BBSPINKちゃんねる内で発表されたチャングムの誓いのSS(二次小説)を収集した保管庫です

   チャングム×ハン尚宮  【ハン尚宮の負け】       見習尚宮様


中宗王は狩猟が非常にお好きで、年に何度かお出ましになる。その年の秋は、宮中から少し
遠い猟場で狩りを楽しみたいと所望されたので、久しぶりに泊まりがけでの外出となった。
チョン最高尚宮は、ハン尚宮をスラッカンの責任者として派遣することに決め、
ハン尚宮は自分の補助を勤めさせるために、チャングム、ヨンセン、チャンイを一緒に連れて
行くことにした。

ヨンセンとチャンイが嬉しそうに話している。
「宮中から出られるなんて嬉しい。私がいないとミン尚宮様がお寂しいかもしれないけどね。」
「チャンイは一度も宮中の外に出たことがないものね。(チャングムも一緒で嬉しいわ)」

出発当日の朝、ミン尚宮が見送りに出て来た。
「ハン尚宮様、行ってらっしゃいませ。あんた達もしっかり働いて尚宮様をお助けするのよ。」
「はい、ミン尚宮様!」
「ミン尚宮、留守を宜しく頼むわね。」

遠ざかる一行の後姿を見送りながらミン尚宮は溜息をついた。
「あ〜あ、私も行きたかったわ。でも前に猟場でチョバンと汁の準備をした時、
牛脂と間違えてあの子がソラの毒を入れちゃって、2人で味見をしたら倒れたのよね。
あの時はハン尚宮様も巻き添えでお倒れになり、残されたクミョンとチャングムが活躍した
お陰で先輩の面目が丸潰れだった。狩りのお供に声が掛かることなど、未来永劫二度とない
わね。チョバンは男と駆け落ちして明国に逃げたけど、私は相変わらず下っ端の尚宮のまま…。
まぁいいわ。それも人生ね。とりあえず今日はうるさいチャンイはいないし、真面目で厳しい
ハン尚宮様もお留守だからせいぜい羽を伸ばすとするかな。」

気が緩んで思わず大きなあくびをしてしまい、慌てて口元を押さえながら辺りを見回す
ミン尚宮であった。


ここ最近、公務に忙殺され部屋に篭りきりになっていた王様であるが、久しぶりに
大自然の下で狩りを楽しまれてご満悦であった。気分が良いと食欲も旺盛になられるようで、
ハン尚宮が入念に献立を準備し、真心を込めて調理した食事を実に美味しそうに召し上がった。

 夕食の片づけを終えた後、ハン尚宮は長官と明日の打ち合わせがあるので、
チャングム達に宿舎に戻って先に休んでいるように言った。宿舎といっても女官用の小さい部屋が一つある
だけなので、その夜はハン尚宮もチャングム達と同じ部屋で休むのである。

ハン尚宮の寝床も整えると、ヨンセンとチャンイは疲れが出たのかすぐに寝息を立て始めた。
チャングムは、ハン尚宮の隣りの布団に入って目をつぶったがなかなか寝付けない。
久しぶりにハン尚宮の側で眠れると思うと嬉しくて心が弾んでいたのだ。

「尚宮様、遅いわね…。」
その時やっとハン尚宮が宿舎に戻って来た。
「尚宮様、お帰りなさいませ。」
「あらチャングム、まだ起きていたの? 私を待たなくていいから先に休んでいなさい。」
ハン尚宮は部屋を出て行き、身体を洗うと寝支度を整えて戻って来た。
「チャングム、蝋燭を消すわよ。」
「はい、尚宮様。おやすみなさい。」
ハン尚宮も布団に入って目を閉じた。

ハン尚宮は布団に入ったものの、手や足の先が冷えていて中々寝付けなかった。
(秋の終りともなると冷えるわね。おまけにこの布団は薄いから身体も冷えるわ…)

チャングムは何度も寝返りを打つハン尚宮が気になって、そっと声を掛けた。
「尚宮様、どこかお具合でも悪いのですか?」
「起こしてしまったようね。手足が冷えて眠れないのよ。」
「それではお休みになれるよう、私が擦って温めて差し上げます。」
チャングムは布団から素早く出ると、ハン尚宮の布団に手を入れて手や足を擦り始めた。
「大丈夫よ。チャングム、お前も疲れているだろうから早く休みなさい。」
しかしチャングムが構わず擦り続けたお陰で、段々と手足が温まってきた。

