IF19・「おにぎりコンテスト」


「えーそれでは、今から『第1回2-Cおにぎりコンテスト決勝』を、
始めたいと思います。司会はこの冬木武一が勤めさせて頂きます。あと、
審査員の方は右から、麻生君、播磨君、烏丸君にやってもらいます」
「……(どうして俺がここにいる)」
「…おう」
「…………」
(なぜこんな事になっているんだ? 菅にここに座ってるだけでいいと言われただけなのに)



「それでは、決勝で戦う事になった、二人のグラディエーターの登場だー!
教室右扉からサッソウと登場した塚本天満選手! そしてー、
反対の左扉から華麗に参上したのは、沢近愛理選手だぁー!」
(おいおい。皆はりきりすぎじゃないか?)
「愛理ちゃん! いくら友達だからって手加減なしだよ!」
「望む所よ天満! あなたこそ手を抜かないでね」
(料理勝負をしようてしてるのにその会話はおかしいだろ)
「それでは、主役もそろった事だし、そろそろおにぎり製作にーーー、
とりかかっちゃってください!!」
「はーい」
「わかったわ」




564 :Classical名無しさん :05/02/09 17:36 ID:7dZ0qHIg

「おやー塚本選手。それは何をしているのかな?」
「えーとね。スタミナをつけるために、スッポンの生き血をおにぎり混ぜてるんだよ」
「Oh!ファンタスティック!!決勝だからって張り切ってますねー。それに対して、
沢近選手はおにぎりの具に何を入れてるのかな?」
「まぐろの目玉よ」
「まぐろの目玉!!あのDHAがたっぷり入ってるアレですねー。スゴイ。いやー両方とも、
目が離せない展開になってきました!」
(なんだそりゃー! おにぎりにいれるべき具じゃないだろ。普通に作れよ!
 そもそもなんでいきなり決勝なんだよ!)

「おい播磨。おまえこの前、塚本や沢近のおにぎりを食べたらしいが、
味の方はどうなんだ」(小声)
「……そんなにおいしくない」
「…それは食べれなくないと判断してもいいのか」(小声)
「……言いたくない、思い出したくない……」
(何てこった! あの播磨ですら恐れさせるモノなのか! やばい。早くここから、
逃げなければ)
「むっ。菅、奈良っち。麻生が逃げようとしてる! 取り押さえて」
「は、離せ菅! な、奈良も!」
「すまないアソ。だが俺もこうしなければいけない運命……」
「なんだそりゃ! 訳わかんねーよ!」
「く、このままじゃ逃げられる。高野姉さん。お願いします」
「まかせて」
 (!? なんだ! 高野がポケットから何か取り出しこっちに近づいてくる) 
「麻生君この写真がなんだかわかる? もしこのまま抵抗を続けるなら……」
「――ど、どうしてそれをお前が! ……くそっ、俺には他に選択肢はないのか」
「大丈夫よ。ただ、おにぎりを食べて感想をいうだけでいいのだから」
「そのおにぎりは、人間が食べれる物に仕上がるのか?」
「さあ?」
(っておいおい。食べ物じゃなくなるのかよ! おにぎりごときで。しかも、
その意味深な笑いはなんだ) 


565 :Classical名無しさん :05/02/09 17:37 ID:7dZ0qHIg

「おーっと。ここで塚本選手の真骨頂、【洗剤四角にぎり】だぁー!! あれ、
いつもより角が多いぞぉー? こ、これは、四角じゃなくて、正八面体!!」
(洗剤? てことは洗剤で握ったのかよ!! しかも正八面体って事はかなり力を入れて、
握ったって事か!!)
「沢近選手も握りに入ってる。あれは塩のかわりに片栗粉を使ってるようですね」
「前作ったのはもろかったから、改良してみたのよ」
(片栗粉で改良って一体なんだよ! しかも片栗粉を使ってるからって硬くなる訳じゃねー)



566 :Classical名無しさん :05/02/09 17:38 ID:7dZ0qHIg


 「「できた!!」」
「両選手、出来上がったようですね。じゃあここで、審査員の方々に食べてもらいましょう」
(やばいやばいやばいやばい。どうすれば……いや案外見た目はひどくても、
食べてみればおいしい、とかいうパターンじゃ……そんな訳ないか)
「それでは、審査員の皆さんちゃっちゃと食べてください!」
(……今俺の目の前には、真っ白な、そう本当に真っ白なおにぎりと、
明らかに形のおかしいおにぎり?というよりサッカーボールがおいてある。
これをどう食せというのだろうか……)
「烏丸審査員はまず塚本選手のおにぎりをナイフとフォークを使って、
今、口に入れました。一体どんなリアクションをしてくれるのでしょう」
(大丈夫なのか烏丸!!)
(一同)「………………」
「アレ? 烏丸審査員? もしもーし? 起きてますかー? って石化してる!!」
(一同)「なんだってーー!?」
(硬いおにぎりだけあって石化って事か?
「じゃ、じゃあ気を取り直して、麻生審査員と播磨審査員も早く食べてください」
(そういえば何で播磨がこんな場にいるんだ? ………………!!!
そ、そうか! 播磨お前もか、高野に脅されてるんだな)
「おーと、播磨審査員! 沢近選手のおにぎりを噛まずに一気にいったーーー!」
(おい! 具にまぐろの目玉が入ってるから一気飲みはまずいんじゃねーのか!)
「ぐ……ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーー!!!!!」
(一同)「おお、播磨が吼えた!!」
「ぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーー!! げふっ!!」
「播磨審査員ノックダウン!!」
「ちょっと! どういう事よひげ。起きなさいよ」
(昇天するほどの不味さって事か。かなりやばいな、やはりここから逃げ……
て高野がこっちみてやがる。逃げたら、わかってるなって目をしてやがる)


567 :Classical名無しさん :05/02/09 17:39 ID:7dZ0qHIg

「残るは麻生審査員。二人の審査員のかわりにどっちのおにぎりが上かを、
審査してもらいましょう」
(どっちがってかなり難しいぞ……んっ! どっちが上かだって!! ま、まさか
おい菅このコンテストって)
「…………コク」(無言で頷く菅)
(そうだったのか。そういう意味が隠されてたのか、ってわかっても逃げられないし。
仕方ない、早くこの地獄から脱出するためにまず塚本の方から少しだけ……)
「…………ぐふっ」
(なんだこの味!? 血と洗剤が混じってるせいかご飯の味がしねー。これ以上食べると、
死んでしまう。次は塚本よりまともそうな沢近のおにぎりを……)
「…………ごふっ」
(片栗に大量の塩がまじってやがる。しかもまぐろの目玉のせいか、かなり生臭いし、
隠し味のつもりかニンニクが入ってる。やばい、めまいがしてきた)
「それでは、麻生審査員。どっちが上かを言ってもらいましょう」
「……ご……ご……互角(バタッ)」(麻生気絶


568 :Classical名無しさん :05/02/09 17:41 ID:7dZ0qHIg

「はっここは?」
「保健室ですよ。先輩」
「ど、どうしてお前がここに……」
「高野先輩に呼ばれたんです。あと高野先輩から伝言もあります」
「伝言? 一体どんな伝言だ?」
「えーとですね。今回のコンテストは勝ちが決まらなかったから再試合に決定したから、
また審査員をお願い。って言ってました。先輩、コンテストと審査員ってなんですか?」
「……………………」

 俺はその場で泣き顔でスマイルをすることしかできなかった……




      <BAD END>
2010年11月17日(水) 00:36:51 Modified by ID:/AHkjZedow




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