IF2・DEEP to you

500 名前:DEEP to you :04/01/07 23:01 ID:AODqW+Uw
「お前、うざってーんだよ」
なんで…、だって私…
「俺はお前のヒモじゃねーんだ」
ちがう、私そんなこと思ってない。ただあなたが…
「鍵、ここに置いていくぜ」
まってまってまって……

何も言葉に出せず彼は静かに店を出た


501 名前:DEEP to you :04/01/07 23:02 ID:AODqW+Uw
なんでこんなことになったんだろう。雨の中ひとり傘をさして歩く
この人こそはと思った、私の永遠の人になるのはこの人しかいないと
でも、いつも私は拒絶される。
そのひとを好きになればなるほど自分自身が止められなくなるのだ
『私だけを見つめてほしい』
その思いは相手を愛の鎖で縛ってしまう。身動きが取れなくなった人は疲れ私から離れていく
…わかっているのだ、私がもう少し引けばお互い幸せになるということを。
でもだめ、恋をすると自分が止められない燃え尽きてもいいと思えるほどに
依存?…そうかもしれない私は燃やされたいのだ
愛という煉獄の炎に

マンションの近くの公園に差し掛かかり、コンビニで何か買おうかと考えたとき
ふと見たブランコに人がいた
降りしきる雨の中すべての悲しみを背負ったような雰囲気が彼にはあった
(……あの人も何かつらいことがあったのかな)
しばらく眺めている彼女の心には同じように悲しむ男がとても身近に感じられた
(……声、かけてみようかな)
それは親切心から出た言葉ではなく、ただ誰かにそばにいてほしかったから。
たった今彼と別れた自分の心を誰でもいいから癒してほしかったから。
誰かと繋がっていたかったから
だから

「ねぇ あなた 何してるの こんなトコで?」

はじまりは愛じゃなかった それはわかっていた


502 名前:DEEP to you :04/01/07 23:02 ID:AODqW+Uw
彼との生活は楽しかった。あまりしゃべるほうではなく乱暴者に見えるが思いやりを持っていた
6人目の彼と別れたその日のうちに、高校生のコと暮らすのはどうかとも思ったが
彼の澄んだ眼と自暴自棄な態度に母性本能がくすぐられ一緒に住むことにした
最初に会ったときは迫ってみたりしたのだが、まだ前の彼女に未練があるようで逃げられた。
おそらくまだ経験が無いだろう。意外とうぶらしい。それ以来まだなにもしていない
でも私には仕事から帰ってきたとき、部屋で待っていてくれている彼がとてもうれしかった
いつも一ヶ月は落ち込む私がほんの数日で立ち直れたのも彼のおかげだろう
一緒に食事したり、TVを見たり、話をするだけで私は満足だった
一方、これは愛ではないともわかっていた
愛ならばキスしたいと思うだろう、繋がりたいと思うだろう。でも彼とはそう思えなかった
『これはお互いの慰めの行為、恋愛関係ではない』
だから、このままでいい。この心地よい関係のまま生活していきたい。
いつしか私はそうおもうようになった。
そして彼と出会ってから十日が過ぎ、あの日が来た


503 名前:DEEP to you :04/01/07 23:03 ID:AODqW+Uw
(ふふ…、ハリオ喜ぶかな…)
珍しく仕事が早く終わった私はスーパーで買い物をしていた
これども料理は得意なほうだ特に男性の好きなものはしっかり身についている
(やっぱり肉じゃがよねみんなスキって言ってるし)
じゃがいも、糸コン、人参、玉ねぎ、肉、etc……
ついつい鼻歌を歌いながら食材を選んでいく
…………
「うーん、ちょっと買いすぎちゃったかなー。まぁ育ち盛りだからだいじょぶか」
2人分にしてはちょっと多めな食材を片手にもち家路を急ぐ
「ふふっ、びっくりするだろうなー」
彼の喜ぶ顔を思い浮かべ足取りも軽く歩く

ふいに世界から音が消え
そして見てしまったものは
彼が、女と、見つめあい、手を繋ぐ、風景

そのとき私の心に、再び、煉獄の炎が渦巻いた
2007年11月24日(土) 12:44:05 Modified by ID:aljxXPLtNA




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