IF24・播磨拳児が○○に○○を 3

758 :Classical名無しさん:05/08/09 16:05 ID:78KIqWXA
「やらんやらんっ!!絶対おかしいって!!播磨ばっかじゃねーーかっ!」
「たまたまよ。」
「うそつけーーーーー!」
周防が暴れ、高野がどうどうとなだめる。一方播磨は、
(ポッキーゲームってなんだ?そういや天満ちゃんの誕生日会でそんなこと
言ってたような……、どんなゲームなんだ…。ポッキー?……早く天満ちゃんの
とびきりの笑顔……見てえ。)
「じゃあまたとなりの部屋で。」
「お、おう。」
先に行く播磨。もはや天満のことしか頭になかった。
「ミコちゃ〜〜〜ん、やっぱオ・ト・ナ。」
「だあーーーーー!!もうっ!」
(八雲、あれ書いたの私。)
(えっ……サラ?)
(あ〜あ、八雲喜ばしてあげようと思ったんだけどな〜。)
(サッ…サラ?私は…そんなこと…)
(残念だな〜。)
すると
(八雲〜)
(姉さん…。)
(ほら…ゲームだから、あんまり気にしないでっ!)
(だ、だから…私は…その別に…。)
天満がやさしく八雲を励ます。勘違いのまま。



759 :Classical名無しさん:05/08/09 16:10 ID:78KIqWXA
「ほら、播磨君は裸おどりまでしたのよ。」
「うっ。」
「そーだよ、ミコちゃん!ほらっ!」
「わかったよっ!もうっ!やればいいんだろ、やれば!」
「…………。」
沢近がジト目で周防を見ていた。
「沢近?なにムスッとしてんだ?」
「……別にしてないわ。」
そしてなぜか用意されたポッキーを高野に渡され隣の部屋に向かう周防。
(わ、わりーな、遅くなって。)
(おう。)
(は、播磨…。)
(なんだ。)
(いーのか?その……)
(ああ、早くポッキーゲームとやらを始めようぜ。)



760 :Classical名無しさん:05/08/09 16:15 ID:78KIqWXA
(う…うん。じゃあ、そのさ…とりあえず、目つむっててよ…)
(目を閉じりゃあいいんだな。)
(え…うん。…播磨…背高いな……。)
(そうか?)
(その…すこしかがんでくれないかな…、や、やりにくいから…。)
(おう。)
(じゃあ、このポッキー、口にくわえててよ。)
(何も見えねえ。)
(あ、そっか…。ご、ごめん。じゃあ、これ。)
(………ん。)
(じゃあ…いくよ?)
(…………。)
(腕………少し掴む…な…。)
(…………。)
パリッパリッ…パリパリ………ポキン
(………はあ、はあ。)
(………ん?)
(………お、終わったよ。)
(………ん。)
(その…口にあるポッキー……た、食べていいよ…。)
(パリポリ……、ん。もう終わったのか、ポッキーゲームは。)
(え……う、うん。まあ……。)
(そうか、じゃあもう目開けてもいいか?)
(う、うん…。)
(どうした?周防。大丈夫か?顔が赤いぜ。)
(だ、大丈夫だよっ。)



761 :Classical名無しさん:05/08/09 16:19 ID:78KIqWXA
そして部室に戻る二人。天満が大きな声で迎える。
「どうだった〜〜〜?ミコちゃ〜〜ん!」
「えっ、いや、どうって。」
慌てる周防。
「播磨君は?」
「……、ああ、うまかったぜ。」
「えーーーーー!?ど、どういうことー?なにがっ!?なにがっ!?」
「美琴、アンタまさか……。」
「違うっ!!!は、播磨!なにいってんだよっ!」
「は?なにがってポッキーだろ。」
相変わらず播磨はどうしようもなかった。
「じゃあ次ね。」
「わーーーー、次はなんだろう!」
天満だけが元気なままだった。
一つ目の箱からプレートを取り出す高野。
「播磨拳児が…。」
「また播磨かよっ!!」
周防がつっこむ。
「播磨君、くじ運強いわ。」
「…………。」
高野の言葉に、無言のままの播磨だった。
そして二つ目の箱、
「塚本八雲……。」



