おしおきだべ〜

そこは、かつて捕らえられた兵士が、尋問、そして拷問を受けるのに使われた部屋。
音が漏れぬよう、塔の地下深くに作られたその部屋からは、音が漏れる事はけしてない。
正式な記録によれば、今はこの部屋はガラクタを置く物置となっており、使う者などいない。
そもそも入り口の扉の蝶番が壊れていて、ただでさえ重く開きにくかったその扉は開かなくなっている。
ただしそれは表向きの話。
その壊れた蝶番というのはカモフラージュで、この城の主とその側近だけは、その扉が開く事を知っている。
そしてその部屋の中には城の主によって調度が持ち込まれ、ちょっとした宿の一室のようになっていた。
その部屋の中。
かつて拷問用に使われ、今も調度として使われている、部屋の隅の壁に埋め込まれた鉄製の椅子に、女性が全裸で縛り付けられていた。
布で目隠しをされ、荒縄で猿轡をかまされ、両腕はその豊満な胸を隠せぬよう、椅子の上に埋め込まれた鉄の輪から伸びた手枷で拘束され、両足は女陰を露にするように膝を大きく開かされ、膝と足首で拘束されている。
桜色に上気した肌は汗の玉が浮いており、目隠しをされた瞳からは涙が流れ、頬を伝う。猿轡をかまされた口からは涎が溢れ、そして、紫色の陰毛に彩られた、陰核を完全に剥かれて真っ赤に充血した女性器からは、まるでお漏らしをしたように牝の証が溢れていた。

「んーっふ、んふーっ…」

荒い息をつき、猿轡の下から必死に何かを訴える、その少女は、この城の主。
トリステイン王家の冠を戴く、この国で最も高貴な、侵されざるべき女性。
アンリエッタ女王であった。
女王がなぜ、自らの治めるこの国の、自分の城の一室で拘束され、陵辱されるに至ったのか。
それを知るのは、女王自身と、この部屋にいる男性しか知りえない。
そして。
この部屋にいるもう一人は、女王の身体が冷めてきた頃を見計らって。

ぐちゅうぅっ!ぶちゅっ!

「んふぅーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!」

小指の先ほどの小さな瘤で彩られた、ぐねぐねと曲がった歪な張形を、女王の女陰に突き刺す。
それをわざと音を立てるようにゆっくりと、ねっとりと、女王の蜜壷をこね回すように、女王の牝の底を支点にして、あくまでゆっくりと、じっくりと、焦らすように回す。
奥をこね回され、膣道をかき回され、女王の拘束された太股がびくびくと波打って、拘束している革のベルトがぎちぎちと音を立てる。

「んっ、んっ、んふっ、んふぅっ、ふぅっ、ふぅっ、ふぅぅぅぅぅぅぅぅんっ!」

女王の中を乱暴な快楽の電流が駆け回り、女王の神経を陵辱する。
理性も知性も破壊されそうな陵辱に、涙を流し、涎を垂らし、蜜を溢れさせ、女王は曝される。
しかしすぐにその波は止まる。

子宮口に押し付けられ、ぐりぐりと回転していた張形の動きが止まる。
それは女王自らの膣圧で、瘤で肉襞を削りながら、女王の外に吐き出される。

ぬぷぅっ…かたんっ…。

粘り気のある排出音と、硬いものが石の床に当たる音が響く。

「んっふ!んっふぅ!んふぅ!」

女王は首を振り、イヤイヤをする。発情した豊満な胸が、汗に湿った柔らかい髪が、その仕草に合わせて揺れる。
それの意味するところは。

「…イきたいですか?」

男性が、黒髪の少年が、女王の心を代弁する。

「んふ!んふふぅ!んふぅーっ!」

女王は端も外聞もなく、首を縦に振る。
イかせて!イかせてくださいまし!気が触れてしまいますっ…!
もし猿轡がなければ、女王はそう叫んでいただろう。
目の前に立つ、女王の忠実なる騎士に。
しかし、騎士はその望みを叶えない。