(この狩りの準備の為にお忙しかったせいか、最近は夜を共にさせて頂こうとお部屋に伺っても、
「疲れているの」とか「今夜は駄目」と言われて追い返されてばかり。久しぶりに尚宮様の
お身体に触れさせて頂いたら、何だか変な気分になってきちゃったわ。
どんなにお叱りを受けてもいいから今夜は…)

(幼い見習の頃、チョン尚宮様がよくこうして擦って下さったものだわ。内人になってからは
ミョンイが温めてくれたっけ。懐かしいわ…。ここ最近、チャングムが部屋を訪ねて来ても
ずっと追い返してきた。忙しくて朝が早かったせいもあるけど、ちょっと焦らし過ぎて可哀想な
ことをしたかしら…。明後日は私達は非番だから、明日の夜は部屋に呼んでやって
一晩中存分に…。まぁ私ったら、何てはしたないことを。フフッ…。 )

 そんなことを考えて頬を緩ませているうちに、ハン尚宮はチャングムのお陰で手足も温まり
ウトウトと夢心地になってきたのだが、ふと身体に妙な圧迫感を感じて目を開けた。

「チャ、チャングム!!! ちょっと、一体何をしているの?」
チャングムがハン尚宮の布団に入り込み、寝巻の襟元に手を掛けて開こうとしていた。
「尚宮様、お静かに。」
「お前は一体何を考えているの!」
「最近はお部屋にも入れて下さらず、私はもう我慢が出来ないのです。お許し下さい。
ね? 尚宮様!」
「駄目よチャングム。ヨンセンやチャンイが目を覚ますわ。明日の夜は私の部屋に来ても
いいから、今夜は大人しく寝なさい。いいわね?」
「ヨンセンやチャンイは一度寝たら、朝まで起きませんので大丈夫です!」

 チャングムはそう言うと、ハン尚宮の首筋に唇を這わせながら、緩めた胸元に
手を差し入れる。ヨンセンやチャンイが寝ているので、ハン尚宮は大声を上げて抵抗する訳にも
いかず、仕方なくされるがままになっていた。チャングムはハン尚宮の胸の先端に
唇を寄せ、舌で悪戯をするようにくすぐると、あっという間に固く尖った。

(あぁっ… 止めて… 久しぶりのせいか何だか敏感になっているみたい。)
(尚宮様のお身体はいつもいい香りがするわ…)

「チョン尚宮様〜!! 抱っこ〜!!」
(驚かせないでよ。いつものヨンセンの寝言か。夢の中でも甘えん坊ね。)

 チャングムは尖った両方の先端を指で摘み、書物を優しく繰るように弄った。
(あぁぁ… チャングム、駄目… 身体が熱くなって蕩けてしまいそう…)
ハン尚宮の息遣いが段々と荒くなってきて、乱れた呼吸が静寂な空気を震わせている。
しかし夢中になっているチャングムは止めようとはせず、首筋を吸いながら、
指先に少し力を入れて強めに弄る。
(尚宮様… 私だけの尚宮様…  お肌が少し汗ばんできたみたいだわ。)
(お願いだから、もう止めて… そんな風にされたら声が出てしまう…)

 はぁっはぁっはぁっ…  ん…  あぁぁ…
苦しげな息遣いに甘い響きが微かに加わると、チャングムはハン尚宮の口を自分の唇で
塞いだが、相変わらず指の動きはそのままでハン尚宮を追い詰めてゆく。
痛みを覚えるほど強く弄られて感じさせられても、声を出せないハン尚宮は、
チャングムの唇に口を塞がれたまま昇り詰めた。

 もうどうにも止まらないチャングムは、布団にもぐり込んだままモゾモゾと下に移動すると
ハン尚宮の脚の間に身体を割り込ませて、寝巻の裾をめくり上げた。一度昇り詰めて、
身体の力が抜けているハン尚宮は簡単に両足を開かされ、すっかり熱く潤んでいるその場所に
唇を寄せられても抵抗できなかった。

(チャングム、お前は何て大胆な子なの。いくらヨンセンやチャンイが鈍感とはいえさすがに
気づかれてしまうわよ。ミン尚宮にでも話されたら、朝鮮中に知れ渡ってしまうわ。)

チャングムは、舌で柔らかい襞の間を優しくなぞっている。優しいが故に
かえって刺激が強くなり、ハン尚宮は鳥肌が立つような快感を与えられた。
チャングムは、敏感な部分に触れないように用心しながら緩やかに舌を動かし続ける。
腰をひねって逃れようとしたハン尚宮の腿をしっかりと掴んで押さえ込むと
諌めるように舌の動きを感じさせる。
(あぁぁ… どうにかなってしまう… あっ、あぁん、 駄目よ… 嫌ぁ…)
ハン尚宮は布団の端を噛み締めて、何とか声を出さないように必死に堪えている。