762 :Classical名無しさん:05/08/09 16:24 ID:78KIqWXA
「………と下の名前で呼び合う。」
「………なんだ、それ?」
思わず口に出す周防。
「………妙な事書くやつもいるもんだな、なあ?沢近。」
「………。」
周防の言葉に、不自然に黙り込む沢近。
「ま、まさか、アンタが書いたの?」
「違います。」
即答する沢近だった。
(八雲〜〜)
ニヤニヤするサラ
(よかったね。)
(え…、そ、そんな……。)
あたふたする八雲。
「じゃあまたとなりの部屋で。」
(…行く必要、あるのか?)
周防がひとり思っていた。そして播磨がふと天満を見る。すると、
グッと、親指を立てる天満の姿が。
(て、天満ちゃん。どういうこったー!天満ちゃんが、この俺を……
よし、わかったぜ、このゲーム。頑張るしかねえ!)
そして天満に、グッと、親指を立てる播磨。
そして隣の部屋に向かう―



763 :Classical名無しさん:05/08/09 16:29 ID:78KIqWXA
(ほら、八雲。)
(う、うん…。)
サラが八雲を促す。そして――――
(い、妹さん。)
(あ、播磨さん……。)
かすかに声が聞こえる。それに聞き耳を立てるサラと天満。
(その……下の名前で呼び合う………だそうです…。)
(お、おう。そうな。)
(じゃあ………その……い、いきます……。)
二人にしばし沈黙が流れる。そして――
(あの……け、拳児…さん……。)
(お、お、おう。)
少し動揺する播磨。
(その……け、拳児さんも……その……。)
(おう、わかったぜ。)
(………。)
(塚本…。)
(え………、あ、あの……下の名前……だそうですから…。)
(わ、わりい。)
(い、いえ……。)
(じゃあ、ん。や、八雲。)
(は、はい………。け、拳児さん…。)
(……八雲。)
(拳児…さん…。)
下を向いて恥ずかしそうにする八雲、そして照れ隠しなのか―――
播磨は頭をぼりぼりと掻いていた。

765 :Classical名無しさん:05/08/09 16:39 ID:78KIqWXA
そんな様子をこっそりとドアの隙間から覗くサラと天満
(わあ、いい雰囲気ですね。)
(うんうん、八雲、がんばってるねっ!)
「覗きなんてあんまよくねーぞー。」
周防が二人に近づく。
(しっ、ミコちゃん。声が大きいよっ!)
(そうですよ。二人の邪魔になりますよ。)
(うっ、ご、ごめん。)
真剣に二人おこられる周防だった。
そしてまた播磨と八雲の声が聞こえてくる。
(……八雲。)
(拳児…さん…。)
(……八雲。)
(拳児…さん…。)
――――まだ呼び合っていた。
(お、おい。いいのか。そろそろ止めねーと。なんかずっと呼び合ってそうな気が…。)
(そうね。)
ヌッと高野が現れた。そして―――ガチャ――
「もういいかしら、八雲、播磨君。」
「あ、高野先輩。」
「そろそろ最後のゲームにするから。」
「あ……は、はい…す、すみません…。」
みな、もとの位置に戻り、席についた――



766 :Classical名無しさん:05/08/09 16:41 ID:78KIqWXA
「では、みなさん。最後のくじを引きます。」
一つ目の箱からプレートを取り出す高野。
「塚本天満が…。」
その瞬間、ビクンとする播磨。
そして二つ目の箱、
「播磨拳児……。」
もう、周防は何も言えなかった。
(来た…………、ようやく…………、この時が……!!。おれの想いを書いた
プレート……、カモン!!)
カチャリと――サングラスを中指で押しあげる。そして――
「…………のやっている腕立て伏せを見る。」
「えっ?」
播磨が素っ頓狂な声を上げた。
「いやー、それ書いたのアタシだ!何か罰ゲームっぽいものをと思って。」
周防がハハハと笑いながら話す。
「…………。」
ぽかんとする播磨。
「播磨く〜〜〜ん、頑張って!見てるよ!」
「おおよっ!!」
すぐさま席を立ち、その場で腕立て伏せを始める播磨。そして――五分が経過―



