ユリフィナ_19 ◆/GKRtxSDWQ １１スレ目外伝
【外伝�機�
444 ユリフィナ_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/07(金) 17:03:29.86 ID:uUNyUkCO
「モグタン、トンカツって料理が私の故郷にはあったんだ。」
私はどういう経緯かはわからないけれど、タンスをあさっていたモグタンのボンボンを左手で思いっきり握りつぶした。
「ど、どんな料理クポー？」
ダラダラと汗を流しながら、それでもしっかりと下着をにぎりしめたままのエロ生物が白々しい声を上げる。懲りているんだか、いないんだか。
ま、どっちにしろきっついおしおきの一つや二つ、三つや四つ、百や千は必要だろうけど。
「えーとね、まず豚をバラして肉にするの。」
私は左手でムニムニとボンボンを弄びながら楽しげに彼に微笑みかける。
「・・・豚って誰の事クポ？」
「それでねー、その肉をビンとかでバシバシ叩いてから
小麦粉、卵、パン粉をまぶして油でカラッと揚げるんだ〜。」
「な・・・何が言いたいクポ？」
私はボンボンを握る手にさらに力を加え、右手をスッと腰にぶら下げてあるダークモールに伸ばした。
「じゃーーん・・・にーくーたーたーきー！」
「ひ、ひぃぃクポオオオオ！！！」
ギラリと目を殺気で輝かせる私を見たモグタンが情けない声を上げてガタガタと震え始めた。
でも、大切そうに下着は握ったままだ。いや、体が強張って手が開かないだけかもしれない。・・・どっちでもいいや。
「今日は、生きたままトンカツを作りたいと思いま〜す♪まずは、お肉を叩きましょう〜♪」
【外伝�供�
659 しびれるくらい美味しいカレー_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/15(土) 23:26:22.46 ID:NuVeCh5A
皆様お久し振りです、保守がてら小話投下します。
「ユリフィナと！」
「モグタンの！」
『ワクテカお手軽クッキング〜！』
私は自分が今できる限りのスマイルスキルを全開にして、巨大なリンクパールのようなものが埋め込まれた
怪しい装置へモグタンと一緒に向かっていた。一体何をしているかと言われると、テレビのようなものの放送だ。
ヴァナにも、一部裕福な人にはテレビのようなものがあるらしい。そして、今私はヴァナの料理番組で
助手をやっている。ちなみに先生はモグタンだ。
なんでもこの番組は毎日先生と助手を変えるというとんでもない方法をとっているそうだ。
そして、その先生役としてモグタンが任命され、その助手として私がモグタンに頼まれたのだ。
リハーサルやら、準備やらで本番まで結構時間がかかり、想像以上に大変だったけれども、
お給料として調理ギルドからギルドポイントが入るためになかなかに美味しい仕事だとは思う。
それに、プロのメイクさんにメイクをしてもらうなんて、こんな事がない限り一生ないとは思うし。
「本日の放送は調理師範のモグタン先生と、わたくし、調理印可のユリフィナでお送りいたします。」
「よろしくお願いしますクポ〜。」
だけど、カメラ(?)と小さなキッチンと何故かカボチャ頭をかぶっているカメラマンと私たちしかいないという
なんとも貧乏くさいセットを見るとほんとに給料がでるのかどうか不安にもなってくる。
まぁいいや、とにかく今は本番だ。集中集中っ！
660 しびれるくらい美味しいカレー_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/15(土) 23:26:34.93 ID:NuVeCh5A
「えーと、今日は辛さで暑さを吹き飛ばせ！ご家庭でも簡単に出来るカレーです！
それではモグタン、お願いします。」
「今日使うのは、調理素人でも簡単にカレーが出来る、調理ギルド製作の『カレールー』
というものを使うクポ。一袋タルタル5人前で980ギルとお買い得クポ！
お買い求めは調理ギルド、および通販でクポ〜！」
何があってもカレールーの宣伝はするようにと釘をしっかりと刺されていたのだが、セリフを噛む事もなく、