「ダメです。これは罰ですからね。反省するまでイかせてあげない」

そして騎士は、女王の豊満な胸を揉み上げる。
あくまで柔らかく、優しく、過度の刺激を与えぬよう、そして快感だけはしっかり与えるよう。
もどかしい刺激に、女王は首を振り、悶える。

「ふぅっ!ふふぅっ!ふぅーっ!ふーっ!」

イヤ!イヤです!こんな弱いのぉ!お願い、もっと強くしてぇ!もっと激しく犯して下さいましぃ!
猿轡の中だけで淫らに叫び、更に激しい行為を、陵辱を要求するアンリエッタ。

「ダメだって。女王のくせに、式典の最中にあんなことしてる人には、罰を与えなきゃ…ね?」

完全に乳首を勃起させ、狂おしいほどに劣情をそそる女王の胸を、肌に触れ、なぞるだけの愛撫で焦らしながら、才人はあくまで優しくアンリエッタに囁く。

「ふぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

イヤぁ!もうイヤぁ!こんなのぜんぜんたりなぃぃ!優しくしないでぇぇぇ!
アンリエッタは必死に叫ぶが、猿轡の外に、才人に、その声が届く事はなかった。



女王は一体、式典で何をしていたのか。それは、半日前に遡る…。

その日、トリスタニアでは新年を祝う祭りが開かれていた。
王都は祭り一色に染まっていた。
色とりどりの屋台が通りを染め、普段は酒場の中でしか演奏しない楽士たちが通りで音楽を奏で、それに歌い手が歌を合わせる。
祭りの雰囲気に老いも若きも男女の別もなく酔い、振舞われる酒にまた酔う。
そんな祭りの喧騒が、式典の行われているトリステイン王宮にも響いてくる。
さすがに王宮の門扉は、平民には開かれていない。新年を祝うこの式典は、トリステインの貴族およびその子女のみに参加が許されていた。
もちろん、女王の近衛たる水精霊騎士団の副隊長である才人も、その賓客として、末席に招かれていた。
ちなみにルイズはといえば、ヴァリエール家代表として招かれたエレオノールに捕まって、はるか上座で盛装に映えないつまらなさそうな顔をしていた。
王宮の中庭に集められた貴族達は、各々雑談を交わしながら、主賓の到着を待っていた。
そして。
大きな鐘の音が、主賓の登場を告げる。
中庭に面したバルコニーの大窓が開き、その奥から、真っ白なドレスに身を包んだ、王冠を戴いた女性が現れる。
女王アンリエッタその人だ。
女王は拍手でもって忠誠を示す貴族達に笑顔で応える。
その中の、彼女が世界で唯一隷属を許す相手と目が合った瞬間。
彼女が主人と認めるその騎士は、気付いてしまった。
彼女の上気した頬は、酒のそれでも、宴の気配に酔ったからでもない。
周囲に居並ぶ貴族たちからは、そんな女王の表情が、成長によるものだという言葉しか出ない。

「おお、女王陛下はまた一段とお美しくなられて」
「少女から大人の女性になりつつありますな。あの目元の艶っぽさといったら」

違う。
黒髪の騎士は気付いていた。
女王の上気した頬は。潤んだ瞳は。別の何かに蕩けているのだ。
その表情は、自分が、自分だけが彼女にしている行為…。その行為の時、見せる表情だった。
アンリエッタは欲情している。
才人はそう確信した。
しかし何故?公式の場で、何もしていないのに。
才人はそれを確かめるべきだ、と思った。
こんな場所で、こんな場面で、女王がサカってちゃだめじゃん。
彼女の主人として、それを問い詰めなければならない。女王の新年の挨拶が終わり、才人がそう思ったとき。
才人の袖を、引くものがいた。

