IF23・『タイの挨拶をご存知ですか?』


文体がいまいちだけど、小ネタだから許して・・・
というわけで、懲りずにまた投下

すべては天満のこの一言から始まった。
「ねえ、愛理ちゃんのお父さんは外国人なのに、どうして名字が沢近なの?」

「ねえ、ナカムラ。ちょっと、尋ねたいことがあるんだけど。」
「何なりと、お嬢様」
沢近は少しの間ためらったが、ついに意を決した。
「その・・・どうしてお父様は私をちゃんとした子として認めてくださらないの?」
「・・・お嬢様、お嬢様は自分の愛理という名について考えたことがおありですか?」
「え、それとどう関係があるの?」
「エリ、もしくはエリー、は日本でも西欧でも通じる名です。」
「たしかに都合のいい名前ではあるわね。」
「しかし、それならば普通に絵里や恵理でもいいはず。愛理の中国語での発音をご存知ですか?お嬢様。」
「何なの?」
「アイリ、つまり日本語と同じ読み方の漢字をお父上は使われたのです。」
「なるほどね。日、中、欧米、すべてに通用する名前ってこと・・・でもそれじゃ、なぜ
普通の発音のアイリ、じゃダメなの?欧米にも、アイリスとかアイリーンとかあるじゃない。」



606 :小ネタ:05/05/23 04:03 ID:dTvsv1/o
「お父上は、韓国とも貿易をなさっておいでです。韓国ではお嬢様の名は日本と同じエリ、という発音でございます。」
「なるほど・・・便利な名前ね・・・ところで、それとお父様が私を認めてくださらないのと、どういう関係が?」
「お父上は、タイでも仕事をなさっておいでです。」
「タイ?」
「ええ、タイの挨拶をご存知ですか?」
「何なの?」
「サワディーカ」
「・・・ちょっと、もしかして」
「そうです。お父上は沢近・・・サワディーカ、なんちてな!と受けをとりたいために
お嬢様をご自身のお子様としては・・・お嬢様?」
そのときナカムラは、鬼気迫る勢いでわけのわからないおにぎりを握っている愛理の姿を見た。

「お父様・・・今度お帰りになったときが、命日ですわ」
2007年09月13日(木) 17:02:04 Modified by ID:LOVLpNCrSQ




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