無事に宣伝も終わって思わず一息つきたくなったけれど、そうするわけにも行かない。
私は笑顔を維持したまま、必死に次のセリフを思い出しながら野菜を刻み、お肉をいため始めた。
放送は何事もなく、無事にどんどん進んでいった。料理の失敗もこの調子なら無さそうだ。
まぁ、カレールーを使うカレーで失敗なんてしようもないとは思うけれど・・・。
「では、ついにカレールーの登場です！」
「な、なんとこの野菜とお肉のスープにこのカレールーの塊を入れるだけでカレーになっちゃうクポ！」
いくらなんでもやりすぎだろうというくらいに、派手に驚いた素振りでモグタンがカレールーを取り上げた。
「ええ！入れるだけなの〜！信じられませんね〜〜！」
私も彼を見習ってド派手に驚いてみせる。
「これを軽く砕いて溶かしいれるだけでクポ・・・。」
ボチャンボチャンと砕かれた茶色い塊が放り込まれるたびに、鍋から美味しそうな様々なスパイスの香りが
広がってゆく。ああ・・・おいしそう・・・。早く味見したいな〜。
661 しびれるくらい美味しいカレー_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/15(土) 23:26:46.54 ID:NuVeCh5A
「すごーーい！見る見るカレーになっていますね〜！！！」
私は鍋つかみ・・・ではなくてヒーラーミトンを使って鍋の取っ手を掴んでカメラのほうへと鍋の中身を
見せてみた。ボルクヘルツさん、AFをこんな使い方してごめんなさい・・・。
「しかもこの香り、冒険者が使う高級料理レッドカレーと比べてもまるで遜色ないクポ！」
そういいながらモグタンはさらに何かスパイスのような黄色い粉をパッパッと入れた。
「あれ？モグタン今なにいれたの？」
「カレールーだけでも十分美味しいクポ！でも、辛いものが苦手な方やお子様はセルビナミルクを入れて甘くしたり、
もっと辛いものが好きな人はスパイスを足したりして味を調えるといいクポ！
どれもお買い求めは調理ギルドまでクポ！」
アドリブで宣伝までするモグタン。やるじゃん。
「ちなみに、今入れたのは辛いものが好きなユリの為にカザムからしを少し足したクポ。」
「え？私の為に・・・ありがとうね。」
テレビ番組(リンクパール番組？)だというのに、わざわざ私の為に味を調えてくれるだなんて・・・。
本番中だというのにちょっとジーンときてしまった。
「いいえクポ〜。では、あとはお皿に盛り付けるだけでおいしいおいしいカレークポ〜！」
あ、いけない！ジーンとしてる場合じゃない！早くお皿にご飯乗っけてモグタンに渡さないと！
私は慌てて後ろに置いてある保温材としての炎クリとタルタルライスが入っている入れ物からご飯を二枚のお皿に乗せた。
ホカホカと温かいご飯はそれだけで美味しそうなのに、この上にさらにあのカレーが・・・じゅるり・・・。
662 しびれるくらい美味しいカレー_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/15(土) 23:26:57.62 ID:NuVeCh5A
「カレーはご飯だけではなく、パンなどにも良く合います。色々お試しください！」
トロリとモグタンの手で熱々のカレーがご飯にかけられていく。そしてその上に半熟卵が飾られて、
『かーんせーーーい！』
「それでは、試食しましょうか。うん、とてもあんなに手軽に出来たとは思えません。」
私はスプーンを顔の高さまで持ち上げてから、それをパクリ。
「辛ッ・・・。」
そして思わずもれる本音。私は慌てて、水をあおった後、半熟卵と一緒に今度はご飯を多めにしてもう一口
カレーを口に運んだ。
「辛くて、舌がちょっとピリピリしますね。でも、この辛さと、お野菜とお肉とスパイスのうまみがなんとも言えず、
食欲をそそります。」
そう言ってさらに一口。ピリピリするけど本当に美味しい、そして、なんだかリアルのカレーそっくりの味で
とても懐かしい・・・。モグタン、こんなにピリピリするならスパイス足さなくても良かったのに・・・って、あれ？
「モグタンたへなひ・・・お・・・？」
モグタン食べないの？と言おうとして、舌が突然回らなくなる。
「あ、あ・・・あえ？・・・からああいいえ・・・え・・・。」
