冒険者の店「じゅらい亭」エンサイクロペディア - 藤原 眠兎
 ふじわら みんと

 分類:人物

 ロールアウト時の正式名称はB.E.P.S.PRT-4 高速機動戦型

 年齢:18歳(まほろば?終了時) 性別:♂
 身長/体重:181cm/91kg
 髪:茶色 瞳:はしばみ色
 特殊能力:世界間移動能力、空間転移能力、光速機動、ポジビリティ?奪取、ダイレクトアクセス

 ある日じゅらい亭にやってきて、恋人の四季 みのりと共に常連に潜り込んだ青年。近未来世界(クレイン=スターシーカーの出身世界と同一世界)の出身者だが、様々な異世界を渡ってきているため、順応性が高い。

 ギリシャ神話における、移動、伝令、盗み等を司るヘルメスと同等の器を有するように製作されたため、その能力を使いこなす事が出来る。

 温和で争いを好まない性格で、好きだの愛してるだの素面で言えるので、年中みのりを赤面させている。

 メインウエポンはハンドガンとヒヒイロカネ?製のナイフ。ガンスキルは極めて高く、振り下ろされる剣を銃弾で迎え撃つくらいの事は平気でやってのける。また、コマンドサンボ系の軍隊格闘技を習熟している。
 眠兎にとっての戦いとは本質的に殺し合いであり、全ての能力を併用して確実に殺す、えげつない戦い方をする。特にコマンドサンボとポジビリティ?奪取の組み合わせは凶悪で、標的の身体を破壊すると同時にその部位のポジビリティ?を奪うため、標的は治癒も行えず、確実に死への階段を登る事になる。
 ただし、眠兎の能力は基本的に接触の必要があるため、1対1の戦いでは無類の強さを発揮するが対多数には向かない。

 じゅらい亭に来た当初は己の力や過去に対する忌避等、様々な心理的葛藤を抱えていたが、とある事件(まほろば?)を通して全てを解決した。

 後年はみのりとの間に何人も子を儲け、その度に親バカ?して実に幸せな人生を過ごしたらしい。

 好きなもの:みのり、子供、じゅらい亭とその仲間達
 嫌いなもの:借金
 苦手なもの:みのりのお小言、思春期の娘の言動(後年)



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 ◎特殊能力詳細
 この項目では特殊能力の詳細を説明する。

 ・世界間移動能力
 異なるユニバースを転移する事ができる、移動能力。この能力は極めて便利なようでいて、その実非常に使い勝手の悪い能力である。と、言うのは確かに世界を移動する事ができるのだが、移動先は実の所選べないのである。現在いるユニバースに(4次元座標で)近い位置に存在するユニバースにランダムに移動するか、あるいはそのユニバースが必要とする外的要因に眠兎が該当した場合は呼びこまれる。特に後者の場合、その外的要因を必要としている事象が解決されるまではユニバースに固定されてしまうため、次の世界への移動が困難となる。分かり易い例をあげるなら、魔王に滅ぼされそうな世界が異世界の勇者を呼び出したりした時に眠兎(と、みのり)が呼び出されてしまう。この様な場合は魔王が死ぬか、あるいはその世界の趨勢が安全な状況にならない限り世界にある程度固定されてしまう。異邦人シリーズでの”この世界でやるべきことがある”というような台詞はこれにあたる。その気になれば逃げ出す事は可能なのだが、結局眠兎みのりはそんな事はせずにいくつもの世界を救ってきたようだ。

 ちなみにある種の結界能力としても活用が可能で、眠兎は”シフト”と称していたが、現在彼がが存在する世界と極めて近い位置に、彼のいる領域をコピーする事で擬似的な小さい世界を作り出す。もちろんこれには莫大なエネルギーが必要となるため、安易に行えば三日は立ち上がれない疲労をともなう(場合によっては死ぬ)。コピー元の空間には空間のひずみのようなものが残る為、ある程度の能力があれば、このひずみをこじ開ける事でシフト空間を破壊する事ができる。

 余談だが、眠兎はこれを使ってどこでもない世界(いうなれば世界と世界のスキマ)に倉庫のようなものを作り、そこに様々なものをコレクションしている。スリースクエア時代の兵装や、名剣、名銃、魔剣、妖刀、渡ってきたユニバースの美術品や書物、果ては酒や大人向けの本、その他メディアまで格納されている。「みのりちゃんには内緒ですよ?」とは本人の弁だが、もちろんその存在などみのりはまるっとお見通しである。