「来いサイト。陛下がお呼びだ」

銃士隊隊長、アニエス。
金髪のシュヴァリエは、普段とは違うドレス姿で、才人の手を引く。
丁度いい。才人は彼女の導きに従った。

案内されたのは、いつもの場所。
才人と、アンリエッタと、アニエスしか知らない秘密の場所。
かつて捕らえた兵士を監禁し、尋問し、拷問した、塔の地下の部屋。
アンリエッタは才人との睦事の際、彼をここに呼び出すのが定番になっていた。
そして、アニエスはその入り口まで才人を送り、引き返す。

「私は銃士隊の隊長として会場を警護せねばならん。個人的に挨拶しなければならん相手もいるしな。
 陛下を頼むぞ、サイト」

そしてアニエスは才人に目配せをする。
…なんとか、あの色ボケ女王を躾けてやってくれ…。
その目配せからは、そんな願いが読み取れた。
返事の代わりに背中を向けて、才人は壊れているように偽装された大きな扉を開く。
その奥には、地下へ向かう暗い階段が伸びていた。
才人は、女王の待つであろうそこへ、一歩ずつ降りていく。
一番下まで降りると、そこにはもう一枚、頑丈な木の扉があった。
この扉の奥が、女王との睦事の部屋。

才人はその扉をノックする。
すると、その扉が開いた。
扉を開けて才人を出迎えたのは。
王冠を外した、潤んだ瞳の、上気した頬の、アンリエッタ女王。
アンリエッタは才人を潤んだ瞳で見つめ、ほう、とため息を吐いた後。

「お待ちしておりました、サイト様…」

愛する黒髪の騎士を、部屋の中に招き入れる。
騎士は女王の言葉に従い、部屋の中に入る。
才人がベッド脇の椅子に腰掛けたのを確認すると、女王は後ろ手に扉を閉め、閂をかける。
これで、この部屋には誰も入ってこれない。二人きりの空間だ。
女王はじっと自分を見つめる才人に、発情した視線を向け、またため息を漏らす。

「…そんなに、見つめないでくださいまし…」

必要以上に艶っぽい、湿った声で、照れたように視線を逸らしながら、アンリエッタはそう言う。
才人は半ば呆れながら、女王に問うた。

「…姫様、一個聞いていいですか」
「なんなりと」
「どーして式典中から、サカってんですか」

才人の直球すぎる質問に。
アンリエッタはくすりと笑った。

「どうして…と。それはですね…」

言って、ルーンを唱えた。
すると。
女王の右手の中指に嵌められた指輪が水色の光を放ち、女王を包む。
その光が晴れた瞬間。
才人は息を呑む。
女王は全裸だった。
一糸纏わぬ、下着はおろか、靴下すら纏っていない。
しかし、女王は何も持っていないわけではなかった。
手の指輪と、そして。
股間の牝に咥え込んだ、張形。
その張形は女王の透明な樹液でてらてらとランプの光を反射していた。
張形を咥え込む女陰も、それを支える太股も、女王の樹液でべとべとに汚れていた。
全裸の女王は、騎士の質問に応え続けた。

「私は今まで…幻影を纏っていました…」

そしてはぁ、とため息を漏らし、はち切れそうに勃起した乳首と、張形の上に両手を沿え、軽くこね回す。
アンリエッタの脳裏に、いつかの才人との行為がよぎる。
犬の幻影を纏わされ、衆目の中、裸で四つん這いで、連れまわされた時の事。
あの時の背徳的な快感を、女王は忘れることが出来なかったのだ。

