って、下のある涎をたらしたままの口に、くちゅ、と圭一は第一関節を埋めた。
「あ・・・」
 さらにもう一本。
「くう・・・」
 小さなその部分にさらにもう一本。三本の指が埋まって、クチュクチュと激しくかき混ぜられる。
 勢いに任せてまた屹立した圭一の大事な部分から流れ出る先走り汁で梨花の尻部分を濡らしていく。梨花が地面に顔を伏せながら、それでもようやく届いた手で圭一のを掴む。そして、それを自らが今圭一の手、いや掌に責められてる部分にあてがった。
「いれてっ・・・もう、もう我慢できない・・・お願い、圭一、私を・・私をイカせてぇっ・・・」
「ああ・・・」
 滑るように圭一のモノが梨花に埋もれていく。ずちゅぐちゅぐちゅ、逃がしてなるものかと圭一の膨れあがった部分が梨花に突き刺さっていく。梨花のすべてが満たされて、初めての経験で二度目の挿入に目の前が真っ白になる。
 もう先ほどから絶頂に達するのを必死で我慢していた圭一は、少し擦れただけで尻のあたりを震わせている。
「梨花・・・ちゃん、俺、だめだ・・・出そうだ・・・」
「んぅ・・・わ、私もぉ・・・ひぐッ、だめぇッ、イク、、イッちゃう!」
 小さな白い肢体がビクンと飛び跳ねたのがわかる。圭一はその身体を愛おしく抱き寄せて、さらに腰を揺らし、膣を擦って自身も果てるために激しく動く。
「だめっ・・・こんなの、だめ、気持ちいいの・・・!!」
「梨花ちゃん・・・俺も、出るっ・・・」
 本能的に射精前に膣からそのものを圭一が引き抜こうとするが、梨花の恐ろしいぐらいに力がこもった手は圭一の身体を、下半身を離さない。慌てた圭一が梨花の首筋あたりに埋めていた頭をあげて、離すように訴える。
「梨花ちゃん、だめだ、俺出ちまうからっ、梨花ちゃんの中に出す訳には〜ッ」
「ううぅ〜ッ・・・」
「梨花ちゃん!本当にだ、駄目ッ・・・」
 ぐりっと二人が確かにそのつながる部分で抉るような感覚が走った。その瞬間に圭一は今ここで起きていた出来事を忘れてしまったかのような感覚に陥る。なぜ力を込めていたのか。何を我慢していたのか。そういったものがすべて解放されて、緩んだそのときに、初めて起きた現実に気づく。
「・・・圭一の、僕の中にいっぱい出ましたのです・・・」
「う・・・うわ・・・や、やっち・・・やっちゃったのか、俺」
 梨花のその声で、ようやく現実に引き戻される。目の前には、半裸の少女。スカートがめくり上げられ、下着は足首にひっかけられている。そもそも身体が小さいので、圭一の大事な部分が破裂させた精はねっとりと垂れていた。
 そして、先ほどまで自分のモノで埋めていた膣部分を梨花がくぱぁと開く。ゴポッとわずかに泡の入った濃い精液が溢れ出てきた。
「ごめん・・・俺、なんていっていったらいいか。初めてでこんな・・・中に出されるなんてその・・・嫌だよな」
 デリカシーのない男として部活で定評のある前原圭一はひたすら梨花に謝るばかりだ。謝る圭一に対して梨花は何も言わない。ただ、いつものようににぱー☆と微笑み続けるだけ。
「と、とりあえず、ほかの奴らに見つかったらやばいな。えー、えっと拭くものっと・・・」
 ポケットから慌てた様子でポケットティッシュを取り出すと、二枚、三枚と乱暴に引き出して今度は丁寧に梨花の顔に貼付いた自分の体液やら何やらを圭一が拭き取っていく。
 何も言わずに、ただ微笑む少女は一体何を考えているのだろう。
 こうなることは、本当に彼女が望んでいたことだろうか。ただ情に流されて。男と女として交わってしまったことに、後悔や悲しみを感じていないだろうか。
「圭一?」
「あっ、痛かったか?」
「いいえ。圭一がとても怖い顔をしていたのです」
「・・・そうか。ごめんな」
「みー、さっきから圭一は謝ってばっかりなのです。何か悪いことでもしたのですか?」
「なあ、梨花ちゃん」
