シルフストリーム U-257A／E-257A 
U-257Aはビジネスジェット機として開発された「シルフストリーム」を多目的機という連合艦隊の装備として採用してU-257と付番したものである。そしてE-257Aはその機体に早期警戒機機能を追加したものである。
もともとシルフストリーム」はインドを拠点とする航空機生産グループが開発したビジネスジェットである。先尾翼機でパイロン上にエンジンを乗せた構成は静粛性と振動の低減に優れ居住性能が高く、また低燃費超音速クルーズ性能を実現、速達性と快適性・経済性からまたたくまにベストセラーとなった。
それを連合艦隊は機体の更新時期にあったU-253グレイハウンドを更新する次期多目的機計画（U-X）を立て、多目的機・早期警戒機として採用する方向で検討を開始したが、ほぼ同じクラスのビジネスジェットとして、アメリカ系航空機生産グループのライトドーヴがやや遅れて実用化し、シルフストリームのシェアを脅かすに至り、連合艦隊としてはこの両機を共に候補機として検討することとなった。
運用コスト、将来性、保守性などの検討が行われたが、それぞれに納入を希望する業者が激しい受注合戦を繰り広げた。特に多目的機としてまとまった数の受注となり、なおかつ連合艦隊の検討結果は当時の市場でのシェア争いにも影響力があると考えられ、競争は白熱することとなった。
性能的にほとんど差がない両機の選定に当たり、当時日本の国内政局が不安定で2年の間に5回総理が交代するという事態の影響で防衛大臣も内閣が変わるごとに頻繁に交代し、その上失言問題で更迭交代となるために防衛大臣はその間7人が交代するというあるまじき事態に陥り、調達にあたっての当事者能力を失った連合艦隊ではいたずらに検討が長引き、その間次期多目的機（U-X）計画は迷走した。
まず当初の候補機ではなかった中国航空開発の「ホワイトスワン」がその間に実用化され、ビジネスジェットでありながら可変翼を採用したその先進性を導入すべきという意見まで上がった。
また在来機の機体寿命の迫ったグレイハウンドを、強度部材と搭載機器を更新することで延齢することが可能であるという意見による「スーパーハウンド」計画まで検討に入り、実に4陣営による受注合戦となり、にもかかわらず連合艦隊は政局に影響されて決定を遅らせたため、運用の現場からそのあいだ引きつづき老朽機を使うことに対する危険性の上昇に対する不満も上がるようになった。
その中、新淡路地方検察庁特捜部はこのU-X選定において不正があるとの疑惑にもとづいて現役の連合艦隊幹部と防衛省内局局員を含む関係者に対し強制捜査に着手、防衛省及び連合艦隊司令部に家宅捜索が入るという前代未聞の疑獄事件まで発生した。しかもその結果は連合艦隊幹部OBの虚偽の告発であったと判明し、捜査において勾留したほとんどの人間が不起訴となり、新淡路地検特捜の見込み捜査に対しても世論の批判が上がることとなった。しかもそれによって剪定作業は更にずれこむこととなり、現場はほぼ限界に達していた。
しかしそこにいたって衆参同日選を仕掛けた前進党が単独過半数を両院で獲得する圧倒的な勝利を得て、ようやく安定政権が誕生し、そのもとの防衛大臣が混乱した選定作業の整理と迅速なU-Xの導入・運用入りを指導し、そこで最初の候補機・シルフストリーム」が性能・整備性などにおいてやはり優位であるという結論に達し、U-257として採用が決定、長く混乱した選定作業に終止符が打たれることとなった。
結局無為に長引いた選定作業ではあったが、そのかわりU-257の納入は急ピッチで進み、現場もその新型機の受領を歓迎、またその居住性能・搭載性能の高さから早速派生機として早期警戒機型・E-257が誕生、また哨戒用センサーを搭載した哨戒機P-257、電子偵察装置を搭載したEP-257、さらに画像偵察機EP-257Dといった派生機の計画も次々と立てられることとなった。