発情しきった牝の視線を才人に投げかけ、行為と言葉を続ける。

「沢山の人に見られながら…それでも女王らしく振舞って…ああ…でも、サイト様の視線が、一番…私を…」

牝の王は、そこまでしか言えなかった。
才人がいきなり立ち上がり、アンリエッタの両手を掴んだからだ。

「あんっ…サイトさまぁ…」

その行為に劣情と期待を膨らませながら、完全に牝と化した女王は、己の騎士を、奴隷たる自分の主人を、見つめる。
才人はにっこりと笑い、女王に言った。

「とりあえず、ちょっと拘束されてみようか?」
「は、はいっ…」

発情した牝奴隷は、主人の言葉に反抗することはなかった。


そして、今に至る。


もう何度目なのかわからない。
絶頂の直前で快楽を中断され、そして冷まされる。
火照った体が冷えてきた直後、ゆっくりと優しい、時には乱暴な快感で燃え上がらせられる。
行為の最中ずっと、反省を求められ、そのたびに頷いて主人に許しを乞い…それは受け入れられない。
猿轡をしているせいで訴えることも出来ず、拘束されているせいで自らを慰めることも出来ず。
アンリエッタは、主人の暴虐に耐えるしかできなかった。

「…ふぅ、ふぅ、ふぅぅ…」

また張形を引き抜かれ、絶頂の手前で放り出されたアンリエッタは、肩で息をする。
もう、股間も胸も、劣情ではち切れそうだった。
胃の下あたりにたまらない不快感を覚える。もう、気の触れる直前だった。

「…反省してます?」

式典中から行為をしていたことを咎められ続けているが、しかし猿轡をされたアンリエッタに反論は不可能だ。
それを知って、何度も何度も才人は女王を責める。
最初は軽く反省させるつもりだったが、だんだん才人も興が乗って、止まらなくなった。
限界まで張り詰めたズボンが、彼の興奮を露にしている。
この牝奴隷が反省しているかなんて、もう才人にはどうでもよくなっていた。
ただ、無抵抗な相手を責める背徳に、浸かっていたかった。
しかし。
才人のそんな劣情は、アンリエッタの最後の武器で、粉々に砕かれることになる。
アンリエッタは急に、震えだした。
それは、どこかで見たことのある震えだった。
肩を揺らし、身体を揺らし、そして猿轡の隙間から定期的にくぐもった声が漏れる。
目隠しから流れる涙の量が増え、絶え間なく女王の整った顎を伝う。
女王は嗚咽していた。
徹底的な主人の暴虐に、拘束された牝奴隷は小娘のように、ただ泣いていた。
それに気付いた才人は、まず、目隠しと猿轡を外す。
その瞬間、部屋の中に遠慮会釈のない泣き声が響き渡った。

「ふぇ、ふぇ、ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「あ、あの、ヒメサマ?」

まるで子供のように泣き出したアンリエッタを、才人はなだめようとする。
そのために、拘束された女王の手足を開放する。
アンリエッタは開放された手で、顔を覆って泣いた。

「ひぐ、ひろ、ひろいれす、はんせぇしたって、えぐ、ゆってるのに、ふえぇぇぇぇぇぇぇ」
「ご、ごめんっ」
「いえないのにっ、いえないのにぃっ、さいとさまのばかぁぁぁぁぁぁぁ!ふえぇぇぇぇぇぇぇ」
「ご、ごめんってば」

アンリエッタに覆いかぶさるように抱き締め、必死になだめる才人。
こうなっては、才人に反論の余地はない。
二人の立場は、完全に逆転していた。
アンリエッタが泣きはらした顔を上げる。
そして、才人に抱きついた。

「ゆるしませんっ」
「え、何?」

ぎゅうぎゅうと才人を抱き締め、発情した身体をぐりぐりと押し付ける。
そして、アンリエッタは改めて才人と顔を合わせる。
泣きはらしたその顔は、牝から娘に変わっていた。
頬を子供のように膨らませ、アンリエッタは子供の顔で言う。

