「『働く』ということ」

2007/1/27放送「『働く』ということ」


出演:鈴木謙介、柳瀬博一、斉藤哲也、本田由紀(ゲスト)

※以下の発言まとめは、正確な番組での発言とは異なる場合があります。

MP3その1


鈴木:「働かなくて生きていける」と主張する人は、恵まれてない限りいない。今日は男子校に終止符を打つ女性ゲスト、本田由紀さんがゲストです。本田さんも64年なんですよね。働くということがテーマなんですけど、社会人として自分に足りないスキルは?

本田:いやもう働くことについて本なんか書いちゃいけないくらい、アガリ症で空気が読めなくて人見知りという。一番苦手なのが、こういうアドリブでかけあう場なんですよね。

鈴木:ちなみに今日本田先生、名刺忘れてましたからね(笑)。続いては先週も飛び入りだった柳瀬さんです。柳瀬さん、できる社会人オーラが漂ってますけど、社会人として足りないところは?

柳瀬:根本的に足りないのは、先のことをまったく考えられない。計画性、人生設計がゼロ。この年で家もないし、何もないですよ。

鈴木:(苦笑)後で色々聞かせてください。続いては斎藤哲也さんです。斎藤さんもフリーで長いと思うんですけど、足りないものは?

斎藤:時間管理能力かなあ。本をいっぱい読んだんだけど、ダメでした。手帳にToDoリストを書くんですけど、ダメなんですよ。

鈴木:フリーって作業量も読めないですしね。ちなみに僕、足りないかどうか分からないんですけど、組織に属してると、偉い人の前に出るときがあって、そのとき「明日はスーツを着てきてください」って毎回言われてしまうんです。社会人以前に何か根本的なものが足りないんじゃないだろうか。

柳瀬:スーツ持ってるの?

鈴木:一応持ってるんですけどw

柳瀬:スーツが足りないみたいな。

鈴木:まったくw大人になれない僕たちが働くことを語っていいのか。メール、仕事をする上で大事なのは、自らを省みる姿勢、謙虚さ、自分に足りないのは、落ち着き、正当な自信、雰囲気を読む力。身内が亡くなって、仕事があるから気も紛れるだろうという声があった。
メール、大学4年、就職活動がうまくいかなくて休学した。フルタイムのバイトをして、同僚といい人間関係を作るためにサブカルが役に立った。演歌やゴルフも柔軟に吸収したいと思います。
柳瀬さん、演歌やゴルフは大事なんですか?

柳瀬:いやー、なくても生きていけますよ。

鈴木:昔は接待ゴルフってサラリーマンの典型だったと思うんですが、それ以外の接待的なものってなんかないんですか。

柳瀬:昔より格段に、会社関係で土日付き合うのは、義務としては減ってますね。自分の親父が銀行員だったんですけど、土曜の夜は会社関係で麻雀、日曜はゴルフ。でもあれ、レジャーとして行ってましたね。あの頃は他にレジャーもなかったし。
メール、自分にとって働くというのは大人になるということ。働くことで世の中の汚いものに触れ、人を騙さないといけない。正義感を持っていては仕事なんかできない。就職しないといけないんだけど、他人を踏みつけないといけない。
本田先生どうですか。

本田:最初の2通は前向きで、最後の方は後ろ向きですよね。でもどっちも聞いてて辛いなあと。落ち着きも空気を読むのも人間関係も大事なんだけど、それが自分にないって思った瞬間どうなるんだろうとか、最後のメールみたいにきゅーって思いこんでて、でも働かなくちゃっていうのも。その痛々しさみたいなものをなんとか緩和できないかっていうので、考え続けているんですけど。

鈴木:確かに本田先生は若者と就職を主に研究されてきたと思うんですけど、僕が最後のメールで思いだしたのは、いまかかってる、尾崎豊の「BOW!」。俺はサラリーマンにはなりたくねえって曲。それが社会に出てきているうちはよかったんでしょうけど、斎藤さん、この辺、働きたくないって感じはいまでもありますか?

斎藤:会社員の人には多いですね。

鈴木:会社員の人で?

