IF19・雨の日の帰り道で

キーンコーンカーンコーン…。
「またねー」
「ばいばい」
放課後、友達と別れを告げ、私は席を立ちました。
窓を見ると外はどしゃ降りの雨でした。
傘をもってて正解でした。
ふと隣を見ると、播磨君が寝ていました。
このままでは男起そうにもありません、私は起こすことにしました。
「播磨君、播磨君」
二、三度揺すります、播磨君はすぐに起きました。
「んあ?」
「おはよう、播磨君もう放課後だよ」
むっくりと起きる播磨君に私は言いました。
「ああ…、すまねぇ」
のろのろと立ち上がり、鞄をもって教室を出ていきました。
寝起きなのでふらふらしてます、大丈夫でしょうか…。





113 :雨の日の帰り道で :05/01/24 15:02 ID:8osohVI.

下駄箱で靴を履き替え、いざ帰ろうとした時、播磨君がやってきました。
困ったように頭をかいています、もしかして傘忘れたのかな…。
「どうしたの、播磨君」
きいてみることにしました。
「いやな、傘を忘れちまってよ」
どうやらビンゴのようです。
でもそうとわかると播磨君がちょっと可哀相です。
この雨ではきっと風邪を引いてしまいます。
どうしましょう…私の傘は貸せないし…………そうだっ!
「ねぇ、播磨君」
「ん、なんだ」
必死に考えを巡らせている播磨君に私は手にしていた傘を渡しました。
「一緒に帰ろ、この傘で」
「…は?」
よくわからん、といったように播磨君は怪訝顔になりました。
「だから、途中までなら入れてあげられるから…その……、あいあい傘を」
なんだか恥ずかしくなり、私は俯いてしまいました。





114 :雨の日の帰り道で :05/01/24 15:02 ID:8osohVI.

「すまねぇな、助かったぜ」
「ううん、いいよ」
矢神坂にさしかかるところで播磨君は言いました。
結局あいあい傘で一緒に帰る事になりました。
実は男の人とこんなことしたことないので物凄く緊張しています…どきどき。
話しは変わりますが学校からここまで来るにあたって播磨君について二つ、知ることができました。



115 :雨の日の帰り道で :05/01/24 15:03 ID:8osohVI.

まず一つ目、播磨君は実はとても優しい人なんです。
どじな私はよく水溜まりとかにはまっちゃうんですけど、播磨君がそれを察し、私がはまりそうになったら引き寄せてくれたり、はまらないように誘導してくれたりとかしてくれます。
とても優しいです。

そして二つ目、意外や意外、播磨君は動物好きだったんです。
色々動物を飼ってたらしいです。
ライオンやキリンも飼ってたらしいですけど、流石に冗談だと思います。
面白い人、というのもわかりました。




116 :雨の日の帰り道で :05/01/24 15:04 ID:8osohVI.

「きゃっ!」
突然足がぐらつきました、どうやら石につまずいたようです。
私は思わず播磨君にしがみついてしまいました。
「あ……、ごめん」
慌てて私は離れました、恥ずかしいです…。
しばらく私は話しができませんでした。


「あ、雨止んだね」
「そうだな…」
さっきまで降っていたのが嘘のようです。
播磨君は傘をたたむと私に返し、礼を言って走っていきました。
ちょっと残念です。
……あれ、なんだろう、この気持ち。
もっと播磨君といたいって思ってる。
もしかして私……。
「ふふふ…」
何故かしら笑みがこぼれました。
そうだ、たった今、私は播磨君に恋をした。
「頑張らないとなぁ…」
妙にうきうきしながら私は帰路につきました。
                      終


      「きゃーっ!水溜まりにはいっちゃったぁ!」
2010年11月16日(火) 23:48:16 Modified by ID:/AHkjZedow




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