IF24・しちがつ、なのか


374 :しちがつ、なのか:05/07/07 22:07 ID:7KpMA5.U
「今帰ったぞ」
「帰ったぞじゃねぇっ! どこほっつき歩いてやがったんだ。おかげでまだ飯も……」
「ふうん、わざわざ絃子さん待ってたんだ」
「……」
「あー、今『なんでコイツまでいるんだ』って顔したでしょ」
「してねぇよ。っつーかそれよりなんなんだよそれ」
「笹」
「見りゃわかるっ!」
「だからみやげだよ、みやげ。喜べ、今日は七夕だぞ」
「……絃子、お前酔ってるだろ」
「そんなわけないだろう?」
「酔ってるヤツほどそう言うんだよ……」
「――そういうことで、あとよろしくね。拳児君」
「ん、悪いね葉子、送ってもらって」
「なっ!? ちょっ、待ってくれ、俺にコイツの面倒みろって」
「それじゃおやすみー」
「……逃げやがった」
「どうした? ぼさっとして」
「誰のせいだと思ってんだよ」
「さあ。さて、それじゃ早速願い事でも書くといい。私が直々に取ってきてやった笹だ。きっと叶うぞ」
「それ以上うさんくせぇもんがどこにあんだよ……」
「なにか言ったか?」


375 :しちがつ、なのか:05/07/07 22:08 ID:7KpMA5.U
「なんでもねぇ。だいたいな、わざわざするような願い事なんて」
「ない、か。じゃあ塚本君のことは構わないわけか」
「……テメェ」
「そんな怖い顔をするな、冗談だ。君のことだからな、どうせ変に律儀に自分の力だけでどうにか
 してやる、とでも思ってるんだろう?」
「……」
「今度は余計なお世話、か。じゃあこれはどうだ、『今すぐここを出ていきたい』。そうすれば
 しょっちゅう私と顔をつきあわせなくてもすむし、簡単に叶えられ――」
「……なんだよ」
「――そうか」
「だからなんだよ」
「いや、いつか君もここからいなくなるんだと思ってね」
「そりゃ当たり前だろ、いつまでもいられるかっつーんだ」
「するとまたあの静かな生活に戻るわけか」
「あん?」
「一人じゃね、ほんの少しばかり広いんだよ、この家は」
「……」
「だがまあ、この騒がしい生活とさよなら出来るなら悪くない」
「……おい」
「というわけで、だ。私としてはこの願いを勧めるぞ。今この瞬間にすぐ叶えてやろう」
「うるせぇ。んなことどうでもいいから飯作れ飯。今日の当番は俺じゃねぇんだ」
「私はもう食べてきたから自分でどうにかしろ」
「テメェいい加減に、」
「と、いいたいところだが、まあいい。せっかくの七夕だしな、それを君の願い事として叶えてやろう」
「……嬉しくねぇ」
「代わりに来週は全部君が作ってくれよ、拳児君」
「んなのありかよっ!?」

ぐだぐだにおわる
2007年09月26日(水) 18:17:10 Modified by ID:EBvjy16zhA




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