斎藤:『資格図鑑』って本を編集してるんですけど、資格を取って一人前になってる人の話を聞くと、仕事は面白いってみんな言うんですけど、サラリーマンに取材すると、仕事が面白いって胸を張って言える人は少ないですね。年齢に関係なく、やりがいがないっていうんですよ。

鈴木:柳瀬さん、やりがいってキーワードはどうですか。

柳瀬:やりがいっていうのは気の持ち用だから、最後は個人の問題。だから難しい。やりがいを持たせようって政府筋が言うわけだけれど、個人の問題じゃないですか。バイク便だとか居酒屋チェーンだとかって、いま批判されてますけど、バイトも社員もやりがいが持てるような設計をしたんですよ。それはスポーツのチームに近いようなメンタルな部分でのチームと競争性を導入した。昔は3Kで辛い仕事だったけど、見方によってはうまく搾取されているように見えるいまの形も、一方では実際に働いている連中からすると、じゃあ昔の方がよかったの、となる。そこは最終的に二項対立で語る問題じゃないと思うんですよ。やりがいは結果として出てくるもので、最初からなんてないですよ。

鈴木:やりがいをキーワードにしながら実際は搾取されていく構造は『バイク便ライダーは見た!』なんかにも書いてあったと思うんですけど、本田先生、ここら辺は言いたいことがあるんじゃないんですか?

本田:いやもう今話聞いてて、お前喧嘩売ってんのかよって(笑)。もう少ししたら出る雑誌に「やりがいの搾取」っていう、バイク便や居酒屋の話を書いていて、若い人が確かにやりがいを求めて入るんですが、それがバイク便なり、自己裁量の余地が高い、疑似自営業みたいな仕事、コンビニの店長みたいなのに繋がっているんです。これには二つめにゲーム性、三つ目に奉仕性というのがあります。四つ目というのが、さっき居酒屋の話もあったんですけど、挨拶や朝礼ですごいノリを作って、夢を実現する会社なんだ、って言って、やりがいがあると思われているんだけど、すごく発給で長時間働いてるんですよ。私はそれを、否定的に書いたんですけど、これはまさに搾取って言っていいんじゃないか。高賃金・安定のない後、長時間働いてもらうためのモチベーションを上げるために「やりがい」っていうのを持ち出してきてるんじゃないか。それに気がついて、飲み込まれないようにしないといけないっていう。そうじゃないと?

柳瀬:別にそういう側面があることは否定しないんですよ。でもじゃあ、競争力のない会社が出てくる方がいいのかという話。それから、そういう話が政府筋から出てくるんだけど、いちばんやる気のない人がいるところって、要するに行政産業なんですよね。いま話に出てきた企業、僕は全部直接取材して知ってますけど、現場でシステム作ってる人は、搾取しようなんて思ってないし、すぐバレてしまう。同じコンビニ、宅配でも競争が激しくて、モチベーションの設定がうまくいかなかったところは、どんどん潰れている。経営の論理と現場の論理という対立構造は、労働組合が強かった50年代、60年代には、有効だったと思うんですよ。というか、あの時の方がはるかに搾取構造があった。今は吉野家にしてもブックオフにしても、社長は現場上がりなんですよね。

鈴木:雇用者と被雇用者が対立するかどうかっていうのは、僕も変な話だなあと思うんです。マニュアルとしては『熱狂する社員』なんて本があったりとか、あと僕も働いてた時代に、モチベーションというか、そういうののeラーニングのシステムを作ったりしたので、その辺の空気はなんとなく分かるんです。ただ、働いている人たちがそれでいいのかっていうと、そういうわけでもないので、別に検討した方がいいんじゃないかという気もするんですよね。

斎藤:柳瀬さんが、昔の搾取よりはましになった、っておっしゃるんですけど、本田さんのおっしゃってるのは、どっちかっていうと、若者に対して、もっと注意深くなった方がいい、って話ですよね?

本田:そうですね、昔は搾取的な構造が見えやすかったから、それに対する反発もやりやすかった。先ほど、おざなりなやり方では見抜かれちゃうって話もありましたけど、その部分は昔より巧妙になってるんだと思いますよ。その居酒屋は、2ちゃんねるなんかでも「カルトかよ」なんて見抜かれてるわけですが。でも巧妙さ加減は上がってると思いますよ。

鈴木:もっと働く人目線で話をしたいので曲をはさみます。本田先生リクエストで。

本田:ミスチルの「未来」です。

MP3その2


鈴木:「未来」はなんで選んだんですか?

