◆第六十一話「日の下を歩いて」

「キリエさんでしたか 監視ご苦労ですね」
「ま 乗りかかった船ですから」
「…どうもこうも…
 鳴海さんの株価が急上昇です」
「火澄さんは転入してきて二・三日で学園中の有名人
 頭はいいしスポーツ万能だし性格は明るいしであっという間の人気者
 その火澄さんが鳴海さんとよく一緒にいるしちょっかい出すしで 鳴海さんにも皆さんの目がいっちゃうんですよ
 そしたら 鳴海さんもクールだけどただ者じゃないってことがわかりだして…」
「鳴海さんも鳴海さんですっ!!
 家庭科部の子にお菓子作りを教えてあげたり!
 音楽部のピアノ班の人たちにピアノ弾いてあげたり!
 クラスの人達の勉強も見てあげたりっ!!」
「(う〜〜〜)
 それにもほどがありますっ!
 その上 今週だけで鳴海さんに告白した子がもう三人ですよ!? さんにんっ!!
 幸いどの子も断ってますけど もしこの先OKする子が現れたらどうしてくれましょうか!!」
「……… ところがそうでもないんですよね
 クラスの人達や他の人達と親しくはなってますけどしっかり壁は作ってる風ですし
 火澄さんに対しても間合いをはかってるっていうか
 楽しそうではあるんですけど 自分の根っこの所は厳しく守ってる感じなんです
 …かと思えば私にはなんだか前より優しくて素直ですし」
「逆に不気味でこわいんですよ」
「私の見たところ…
 鳴海さんが火澄さんに取り込まれてるっていうより
 火澄さんが鳴海さんに甘えてるって感じなんですよね…」
「お疲れ様でした!」
2006年06月18日(日) 00:27:13 Modified by hiyono_serifu




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