IF20・ネタ作り、迷走



昼休み。2−Cの面々は、ほぼ全員教室で昼休みを過ごしていた。
花井は八雲へのラブレターを書きつつニヤニヤし
奈良はいつもの妄想
今鳥は音楽を聴き(もちろん特ソン)
麻生はハイテンションな菅の話(女の子の話中心)を無関心に聞き流していた。

そして我等が播磨拳児はというと…
ダンッ ダンッ ダンッ
黙って腕を組み、地団太をしていた。
これは今に始まったことではなく、さっきの数学からこの状態だ。
何で止まないのかというと、教師がビビッて注意しなかったからだ。
だが、それもしかたない。周りから見れば、イラついてやばい状態の不良である。
自称舎弟の吉田山は、へたに話しかけるのはまずいと考え退散。
といっても他の連中の大半も「話しかけたらぶっ殺す」オーラを感じ取り、近寄らないでいる。
のこりの連中はまったく無関心の様子。




938 :続き :05/03/18 17:32 ID:zoF21PdI
当の播磨は
(しかし、安易に告白させてもなぁ、ここは少し引っ張るべきか…うーん)
漫画のネタを考えていた。
その真剣さが勉学のほうへ向いてくれればいいのだが 
しかし、昔は自分を慰めるために描いていた漫画も、今では趣味
いや、彼のライフワークになっている。
彼は集中すると周りが見えない。とくに漫画と天満関係のことでは。
地団太も彼にしてみれば、癖の貧乏ゆすり(足に入る力が強すぎだが)なのだ。
(ここは、1ページ丸々使って…)
すると彼は、おもむろに鞄から普段使わないノートを取り出し
構想を書き出した。
今まで機嫌悪そうに踏ん反り返っていた不良が、ノートに一心不乱に何かを書く姿は
異様な光景であった。
ふと、ペンを止め、また考え込む。もちろん貧乏ゆすりつきで。
ダンッ ダンッ ダンッ
そんな床が奏でる不快音に限界がきたのか、さっきまで天満達としゃべっていた沢近がガラッと
音をたてイスから立ち上がり、播磨のほうを向いた。
「ちょっと!ヒゲ、あんたさっきからうるさいんだけど!」



939 :続き :05/03/18 17:33 ID:zoF21PdI
クラスメイト全員の意見を代弁するように、沢近が播磨に言った。
だが、ほぼ瞑想状態の播磨にそんな言葉は届くはずもなく
沢近愛理は完全に無視された。
当然、沢近の堪忍袋の緒が切れた。
「あんたねぇ!人の話聞いてんのっ…」
「…好きだ」
険悪な雰囲気にさすがにまずいと、天満達が止めようとしたそのとき
播磨、沢近へ2度目の告白。
(うん、やっぱりストレートなのが一番いいな、へんに理屈っぽくなるのもだめだな
告白ってのは。しかし、それもそこまでの過程があってこそだ!
あーいい展開が思いつかねぇぜ… あー、一人で考えても埒があかねぇ。妹さんにネタ出し頼もう!)
八雲の元へ行こうと思い立ち、顔をあげると、赤面で震えている沢近がいた。
「なっ…あんた、何言って…」
「ん、なんだお嬢。いたのか」
あからさまに動揺している沢近とは逆に、何の照れも感じていない様子の播磨。
ノート(ネタ帳)を持ち、席から立ち上がる。
「ちょ、ヒゲ!待ちなさいよ!ばかっ」
「ワリぃな、話なら後にしてくれ」
一方的に切り上げ、教室から出る播磨。ほんの数十秒の出来事だった。
「うそー!播磨くん、愛理ちゃんに告白ぅー!うちの八雲がいながら!」
「やるなぁ、播磨のやつ」
「今のは、うまいわね」
放心状態の沢近をよそに、天満や美琴、高野は速攻話のネタにしている。
そして、頬を限界まで染めながらも、満更でもない様子の沢近。



940 :終わり :05/03/18 17:35 ID:zoF21PdI
クラスではすでにうわさの中心の播磨は
「やっぱ、ここでいったん名前を呼んで抱きしめるべきかな」
「いえ、ここでは主人公の葛藤を入れたほうがいいと思います」
自分のクラスがどうなってるかも知らず、屋上でお約束のネーム相談をしていた。

なぜ場所がわかったのか、ラブレターを渡そうと屋上に来た花井がそれを盗み聞きし
「抱きしめる」「入れる」という単語から
あらぬ妄想をし、後日、恒例になりつつある決闘を申し込んだとか。


おまけ
「やくもーっ!播磨くんは二股でお猿さんだよぉー!」
「ね、姉さん落ち着いて…播磨さんがお猿さん?」
2010年11月21日(日) 12:41:05 Modified by ID:/AHkjZedow




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