 ・空間転移能力
 眠兎の知っている場所へとテレポートする能力。移動を司るヘルメスにとっては十八番とも言うべき能力であり、眠兎が把握できる人数まで同時に移動が可能となる。眠兎自身が知っている場所に瞬間転移を行うのが原則ではあるが、それ以外の方法もいくつか存在する。テレパス等を介して転移先の詳細な情報が得られる事、スリースクエアが使用していた絶対座標値(4次元座標)を使用する事、最後にランダムでテレポートを行う事、である。ランダムテレポートには2種類あり、眠兎が行った事のある場所にランダムでテレポートを行う場合と、全くのランダムで眠兎にもどこに転移するか全くわからない場合がある。特に後者の場合は現在存在するユニバースのみならず、ユニバース間の隙間(亜空間)も対象となるため、大変な事になる可能性の方が高い。
 
 眠兎の所持するこの手の移動(空間)系能力の組み合わせともいえる技が存在する。対象の存在する空間ごとを切り出し”シフト”させ、そのシフト結界空間ごとランダムテレポートで飛ばしてしまうのである。これは、相手の防護能力の及ぶ範囲と眠兎の空間認識力との勝負となるが、眠兎が勝った場合は抵抗は全く行えないため、まさに不破の技と言える。欠点は転移先が全くのランダムであるため、眠兎自身にもどこに飛ぶかわからない事と、相手にも世界間移動能力や転移能力がある場合、再び眠兎の前に戻ってくる可能性が0ではない事である。確実性が低いため、まず眠兎がこれを使うことはないが、眠兎が存在限界に達し消滅するまでに数回使用された。

 ・光速機動能力
 移動の神格を持つ事で、最大で光速に達する機動を行う事ができる。ギリシア神話中でヘルメスが移動してソニックブームが起こったり、摩擦で装備品が焼け落ちたりしていない事からも、そういった物理現象を起こさずに光速で行動する事が可能である。もちろん可能なだけなので、周りに被害を与えながら行動する事も可能。まほろば?で初めて光速機動を披露した際、衝撃波めいたものが発生したが、あれは押さえ込んであの状態。本来は音も無く、埃一つ巻き上げずに行動が可能だが、まほろば?中の眠兎はすでに重傷を負っており、消耗が激しい故にああいった状態となった。

 ちなみに、あくまで光速が最高速なので、どんなに頑張ってもこれ以上は速くはなりません。

・ポジビリティ奪取能力
 はい、インチキ能力です。と、いってもあくまで純エネルギーとしてのポジビリティを奪うだけなので、別段超すごい剣士のポジビリティを奪ったからと言って、超すごい剣士になれるわけではなく、あくまでその超すごい剣士が有する可能性エネルギー(ポジビリティ)を奪っているだけです。もちろん獲ったポジビリティは好きなように使う事ができます。

 もうちょいわかりやすく書くと、コンシューマゲームRPGで良くあるようなMP吸い取り魔法に近いかも。敵はMPを使って大ダメージ魔法が唱える事ができても、そのMPを吸い取ったプレイヤーキャラクタが大ダメージ魔法を使えるようになるわけではない、って感じ。

 眠兎がインチキなところは、漠然と全体からポジビリティを奪い取るのではなくて、四肢とか身体部位のポジビリティを狙って奪える点。これは眠兎の認識能力によるところが大きい。
 
 眠兎のポジビリティ認識能力は漠然としたものであり、サーモグラフで人体を見るのに近い。サーモグラフでは温かい部位が赤く、冷えた部位は青から黒へと変化して見えるが、例えば赤くなっている部位が何にあたるのか、どんな臓器や症状なのかを判断するのはそれを見た人間であり、画像そのものはあくまで温度変化を示しているに過ぎない。これと同様に眠兎の認識ではポジビリティの量や存在は感知できるが、それがどのように使われているのかは認識できない。腕にポジビリティがあれば、それは腕を動かすポジビリティなのだ、とはわかるがそのポジビリティがどのように使われるのかは理解できない。もっとも敵を無力化する目的であるのなら、そのポジビリティがどのように使われるのか等どうでもよく、ただ、奪ってしまえばその部位は使えなくなるという事実があれば充分であるといえる。

 余談だが、眠兎は盗みの神格を持っているので、普通に何かを盗むのも相当上手い。スリとか伝説のハコ師級だが、さすがに教育に良くないのでやらないらしい。むしろその才能は子供の機嫌をとる手品に生かされていたりする。

・ダイレクトアクセス能力
 眠兎の持つ伝令の神格を応用した能力。通常のファンタジー世界では全く役にたたないが、高度に情報ネットワーク化が進んでいるようなユニバースでは驚異的な力を発揮する。簡潔に言えば、デジタルデータを感覚的に理解し、読み取る事ができる。改変、抹消、破壊等のハッキング、クラッキング行為もお手のものだが、プログラムやアルゴリズムがわかる訳ではない。