 「ミン尚宮様〜、こんなに沢山は食べられませんよぉ〜!!」
(今度はチャンイか。あの子は夢の中でもつまみ食いは止められないのね。ハン尚宮様、
今のも寝言ですので大丈夫ですからね。)
 そんなことを考えていたら、チャングムの舌はうっかりハン尚宮の敏感な部分を捉えた。

「あぁんっ!!    … ゴホゴホ。」
思わず声を上げてしまったハン尚宮は、慌てて咳払いをしてどうにか誤魔化した。
それでもチャングムはお構いなしに、ハン尚宮をゆっくりと責め続ける。

(もっともっと尚宮様を乱れさせたい…。でも布団の中は真っ暗だし、ちょっと息も
苦しくなってきたわ。一度ここから出ようっと。)
(あぁ… チャングム、もう許して… これ以上されたら私は壊れてしまうわ… 
お願いだから、もう止め…   あれ? 本当に止めたの?) 
 
チャングムの愛撫から解放されたハン尚宮は、ほっとしたような名残惜しいような
奇妙な気分にさせられた。
(ちょっとチャングム、お前は私をここまで昇らせておいて途中で止める気なの? 
身体がこんなに火照ってしまっては余計眠れない…。全くお前には翻弄させられるばかり。 )

  「尚宮様、部屋を出て外へ参りましょう!」
チャングムがハン尚宮の耳元で囁いた。
「お前って子は本当に無鉄砲というか、恐いもの知らずというか…。」
「このまま眠ることはとてもできません。尚宮様と二人きりになりたいのです。」
(眠れないのは私とて同じ事。でも、誰かに見つかりでもしたら一大事よ。)
躊躇するハン尚宮であったが、ひとたびチャングムに火をつけられた身体をどうすることも
できず、寝巻を整えるとそっと寝床を抜け出した。
 
「ねぇ、チャングム。ヨンセンとチャンイは大丈夫かしら?」
「大丈夫ですよ、尚宮様。あの二人は天地がひっくり返っても朝まで起きませんから。」
「お前は私をどこへ連れて行こうとしているの?」
「厨房です。夜中はここまでは護衛の方の目も届きません。」
「それはそうだけど、いくら何でも王様の御膳を作る場所でそんな…。」
 
 ― 厨房の中 ― 
「ねえ、チャングム。やはり止めましょう。宿舎に帰るわよ。」
チャングムは返事をせず、無言でハン尚宮の両肩を掴むと壁に押し付けて唇を重ねた。
最初は軽く触れ合っていたが次第に深くなっていくにつれ、強張っていたハン尚宮の身体から
力が抜ける。チャングムは、まだ温もりが残るハン尚宮の脚の間に手を差し入れると、
敏感な部分を指でそっと捏ね始めた。
 
「あっ あぁっ… んぅ… はぁぁ… 」
たまらずハン尚宮がチャングムの耳元で喘ぐと、思わずチャングムの身体も熱くなり
指の動きが激しくなる。

 「あぁ チャン…グム… もう… あぁ、立っていられない…」
ハン尚宮は腰が砕け、チャングムにしがみついてどうにか身体を支えていた。

 チャングムはハン尚宮を抱きかかえながら、厨房の隅の小上がりに連れて行くと
重なり合うようにして倒れ込んだ。寝巻を脱がされたハン尚宮の白い肌が露になると、
いつもの蝋燭の灯りとは違う、青白い月の光に照らされて透き通るように美しかった。

「尚宮様は月から降りてきた天女のようです。」
「ならば月に帰しておくれ。」
「天女が空を舞う羽衣は永遠に私のものです。」
「私が月ならお前は輝く太陽のように眩しいわ…。」

チャングムはハン尚宮の脚を押し広げると、すっかり開ききっているその場所に
そっと指を挿し入れていく。
「あぁぁ… あぁっ…」

(端整で、近寄り難いぐらいに気品溢れる尚宮様もお美しいけれど、私の腕の中で
快感に抗いながら、次第に墜ちてゆく尚宮様もとてもお美しい。指が吸い付くような絹の肌に、
すすり泣くような甘い吐息。誰も知らない私だけの尚宮様…。もっと深く感じたい。)

