「2ちゃんねる対ミクシィ」

2006/11/25放送「2ちゃんねる対ミクシィ」〜山形浩生さんを迎えて


出演:鈴木謙介、仲俣暁生、斎藤哲也、山形浩生


※以下の発言まとめは、正確な番組での発言とは異なる場合があります。


鈴木:なんて紹介しましょう?

山形:オールラウンドなマルチなんとか人間。興味の赴くままにうろうろしている、本屋でも全ての棚を回るので、自分でもどう紹介していいかよく分からない

山形:若い頃は2ちゃんに降臨したりした。匿名だからこそいいたいことが言えるのでいい印象。ろくでもない連中はいるけれども、でも、あってもいい場所なんではないか。ひろゆきが自分で仕分けができれば、場所の問題ではなく選び方の問題。

山形:2ちゃんねるライセンスとか作ればいいのか。それがないから2ちゃんねるいいんじゃないの?という話もある。

山形:mixiは昔やってたんだけど、招待してくれた人しか友達がいなかったのでその人が退会したら自動的に退会。たまに燃えてるところがあれば見に行くだけだった。

山形:mixiのベタベタした感じは苦手。匿名で誰に言われるか分からないって言うけど、僕の情報、秘密、悪口は身近な人に言われるのが嫌。匿名っていうのも、知ってる人がやってるのが嫌っていうものじゃないのか。

仲俣:2ちゃんの方が好き。読んでるだけ。自分の板(スレ?)は読まない。はてなダイアリーもやってるけど。

斎藤:mixiは一度入ってやめた。ブログもあるし、もう一つ日記を書く理由がよく分からない。

鈴木:人脈で仕事をしている人間にはmixiとか辛い。締め切り間近に原稿が出来ていないのに日記とか書いてると、何やってんだ!って言われちゃう(笑)

仲俣:SNSって名前を聞いたときは目から鱗。そういうサービスが必要な人っているんだ。

山形:西海岸系の奴だとパソコン通信が出てきたときも、先端的なエリート層が出てきて、外から入ってきた奴によってダメになるから、自分たちだけの内輪のサークルを作る。無料メールでも最初は誰でもOKだったけど、そのうち紹介制になって、「なんとか.com」みたいなのがえらい人だけが持ってるものになる。だんだんそこが閉塞してくる、似たような人しかいないところで何か起こるとみんなで猜疑心の固まりになってコミュニティが崩壊、そのあとまた開く方へ。

鈴木:日本もそう。mixiとGREEが争ってたとき、ぐっとmixiが頭一つ抜けたのは、2ちゃんねるのオフ会で知り合った仲間が集まってきたとき。2ちゃんもmixiもはてなもエリートが最初盛り上がっただけ。

鈴木:ブログだとどう?

山形:ブログはMSにお金をもらってるから、仕事。あと、コメントも禁止だしトラックバックもよく分からないので、普通のホームページと変わらない。

鈴木:最近山形さんが関わったウェブの論争の話をこの後で

山形:曲紹介。Clint Mansell「We Got The Gun」


鈴木:ブログが面白くなってる。最近論争になった話。

山形:あるプログラマーの人が「経済成長を追い求めるのは中二病である」という発言が元で論争に。自分もそこに参入。経済成長って言うのはなんとなくじゃなく、人間が努力するものの集まりなんだよ。そこから泥沼に。

鈴木:論争を見てて勉強になる。2ちゃんは殺伐、ミクシィはベタベタ。分からないことを議論して勉強するのは大事。殺伐と全否定するか「ああわかるよ」みたいなのばっかでは勉強にならない。なぜ経済成長が必要かっていうのはいいなあと。教育的。

