チャングムの誓いエロパロSS保管庫 - ヨンシン女官長×オ・ギョモ 【オ・ギョモの憂鬱】
   ヨンシン女官長×オ・ギョモ  【オ・ギョモの憂鬱】       見習尚宮様


パク・ヨンシン女官長はオ・ギョモと会うためにユン・マッケの妓房を訪れた。
だが約束の時刻より早く着いたので、部屋で女将と世間話などをしながら待つことにした。
しばらくしてオ・ギョモが入ってくると、女将は黙礼をして部屋を出て行った。

「女官長、待たせたな」
「いいえオ・ギョモ様。お忙しい所恐れ入ります。それにしても、二人きりの時には女官長と
お呼びになるのは止めて下さいな」
「おぉ、すまなかった。ヨンシン、ゆっくり会うのも久しぶりだな」
「本当にお久しぶりですわ。何でも最近は新入りの妓生にご執心とかで、こんな古狸などは
とうにお払い箱かと思いましたわ」
「そんな皮肉を言うでない。せっかくの美貌が台無しだぞ」
(チッ、やぶ蛇だったわい。相変わらず口が減らない女だ)
「オ・ギョモ様ったらお上手ですこと、ホホホホ」

最高尚宮の座を巡る競い合いを皇后の命により再度行った結果、ハン尚宮がチェ尚宮を制し、
晴れてその座を勝ち取った。ハン尚宮の最高尚宮就任を快く思わない者達がいることから、
皇后は一時的にハン尚宮にスラッカンの全権を委ねることを決断し、一日も早く人心を掌握
するようにとハン尚宮に言い渡した。このような理由から、ヨンシン女官長は皇后より当分の間、
スラッカンに関与してはならぬと命じられ、渋々従わざるを得なかったのだった。

競い合いに敗れたチェ尚宮は伝統に従って醤庫へ行くため、スラッカンにはオ・ギョモや
ヨンシン女官長の息がかかった人物がいなくなる。そうなると、これまでチェ一族が輩出
してきた最高尚宮と手を結び、多額の賄賂の見返りとして、スラッカンでの物品の取引を
チェ・パンスル商会に独占させてきた、オ・ギョモやヨンシン女官長は困ったことになる。
慌てた二人は、今後の対策を話し合うことにした。
実はこの二人、若い頃から男女の仲であり、今でもその縁が続いているのである……。

ヨンシン女官長は若い頃は宮中でも評判の美人で、密かに想いを寄せる男も多かった。
一方オ・ギョモも、今でこそすっかり恰幅がいいが、昔は武道の鍛錬によって鍛え上げられた
身体を持つ紅顔の美青年で、女官達の憧れの的であった。若い二人は恋に落ちたが、
所詮ヨンシンは王の女である。やがてオ・ギョモは妻を娶り家庭を築いたものの、
ヨンシンへの未練が断ち切れず、年月を重ねながら二人は細く長い関係を続けていた。

「堅物のハン尚宮が最高尚宮に就任するとは困ったことになりましたわね」
「そなたは何も心配せんでいい。チェ・パンスルに何とかするようによく言っておくからな。
それより…… なぁ、ヨンシン、いいだろう?」
「オ・ギョモ様、無粋な真似は止めて下さいな。まずはお酒を召し上がりながらお話でも
いたしましょうよ」
ヨンシンは胸元に差し入れてきたオ・ギョモの手をぴしゃりと叩くと、オ・ギョモの杯に
酒を注いでやった。
「ハハハ、それもそうだな。今夜はそなたも飲むがいいぞ」
オ・ギョモは決まり悪そうに笑うと、ヨンシンの杯にも酒をなみなみと注いだ。

「おい、もういい加減にしないか。わしの方が先に倒れてしまうぞ」
「オ・ギョモ様もお年でしょうか?すっかりお酒に弱くなられたようですわね」
宮中で一、二を争う酒豪のヨンシン女官長の前では、オ・ギョモも形無しであった。

ヨンシンとオ・ギョモは隣りの部屋に敷かれた布団に倒れ込むと、ヨンシンはオ・ギョモの
着物を脱がせ、手馴れた様子で奉仕を始めた。

「うぅぅ…… いいぞ、ヨンシン。さすが年の功だ……」

年の功という言葉が勘に障ったヨンシンが、わざと歯を立ててやるとオ・ギョモは
情けない声で悲鳴を上げた。オ・ギョモもヨンシンを愛でようと、着物を脱がせて
いきながらその柔らかい肌を撫でていた。
(若い身体とはまた違った色香があるというものだな。肉も腐りかけが旨いとは良く
言ったものだ。おっと、こんなことをうっかり口に出したら大変だ……)
(昔のオ・ギョモ様はお腹も引き締まっていて、それはいい身体だったのに。学問の方は
からきし駄目だったけれど、粗野で荒っぽいところが私には新鮮だったわ……)

オ・ギョモがヨンシンにのしかかり、腰を振り始めた。
「あぁ、オ・ギョモ様…… えっ? ちょっと! 何? もう?」
オ・ギョモは数回腰を振ったところで果ててしまった。下から見上げるヨンシンの非難
がましい視線に耐え切れず、オ・ギョモは布団の脇に座り込んで必死に言い訳をした。