 (昼間はここでお前と一緒に仕事をしていたのに、今はこうしてあられもない姿で
抱かれているなんて…。お前は普段は優しい子なのに、床の上では野獣のような時がある。
そんなお前と肌を合わせる毎に、私はどうしようもなく溺れていく…。)
チャングムが挿し入れた指で深みを突く度に、ハン尚宮は身体の芯に痺れが走り、
喘ぐ声が次第に大きくなる。チャングムは指の動きを激しくしてハン尚宮を絶頂にいざなう。

「尚宮様、とてもお綺麗です。誰にも触らせたくありません。」
「あぁっ チャングム! チャングム!」
ハン尚宮はチャングムを強く抱き寄せると、何度も名前を呼びながら果てた。
気を失ったハン尚宮が目を覚ますと、チャングムが微笑みながら髪を撫でていた。

「震える尚宮様はとても可愛いです。」
「何を言うの…。」


 宿舎へ急いで戻りながら、チャングムが嬉しそうに話し掛けてきた。
「尚宮様、たまには他の場所というのも趣向が変わって刺激的ですね。私、宮中でどこか
よい所を探しておきます。」
「馬鹿なことを言うのはおよしなさい。今にも誰かが来るのではないかと肝を冷やしたわ。」
(本当はお前の言う通りよ。仕事場だというのにあんなに燃えてしまうとは、自分でも信じられない
ぐらいだった…。)

 ヨンセンやチャンイを起こさないように注意しながら、二人は宿舎に入ったのだが、
寝室の襖をそっと開けた時、腰が抜けるほど驚いた。ヨンセンがぼんやりと布団の上に座って
いたのだ。ヨンセンは虚ろな目を向けて話し掛けてきた。
 「お二人でどちらへ行かれていたのですか?」
「さ、尚宮様が手洗いへ行かれるのに、暗闇が恐いと仰るのでお供していたの。」
「そ、そうなのよ。幼い頃から暗闇だけは苦手だから、チャングムに一緒に来てもらったの。
(全く、何で私がこんな事を言わなければならないのよ)」
「ハン尚宮様にも苦手な物があるのですね!」
 ヨンセンはにやにや笑いながら、そのままごろんと横になって寝てしまった。
― チャングムが翌朝尋ねたら、ヨンセンは全く何も覚えていなかったのだが…。
「やれやれ…」 ヨンセンを布団の中に押し込めると、二人もそれぞれ寝床に入った。

 ハン尚宮は何かを思い出したように身体を起こすと、チャングムの耳元に優しく囁いた。
「チャングム、明日の晩は私の部屋にいらっしゃい。」
「・・・・・・・」
「(なぜ無視するの?)部屋に来ていいわよ。」
「Zzzzzz・・・・」
(えーっ、今布団に入ったばかりなのにもう寝たというの!? 全くもう…。)
ハン尚宮はすごすごと自分の布団に戻って目を閉じたが、身体の芯に甘い痺れが残って
なかなか寝付けない。結局その夜はまんじりともできなかった。


 翌日、宮中へ戻る道中で先を歩いていたハン尚宮にチャングムが追いつくと、
そっと耳打ちした。
「尚宮様。明日は非番ですので、今晩お部屋に伺ってもよろしいでしょうか?」
「来たければ来ればいいでしょ。」
ハン尚宮はチャングムの顔も見ずに素っ気無く言うと、さっさと前に行ってしまった。

「何をお怒りになっていらっしゃるのかしら…。でも急に不機嫌になられることはよくあるし、
そういう一筋縄でいかないところも好きなのよね。ふふふ。」
チャングムは全く気にも留めず、ヨンセンやチャンイ達の所に戻った。

― その夜、ハン尚宮の部屋
ハン尚宮は部屋に香を焚いたり、新しい敷布を用意したりしてチャングムを待っていたのだが
一向に来る気配がない。ハン尚宮は部屋の中をうろうろと落ち着きなく歩き回っていた。
「どうしたのかしら?来たいと言っていたのに、疲れて寝てしまったのかしら…。」
ハン尚宮は様子を見るために忍び足で廊下へ出た。

 ― チャングムとヨンセンの部屋
「それでね、チャングム。ミン尚宮様ったら可笑しいのよ。」
「へぇ、そうなの。」(ヨンセンたら今夜に限ってどうして寝てくれないのかしら。
早く尚宮様のお部屋に行きたいのに…。あっ! どうやらやっと寝たらしいわ。)