 ◎武装
 まずはまほろば?作中で語られているメイン武装から解説する。

 ベレッタM93R…みのりと出会った世界で入手した拳銃。これは実在する拳銃であり、機関銃を持つテロ集団に対抗すると云う名目で、イタリア政府がベレッタ社に要請しM92をベースに改良を加えたものである。拳銃ながら3点バースト射撃(引き金を引くと3発弾が発射されるシステム)が可能な機関拳銃となっている。入手方法に関してはポジビリティ奪取の余談を参照の事。

 オリハルコン製アタックナイフ…スリースクエア時代に眠兎の設計者であるルーシー?から支給されたアタックナイフ。そも、スリースクエア自体にはオリハルコンも、その精錬技術もなかったが、別のユニバースへの侵略によってその両方を得た。が、それでもオリハルコンそのものが希少であるため、量産はされていない。ウエポンクラフト能力者でもあったルーシー?がその能力とポジビリティを使用して加工した、アーティファクトの一種と言える。多少の魔術結界や低レベルの攻撃魔術程度なら軽く切り払い、チタン合金ですらバターの如く切り裂く事が出来る。このナイフを介してのポジビリティ?奪取は出来ないが、白兵戦武器としてはこれ以上はないほどの逸品であった。B.E.P.S.PRT−0との交戦においてPRT−0の纏ったマイナスポジビリティ?によって消失した。

 ヒヒイロカネ製ワイヤードナイフ…スリースクエア時代に眠兎の設計者であるルーシー?から支給されたナイフの柄頭にワイヤーが取り付けられた投擲専用のナイフ。ヒヒイロカネもオリハルコン同様の経緯を辿った金属であるが、オリハルコンとの大きな違いがある。それはポジビリティ伝導性が極めて高い事であり、この金属を利用してレギオン?の対結界弾やポジビリティ?スティーラーは作成されている。これもルーシー?の作であり、その主目的はワイヤーを介した接触によらないポジビリティ?奪取にある。もっともポジビリティ?奪取はワイヤードナイフにも及ぶので、事実上使い捨て兵装である。

 これ以降は設定のみ存在する武装。ほとんどがネタだが、使えるものも混じってる。

 オリハルコン製ロングスピア…光速機動による突撃を前提として設計されたスピア。とにかく丈夫。もっとも両手がふさがる事を嫌って、眠兎はほとんど使わなかった。

 ライトセイバー…科学が極めて発達したユニバースにて購入。現在電池切れでただの筒。

 石のお金…スリングに使用した際の威力で価値がきまるというユニークさから眠兎がとっておいたもの。でもやっぱりただの石。

 コンポジットボウ…眠兎が近未来世界で冗談で発注してみた、何だか良くわからない素材で出来た合成弓。軽く、引きやすく、そして威力が高いという逸品だが、如何せん眠兎は弓を扱えないので放置。後に娘の美影に譲られた。

 ドラゴンスレイヤー…まさに鉄塊。もちろん眠兎にはとてもつかえない。

 ケプラー製ジャケット…デザインは野暮ったいが、対弾、対斬、対刺に優れた逸品。しかしデザインがイマイチなので使われた事がない。

 ルービックキューブ…昔やってみたが、結局2面しか揃わなかった。ぶつけて武器にできなくもない。

 真鍮製ダイス…このダイスを使用して得られる確立は極めて正確に6分の1である逸品。ぶつければ痛い。

 ヒヒイロカネ製しゃぶしゃぶ鍋…あまりの工芸の見事さに眠兎が買ってしまった逸品。後でみのりにものすごく怒られた。

 くだらないので、この辺でおわり。

 ◎スキル
 スキルと言っても、ほとんど能力で説明してしまっているので、それ以外おば。

 ガンスキル…実は神格とはなんら関係のない、スキル。ルーシー?を殺してしまった白兵戦を忌避したが故に磨き上げられた、遠距離攻撃スキルでもある。様々なユニバースを旅する上で宝石のように磨かれていった。跳弾を利用した射撃や、1km先のスナイプ、果てはガンカタ張りの超接近戦までをカバーする。

 白兵スキル…軍隊格闘技を主体とした、人を殺すためだけの格闘技を習得している。特にコマンドサンボ系の投げ、関節技を得意とする。白兵戦ではナイフを得意としているが、眠兎の手にかかると手に取れるものは大抵殺人のための武器となる。たとえハンカチ一枚であっても、眠兎の目からみれば立派な武器になってしまう。こういった技術なので、息子に戦闘技術を教える時は相当苦労した。