767 :Classical名無しさん:05/08/09 16:44 ID:78KIqWXA
「ま、まだやってるわよ、このヒゲ!」
「そうね。」
「も、もういいんじゃねーか?」
沢近、高野、周防が話す。すると天満、
「そうだよねっ、も、もういいよ!播磨君!」
「て……塚本。そう、いわれちゃあ男はひけねえよ。……ぜえぜえ。」
「でも…。」
(ま、待っててくれ。天満ちゃん。…はあはあ。まだ…や、やれるぜ…。)
そして……
「あっ……。」
八雲が声をあげたその瞬間、播磨はそのまま床に倒れこんだ。
「はっ、播磨君。大丈夫っ!?」
天満が声かけるもうつぶせのまま動かない播磨。
「とにかく隣の部屋で寝かせましょう。」
高野がそう言うと、みんなは播磨を隣の部屋に運んだ。そして―――
「少しや休めば大丈夫だと思うわ。」
高野が皆にそう説明した。
「まさか気を失うまで腕立て伏せ…やるとは思わなかったよ。」
周防がそう言った。皆一様に不安な面持ちだった。すると―――
ガラガラッ―――部室の開く音がした。



768 :Classical名無しさん:05/08/09 16:47 ID:78KIqWXA
「いや〜〜〜〜!おまたせっ!八雲く〜ん!」
花井だった。
「は、花井先輩……。」
「頼まれていたものっ!やっと買ってきてね!遅くなってすまない!」
「な…何ですか?これ…」
「ハハハハハっ!すぐに必要だと聞いてね!いや〜、探すのに少々骨をおったよ。」
木彫りの熊だった。そして困惑する八雲。
「あ、あの……花井先輩…。」
「いやいやいいんだ。受け取ってくれたまえ!」
「いや…あの…。」
「さてっ!お茶会を始めようかっ!」
無駄に元気な花井に、困惑する一同。高野が口を開く、
「花井君、残念だけどもう終わりよ。」
「何〜〜〜!!それは本当か!?」
そして周防が
「ああ。今までゲームをしてたんだけどな。もう終わりだよ。」
「ううっ、何ということだ…、僕としたことが…。」
落ち込む花井、すると高野が



769 :Classical名無しさん:05/08/09 16:49 ID:78KIqWXA
「じゃあもう一回だけしましょうか。」
「本当か!高野君!それはかたじけない!」
「じゃあ花井君を参加させるということで、最初の人は花井君にしておくわ。」
「…一体どんなゲームなんだ?それは。」
花井がそういうと、周防が簡単に説明する。そして、
「よしっ!わかった!!それでは始めてくれ!!」
「それじゃいくわ。」
高野はそう言うとゲームを始める。
「花井春樹が。」
うんうんとうなずく花井。
そして二つ目の箱、
「播磨拳児……。」
そして最後の箱に手をのばす高野。



770 :Classical名無しさん:05/08/09 16:51 ID:78KIqWXA
「…………にとびきりの笑顔をみせて。」
しんとする茶道部の部室。すると花井、
「うむ、……承知した。」
花井以外、誰も口を開こうとしなかった。その頃―――播磨は―
(ん?ここは…、そうか…気を失っちまったんだな……、へへ…、
天満ちゃんにカッコわりいとこ見られちまったぜ…。)
哀愁を漂わせながら起き上がる播磨。すると――
ギィ……扉の開く音がする。
(ああ、天満ちゃん…、君になんていえば…。すまねえ…、でも、俺は君の
笑顔が……見たかっただけなんだ……。)
振り向く播磨、そこには――――とびきりの笑顔をしている――花井がいた―
「おい。」
「………。」
「メガネ…、何がそんなにおかしい………。」
「…………。」
「喧嘩売ってんだな、そうなんだな。」
「……………。」
ゴッ
「は、播磨!何をする!」
「………。」
「さ、そろそろ帰りましょうか。」
高野がそういうと、播磨、花井を残し、皆、茶道部を後にした―――

その後――――



771 :Classical名無しさん:05/08/09 16:55 ID:78KIqWXA
サラと八雲が話をしている。
「ねえ、八雲。」
「何…サラ?」
「八雲はあのプレートになんて書いたの?」
「え…………。」
「八雲のは読まれてないんじゃない?それとも読まれてた?」
「……そ、それは……ひ、秘密…。」
「え〜〜?八雲、教えて〜」
「………ダメ…。」
楽しそうに話すサラ、そして八雲―――
ふと―――空を見上げる―そして――読まれなかったプレートを――心の中で―

――――お昼休み―屋上で―――また――――――――

終劇(おしまい)
2007年10月26日(金) 13:55:23 Modified by ID:Pflr4iBBsw




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