「ちゃんとして。いっぱいやさしくして。じゃないと許しません」

しょうがねえなあ。
才人は完全に折れた。

「わかりましたよっ…と」
「きゃっ」

才人はアンリエッタを文字通りお姫様抱っこして、ベッドに向かう。
そして、ベッドにアンリエッタを横たえる。

「じゃあ、全力で優しくしてあげますよ」
「は。…はい…」

まるで初めての行為を迎えた娘のように赤くなって、アンリエッタは目を瞑って才人を待った。

まずは、啄ばむようなキス。
全裸の二人はベッドの上で、互いの存在を確かめ合うように、何度も何度も何度も口付けを交わす。
その間、才人の手は優しく、柔らかく、アンリエッタの乳房を揉み解す。
その行為に、アンリエッタが胃の下側に感じていた不快感が、どんどん解れていく。
そして、アンリエッタの口から漏れる、震える声。

「サイトさま、サイトさまぁ…。さいと、さ、まぁ…」

まるで泣いているような声に、才人は不安になり、キスをやめて、尋ねる。

「どうしたの?」
「え?…なんでも、ないんですけど…。
 名前を、お呼びしたくて…。どうしても、止められなくて…。
 どうして…なんでしょう…」

言いながら、アンリエッタの頬を涙が伝う。
それは、先ほどまでの責めの反動から来る、半ば生理的な反射行動だったが。
そんな概念など、二人は持ち合わせていない。

「な、なんで泣くの?」
「あ、あれ?あ、やだ、止まらない…」

必死に涙をぬぐうが、アンリエッタの涙は止まらない。
その涙に、アンリエッタは結論を見つけた。

「あ、あは。きっと、き、きっと嬉しいんです。
 サイト様に優しく、されて…。私の心が、嬉しくてしょうがないんです…きっと」

そして、涙を流しながら、にっこり笑う。
その切ない笑顔に、才人の胸の奥の存在しない器官が、ぎゅうっと締め付けられる。
たまらない愛しさに、才人は、『優しくする』という約束も忘れ、全力で目の前の女王を抱き締めた。

「アンリエッタっ…」

息苦しいほど抱き締められ、しかしアンリエッタの心の中は、どんどん満たされていく。
あふれ出した歓喜が、涙と、そして欲望を溢れさせた。
アンリエッタは才人を優しく抱き締め返し、そしてわがままを口に出す。

「サイト、さま…。…だいて…」

才人はその言葉にアンリエッタの肩を掴んで引き離し、そしてその瞳を覗き込む。
そして、もう一度口付け、そして。

「優しくするから…」
「はい…。優しく、抱いてくださいまし…」

アンリエッタはそう言って、自ら脚を開く。
その根元では、完全に準備の整った女王の牝の裂け目が、陰核を尖らせ、内側からピンク色に染まった襞を押し上げ、才人を待っていた。
才人はその開かれた隙間に身体を滑り込ませ、自らを待ち受ける肉の裂け目に、剛直を押し当てる。
己のぬめりと、女王のぬめりを絡ませ、そして。
ゆっくりと、じっくりと、奥まで、貫く。

ぶぷっ、ちゅぷっ、ぷちゅちゅっ…。

いつもと違う、優しく柔らかいゆっくりとした水音。
牡の温度がゆっくり突き刺される快感に、アンリエッタの喉が囀る。

「あ。あ、あぁ…なんて…温かい…。
 こんなに、温かいんですのね…サイトさま…」

いつもは泡立つほどに掻きまわされる愛液は、透明を保ったまま、二人の結合部から溢れる。
才人はゆっくりとゆっくりとアンリエッタの中を味わう。

「アンリエッタの中…きゅうきゅうって締め付けて…。それに、すっごい柔らかい…」

まるで最奥まで辿り着くのが名残惜しいかのように、才人は腰を進める。
そして。
才人の槍は、アンリエッタの一番奥に辿り着く。

くにゅ…。

いつもは一瞬叩くだけのそこの感触を、二人は楽しむ。

「サイトさまのおちんちんが…私の一番奥に、奥に…ああ…キス、してます…」
「うん、わかるよ…。アンリエッタの一番奥…こんなに、柔らかいんだね…」

才人は最奥で腰を止めたまま、両腕で優しくアンリエッタを抱き締めた。
アンリエッタは最奥で才人を受け入れたまま、両足で才人を抱え込む。

そして、二人は同時にお互いの欲求を口にする。

「「このまま…一緒に…」」

二人は見つめあい、そして。
唇を重ね、そして、舌を絡ませる。
舌と性器を絡ませたまま、アンリエッタは腰を回して才人に快感を与え、才人はさらに腰を突き出し、先端を押し当てて、アンリエッタを犯す。
まるで溶け合うような行為は、二人を少しずつ、だが確実に高めていく。