 悪いことでもしたのかと問う少女に、何と答えればよいのだろうか。これは正しいことだった、間違いではなかったと自分が言えばいいのだろうか。自分自身もよくわかっていないのに、正しいとか、間違っているとか、気持ちすらも雲のように掴めないのにどうして告げられるのだろう。
「梨花ちゃんは・・・その、俺となんかしてよかったか?」
「はい。僕は、圭一だから許したのです」
「俺だから?」
「圭一は、“新しい風”です」
「ん? まて、何の話だ」
「僕はずっとずっと、あなたを待っていました」
「梨花ちゃん?」
 圭一は、梨花に誰かが重なっているような気がした。目を細めればその姿が見える気がして。必死に滲む視線の先をはっきりさせようとするのだが、それが現実なのか、現実ではないのか判断ができない。
「僕は圭一が梨花に振り向いてくれるのを、ずっと待っていたのですよ―」
 今度は空から声がした気がして振り向く。建物は相変わらず狭い小窓からしか光は差し込んでこない。よくよく耳をすましてみると、どこからか聞き慣れた声がする。
「あとは圭一さんと梨花だけですのよ!」
「梨花ちゃんと圭一くんかぁ、ふふふ、どこにいるのかな? かな?レナからは逃げられないよぉ〜」
「にしても珍しい二人が残ったもんだねぇ。時間もないし、さっさと見つめて勝負をつけるかね」
 愉快な部活メンバーたちの声が響き渡る。そうだ、今日は魅音からの提案でエクストリーム水鉄砲というおっそろしい部活の最中だったのだ。それがどうしてこんなことになってしまったのか、圭一には理解ができない。
「とりあえず、沙都子に見つかったら怒られてしまうのです」
 地べたに座り込んでいた梨花が立ち上がり、スカートの裾を直して埃を払う。それでも圭一が上から強く押しのっていたせいでついてしまった折れ目はなかなか直らない。
「圭一」
「なんだ?」
「僕は圭一が好きです。きっと、部活にいる皆も、圭一のことが好きだと思います。これは間違いありません」
「・・・そう改めて言われると照れるな」
「もしかしたらこれから先、圭一にとって苦しい選択を迫られることがあるかもしれません・・・」
「ああ・・・わかるよ」
「わかるのですか? 部活一鈍感で鈍くて全く気づかない圭一が?」
「酷い言われようだな、俺だって成長してるんだぜ」
 ふう、と呆れたような顔をして圭一が梨花の頭を優しく撫でる。
「ありがとうな。きっと梨花ちゃんの言うように、これから先たくさん悩むことや苦しいこともあると思う。でも俺はそれ以上に、楽しいことや嬉しいことがあるって信じてる。悲しい運命や、辛い出来事は絶対に打ち破れるんだ! だって、そうしてきただろ?」
 得意そうに、仲間を励ますと圭一のいつもの表情。そう、仲間を。梨花は考えている。関係を持ったからこそ余計に。仲間とは何か。仲間以上とは何か。大事な仲間だといってくれる圭一の言葉に偽りはないのに、なぜこんなにも虚無感を感じるのだろう。

「梨花、それはきっと恋かもしれませんよ」

 声がした。
 空からか、いや天からか。母のように優しく見守るその人がまた一つ、ヒントを教えてくれる。

―ああ、そうか。

 私、恋をしてしまったのか。
 百年の旅の先に、そして後に。こんな気持ちを抱くなんて初めてのことだから。きっかけはなんにせよ、気づいてみるとどうだろう、ああ、ほろ苦い。

 大事な人の一番になりたくて、私はこんなに寂しさを覚えているのだと梨花は圭一を見つめながら思う。
 この恋はいつが叶った、なんていうのだろう?彼がいった、楽しいことや嬉しいことに含まれているだろうか。これからどうなるかは、誰にもわからない。

 ただ、時を重ねて。
 運命は変えられると信じた二人なら、きっと乗り越えていける。

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