山形:教育的効果もある。相手には恨みもないけれど、議論って相手は実は動でも良くて周りで聞いてる人間に話しかけている。周囲がそうであるとかそうでないとか思ってくれればそれでよい。議論してるときには、何言ってんだこの馬鹿、と思ってるから絶対納得はしない。でも自分の場合を考えると、5年たって振り返るとああ間違ってたなあと思うこともある。けどまあそういうこともないから、今は悪いけれど世の中のために斬られてくれ、って感じ。

鈴木:山形さんも斬られることはあるしね。論争は必要。ネットから僕たちは何を引き出せばいいのか。ネットから全部引き出せばいい、じゃなくて知識を持ってる人が出てくればいい。

山形:田中秀臣、田崎晴明、菊池誠、色々いるけど昔からの人ばっか。

鈴木:まだネットに出てきてない情報はたくさんある。情報の偏り。

斎藤:ネットのことって知ろうと思えばどこまでも知れる。どこまで学べばいいの?

鈴木:過去ログ読めとか言われても。

山形:Googleの検索結果が2000件出てきて、何番目まで読めばいいのか。

仲俣:本を読むのだったら教科書がある。時間をかける。2ちゃんの受け止め方、どう見ていいのか時間がかかる。パソ通時代からの人は炎上も論争も見たり体験したりしている。初めての人はあわてちゃう。でも学校で教える訳じゃない、実地でやるしかない。

鈴木:ネットでいじめが起きたりしてる。情報の使い方を学ぶっていうのは難しい。最後に「注:この論争はギャラリーに向けてなされてます」って書いとけば?

山形:実はコメント欄に書いてある、ウソウソ(笑)。だんだんそういうのを学んでいくプロセスが、家庭内ネットワークがあって、学校があって、ミクシィにいって、大海原の2ちゃんに出て行きなさいならいいんだけど。

仲俣:麻雀みたいな。

鈴木:ドンジャラから始めなさいっていう。

山形:いきなり雀荘で賭け麻雀始めるんじゃない。

鈴木:mixiは18以上だけど、パソコン教室とかやると2ちゃんねるだとよく分からないまま小学生がきゃっきゃきゃっきゃ遊んで、気がついたら炎上して泣きながら帰ってくる。山形さんの順番の逆になってる。殺伐が当たり前、甘えるなって言われちゃう。

鈴木:メール、2ちゃんは最近は読むだけ。責任が伴わなくなって言える話がある。うわさ話を楽しむためにまだ見る。mixiも最近は身も蓋もないホンネも。

鈴木:メール、半ニートでパソコンに触れている時間が長い。mixiのほうが情報を探すのに時間がかからない。

鈴木:mixiだけじゃなくてもSNSが増えてくる。可能性とか未来とか?

山形:そういうの考えつくと上場してお金が儲かるのに、言うわけないじゃんw

仲俣:友達とか社交じゃなくて、情報を見つけたいってニーズがあるのは僕と違う。僕の場合は夜を徹して五時間くらい無駄なものを見てる。

鈴木:そんなに見ないよ!

鈴木:メール、僕がmixiに求めているのはコミュニティの情報と、コミュニティの参加人数を見ることで分かるミニ日本の縮図。

鈴木:メール、疎遠になってた友達と再会できるのはミクシィならでは。デモ最近はmixi離れも。

鈴木:mixiで友達の名前、情報、コミュニティで好きなアーティストの情報を検索する。昔はどうしてたの?

山形:ライブハウス、レコード屋のチラシ。クチコミ。

鈴木:mixiはクチコミそのもの。昔やってたことをネットに置き換えた。

斎藤:ライブ行くと集団できてる人が多い。

鈴木:オフ会状態。コミュニティの書き込みが一緒に行ってくれるひと募集とかオフ会の感想をアップしてたりとか。ライブで集団で示し合わせて踊ったりとか。欧米のフラッシュモブ。ネットで打ち合わせていたずら。2ちゃんもやってたけど最近はmixi?

山形:2ちゃんではゴミ拾いとかあったけどmixi発でそういうのあった?