本田:働くというより、働くことに一歩踏み出せないでいる歌かなと。そこを見据えることで、見えてくるものがあるかなと。

鈴木:ミスチル櫻井さんと仲良しのスガシカオとか、そんな歌が半分くらい占めてるんじゃないかなんてのもありますよね。
メール、大切なことは、仕事や個人それぞれだと思う。メール、なぜか企業性善説が前提で、若者の自覚のなさが批判されますが、サービス残業させたりする「ブラック企業」だってある。こういうところに就職して3年で退職したら「忍耐力が足りない」って話になるんでしょうか。メール、働くということは生きていると実感できること。今は実家に戻って農業してます。あと向上心が大事。メール、必要なことは「楽しさ」。オフタイムも会社に献上しないといけないのはウンザリ、楽しくなる場所を演出して欲しい。
斎藤さん、会社って楽しくないのが前提みたいになってますけど?

斎藤:最近、「なぜ若者は3年で辞めるのか」って本も話題になりましたけど、昔は辞めなかったんですよねきっと。

鈴木:七五三離職、なんて言いますけど、「七五三」って何ですか?

本田:中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が、就職して3年以内に離職するって奴ですね。3年って統計なんですけど、じわじわ上がってきて、35%くらいになってるみたいですね。

鈴木:それって政策的にも問題になってると思うんですけど、どういう対策が出てくるんですか?

本田:就職したときの本人と会社が合ってないから、マッチングをちゃんとしようっていうのがありますね。経産省が「社会人基礎力」なんて言ってて、12項目を挙げて、そういう能力と合っている会社に就職すればいい、みたいに言ってますけど、それで解決できる問題かどうかは、やや懐疑的だなあと。

鈴木:「13歳のハローワーク」とか、職を選ぶところの話があるんですよね。学生もそうだし、教育そのもの、あるいは教育に雇用者側が求めるものも変わってきていると思うんですけど、柳瀬さん、その変どうですか。

柳瀬:僕、思うんですけど、情報が多すぎると思うんですよ。仕事ってやってみるまで、いいとも悪いとも分からないじゃないですか。情報だけ膨大にあるから、働いたような気になったり、選択できると思っちゃうんですよ。体験談にしかならないけど、仕事ってやってみないと何が面白いか分からないし、体力を必要とする部分以外は、やってみないと分からないと思うんですよ実は。だからさっきの「やりがい」と表裏の話になっちゃうんだけど、仕事そのものに対する姿勢と、あと、僕実態はよく知らないんですけど、昔は3年で「辞めちゃいけない」空気があったんですよね。それは終身雇用のレールから外れると、再就職、リカバリーができなかった。それができるようになって、簡単に辞めるようになっちゃった。今日は僕はあえてそっちの立場を取りますけど、企業側の姿勢以前に、学生のメンタリティの変化ってあるんじゃないかなと。

鈴木:僕はその前の「情報が多い」っていうのが大きいんじゃないかなと。いま「ヒゲとボイン」かかってますけど、このころって社長か女の子しか選択肢がないんですよ。ユニコーンって「働く男」もそうだけど、単身赴任とかもあって死ぬほど働かされる時代に「奥さん・彼女か仕事か」みたいな、そういう選択肢しかなかった。それはそれでもよかったと思うんですよ。で、本田さん、ある意味で本田さんの敵でもある(笑)玄田有史さんは、まさにその「体験」っていうのを、中学生の時からやって、仕事って楽しいんだっていうのを身につけさせるのが大事だっておっしゃってるんですけど、それに対してどうですか。

本田:みんな喧嘩売ってんのか!って感じなんですけど。

鈴木:喧嘩っ早すぎだよ!

