IF7・Shopping of a holiday

369 名前:Shopping of a holiday :04/05/03 05:15 ID:KbqZ0zuU
「こんにちは、先輩。待たせちゃいましたか?」
休日の駅前、サラは待ち合わせ場所で自分を待っていた麻生へと聞いた。
「いや、時間丁度だろ、気にすることない」
おそらく待ち合わせ時間よりも早く来て、待っていたのだろうが、それを表に出さずに気にするなと言ってくれる姿に、サラは自然と笑顔になっていた。
「先輩、行きましょうか」
「・・・ああ」
しかし、サラが何故笑顔なのか解っていない麻生は、その笑顔に少しとまどいながらもうなずき返し、二人は歩き出した。
二人がこうして待ち合わせをして出かける事になったのは、アルバイトの給料が入ったのでサラが「買い物に付き合ってください」と麻生に頼んだからだった。
麻生としても、給料が入って少なからず気分が良かったのだろう。断る理由が特になかったため、こうして待ち合わせをして買い物に付き合うことになった。
「ところで、何を買いに来たんだ?」
駅前にあるデパートに入ってからしばらくして、麻生はサラに尋ねてみた。
「服が欲しいんですけど、こういう所にくると色々目移りしちゃって」
周りの店の色々な物に目を奪われながらサラは麻生の質問に答えていると、何かいい事を思いついたのか突然麻生の方へと向き直った。
麻生はそんなサラの顔を見た瞬間、なにか自分にとって良くない事が起こる予感がした。
「先輩、私の服選んでください」
「な、何いってんだ、女物の服なんて俺にわかるわけないだろ」
サラの言葉に焦る麻生、大方買い物に付き合うといっても荷物持ちをするくらいだと思っていたのだろう。
「先輩の好みで言ってくれればいいですから」
「お、おいちょっと待てって」
麻生の腕を取りどんどん進んでいくサラ。
腕を引かれながら講義の声をあげるも、笑顔のサラには届かなかった。


370 名前:Shopping of a holiday :04/05/03 05:16 ID:KbqZ0zuU
「先輩、これなんかどうですか?」
婦人服売り場に着くと、サラは気に入った服を見つけては麻生に感想を求めて見せに来た。
しかし、麻生はというと、周りが女性ばかりの雰囲気に耐えかねてかねてか、元々多くは無い口数がさらに少なくなっていた。
「・・・先輩?」
「あ、ああ・・・いいんじゃないか」
「先輩、やっぱり迷惑でしたか?」
「え・・・?」
サラはそんな麻生の態度から自分が迷惑をかけてしまったのかと思い、そう尋ねていた。
麻生は少し悲しそうな表情のサラを見て、悪いことをしてしまったと思った。
「悪い、そんなんじゃないんだ。ちゃんと選ぶよ」
そう言うと、麻生は選び始め、しばらくしてから一着の服を手にサラの元へ戻ってきた。
「お前には派手なのよりも、清楚で明るいな感じの服が似合うと思う」
そう言うと手に持っていた、うすいピンクのワンピースをサラへと渡した。
「きれいなピンク、桜みたい」
サラはそうとう気に入ったらしく、すぐさま試着室へと入っていった。
(ここで知り合いに遭遇なんてことにはならないでくれよな・・・)
試着室の前でサラを待ちながら、そんなことを考えていた麻生、しかし・・・
「あれ、もしかして麻生?」
願いは一瞬で砕かれたのだった。
「す、周防か」
「こんな所で何してんだ、もしかしてデート?」
「ちげえよ、これは・・・」
「先輩、着てみましたけどどうですか?」
麻生が続きの言葉を言いかけた瞬間、サラが試着室のドアを開けて出てきた。
「あれ、周防先輩?」
「あ・・・たしか塚本の妹の友達の」
「サラです、先輩も買い物ですか?」
「ああ、ってなるほどね・・・」
そこまで言うと、美琴はサラと麻生を交互に見てニヤニヤしていた。
麻生はというと、うなだれたまま一人無言だった。


371 名前:Shopping of a holiday :04/05/03 05:16 ID:KbqZ0zuU
その後、サラは麻生に選んでもらった服を買い、美琴と共に3人でデパート内にある喫茶店へと入った。
「周防先輩と麻生先輩って親しいんですか?」
「そこまで親しいってんじゃないけどさ、なんか麻生ってクールというか無愛想というかぶっきらぼうな感じだろ、だからちょっとからかってみたくなるというか」
「あ、わかりますそれ」
「だろ?なんかちょっと困らせたり笑わせたりしてみたくなるんだよね」
「そういうのは本人の目の前で言わないでくれ・・・」
笑顔で話すサラと美琴に対して麻生はどこかげんなりした様子でつぶやく。
「でも、無愛想でぶっきらぼうだけど優しいんですよね」
「・・・そんなんじゃない」
サラの言葉に答える麻生。その麻生の様を見てサラはまた微笑む。
「周防先輩、この後って時間あったら一緒に周りませんか?」
「時間ならあるけど、あたし邪魔じゃない?」
「そんなことありませんよ、一緒に行きましょう」
「じゃあ一緒に行かせてもらおうかな」
しばらくして、そろそろ清算して行こうかとなったところで、美琴が伝票を取ろうすると麻生が伝票を取り
「いいよ、俺がはらっとく」
そう言うとレジへと向かい3人分の代金を払った。
「ね、やっぱり優しいでしょう?」
「そうだな」
そんな麻生の姿を見たサラは、美琴と共に微笑んでいた。


372 名前:Shopping of a holiday :04/05/03 05:17 ID:KbqZ0zuU
それから、サラと美琴は色々な店を見て周り、時々麻生に意見を求めたりした。
2時間ほど見て周った後、サラがもう一店だけ見に行きたい店があるというので、最後にそこに向かうことになった。
その時いやにサラと美琴が笑顔だったのが麻生は少し気になったが、深くは追求しなかった。
連れて行かれた先がランジェリーショップだったと気づくまでは。
「先輩、これとかどうですか?」
「ちょっと派手すぎじゃないかな、麻生はどう思う?」
店の中で下着を手ににこやかに意見を求めてくる二人に対して麻生は
「頼む・・・こっちにふらないでくれ」
ついにギブアップ宣言だった。

デパートを出ると3人は駅前に戻りそこで解散となった。
「先輩、今日はありがとうございました」
「あたしも楽しかったよ」
「ああ、ただもう最後みたいなのは勘弁してくれ」
その言葉にさぁどうでしょうと少し意地の悪い顔を浮かべるサラ。美琴も笑うだけで何も言わなかった。
それじゃあと言って分かれる3人、その顔には自然と笑顔がうかんでいた。
特に、選んでもらった服が入った紙袋を胸に抱き帰るサラの足取りは、妙に軽かった。


373 名前:Classical名無しさん :04/05/03 05:22 ID:KbqZ0zuU
以上です。
なんか流れとは全く違うSSになってしまったなといまさらながらに思ってしまう。
思いつきでなんとなく書いていったんですがなんかキャラの性格とか大丈夫かとか不安なってきた
がんばって技術みがいてうならせるようなSSかけるようになりたいな(;´Д`)
2007年02月02日(金) 17:49:36 Modified by ID:BeCH9J8Tiw




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