鈴木:普段の印象が悪いからいいことすると目立つ。ぬれせんべいとか。mixi経由だと会社を立ち上げたとか商品開発したとか。以前Japan Timesで取材を受けたのは、結婚したとか起業したとか。

山形:善行も照れくさいから匿名でやりたい。

鈴木:手軽にっていうのも大事。ワンクリ募金とか。パソコンの前で善行ができちゃう。

仲俣:オフ会って重要なんじゃないか。オフ会のためにmixiやってる。ブログでも。

斎藤:山形さんはオフ会は行きます?

山形:行かない。

鈴木:山形さんがオフ会だと思ってないだけ?

山形:今日ここにいるのもある種のオフ会(笑)

鈴木:曲紹介。Zeebra「Story of A Sucka MC」。



鈴木:メール、いまこの番組録音だろって実況で盛り上がってる。
このメールだって仕込みかもしれないよ。
山形さんに質問、もっと怖い人だと思ってたんですが、どっちが素?

山形:文章からにじみ出る優しさは感じていただけないのかしら。話してる方が本物。

鈴木:質問、総合掲示板が根付いたのは日本だけって本当?なぜ?

山形:ユーズネットみたいなのを入れるかどうか。あれは技術的に高い人だけだし。

鈴木:韓国にはあるみたい。画像とか動画とか貼り付けまくり。俺たち2ちゃんねらーみたいなのはあるくさい。情報検索に使えるかどうかは分からない。ユーズネットみたいなのが理想化されてる。でもみんな検索窓として使ってるんじゃないか。URLはこちら、みたいな。

斎藤:URL打ち込む人は聞いたことない。調べ物で使ってる人は多い。

鈴木:コミュニケーションしてる人は少数派?

山形:かなりいるんでしょ?

鈴木:ブログは何千万人とか言ってますけど、総務省。

山形:ケータイとか。

鈴木:ケータイはメールをやりとりしてるから。その辺はコミュニケーションツールとしてのケータイと、調べ物としてのインターネットなのかな。
質問、mixiと2ちゃんは使い分けている。
モバゲー、ケータイ専用SNS。2ちゃん、mixi、調べ物。これだとさっきの山形さんの話がいけるんじゃないか。まずはケータイで勉強、みたいな。

山形:それをどうやってやらせるか。検索するといきなり2ちゃんが出てくる。今後文科省が考えるように。

鈴木:教育って世界ではどうやってるの?

山形:アメリカとかでは最初学校にパソコンを入れさせようって運動があって、それが古くて使い物にならなくて、どうせみんな家で買ってるからいいや、って状態になっていたのは日本と似たようなもの。使い方の教育までしているのかどうかになると、組織的にやってるかどうかは分からない。いい話は聞くけど。

鈴木:情報教育ってその土地土地とのリテラシー。日本は我が子を千尋の谷に突き落として空気を学ばせて、あとから内輪のコミュニケーションにいく。

斎藤:規制をどうしていくか。

山形:僕は自由主義者なのでしない方がいいと思う。千尋の谷に突き落として、変なものをくっつけて上がって来る奴は、そのくらいのものを払い落とせないくらいでこの社会、どうしますか。

鈴木:ケータイ規制の空気は強い。メールや掲示板のいじめ、ネット見てて勉強にならない。試験中にメール送ってきた友達がいた。教育の枠組みが通用しなくなるから規制しなきゃになる。でもおっきくなってから千尋の谷に突き落とすほうがまずい。ダメージの回復が早いうちに一通り失敗しておくべき。大人用プールに入るようになったら泳げる前提。他のお二人は?

仲俣:ネットの中で物事が完結しているのがあり得ない。ネットのマナーを教える前に、現実の社会でのコミュニケーションなり教育がネットに行くんだからネットに規制をかけてもしょうがない。できるもんならやってみろって思う。

山形:そういうと本当に規制する人が出てくる(笑)


鈴木:長谷川(プロデューサー)より、ホテル・ルワンダの公開運動。新潟中越地震の時のはてな。2ちゃんでもはてなでもmixiでも参加してる感が得られる。ネット時代の下からの運動。実はあれもこれもネット発だった?