チャングムは部屋を出ると、急いでハン尚宮の部屋に向かった。
「尚宮様、もうお休みになってしまわれたかしら…。」
チャングムが廊下の角を曲がると、自室の前でそわそわしていたハン尚宮と丁度目が合った。
(尚宮様、待っていて下さったのですね)
ハン尚宮は決まり悪そうな表情を浮かべ、慌てて部屋に入ってしまった。

 「尚宮様、失礼いたします。」
チャングムも続いて部屋に入ると、ハン尚宮は布団の上に背を向けて座っていた。
「尚宮様、遅くなって申し訳ありませんでした。ヨンセンが中々寝ないもので。」
「別にお前を待っていたわけではないわ。」
「ですが、お部屋の前に立っていらしたようにお見受けしましたが…。」
「もう寝ようと思って戸締りをしていたのよ。用が済んだらさっさと帰ってちょうだい。」
そう言うと、ハン尚宮はチャングムに背を向けたまま布団に入ってしまった。
(どうして私は素直になれないの。本当は優しく抱き締めてやりたいのに…。)
(尚宮様の強情にも困ったものだわ。ちょっと困らせてみようかしら。)

「尚宮様。立場を弁えず失礼な事を申し上げてしまいお許し下さい。尚宮様はお疲れで
いらっしゃるのにこれ以上お邪魔はできません。部屋でヨンセンに慰めてもらいます。
我がままを言って申し訳ございませんでした。」
(何?ヨンセンに?そ、それは駄目よ、絶対に駄目。)
ハン尚宮は慌てて布団から身体を起こすと、相変わらず背は向けたままで言った。
「寝ているヨンセンを起こすのも気の毒よ。せっかく来たのだから居ればいいでしょ。」
(尚宮様、からかってごめんなさい。でもやっぱり可愛い。)

 チャングムは背後から、甘えるようにそっと抱き締めたがハン尚宮は拒まなかった。
(尚宮様、お許し戴けたのですね…。)
まずは自分の着物を脱ぐと、ハン尚宮のうなじに口付けながら寝巻を脱がせていき
腕を回して柔らかな両の乳房を掴みゆっくりと揉む。ハン尚宮の身体が小さく震えて
いるのを感じながら、チャングムはハン尚宮をそっと布団に押し倒すと、唇を重ねようと
顔を近づけた。その時下からハン尚宮の手が伸びてきて、胸にしっかりとチャングムを
抱き寄せると、思いもよらぬことを尋ねてきた。
 
「チャングム。私のことが好き?」
(尚宮様ったら今更そんなことをお尋ねになるなんて、一体どうしちゃったのかしら…?)
それでもチャングムは手を止めると、真っ直ぐにハン尚宮の目を見て答えた。

 「はい。幼い頃からずっとお慕いしております。」
「何故なの? 私はお前が見習いの頃から、時にはチョン尚宮様からたしなめられるほど
厳しい躾をしてきて、優しい言葉の一つも掛けたことがなかったのに…。」

「尚宮様はあまりお言葉は多くはありませんが、お心で語りかけて下さるというか
どんなときも見守って下さっているという安心感があるのです。私が幼い頃ひどい風邪を
引いてしまい、高熱が出たときのことを覚えていらっしゃいますか? 
尚宮様はお仕事で疲れていらしたはずなのに、一晩中私の側について額の汗を拭い、
ずっと手を握っていて下さいました。」

「ええ覚えているわ。病気知らずのお前にしてはひどい風邪だったもの。朦朧とした意識で
私を呼びながら、小さな手を伸ばしてきたお前が愛しくてね。母の気持ちとはこういうものかと
思ったものだったわ。」

  「私が無茶をして味覚を失った時もそうでした。あの時は尚宮様の補助どころか、もう
スラッカンでは役に立たない女官になったのだという絶望感でいっぱいでした。ですから
尚宮様が『お前が必要なの』と仰って下さった時は、どんなに嬉しかったことでしょう。
味を描く能力を見出して下さって、自分は信じられなくても尚宮様を信じればきっと道は
開ける―そう思うことが出来ました。いつもは物静かで冷静な尚宮様が、私を診せて下さった
お医者様を怒鳴りつけた時には驚きましたけれど…。」

「お前を慰めるためというよりは、本当に私にはお前が必要だから、自然にあのような
言葉が出たのだと思う。夜中の厨房で、色々な食材を口に運んで味覚を確かめるお前が、
絶望で泣き崩れる姿を見たときは、私も胸がかきむしられるようであった。抱き締めて
慰めるのは簡単だけれど、前に進むために心を鬼にして厳しい修行を課したのよ。」