ぐにゅ、ぐにゅ、ぶちゅ…。

いつもの弾ける様な音とは違う、肉を掻き混ぜる音が、小さく、小さく、だがこの上なく卑猥に鳴り響く。
その音は二人の中に極上の和音となって響き、絶頂へのBGMとなって二人を容赦なく高める。

ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ…。

まるで猫がミルクを舐めるような、二人がお互いの唾液を絡ませる音が、二人の唇の中に響く。

サイトさま…サイトさま…。お慕いしております…。
姫さま…アンリエッタ…。なんて、可愛いんだ…。

舌を絡ませながら囁いた声は、声にならずに二人の中だけで響く。
そんな二人の快楽は、やがて限界に達する。
それでも二人はキスを、お互いの舌を味わう行為を止めず、無粋な声を押し殺す。
そして。
アンリエッタの膣道が絶頂に震え、細動して、先ほどのお返しとばかりに才人の牡を責める。
その刺激に才人の堰が決壊し、押し当てた子宮の口に、白い愛情を注ぎこむ。
アンリエッタの入り口はそれを優しく受け入れ、流れ込んでくる才人の愛を、飲み込んでいく。
卵のない子宮に子種が満たされていく。
その快感に、アンリエッタの牝が、さらに才人の牡を搾り取ろうと痙攣する。
その快感に、最後の一滴まで、才人はアンリエッタに注ぎ込んだのだった。

「ごめんなさい、サイト様…反省、しております…」

穢れを落とし、いつものドレスに着替えたアンリエッタは、同じく服を着た才人に頭を下げた。
そんなアンリエッタの肩を優しく抱いて、才人はその髪に優しく口付けた。

「俺の方こそ、ごめんな。あんな酷いことして」
「いいえ。私は女王として、場をわきまえることを忘れていました…。
 サイト様の与えてくださった罰以上のものを、本当は受けなければいけないのに」

アンリエッタは才人の手をどけて、そして続ける。

「サイト様は、優しいから…」
「い、いや、アレはその場のノリで…」

そう言って頬を掻く才人に。
王冠をかぶりなおしたアンリエッタは、女王の顔で、にっこり笑って言った。

「いいえ。猛省を促してくれたあなたの想い、伝わりました。シュヴァリエ」
「…うん。なら、いいんだけど…」

ほっとした様子で、胸を撫で下ろす才人。
実は、最初の責めの事でさんざん言われるんじゃないかと、気が気ではなかったのである。
アンリエッタは、そんな才人を尻目に、部屋の扉を開け、そして言った。

「ですから、次からはちゃんと時と場所を考えて、シて戴くことにします。
 …そうですねえ、とりあえず、新年最初の受勲のあと、たっぷり可愛がっていただきますので♪
 女王の唇で肌に勲章を刻んでさしあげます♪」

とんでもないことをさらりと言ってのけ、色ボケ女王は唇にひとさし指を添えて、にっこり笑った。

「え、ちょっと待って!受勲とかってどういう」
「言ったでしょ?女王に相応しい相手になっていただきます、と。
 覚悟なさってくださいね、シュヴァリエ・サイト♪」

言って背中を向け、女王は部屋から立ち去ったのだった。
才人の逆シンデレラ・ストーリーは、転がり落ち始めたばかりである。〜fin
2008年02月13日(水) 00:57:26 Modified by idiotic_dragon




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