体が・・・しびれる・・・。な、なんで・・・？私は平衡感覚を失い、椅子からぐらりと転げ落ちて
受身すら取ることできずに地面に倒れこんだ。
「マヒ毒素」一瞬、そう書かれた小瓶が机の裏に置いてあるのが目に入った。
ま・・・まさかあのエロ生物・・・。
663 しびれるくらい美味しいカレー_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/15(土) 23:27:24.34 ID:NuVeCh5A
私の目の前に、勝ち誇った表情のエロ生物が現れた。こ、このエロ生物・・・覚えてろ・・・。
「お料理はこれからが本番クポ〜♪」
「カメ・・・あ・・・まんさ・・・け・・・。」
カメラマンさんに助けを求めるにも声が出ない。ていうか、あの人はこの放送事故をどうして止めないの！？
目の前に、カボチャ頭も現れた。カメラマンさんだ。
「助・・・け・・・。」
「だーめ♪」
カボチャ頭の中からは、想像と違い若い娘のかわいらしい声、でもって聞き覚えのある声がした。
カメラマンさんがカボチャ頭をスポッと脱ぐ。そして、その下からは赤い髪を後ろで二つに分けた美人のエロヴァーン。
そう・・・何故かアリアちゃんが満面の笑みで現れた。モグタンとアリアちゃん・・・もうだめだ・・・。
きっと私は助からない・・・。人間、どうしようもない状況に陥ると意外とあっさりとその現実を受け止めて、
諦める事が出来るみたいだ。
664 しびれるくらい美味しいカレー_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/15(土) 23:28:14.30 ID:NuVeCh5A
「ふふふふふふ・・・モグタン君ナーイス♪」
ヘラヘラ、そしてニタニタとしたモグタンとアリアちゃんが私の服に手をかけた。
「・・・！！！！！！！！！」
どうしよう・・・もう声も出ない。体はもちろん動かない・・・。
誰か・・・誰か・・・助けて・・・。諦められるなんて嘘・・・無理・・・助けて・・・。
突然、ふっと目の前から二人の姿が消えた。そして、私の体のしびれも消えた。
「マヒ毒素を悪用し、不正なセクハラを行っているものが現れたとの通報を受けました。」
目の前には呆れた顔のGMさんが立っていた。そして彼は私にそっと手を差し伸べた。
その手に引き上げられ、私はフラフラしながらも何とか立ち上がった。
GMさんは、私が立ち上がったのを確認すると、マヒ毒素入りカレーのお皿とスプーンを手渡してくれた。
「それでは、よい食事を。」
「・・・はい、ありがとうございます。」
ところで、この番組はどうなっちゃってるの？私はどうしたらいいか分からずに、
カレーとスプーンを持ったまま、呆然と立ち尽くしていた。
665 しびれるくらい美味しいカレー_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/15(土) 23:29:32.74 ID:NuVeCh5A
「何故ここに呼ばれたかお分かりですか？」
GMはこの質問をモーグリとエロヴァーンに投げかけた。このセリフを彼らに何度言ったかもう分からない。
彼の胃は、ストレスの為に他の人にも聞こえるのではないだろうかというくらいにキリキリ音を立て痛んだ。
「私はね、縛られるよりも縛る方が好きなのにな〜・・・。」
「モグはどっちも大好きクポ〜。」
「モグタン君、ベテランね〜。」
だけれども、縄で縛られているにもかかわらず、
彼らはまるでGMの声が全く聞こえないかのように楽しげに怪しい話に花を咲かせていた。
「何・故！ここに呼ばれたかお分かりですかっ！！！
公共のリンクパールを使ってなんて事をしたのかお分かりですか！？！？！？ねえ！！！！！」
「そうだっ！今度は直接モグハウスに乗り込んでユリフィナちゃん縛っちゃっていい？」
「それいいクポ！クポ・・・動くと縄が食い込んで・・・クポ・・・ハァハァ。」
「うわああああああああ！！！！！！！！！！！」
監獄にGMの叫び声がこだまして、反省中の人々をギョッとさせたとかさせないとか・・・。
彼に労災がおりたのは、不幸中の幸いだろう。
