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日本国籍取得についての反論

移民制度のない日本においては、外国人が市民権(国籍)を取得することは非常に困難である。しかし在日コリアンはきわめて緩やかな条件でこれを取得可能といわれており、申請さえすればほぼ確実に認められている。しかし市民権を取得する者は年間1万人程度にとどまっている。

まず、市民権と国籍は似て非なるものなので、「市民権(国籍)」という記述の仕方は明らかにおかしいし、“年間1万人程度”の在日コリアンが取得しているのは市民権ではなく日本国籍なのですが、両者の違いについてここで説明するのは重要ではないので省略します。

帰化(普通帰化)には「住所条件(引き続き5年以上日本に住所を有すること)」や「能力条件(20歳以上であること)」、「生計条件(日本で自活できる資産又は技能を有すること)」など、必要条件がいくつかあります。しかし、帰化しようとしている外国籍保有者がある条件を満たしている場合、一部の必要条件が緩和、あるいは免除されます。これを普通帰化と区別して「簡易帰化(特別帰化)」といいます※注1

例えば「日本と特別な地縁を有するもの」として「日本で出生したもの」に関しては住所条件が「引き続き3年以上、かつ、現に日本に住所を有していること」と緩和されますし、さらに両親のどちらかが日本で出生している場合は「現に日本に住所を有すること」とさらに緩和されます。

お気づきでしょうが、上記の条件は殆どの在日コリアンに当てはまります。そのため在日コリアンが帰化しようとすれば殆どの場合「簡易帰化」となるわけです。ただし上記の条件さえ満たしていれば在日コリアン以外の外国人もその対象となりますし、また日本人の配偶者や実子も簡易帰化の対象になるので※注2、これを「在日特権」というのは不適切です。

また、条件のいくつかが緩和・免除されるといっても、審査に関しては普通帰化と全く同じで、「申請さえすればほぼ確実に認められている」ということはありません。例えば帰化の条件には「素行が善良であること(つまり、前科はないか、暴力団などと関わっていないか、など)」という項目がありますが、こうした緩和条件・免除条件以外の条件に関しては簡易帰化でも普通帰化と同じく厳重に審査されます。

さらに「年間1万人程度にとどまっている」とありますが、現在日本で暮らす韓国・朝鮮籍の人の数が約60万人(2005年度の統計で598,687人)であることを考えると決して少ない数ではありません。毎年約1/60※注3の人が国籍を変えるというのは、例えば日本の人口を1億2000万人とすると、毎年約200万人の日本人が日本国籍を離脱するのと同じなのです。これは余談ですが、今後帰化の道を選ぶ在日コリアンはいっそう増えると思われます。その場合、各個人が「国籍」に拠らないアイデンティティを確立することがいっそう重要になっていくでしょう。




※注1 このほか「大帰化」と呼ばれるものがありますが、これは「日本に特別の功労のある外国人」について法務大臣が国会の承認を得て許可されるもの(国籍法第九条)で、今まで前例はありません。



※注2 日本人の配偶者については住所条件が緩和され、能力条件が免除されており、日本人の実子については住所条件が緩和され、能力条件及び生計条件が免除されています。


※注3 狭義の在日コリアン(オールドカマー、つまり韓国・朝鮮籍の内の特別永住者)は約45万人(2005年度の統計で447,805人)ですから、帰化の割合はこれより多いと考えたほうが良いでしょう。

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