本田:いくつも気になることがあって、情報が多すぎるという話。まず本当に必要な情報はちゃんと出てきているのか。企業の採用基準が不明確だと思っている大学生はたくさんいる一方、企業の側はコミュニケーション能力とかしか言わない。それが自分にあるのかないのか分からないまま、学生達はいくつも就職試験に落ちていくわけですよ。何が必要かを明示しないで「やってみないと分からない」とか言われても、学生の側も困るだろうと。それからさっきマッチングの話をしたんですけど、言い足りなかったのは、若い人たちの働き方が、研修もないのに店長をやらされて、体壊して辞めるなんて話はざらなんですよ。「若者はなぜ3年で辞めるのか」の話も出てきましたけど、進路指導っていうのが難しくなってて、自分自身でやりたいことを見つけろ、みたいになってるんですね。そうやって煽られて一生懸命やって入ったら、鞄持ち状態で、そのギャップで辞めるみたいなことになってるんですよ。で、体験の話。とりあえず一歩踏み出せみたいな話があるんですけど、石川良子さんという研究者の方が引用している上山一樹さんの発言があって、それによると、玄田さんなんかは、回転寿司をとりあえず食べてみろって言うんだけど、一度食あたりを起こしてしまったら、回転寿司の椅子に座るのもいやになっている、そういう状態の人に、とりあえず食ってみろっていうのは、何の処方箋にもならない、っておっしゃってて、非常に共感したんです。

鈴木:この番組で柳瀬さんと本田さんを並べるに当たって、多分こういう展開になるだろうなと思った方向に行ってますね。片方が内面の話をして、片方が制度の話をする。これは二項対立でも何でもなくて、どっちも手当てをする必要があるというだけ。なのに、ある種、自分が立っている側を肯定する、抵抗するために、議論が使われてしまうんですよね。

柳瀬:僕は喧嘩を売ってる訳じゃないんですよ。制度論で言えば圧倒的に本田さんの方の支持です。あえてこういう話をするのはなんでかっていうと、制度の話を先に聞いた若者が、それで動かなくなっちゃうのはまずいなって思ってるんです。僕の話は、目の前に若者がいたら、仕事してみろって言うしかない、社会がこうで、って言ってもしょうがないという話なんです。社会の側は確かに本田さんがおっしゃるとおりなんとかしないといけない。でもそういう制度や会社の問題とは別に、目の前の若者に語りかけていかなきゃならないという話があるんです。

鈴木:そこで玄田さんも「13歳のハローワーク」もそうなんだけど、そういう「語りかけ」しかないと思うんです。メール、今の若者は同じ職場で長く続かない傾向があると思います、持久力と忍耐力が必要、メール、若者が辞めるって言うけど、企業側が若い人を青田買いしているだけ。学校という就職斡旋プロセスに組み込まれている人は、就職について考えられるだけ幸せ。
こういう人たち全部含めて話をしなきゃいけないのは、じゃあそうやって「長く続く」仕事に就いたら幸せなのかとか、正社員とフリーターの生涯賃金の最終的な差の話とか出ますけど、それで幸せというのを測っていいのかどうか問題ってのがあると思うんですけど。この後は、教育から労働への移行の部分も含めた、何が幸せな働き方なのかって話をしようと思います。

MP3その3


鈴木:メール、24歳フリーター。まともな職に就きたくても就けない人も多い。メール、楽な気持ちでいることが必要なこと。ささやかな水準のこと。メール、「ニートを追う者はイートを得ず」は秀逸。英語ができるからプラス。斎藤さん、英語ができるからプラスマイナスで「プラス」っていうの、今売りのダカーポで、なんだか大学入試がこうなってるって読んだんですけど。

斎藤:一部ですけどね、AO入試っていうのがあって。

鈴木:AOが多数派だっていうのも聞きますけど。

斎藤:大学としては青田買いしたいわけですよね。学生が取れないから。だからAO入試が多くなってるのも事実。それから、予備校でもAO入試対策をやり始めてる。そこで、論文の書き方から、志望動機理由書の対策とか。就職活動のエントリーシートみたいなもの。だから就職活動でやるようなことが、いま大学受験にまで降りてるって気がするんですよ。