〜おしまい〜
444 ユリフィナ_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/07(金) 17:03:29.86 ID:uUNyUkCO
「モグタン、トンカツって料理が私の故郷にはあったんだ。」
私はどういう経緯かはわからないけれど、タンスをあさっていたモグタンのボンボンを左手で思いっきり握りつぶした。
「ど、どんな料理クポー？」
ダラダラと汗を流しながら、それでもしっかりと下着をにぎりしめたままのエロ生物が白々しい声を上げる。懲りているんだか、いないんだか。
ま、どっちにしろきっついおしおきの一つや二つ、三つや四つ、百や千は必要だろうけど。
「えーとね、まず豚をバラして肉にするの。」
私は左手でムニムニとボンボンを弄びながら楽しげに彼に微笑みかける。
「・・・豚って誰の事クポ？」
「それでねー、その肉をビンとかでバシバシ叩いてから
小麦粉、卵、パン粉をまぶして油でカラッと揚げるんだ〜。」
「な・・・何が言いたいクポ？」
私はボンボンを握る手にさらに力を加え、右手をスッと腰にぶら下げてあるダークモールに伸ばした。
「じゃーーん・・・にーくーたーたーきー！」
「ひ、ひぃぃクポオオオオ！！！」
ギラリと目を殺気で輝かせる私を見たモグタンが情けない声を上げてガタガタと震え始めた。
でも、大切そうに下着は握ったままだ。いや、体が強張って手が開かないだけかもしれない。・・・どっちでもいいや。
「今日は、生きたままトンカツを作りたいと思いま〜す♪まずは、お肉を叩きましょう〜♪」
【外伝�供�
659 しびれるくらい美味しいカレー_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/15(土) 23:26:22.46 ID:NuVeCh5A
皆様お久し振りです、保守がてら小話投下します。
「ユリフィナと！」
「モグタンの！」
『ワクテカお手軽クッキング〜！』
私は自分が今できる限りのスマイルスキルを全開にして、巨大なリンクパールのようなものが埋め込まれた
怪しい装置へモグタンと一緒に向かっていた。一体何をしているかと言われると、テレビのようなものの放送だ。
ヴァナにも、一部裕福な人にはテレビのようなものがあるらしい。そして、今私はヴァナの料理番組で
助手をやっている。ちなみに先生はモグタンだ。
なんでもこの番組は毎日先生と助手を変えるというとんでもない方法をとっているそうだ。
そして、その先生役としてモグタンが任命され、その助手として私がモグタンに頼まれたのだ。
リハーサルやら、準備やらで本番まで結構時間がかかり、想像以上に大変だったけれども、
お給料として調理ギルドからギルドポイントが入るためになかなかに美味しい仕事だとは思う。
それに、プロのメイクさんにメイクをしてもらうなんて、こんな事がない限り一生ないとは思うし。
「本日の放送は調理師範のモグタン先生と、わたくし、調理印可のユリフィナでお送りいたします。」
「よろしくお願いしますクポ〜。」
だけど、カメラ(?)と小さなキッチンと何故かカボチャ頭をかぶっているカメラマンと私たちしかいないという
なんとも貧乏くさいセットを見るとほんとに給料がでるのかどうか不安にもなってくる。
まぁいいや、とにかく今は本番だ。集中集中っ！
660 しびれるくらい美味しいカレー_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/15(土) 23:26:34.93 ID:NuVeCh5A
「えーと、今日は辛さで暑さを吹き飛ばせ！ご家庭でも簡単に出来るカレーです！
それではモグタン、お願いします。」
「今日使うのは、調理素人でも簡単にカレーが出来る、調理ギルド製作の『カレールー』
というものを使うクポ。一袋タルタル5人前で980ギルとお買い得クポ！
お買い求めは調理ギルド、および通販でクポ〜！」
何があってもカレールーの宣伝はするようにと釘をしっかりと刺されていたのだが、セリフを噛む事もなく、
無事に宣伝も終わって思わず一息つきたくなったけれど、そうするわけにも行かない。
