IF7・THE TIME MACHINE 2

234 名前:Once and forever :04/04/28 20:00 ID:jrv0mCSw
「おい、イトコ、ちょっと来てくれ」
「なんだね?私は忙しいのだ・・・が・・・」
そこにいるのは変質者、もとい播磨拳児
「どうだ?」
「いや、私は高校デビューというものに反対してるわけではない、
むしろ賛成する側の人間だ、しかしだな・・・」
播磨の姿は学ラン、ヒゲ、サングラス、ポマードで後ろに送られた髪
普通の人間なら避けて通りたくなる身なりをしている
「俺だって分かるか?」
「最初は強盗かと思ったよ」
その言葉に誇張はないらしく、彼女の左手にはエアガンが握られている
「そうか、それならいいんだ、そのためにこのヒゲも伸ばしたんだしな」
「言ってる意味がわからないが、そのサングラス、私のだろう」
「ああ、使えそうだから借りた」
(勝手に・・・)
「私はもう行かなければならない、
今の内に言っておくが学校では、私と君の関係は教師と生徒だ
間違ってもイトコなどと呼ぶんじゃないぞ」
「へいへい分かってます、イトコ先生」
「うむ、よろしい、君も入学式に遅れないように」

そう、今日は矢神高校の入学式
オレは昨日あまり眠れなかった


235 名前:Once and forever :04/04/28 20:01 ID:jrv0mCSw
塚本天満、あの日出合った時に見た、弱さ、優しさ、強さ
それらがオレを動かした
イトコのスパルタ教育(イトコ曰く練習らしいが)にも堪え
ヒゲも伸ばした
準備は万端だ

場所は掲示板前
だからオレは塚本天満と同じクラスになる!!
「確かオレは1−Dだってイトコが言ってたっけ」
播磨は1−Dの欄をあいうえお順に見ていった
「麻生、今鳥、一条、塚本はもっと後ろだな・・・高野、
ここら辺だ・・・次、来る、オレには分かる

  『来いっ塚本天満ぁぁぁ!!!』

      『天王寺 昇』



236 名前:Once and forever :04/04/28 20:02 ID:jrv0mCSw
天王寺?、あれ?次は砺波?と、な、み?東郷?」
一気に体中から血の気が抜けていくのを感じた

「『つ』、は?」

「ああ〜〜〜〜〜!!」
(なんだっ!?今の声はオレじゃないぞ!)
「姉さん・・・残念だったね」
「うう〜〜烏丸く〜ん・・・」

(ぬおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
塚本天満ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!)

彼女を見たのは制服手がかりに学校まで出向き
追い出されたものの矢神高校が第一希望と知った時以来だった

「こうなったら、八雲!写真バシバシ撮ってね!」
「え?そのつもりだけど・・・なんで?」
「そしてこの辛さを思い出に変えるの!!
この辛さは来年の幸せを引き立てるためにあるの!!!」
(おお、流石だ、来年の幸せを引き立てるためか・・・イイ


237 名前:Once and forever :04/04/28 20:02 ID:jrv0mCSw
(おお、流石だ、来年の幸せを引き立てるためか・・・イイこと言うゼ)

人々の願いは叶わずも、時は流れる
「それでは最初のHRを始める、担任の谷だ、これからよろしく」
(ケッ、オレは高校なんてどこでも良かったんだ、
塚本天満がいない高校生活なんてこれほど、どうでもいいものはない
「それでは軽く自己紹介でもするか?趣味、特技、出身中学とか言ってもらおう」
(ああ?)
「麻生広義だ、特技は一応料理かな」
(自己紹介だぁ?)
「一条かれんです、アマプロが好きです」
(何を)
 「今鳥きょ〜すけ、独身〜彼女募集中♪D組♪D組♪っていうかD〜」
(紹介すれば)
「高野晶、趣味、ガンプラ」
(いいんだ?)
「天王寺昇、夢は新世紀覇王」
(って、こいつホントに高校生か?)
んなことをしている内に播磨の番
「播磨拳児、趣味・・・ってほどでもないが絵を描くのが好きだ、
特技・・・家事全般」
(播磨君て、実は家庭的?)無論、隣の子の心の声



238 名前:Once and forever :04/04/28 20:04 ID:jrv0mCSw

  で、

「ったく、たりかった〜周りからは変な目で見られるし、
天王寺とか言う馬鹿が、いきなり喧嘩売ってくるからだ」
入学式も終えた帰り道
播磨は道路に猫を見た
その猫は道路のど真ん中で止まっている
「アブねー猫だな・・・なに道路で止まってんだ?」
ここは車が通る事は少ないが制限速度が高いため危険な所なのだ
「怪我して動けないのか・・・?ッたく世話の焼ける」
ゆるいカーブの向こうから車が来るのが分かった、急いだほうがいい
バッグを放り駆けつける播磨、これなら間に合う
しかし
反対車線からヒト、塚本天満
しかも・・・コケた
「だあ、なにやってんだ!?」
「え?あ、猫は?」
いいから逃げろ、いや、立ってたら間に合わない
「立つなっ!!」
「え?でも・・・」
目の前にはもう車がせまっていた
「ウオラァぁぁぁぁ!!!」


239 名前:Once and forever :04/04/28 20:04 ID:jrv0mCSw
播磨は右に猫、左に天満を抱え走った
「あ、うああああぁぁぁ」
「ニャー」
「オラ!!うおおおぉぉぉっし!!」
セーフ、間一髪、1秒遅かったらまずかった
「あの、ありがとう・・ございます」
「ッたく、無茶するぜ」
ホッと胸を撫で下ろす
「ねえさん!」
「あ、やくも〜猫は無事だよ〜」
「あ、あ・・・」
おろおろしているだけの八雲
「この猫、額から血がでてる、目に入ってたんだろ
この怪我、傷は残るかもな」
ワイシャツの袖で猫の目を拭きながら言う
「あ、ほんとだ・・・」
「あの・・・家で治療します」
おろおろモードから復帰した八雲の第一声
「そうか頼むわ、じゃ、オレ行くから」
バッグを拾い立ち去る播磨
ポマードで固めた髪も乱れきっていた、慣れないサングラスもズリ落ちてた
「名前、聞くの忘れたね・・・姉さん?」
「え、なに?」
「今の人知ってる?」
「ん〜見たことはあるような気もするんだけど」

次に八雲が播磨と関係を持つのは1年後の事である

「あれ?猫は?」
「逃げちゃっ・・・た?」


240 名前:Once and forever :04/04/28 20:05 ID:jrv0mCSw
『ホッとした』

播磨拳児は安心感に包まれていた

それは轢かれる所だったっというのもあるが、それ以上に
塚本天満の行動に
『塚本天満、いや、天満ちゃんは』

自分の中の理想としての天満
『思った通りの人だった』

5ヶ月以上もの間で捏造、自分が作り出した天満
播磨は何よりそれを恐れていた

『オレが好きになっただけはある』
先ほどの天満の行動を見て確信した


『天満ちゃんを好きになって良かった』



これから1年後に彼らの物語は始まる
いや、もう始まっていたのかもしれない

そんなおはなし


241 名前:THE TIME MACHINE 2 :04/04/28 20:08 ID:jrv0mCSw
あ、タイトルを間違えてしまった・・・
本来ならTHE TIME MACHINE 2になるはずでした
2回目の投下です
ああ、今度はミスらないようにしたのに・・・
2007年02月02日(金) 15:04:20 Modified by ID:BeCH9J8Tiw




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