鈴木:あれを見てて思ったのは、学生の間でも、大学進学って偏差値だけでいいのか、って流れがあるじゃないですか。AO入試ってそういう、偏差値だけで計れないものを計ろうっていう試みですよね。で、それでどうなるかっていうと、まさに就職のエントリーシートみたいなことをやらされるようになる。で、それが若者に詳しい奴とかに聞くと、AO入試で気の利いたことが言えるようになるために、勉強せずに、一年間海外一周してきましたとか、起業してみましたとか、一芸入試みたいな方向になる。で、全然勉強なんかはしなくていいやって雰囲気になってると。この傾向って、さっきのミスマッチ論と関わるのかもしれない。個別には企業や働く人のメンタリティに原因があるのかもしれないけど、制度としては、ミスマッチを起こす方に、教育とか就職が動いているんじゃないか。

斎藤:一芸の「芸」って何だっていうと、どんどん意味が拡張していくんですよ。これからは「スキル」の時代だっていうんだけど、じゃあスキルとは、って言い出すと、それが本田先生の批判している「人間力」とか、そういうところにはみ出して行っちゃうんですよ。

鈴木:「人間力って言うな!」って『多元化する能力〜』の帯には書いてあるんですけど、人間力が要求されるってどういうことですか。

本田:就職とか、AO入試もそうなのかもしれませんが、自己分析みたいなのを求められて、これまで何をやってきたのか、自分のアピールは何かっていうことを考えないといけなくなっている。それは結局、自分の全部を売りに出しているのと同じことだと思うんですよね。それは辛いことで、そうじゃなくて、自分が評価されなかったときに何も残らない、自分が全部否定されてしまうのは酷いだろうと。さっきのメールにも、ささやかな望みとか、英語ができるからプラスっていうのがありましたよね。そういう風に、全体を売り渡すんじゃなくて、どこか、自分の一部を切り売りしていけばいいようなものが、よいマッチングであり、まともな職であり、それによって楽であることができるんじゃないか。それを可能にするのが、私の提案している「専門性」なんですけど、まあこれもあちこちで評判が悪くて。なかなか浸透しないんですけど。

斎藤:僕、専門性の話には半分くらい賛成するんですけど、、、

本田:半分?

斎藤:(笑)っていうのは、昔も人間力みたいなことはあったんじゃないかなと思っていて、就職の基準は厳しくなったかもしれないけど、じゃあ昔は採用基準が明らかだったかっていうと全然そんなことはないじゃないですか。

本田:そうなんですよ。それも面白くて、同じように曖昧であっても、かつては組織に馴染む人、言われたことができる人、みたいな標準的な能力が求められていたのが、ホントに「創造性」とか「問題発見力」とか、苛烈なものが求められるようになっているっていう、同じ人間力であっても変化しているっていうのを調べた人もいるんですよ。

斎藤:それは門が狭くなったっていうことですか?

本田:それはもちろんそうです。

斎藤:門が広くなったときに、じゃあそれでいけるのかっていう。

本田:門が広くなれば、売り手市場になりますよね。だから売り手の希望が呑んでもらえる面が強くなる。そこで企業の側も専門性を重視しなければいけなくなる。それはチャンスだと思うんです。

鈴木:専門性の問題は、本田先生も著書で指摘されていて、反論も含めてそこには色々あると思うんですけど、ちょっとそれとは変わったところで、自分の言いたいことにど真ん中だったメール。最近OB訪問を受けていて若い人と話していると、働くことにネガティブな感情を持っている人が多い、社会学の本を読みあさっている人にそういう人が多い。政治経済を動かしているオジサンには本田先生の本を読んで欲しいけど、若者が読むと不安が募っちゃうんじゃないか。
今年入ってから希望の話をしたいって言ってるんですけど、これからの若い人に何を言うかって問題ですよね。

柳瀬:もう一言で言うと、「とりあえず働け」ですね。お前らの頭の中より、世界の方がはるかに広いんだから、とりあえず働け。誰も自分の人生は、それ自身としては助けてくれないし。

鈴木:それに対して、僕が付け加えるとすれば、社会人って絶対楽しいですよね。俺はそう思う。今の方が絶対楽しいし、すごいたくさんの人に会えるし、自由になるお金が増えるし。もちろん自分が学者として、なんとか省とかの会議にも呼ばれたりするわけですけれども、そうしたところとは別にね、若い奴が目の前にいたら、俺もそういう風に言うと思う。そこはきちんと分けてきたいなと。

「『働く』ということ Part2」
2007年02月06日(火) 08:52:53 Modified by ID:od2UZIaWgg




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