私は笑顔を維持したまま、必死に次のセリフを思い出しながら野菜を刻み、お肉をいため始めた。
放送は何事もなく、無事にどんどん進んでいった。料理の失敗もこの調子なら無さそうだ。
まぁ、カレールーを使うカレーで失敗なんてしようもないとは思うけれど・・・。
「では、ついにカレールーの登場です！」
「な、なんとこの野菜とお肉のスープにこのカレールーの塊を入れるだけでカレーになっちゃうクポ！」
いくらなんでもやりすぎだろうというくらいに、派手に驚いた素振りでモグタンがカレールーを取り上げた。
「ええ！入れるだけなの〜！信じられませんね〜〜！」
私も彼を見習ってド派手に驚いてみせる。
「これを軽く砕いて溶かしいれるだけでクポ・・・。」
ボチャンボチャンと砕かれた茶色い塊が放り込まれるたびに、鍋から美味しそうな様々なスパイスの香りが
広がってゆく。ああ・・・おいしそう・・・。早く味見したいな〜。
661 しびれるくらい美味しいカレー_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/15(土) 23:26:46.54 ID:NuVeCh5A
「すごーーい！見る見るカレーになっていますね〜！！！」
私は鍋つかみ・・・ではなくてヒーラーミトンを使って鍋の取っ手を掴んでカメラのほうへと鍋の中身を
見せてみた。ボルクヘルツさん、AFをこんな使い方してごめんなさい・・・。
「しかもこの香り、冒険者が使う高級料理レッドカレーと比べてもまるで遜色ないクポ！」
そういいながらモグタンはさらに何かスパイスのような黄色い粉をパッパッと入れた。
「あれ？モグタン今なにいれたの？」
「カレールーだけでも十分美味しいクポ！でも、辛いものが苦手な方やお子様はセルビナミルクを入れて甘くしたり、
もっと辛いものが好きな人はスパイスを足したりして味を調えるといいクポ！
どれもお買い求めは調理ギルドまでクポ！」
アドリブで宣伝までするモグタン。やるじゃん。
「ちなみに、今入れたのは辛いものが好きなユリの為にカザムからしを少し足したクポ。」
「え？私の為に・・・ありがとうね。」
テレビ番組(リンクパール番組？)だというのに、わざわざ私の為に味を調えてくれるだなんて・・・。
本番中だというのにちょっとジーンときてしまった。
「いいえクポ〜。では、あとはお皿に盛り付けるだけでおいしいおいしいカレークポ〜！」
あ、いけない！ジーンとしてる場合じゃない！早くお皿にご飯乗っけてモグタンに渡さないと！
私は慌てて後ろに置いてある保温材としての炎クリとタルタルライスが入っている入れ物からご飯を二枚のお皿に乗せた。
ホカホカと温かいご飯はそれだけで美味しそうなのに、この上にさらにあのカレーが・・・じゅるり・・・。
662 しびれるくらい美味しいカレー_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/15(土) 23:26:57.62 ID:NuVeCh5A
「カレーはご飯だけではなく、パンなどにも良く合います。色々お試しください！」
トロリとモグタンの手で熱々のカレーがご飯にかけられていく。そしてその上に半熟卵が飾られて、
『かーんせーーーい！』
「それでは、試食しましょうか。うん、とてもあんなに手軽に出来たとは思えません。」
私はスプーンを顔の高さまで持ち上げてから、それをパクリ。
「辛ッ・・・。」
そして思わずもれる本音。私は慌てて、水をあおった後、半熟卵と一緒に今度はご飯を多めにしてもう一口
カレーを口に運んだ。
「辛くて、舌がちょっとピリピリしますね。でも、この辛さと、お野菜とお肉とスパイスのうまみがなんとも言えず、
食欲をそそります。」
そう言ってさらに一口。ピリピリするけど本当に美味しい、そして、なんだかリアルのカレーそっくりの味で
とても懐かしい・・・。モグタン、こんなにピリピリするならスパイス足さなくても良かったのに・・・って、あれ？
「モグタンたへなひ・・・お・・・？」
モグタン食べないの？と言おうとして、舌が突然回らなくなる。
「あ、あ・・・あえ？・・・からああいいえ・・・え・・・。」