 ハン尚宮はチャングムを抱いている腕に力をこめた。

 「ねぇチャングム。前に少し話したことがあったけれど、私には一緒に宮中に上がった
幼い頃からの親友がいたの。お前のように好奇心が旺盛で、情に厚い子だった。でもその子は
訳あって宮中を追われ、もしかしたらもうこの世にいないかもしれない…。大事な親友を
失った私は、大切な人を失う苦しみを二度と味わいたくなかったから、心を閉ざして
人を遠ざけた。救えなかった親友への罪滅ぼしでもあったかもしれない。感情を捨て、
仕事に打ち込むことで悲しみを忘れようとした私は、生きながら死んだようであった。
でもお前に出会い、損得など頭にないお前の正直で真っ直ぐな生き方に振り回されながらも
私の中で何かが変わっていくようであった。お前には、自分の信念を貫く勇気をもらった。
お前を一人前の女官にしながら、もう一度前を向いて生きていこうと決心したの。」

「尚宮様…。今までのお苦しみは私ごときには到底はかり知れないものだと存じますが、
尚宮様が背負われる悲しみも全て包み込んで、ずっとお側に居たいのです。」

 「チャングム。お前は氷のように固いはずの心の壁を溶かして、私の心を奪ったのよ…。」
ハン尚宮とチャングムはお互い見つめ合い、優しく抱き合いながら互いの想いと温もりを
感じていた。 それで充分に幸せなはずだが、チャングムはまだ若く、夜もまだ始まった
ばかりであった。

  「尚宮様。明日はお休みですし、今夜は寝かせませんよ。」
「お前はすぐ調子に乗るんだから。私は昨夜も寝られなかったのよ。あっ、ちょ…ちょっと
待ちなさい、チャングム…。」
「尚宮様はとても可愛いです。ほら、こんなことをすると…」
「あぁぁ… い、嫌ぁ… お願い… あぁっ…」
「尚宮様がお綺麗で、そのような甘い声をお出しになるから悪いのです。」
「近頃のお前ときたら、床の上ではまるで野獣のようだわ…。」
「それではもっと暴れましょう!」
「あぁっ。駄目よ、チャングム。止めてったら。んぅ…はぁ…もっと優しくして…」

 ハン尚宮が何度となく果てても、身体の隅々まで味わい尽くすかのようにチャングムの
唇と指が追ってくる。ハン尚宮は愛しい子が一途に自分を求める喜びを感じていた。
強い絆で結ばれた者同士が、心も身体も一つに溶け合っていく幸福な瞬間を共にしながら
ハン尚宮とチャングムは夜の帳に包まれていった。

 翌朝目が覚めた時、すっかり太陽が昇っているのに気づいたハン尚宮は驚いた。
(いくら非番とはいえ、ここまで寝坊をしたことは長い宮中生活で初めてだわ。
それに昨日激しくチャングムに責められたせいか足腰がだるい。
ん?あれ? 声も枯れてひどいものだわ。ずっと声を出していたものね。)

部屋の外からミン尚宮の声がした。
「ハン尚宮様、お目覚めですか?お具合はいかがですか?チャングムから頼まれた物を
お届けに参りました。」
ハン尚宮は思い出したように慌てて自分を眺めた。
(寝巻は着ているわね。自分で着たのか、チャングムが着せてくれたのか覚えてないけど)

 「お入りなさい。ミン尚宮、悪いわね。ところでチャングムは非番ではないの?」
「そうだったのですが、クミョンがひどい胃痛のため当番を代わったのです。チャングムが
『尚宮様は喉が痛いはずなので梨汁を届けて下さい』と言っておりましたので、お持ち
したのですが、なぜチャングムは尚宮様のお具合を知っているのですかね?」
ハン尚宮は顔が赤くなるのを感じながら返事をした。
「猟場に言ったときどうやら風邪を引いたようでね。」
わざとらしく咳をするハン尚宮に訝しげな視線を投げつつ、お見舞いの言葉を言うと
ミン尚宮は部屋から出て行った。

「全くチャングムは余計なことには気が回るわね。」
ハン尚宮は呆れたように独り言を言いながらも、美味しそうに梨汁を飲み干した。

 「チャングム。ハン尚宮様にお届けしたけど、何かあったの?ねえ、教えてよ。」
訳を知りたくてたまらないという様子でついて来るミン尚宮から、笑いながら逃げ出す
チャングムであった。

【  終  】



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