IF21・賞味期限にご注意を

919 :賞味期限はとうに過ぎ去っているので注意してお召し上がり下さい :05/04/06 01:43 ID:E/zlCztk
「帰ったぜっ!」
「……なんだ、今日はまたやけに威勢がいいな」
「へっ、今日の俺には怖いものなんてないぜ? なにせ……」
「ああ、そうか。塚本君――姉の方だ――にチョコでももらったか」
「なっ……どうしてそれを!?」
「……いや、この場合誰でも分かるぞ」
「そ、そうか。まあいい、とにかくだな、今日の俺は」
「どうせ大方、妹が世話になってるからとかそんな理由だったんだろう?」
「ぐっ……そ、それはだな」
「おまけにその八雲君からももらっていたようだったしな」
「いや、そりゃ断われねぇだろ、さすがに……」
「その上なにやらクラスの沢近君にも押しつけられていたようだし、果ては姉ヶ崎先生からまで」
「ちょっ、ちょっと待てっ! なんでそこまで」
「ふん、一応用意はしておいたが、私の分などもらう余地はないようだな」
「……へ? イトコが?」
「……なんだその顔は、言いたいことでもあるのか。あれだ、欲しいんだったら頭の一つも下げれば」
「いらねぇ」
「……」
「……いやほらな、あとなんでか笹倉サンにももらっちまってだな、さすがに食い切れ……あだっ!」
「うるさい黙れ」
「なんで俺が撃たれ、つっ! 痛ぇっ! なにしやがるっ!?」
「――黙れと言っている」
「……ハイ」
「まったく、こんなことなら無駄に手間をかけることも……」
「あん? ……ってなんだよこの台所! メチャクチャじゃねぇか!」
「知るか」
「知るかってな……まさかあれか、手作りとかいうヤツか!? んなもん恐ろしくて食えるわけ――」
「……やれやれ、君はつくづく命の惜しくないヤツのようだね」
「あ、イヤ待て、今のはちょっと口が滑ってだな」
「さよならだ、拳児君」
「だから待てって、落ち着いてはな――」
                                                          おわれ。
2010年12月04日(土) 21:00:29 Modified by ID:/AHkjZedow




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