 サバイバルスキル…訓練をうけているため、過酷な環境下でのサバイバル能力に長けている。キートンもびっくり。

 ナンパ…一時期好色なヘルメスの神格に振り回され、色に溺れた時期があり、その際に発揮された。眠兎にとってもみのりにとってもあんまり嬉しくない思い出のスキルである。

 料理…スリースクエア時代、コンバットレーションしか食べさせてもらえないという生活を送っていたため、その反動で自由となってからは相当食べ物にうるさくなった。もっとも美味しいものが好きなだけで、味を分析したり、料理がうまいわけではない。

 手品…何しろ手先が器用なので、クローズドマジックを得意としている。主にみのりや、子供達の機嫌をとるのに使われる。

・生まれとか出会いとかその他もろもろな設定
 作中ではそれほど深く語られなかった、眠兎の生誕とその後みのりと出会うまで、の設定なんかをひとつ。
 
 眠兎が生まれた世界は、事実上いくつかの企業が世界を支配しており、それぞれの企業は当然の様に国と同レベルの権力、戦力を有している。スリースクエアはそのうちの一つで、日本を拠点とした企業であり、重化学、兵器産業に強い企業でもある。
 B.E.P.S.プロジェクトは、企業間抗争を勝利に導くためのプロジェクトであり、研究が進められていたPK、ESP等の超能力を人為的に植えつけ、生体的にも強化された兵士を生産する事で戦力において優位に立つという目的を持っていた。しかしここに二人の天才、ルーシー?とティア(ティアマト?)がプロジェクトに加わった事で劇的な変化が起こった。ポジビリティ理論の完成と、ルーシー?とティア自身を参考にし、霊的、生体的に強化されたプロトタイプの完成である。
 ポジビリティ理論はスリースクエアに莫大な利益と拡張性をもたらし、プロトタイプの完成は、この時期Moon Micro社において進められていたスターファイアプロジェクトと同様に神や悪魔と呼ばれる存在を我が物とするための第一歩であった。
 プロトタイプはそれぞれ神話で語られる神や悪魔の霊的構造を模して作成された。参考となった神や悪魔はPRT-1スサノオノミコト、PRT-2メーガナーダ、PRT-3フォルネウス、PRT-4ヘルメス、PRT-5スルトと神話を変え、得意とするものを変えて選択された。
 しかし、研究の結果、プロトタイプはそれぞれオリジナルの存在であり、量産はできなかった(量産しても自壊してしまう。これはその役割をもった神はその世界に一柱である事を示している)。

 スリースクエアはプロトタイプの反乱をおそれ、徹底的なマインドコントロールを行ってスリースクエアへの忠誠をうえこむ指示をした。もっともこれに関しては結果的にあまりうまくいかなかった。
 眠兎は製作された後、いくばくかの教育期間をへて、戦場に実験的に投入され、戦場では主に情報収集、敵将校の暗殺等のスニーキングミッションで主に活躍した。

 製作者であるルーシー?は精神性を重視し、眠兎火狩に事あるごとに情操教育を施してはいたが、それが花開くのは皮肉な事に彼女が脱走し、命令で眠兎の手によって殺された時であった。
 眠兎は絶対忠誠を誓うべきスリースクエアと母親たるルーシー?への感情との板ばさみになり、最終的に命令に従いルーシー?を殺害したが、その結果人格が崩壊し、マインドコントロールも外れてしまった。ルーシー?殺害後、眠兎は逃避行動をおこし、ランダムに他ユニバースへと転移した。この転移先がみのりと出会ったユニバースである。

 転移後、眠兎は全ての記憶を失っており、倒れていたところを助けてくれた老夫婦(藤原夫妻)の養子として引き取られた。ここで、改めて人としての教育を受け、眠兎は人に対する優しさ等を学んでいった。
 ここでの転機はみのりと出会った事であった。いつでも独りでさびしそうにしている(様に眠兎には見えた)みのりを放っておけず、色々と世話を焼いた(ちょっかいを出した?)のがきっかけではあったが、やがて眠兎みのりと心を通わし、(実はみのりの頑張りで)結ばれる事となる。
 しかし、みのりを必要とするみのりの父親はこの事実に激怒。眠兎みのりを餌とした罠にかかり、捕らえられてしまった(この時に眠兎の義父義母は殺害されている)。眠兎はここで無意識下で封印していた人格「俺」を呼び覚まし、窮地を脱する。みのりは自らの父親と決別し、眠兎を選び、共に苦難の道を歩む事を選択した。
 
 この後、いくつもの世界を渡り、戦いと流浪の日々を続け、やがてセブンスムーンへといたり「異邦人」シリーズへと続く。


・じゅ亭FATE
 該当クラス:ランサー、アーチャ、アサシン、バーサーカー