体が・・・しびれる・・・。な、なんで・・・？私は平衡感覚を失い、椅子からぐらりと転げ落ちて
受身すら取ることできずに地面に倒れこんだ。
「マヒ毒素」一瞬、そう書かれた小瓶が机の裏に置いてあるのが目に入った。
ま・・・まさかあのエロ生物・・・。
663 しびれるくらい美味しいカレー_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/15(土) 23:27:24.34 ID:NuVeCh5A
私の目の前に、勝ち誇った表情のエロ生物が現れた。こ、このエロ生物・・・覚えてろ・・・。
「お料理はこれからが本番クポ〜♪」
「カメ・・・あ・・・まんさ・・・け・・・。」
カメラマンさんに助けを求めるにも声が出ない。ていうか、あの人はこの放送事故をどうして止めないの！？
目の前に、カボチャ頭も現れた。カメラマンさんだ。
「助・・・け・・・。」
「だーめ♪」
カボチャ頭の中からは、想像と違い若い娘のかわいらしい声、でもって聞き覚えのある声がした。
カメラマンさんがカボチャ頭をスポッと脱ぐ。そして、その下からは赤い髪を後ろで二つに分けた美人のエロヴァーン。
そう・・・何故かアリアちゃんが満面の笑みで現れた。モグタンとアリアちゃん・・・もうだめだ・・・。
きっと私は助からない・・・。人間、どうしようもない状況に陥ると意外とあっさりとその現実を受け止めて、
諦める事が出来るみたいだ。
664 しびれるくらい美味しいカレー_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/15(土) 23:28:14.30 ID:NuVeCh5A
「ふふふふふふ・・・モグタン君ナーイス♪」
ヘラヘラ、そしてニタニタとしたモグタンとアリアちゃんが私の服に手をかけた。
「・・・！！！！！！！！！」
どうしよう・・・もう声も出ない。体はもちろん動かない・・・。
誰か・・・誰か・・・助けて・・・。諦められるなんて嘘・・・無理・・・助けて・・・。
突然、ふっと目の前から二人の姿が消えた。そして、私の体のしびれも消えた。
「マヒ毒素を悪用し、不正なセクハラを行っているものが現れたとの通報を受けました。」
目の前には呆れた顔のGMさんが立っていた。そして彼は私にそっと手を差し伸べた。
その手に引き上げられ、私はフラフラしながらも何とか立ち上がった。
GMさんは、私が立ち上がったのを確認すると、マヒ毒素入りカレーのお皿とスプーンを手渡してくれた。
「それでは、よい食事を。」
「・・・はい、ありがとうございます。」
ところで、この番組はどうなっちゃってるの？私はどうしたらいいか分からずに、
カレーとスプーンを持ったまま、呆然と立ち尽くしていた。
665 しびれるくらい美味しいカレー_19 ◆/GKRtxSDWQ [sage] 2006/07/15(土) 23:29:32.74 ID:NuVeCh5A
「何故ここに呼ばれたかお分かりですか？」
GMはこの質問をモーグリとエロヴァーンに投げかけた。このセリフを彼らに何度言ったかもう分からない。
彼の胃は、ストレスの為に他の人にも聞こえるのではないだろうかというくらいにキリキリ音を立て痛んだ。
「私はね、縛られるよりも縛る方が好きなのにな〜・・・。」
「モグはどっちも大好きクポ〜。」
「モグタン君、ベテランね〜。」
だけれども、縄で縛られているにもかかわらず、
彼らはまるでGMの声が全く聞こえないかのように楽しげに怪しい話に花を咲かせていた。
「何・故！ここに呼ばれたかお分かりですかっ！！！
公共のリンクパールを使ってなんて事をしたのかお分かりですか！？！？！？ねえ！！！！！」
「そうだっ！今度は直接モグハウスに乗り込んでユリフィナちゃん縛っちゃっていい？」
「それいいクポ！クポ・・・動くと縄が食い込んで・・・クポ・・・ハァハァ。」
「うわああああああああ！！！！！！！！！！！」
監獄にGMの叫び声がこだまして、反省中の人々をギョッとさせたとかさせないとか・・・。
彼に労災がおりたのは、不幸中の幸いだろう。
〜おしまい〜
2006年07月18日(火) 21:16:00 Modified by ID:a750vjui4Q