山形:意外とないんじゃないかという気もする。

鈴木:どこまでの規模の者を善行と呼ぶか。プチ善意とかその暴走、炎上とか。

仲俣:逆はどうなんだろう。犯罪とかは新聞沙汰になって何かあると2ちゃんねる。それほどすごいたくさんのネット発の犯罪や社会問題が出てるのか。

山形:目新しいという意味で注目されているんじゃないか。世界中にガールフレンドのヌード写真がばらまかれるとかはこれまで考えられなかった。

鈴木:全裸写真がばらまかれるのは酷いけど。P2Pを使ってた男が悪い、さらに報道したマスコミが被害を広げた。あれでみんな検索したわけだから。そういうのをすっ飛ばして、SNSももう終わりじゃねえ?っていうのはいかがなものか。

仲俣:2ちゃんとかミクシィとか、現実的には全部技術。ふさわしい使い方っていうのがある。善行って一人でやってもしょうがないから集団のことになる。ネットって個人で悪いことをする分にはすごい向いてる。逆にネットが集団的に使われて犯罪に使われている例は?

鈴木:集団の犯罪で最もネットが使われてるってゆったらテロでしょう。

山形:エロ写真の交換じゃない?

仲俣:エロか、テロかw

山形:あと著作権を無視したP2Pはどうなるんだ!とかw著作権の規制を厳しくしろ!みたいな。

鈴木:目立ってきてるから叩かれやすいのはそこ。

仲俣:ネットって社会の一部分でしかないのに、期待感や恐怖感が強い。ネットって無法地帯だ!とか可能性があるとかって時代があった。実際は意外とポテンシャルってないんじゃないか?Googleが世界の90何パーセントの情報を集めてくるとか豪語してるけど、実現可能性あるのか。

山形:どこまで情報だと思うか次第。2ちゃんに書かれているのがノイズだと思うなら90何パーセントも不可能じゃないけど、2ちゃんの書き込み全部含めるんだったら1割でも過大。

鈴木:グーグルは世界中の情報を集めてきて検索できるようにするのが目標だといっている。情報の定義だけじゃなくて、たとえば僕が今瞬間思いついたことっていうのは検索できない。何らかの形になってないといけない。それをパソコンだけで全部やるようになったらグーグルの言ってることも夢じゃないかも知れないけど、いまだに手書きのメモとか使うし。むしろここに全ての情報があると思って使うことが問題。大学で教えてると、グーグルでコピペしたレポートが出てくる。ああいうものをどう評価するか。

山形:やる人をどうするかっていうのは問題だけど、一方で、グーグルの情報がまともに見えるかっていうのがある。あれはグーグルの情報に頼ってない人がページを作っていて、それがいいなと思われるとリンクが増えて上の方に上がるようになる。グーグルって言うのはある一部の人たちのコアの情報に色んな人がただ乗りすることで成立している。あらゆる人のあらゆる情報がそこに載っかってきたら、グーグルの検索は意味をなさなくなるんじゃないか。そこで古典的に積み上げで勉強してくる人と、グーグルで検索する人の適正な比率が出てくるんじゃないか。

鈴木:グーグルの外に順番を決める基準がないとだめ。S/N比が悪くなるとダメになるとも言える。でもお金の問題が大きい。古典的な積み上げで勉強してくる人はたくさんいる。こういう人たちがネットに情報を出すとお金になるってことになると有益な情報が増える。でも今は趣味とかライバルを蹴落とすとかいう動機しかない。そうなってくるとそれが全部ではないのに、「経済学ってこういう学問なのか」みたいに判断されちゃう。それはよくないから、もっとお金が回るようにすればいい。

山形:それは簡単に言うけど、みんなそれができなくて苦労してるんだろうに。

鈴木:ケータイってそういう意味ではネットと比べてお金がかかる。でもみんなちゃりんちゃりん払ってる。ネットはタダって前提だったからちょっとでもお金がかかるとふざけるなって話になる。この間のバランスが欲しい。こんだけ検索してブログとか読んでればタダで情報が得られるんだからいいじゃんってなったら困る。もっとブログの外側に知のリソースがあるって話。

斎藤:鈴木さんがネットから距離を取ったのもそういうこと?