「済まなかったな。ここ最近激務が続いていたので、身体の調子が悪いのかもしれぬ」
「あらそうですか。何度か執務室にお訪ねしても、いつも外出中みたいでしたが。
まぁ、そんなことはもうどうでもよいですわ。私も多忙ですのでこれで失礼いたします」
ヨンシンはそう言い放つと、身支度を整えてさっさと帰ってしまった。

一人で部屋に残されたオ・ギョモは溜息をついた。
「一体全体どうしたというのだ?このままだと男の沽券に関わるぞ。チェ・パンスルに何か
探させなければ」
数日後、オ・ギョモは直々にチェ・パンスルの屋敷を訪ね、口外するなと念を押しつつ
パンスルにある依頼をした。

「旦那様。どうなさったのですか? お顔の色が優れませんが……」
「チャン執事か。実はオ・ギョモ様にまた困った依頼をされてな」
「いつぞやの医女服にも困ったものでしたが、今度は何ですか?」
「最近あっちの方が弱くなったらしくて、何か良い物を探せと仰るのだ。もういい年だと
いうのに良い加減に引いたらどうかと思わんか?わしなんて、オ・ギョモ様と関わるように
なってから、そんな気力はなくなってしまったというのに。いや、わしのことなぞどうでもいいのだが」
「旦那様、ご心配には及びませぬ。私が何とかいたしますので」
「頼んだぞ、チャン執事。オ・ギョモ様にも全く困ったものだ……」

数日後、チャン執事が八方手を尽くして探し出した明国の秘薬が手に入り、早速
オ・ギョモに渡された。オ・ギョモは名誉挽回とばかりに、ヨンシンと会う約束を取り付け、
当日その秘薬を飲んでマッケの妓房に赴くと、ヨンシンは既に部屋で待っていた。

「ヨンシン、先日は済まなかったな。これはつまらない物だが取っておきなさい」
秘薬と一緒にパンスルに取り寄せさせた、高価な翡翠の指輪だった。
「おやまぁ、素敵な指輪ですこと。お気を遣わせて申し訳ないですわね」
(当然よね。あの時は私に恥をかかせたも同然だったもの)
オ・ギョモが既に準備が整っている下腹部に、それとなくヨンシンの手をあてがうと、
ヨンシンは艶然とした意味ありげな笑みを返してきた。

オ・ギョモは秘薬が効いているうちに事に及んでしまおうと、やや強引にヨンシンを
布団に押し倒したが、ヨンシンは抵抗もせず大人しく身を任せていた。

「どうだ、ヨンシン。いいか?」
「オ・ギョモ様、凄いですわ!」
オ・ギョモが腰を振るたびに、ヨンシンが驚嘆の声をあげる。
「若い頃に戻ったようでございます!」
「もっと良くしてやるからな!」
オ・ギョモが更に腰を打ち付けようとしたその時……
「うっ?!」
「オ・ギョモ様?どうなさいましたか?オ・ギョモ様?ちょっと!息をしてないわ!」
オ・ギョモが目を見開いたまま、布団の上に崩れ落ちた。


ヨンシンは慌てて身支度を整え、女将に医者を呼ぶように頼むと裏口から出て行った。
「まさか死ぬなんてことがあったら……。あの場に居た事は口止めしておかなければ」

幸いにも妓房で飲んでいた医者が居合わせたお陰で、オ・ギョモは適切な治療を受けて
一命を取り留め、数週間の自宅療養を経た後に職務に復帰した。ある日、二人は宮中で
すれ違い、気まずそうに顔をしかめるオ・ギョモをよそに、ヨンシンが話しかけてきた。

「お体はもう大丈夫ですか?」
「あぁ、なんとかな。みっともない所をそなたに見せてしまって面目ない」
「パンスル殿に伺ったら、明の秘薬とやらをお飲みになったそうですね」
「あぁ。まぁそうなのだが、わしの繊細な身体には合わなかったようだ、ハハハ」
「妙な薬を飲んでお相手をしていただくほど、私は落ちぶれておりませんので」
ヨンシンはオ・ギョモを鋭く睨みつけると、そのまま歩き去ってしまった。
「おい、ちょっと待て!ふぅ、参ったな……」
去って行くヨンシンの後ろ姿を見送りながら、オ・ギョモは力なく肩を落とした。
「女房には絞られ、ヨンシンにまで恨み言を言われるとは腸が煮え繰り返りそうだ。
こういう時はマッケの店で飲むに限る。おい、輿を出してくれ!」

その頃、チェ・パンスルの屋敷ではパンスルとチャン執事が話していた。
「チャン執事、そういえばオ・ギョモ様から先日の明の秘薬と、翡翠の指輪の代金を
頂いたか?」
「それが旦那様……。高血圧の持病があるのに秘薬を飲んだせいで、心臓が一時停止なさって
大変だったとか。事前に知らせなかった我々に危うく殺されるところだったから、代金どころか
賠償金を払えと仰るのです。指輪の代金はその一部だと」
「何だと?チャン執事、わしはもう涙が出そうだ」
「旦那様、これは天が与えた試練と思って真摯に受け止めれば、きっと良い事もあります」
「そうだな、チャン執事。捨て鉢になってはいかんな。それでは気分転換にマッケの店で
酒でも飲むとするか。ピルトゥも呼んで来い」

【  終  】



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