IF23・ただいま携帯故障中


710 :Classical名無しさん:05/05/28 21:47 ID:bpVzRu2E
「ん?いや、こうか?」
「は、播磨さん?一体何を・・・・」

時計は午前3時を回っている。
八雲は彼の部屋で漫画を手伝っていたのだが
いきなり播磨が自分の体に腕回し妙な動きをし始めた。

「いやな、ここで俺とて・・・・じゃなくて主人公とヒロインが抱き合うシーンあるだろ?
 腕がどうなってるんだかイマイチよく分からなくてよ。」
「何か参考資料はないんですか?」
「うーん・・・・思いあたらねえなー。仕方ねえ、明日恋愛映画でも借りてくっか。
 そういうシーンはいくらでもあるだろ。それを観ながら描くぜ。」
「そうですね・・・・」

(漫画の中だけど・・・・姉さんと播磨さんが・・・・)

ネームを見せられた時もそのシーンで胸が苦しくなった。

(播磨さん、このシーンを描きながら姉さんのこと色々想像してたんだろうな・・・・
 って私こそ何想像してるんだろう)

「・・・・あ!」
「へ?どうした?妹さん。」

(どうしよう・・・・変なこと思いついちゃった・・・・
 でも漫画のことなんだからきっと・・・・変に思われないよね)


711 :Classical名無しさん:05/05/28 21:49 ID:bpVzRu2E
八雲は思いついたことを実行に移すことにした。
自分の携帯を出して播磨の机の上に置く。

「??妹さん?」
「私の携帯のカメラはセルフタイマーが付いてますから・・・・その、ここに立ってください。」
「え?ああ・・・・」

何が何だかよくわからないまま播磨は八雲の言うとおりにした。
八雲はカメラのタイマーをセットする。

「あの・・・・では失礼します!」
「どぅわ!!い、いも、いも、いもうとさん!!」

いきなり八雲に抱きつかれどもる播磨。

「早く・・・・私に腕をまわしてください。あのシーンの資料になりますから・・・・」
「え?ああ!そうか!さすが妹さん!!・・・・
 ってなあ、い、妹さんいくらなんでもこれはその・・・・」

パシャ

「・・・・」
「・・・・」

(播磨さん・・・・そんなに嫌なのかな・・・・)

八雲は播磨からそっと離れ、その顔を播磨に向ける。


712 :Classical名無しさん:05/05/28 21:50 ID:bpVzRu2E
(!!やべえ、妹さんなんか泣きそうな顔してるぜ・・・・くっ・・・・
 そうだよな、恥を捨ててまで俺の漫画のためにしてくれたっていうのに!俺は何をやってんだ!)

「妹さん!すまねえ!もう一回、いいか!?」
「!!あ、はい!」

八雲はまたタイマーをセットする。

「よし!妹さん悪いが少しの間我慢してくれ!」
「え?そんな・・・・我慢だなん・・・・あ」

播磨が八雲を抱きしめる。
八雲も播磨に腕を回す。

(播磨さん・・・・このままずっと・・・・)
(や、やべえ・・・・すげえいい匂いがするしやわらかくて・・・・じゃねえ!
 しっかりしろ俺!あ!天満ちゃん!これは違うんだ!俺はお猿さんじゃないからな!)

パシャ


713 :Classical名無しさん:05/05/28 21:51 ID:bpVzRu2E
「い、妹さん。どうかな、ちゃんと撮れたか?」
「あ・・・・はい。い、今見てみます。」

うまい具合に撮れていたのだが

(・・・・どうしよう・・・・えーい!)

八雲はその画像を消してしまった。

「あの・・・・ちゃんと撮れてなかったみたいです・・・・だからもう一度・・・・」
「な!?」


15分後


「い、妹さん・・・・ぜってーその携帯壊れてるって・・・・もう何回目だよ・・・・」
「え?」

終わり
2007年09月14日(金) 21:59:01 Modified by ID:LOVLpNCrSQ




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