鈴木:半分くらいはそういうこと。理由は前も言ったけど。自分はネットの理屈で生きてきたから外の情報を知らない。知らない人の名前が出てくると本屋に行かないとダメ。そういうのを実感したかった。雑誌とかすごい読んでるけどすごい面白い。同じ情報がブログに出てたら人気になるはず。でもこれを書店で買おうという人がいない。雑誌の売り上げの激減ってこの5年くらい?

斎藤:エロの敵の問題。ああいう話はエロだけじゃない。どう我々は食っていけばいいんだ。

山形:なんでもエロが手にはいるようになったからエロが衰退した。昔はヘアを見せちゃいけなかったから、うるせーよっていいつつ反権力でこそこそ見てた、だから栄えた。

鈴木:本気で思ってる人いますよね。50代くらいで。社会全般で、もう一回規制しろとか、頑固オヤジみたいなのがいないとだめだとか。自由でフラットにしたのがダメだって、自由でフラットにしたのお前らじゃん、てゆうw

鈴木:紙の媒体の人から見てウェブってどういうツール?全部ウェブ化すればいいじゃんっていう時代もあったけど。

仲俣:アマゾンが本のデータをネットに出そうとしてる。立ち読みとか。ネットにある情報が全てじゃないのは確か。もっと過去のもの、書籍のデータとかも出てくると面白いと思う。プロジェクト杉田玄白とか、青空文庫とか。でも難しいのは雑誌で、雑誌からネットに来た流れはもう戻らないんじゃないか。ネットとちゃんとした本があればいい?その中間はR25?

斎藤:R25じゃできないこともたくさんある。

仲俣:mixiのコミュニティが雑誌の代わりをしてる。編集を介さずに情報が出てくる。

鈴木:知りたいことがあって検索するなら2ちゃんでもmixiでもいい。僕が考えていたのは総合誌的なもの。文藝春秋でも世界でもいいし、週刊朝日とかサンデー毎日でもいい。あれって何か知りたくて買ってるわけじゃなくって、習慣で買ってただけ。

仲俣:習慣って大きい。昔は週刊誌だったのかもしれない。

鈴木:今だとRSSリーダーとかメールチェックとか。やっぱ2ちゃんとか雑誌に一番インパクトあったんじゃないか。雑誌買わなくなったなあ。昔はすごいお金使ってた。その辺の支出の家計簿をチェックしてみると面白いかも。昔雑誌に使ってたお金と、今ネットに払ってるお金を天秤にかけてみるといいかも。

山形:雑誌の方も悪くて、2ちゃんで何があったとかそんなの載せてればネットに負けるのは当然。だったらネット見てるよ。


鈴木:メール、ネットというのは基本的にインフォメーションツール。コミュニケーションには向いてない。自分を表現するのに疲れてる。コミュニケーション疲れもそういうこと。言いっぱなしの2ちゃんの方が付き合いやすい。
メール、mixiユーザー、正直面白くない。昔日記サイトの時代にやってた。デートの話とかライブの話とか自分語りの世界。更新が滞ってフェードアウト。今のmixiもそういう感じなんじゃ。ブログとミクシィの使い分け。ミクシィには自分語りでコメントがつきやすい、ブログは論文のメモとか客観性を重視するものが残る。
本音と建て前?

