IF20・THE HAPPY BIRTHDAY
150 :THE HAPPY BIRTHDAY :05/03/01 01:04 ID:p0O0klDw
その日沢近愛理の機嫌はすこぶる悪かった。
2月28日。この日17回目の誕生日を迎える彼女は本当なら今頃両親と外食でもしているはずだった。
だが今日になって突如入った父親の仕事でその計画はお流れになってしまったのだ。
彼女ももう子供ではない。両親の仕事の忙しさも、またその重要性も理解していた。
だが年頃の女の子には誕生日に一人で町をうろつくというのはあまりにも悲しく、寂しいものだった。
「こんな事なら天満たちの誘いに乗れば良かった・・・。」
彼女の友人達は彼女のためにバースデーパーティーを計画していてくれたが、彼女は両親との外食があるからと断ったのだ。
「はぁ、空しい。もう帰りましょう・・・。」
「お嬢?」
ため息を一つついて使用人以外誰もいない寂しい家に帰るためその場を離れようとした所、後ろから声をかけられた。
「どうしたんだおめえ、今日はて・・塚本達とパーティじゃねえのかよ?」
どうやら教室で天満達の話を聞いてたらしい。
「あんたには関係無いでしょ!」
いつも以上に気が立っている愛理はつい怒鳴ってしまう。
「うっ・・・確かにそうだけどよ。」
「だったらとっととうせて。あんたなんかに用は無いわ。」
151 :THE HAPPY BIRTHDAY :05/03/01 01:04 ID:p0O0klDw
そう言って立ち去ろうとする愛理の前に播磨がずいっとなにかを突き出す。
「なによこれ?」
「さっき福引で当てたんだけどよ、俺には必要無いしお嬢にやる。」
「ちょっと!私はごみ箱って訳!?」
「あーもう、いちいちうるさい奴だなあ。誕生日プレゼントってことにしとけ。」
「・・・・・誕生日プレゼント?」
愛理は狐につままれたような顔で播磨を見る。
「あんたが私に?」
「なんか悪いかよ」
ゴソゴソと袋の中からそれを取り出してみる。
出てきたのはいかにも売れ残りといった大して可愛くないぬいぐるみだった。
「変な顔・・・。」
そんな風に悪態をついてはみても、胸の中から溢れてくる暖かいものは押さえようが無かった。
「それじゃ俺帰るわ。じゃあな。」
「・・・ちょっと待ちなさいよ。」
用は済んだといわんばかりの播磨を今度は愛理が呼び止めた。
「アンタ暇なんでしょ、私に付き合いなさい。」
そう言って微笑んだ彼女にはさっきまでの憂いの表情は無い。あるのはいつもの強気な笑顔だ。
「お、おい俺は別に暇じゃ・・・。」
渋る播磨を引きずるように歩きながらそっと心の中で彼に礼を言った。
「・・・アリガト」
「ん?なんかいったか?」
「何でも無いわよ。・・・ばか」
ちなみに播磨を引きつれて家に帰った愛理は友人達の歓迎に驚かされる事になる。
どうやらナカムラが外食の中止を天満達に連絡していたらしい。
その日の宴は夜遅くまで続いたとか。
その日沢近愛理の機嫌はすこぶる悪かった。
2月28日。この日17回目の誕生日を迎える彼女は本当なら今頃両親と外食でもしているはずだった。
だが今日になって突如入った父親の仕事でその計画はお流れになってしまったのだ。
彼女ももう子供ではない。両親の仕事の忙しさも、またその重要性も理解していた。
だが年頃の女の子には誕生日に一人で町をうろつくというのはあまりにも悲しく、寂しいものだった。
「こんな事なら天満たちの誘いに乗れば良かった・・・。」
彼女の友人達は彼女のためにバースデーパーティーを計画していてくれたが、彼女は両親との外食があるからと断ったのだ。
「はぁ、空しい。もう帰りましょう・・・。」
「お嬢?」
ため息を一つついて使用人以外誰もいない寂しい家に帰るためその場を離れようとした所、後ろから声をかけられた。
「どうしたんだおめえ、今日はて・・塚本達とパーティじゃねえのかよ?」
どうやら教室で天満達の話を聞いてたらしい。
「あんたには関係無いでしょ!」
いつも以上に気が立っている愛理はつい怒鳴ってしまう。
「うっ・・・確かにそうだけどよ。」
「だったらとっととうせて。あんたなんかに用は無いわ。」
151 :THE HAPPY BIRTHDAY :05/03/01 01:04 ID:p0O0klDw
そう言って立ち去ろうとする愛理の前に播磨がずいっとなにかを突き出す。
「なによこれ?」
「さっき福引で当てたんだけどよ、俺には必要無いしお嬢にやる。」
「ちょっと!私はごみ箱って訳!?」
「あーもう、いちいちうるさい奴だなあ。誕生日プレゼントってことにしとけ。」
「・・・・・誕生日プレゼント?」
愛理は狐につままれたような顔で播磨を見る。
「あんたが私に?」
「なんか悪いかよ」
ゴソゴソと袋の中からそれを取り出してみる。
出てきたのはいかにも売れ残りといった大して可愛くないぬいぐるみだった。
「変な顔・・・。」
そんな風に悪態をついてはみても、胸の中から溢れてくる暖かいものは押さえようが無かった。
「それじゃ俺帰るわ。じゃあな。」
「・・・ちょっと待ちなさいよ。」
用は済んだといわんばかりの播磨を今度は愛理が呼び止めた。
「アンタ暇なんでしょ、私に付き合いなさい。」
そう言って微笑んだ彼女にはさっきまでの憂いの表情は無い。あるのはいつもの強気な笑顔だ。
「お、おい俺は別に暇じゃ・・・。」
渋る播磨を引きずるように歩きながらそっと心の中で彼に礼を言った。
「・・・アリガト」
「ん?なんかいったか?」
「何でも無いわよ。・・・ばか」
ちなみに播磨を引きつれて家に帰った愛理は友人達の歓迎に驚かされる事になる。
どうやらナカムラが外食の中止を天満達に連絡していたらしい。
その日の宴は夜遅くまで続いたとか。
2010年11月18日(木) 20:18:31 Modified by ID:/AHkjZedow