IF23・今日はデート?
720 :702:05/05/28 22:48 ID:VZ3tCm02
――翌日、朝
SHRが始まる三分ほど前に教室に入る
いわゆる滑り込みセーフ、というには余裕があるが
「ふうっ、間に合ったか」
一息つく間もなく声を掛けられる
「昨日はすまなかったな」
一体何の事だろう
「何の事だ?」
「帰りに誘ったろう、何か用があったのか、と思ってな」
そうか、そういえばそうだった
この男は馬鹿みたいに真面目なのだ
「なんでもないよ、気にすんな」
「そうか、話は変わるが今日の放課後少し時間あけられるか?」
そんなことを皆の前で平気で口にするから周りに冷やかされるのだ
しかしこいつはそんなこと何も考えてないんだろうな、と少し呆れつつも答える
「何の用だ?」
「いや、週末の道場の芋煮会のことなんだが、買い物に付き合って貰えないかと思って、な」
721 :702:05/05/28 22:49 ID:VZ3tCm02
ういえばこないだ師範がそんなこと言ってたな
っていうか何でこいつが食材の調達をするんだ?
どうせ安請け合いをしたんだろうが
あの大人数の胃袋を満たす為には相当の量の食材になることは予想に難くない
一人では少々どころか無理なのではないか、と本人も気づいたのだろう
「ああ、別にかまわないよ」
「そうか、では頼んだぞ」
そんなやり取りのあと、背中に軽い悪寒を感じる
振り向くと案の定、金の髪の親友が満面の笑顔を湛えていた
「あら、今日はデートなの?」
無邪気な笑顔でもう一人、
「へぇーらぶらぶなんだねー」
「そんなんじゃねぇよ」
「昨日はなんでもないって言ってたのにね」
クールな表情のままもう一人の親友が言い放つ
「なっ」
こいつ、あの時いなかったんじゃないのか?
「秘密」
722 :702:05/05/28 22:50 ID:VZ3tCm02
人の頭ん中を覗くんじゃねえ!!
まあ、アタシも昨日の今日でちっとは軽率だったかもしれないが
それにしてもこのままじゃヤバイ、会話の流れを変えないといけないな
「道場の芋煮会の食材を買いに行くだけだよ」
「そういえば彼の家、道場やってたんだっけ?」
ここだ、流れを変えるにはここしかない!!
「ああ、小さい子も沢山いるからな、おまえらも来るか?」
整った彼女の顔が少し歪む
「えっと…、子供たちだけ?」
よし、変わったぞ
心の中でガッツポーズのまま答える
「いや、門下生みんなに声かけてるらしいから大人も結構来るんじゃないか?」
「そう…悪いけど今回は遠慮させてもらうわ」
何かいやな思い出でもあるんだろうか?
723 :702:05/05/28 22:51 ID:VZ3tCm02
「その日はバイト」
「その日は一緒にカレー食べに行くんだー♪」
誰とだよ、主語が抜けていることに心の中で突っ込みを入れつつ
「そっか、じゃあまた機会があったら誘うから」
と会話を終わらせる
よっしゃ、やりすごした!!
自分の席に着き、担任が教室へと入ってくるのを待った
2007年09月14日(金) 22:12:09 Modified by ID:LOVLpNCrSQ