山形:自分を表現するところとして棲み分けまでいってるか分からないけども、面白い考え方。メディアとしての特性がはっきり出てくるとそれぞれの長所が出てくるかも。

鈴木:ホンネ、2ちゃん的な差別も含むもの、mixi的な「私だってホントはつらいんだ」みたいなベタベタしたもの。会社の愚痴とか。今の雰囲気って本音と建て前を使い分けずに、ホンネこそ偉いんだ、亀田戦のアンケートとか見てみろ!みたいになってる。市民的な建前はウソだから気にしなくていい、みたいな。建前には建前の意味がある。

山形:2ちゃんのホンネってそもそもホンネなのか。世間的に眉をひそめられることを言うのがかっこいい、周りもみんな言ってるし。そういう言わされてる感じ。空気読んでるだけ。2ちゃんだってmixiだってホンネじゃないかも。

斎藤:2ちゃん、ホンネのように見える。

山形:規制は少ないから。

斎藤:小田島大、ジャンクがあるからこそそこに何か宝がある気がする。

鈴木:ジャンクにホンネが光ってる。僕はディープな2ちゃんねらー、mixiの2ちゃんコミュニティの管理人は僕。2ちゃん経由の友達もたくさん。よく考えたら2ちゃんでも一晩中ガンダムとか音楽とかくだらない話してた。mixiのコミュニティに近い、コミュニケーションしてた。みんな何板、何スレ?

斎藤:大学受験板を・・・

鈴木:仕事じゃないすかw

斎藤:なかなか和気藹々としてていいよ。励まし合ってる。

鈴木:受験シーズンは殺伐としない?

斎藤:あまり攻撃的な感じはない。

仲俣:最初、2000年代の初め頃は社会学板とかいくとあまり知名度のない人の話題でも濃厚にあって、読者や編集者の立場だと面白い。少部数雑誌みたいな感じて見てた。最近は見なくなった。

鈴木:なんで?

仲俣:忙しくなって。

山形:さっき一晩中見てたって言ってたじゃん

仲俣:あれはもう大分前の話。見始めるとやめられなくなる。ジャンクの中の宝を探してる訳じゃなくて、ジャンクが楽しい。

山形:俺が言うと荒れそう。

鈴木:いまここで言うと、そこに降臨したやまがたさんは本物ってことにw

山形:板としてみるのはニュー速、ビジネスニュース速報、芸能速報はタイトルだけ。あとは痛いニュースとかまとめサイト見るのが楽。

鈴木:あれは2ちゃんねるの最後の良心だよね。

仲俣:そうだよねー。

鈴木:僕らが昔見てた雰囲気はもうVIPにしか残ってない。でもホントくだらなくて腹抱えて笑う。妹がどーしたとかwあとレゴ作ったりして、それが無駄に完成度高くて、他にすることあるだろお前の人生、みたいな。

山形:いやないないwないからやってるんだから。

鈴木:思い出のスレッド。「村上春樹的みずほ銀行」。これは名作。プログラマーの悲哀を村上春樹コピペで延々続ける。アレを超える名スレは俺の中で存在しない。

斎藤:チャーリーはどこを見るの?

鈴木:いま全然見ないなあ。まとめサイトが多い。

山形:みんなmixiも2ちゃんもやってないし、何の番組だよ!w

鈴木:2ちゃんそのものを見ることはないな。検索に引っかかって芸能系を見るくらい。ネタスレを探して張り付くとか言うのもないなあ。まとめで見れば煽りレスとかも抜かれてるし、読んでて爆笑してられる。一時期VIP系まとめだけでRSSリーダーに5、6本入ってた。

山形:あったねーそういう時代が。

斎藤:いまの大学生はそういうのやってない?

鈴木:2ちゃんを見てる奴があんまりいない。見てる奴は昔から見てる。2000年くらいから見てる奴がいっしょに年を取ってるだけ。新規に増えてる感じはない。見たことがあるって奴は増えた。ギャルが送ってるメールの言葉が、知らずに2ちゃん語になってたりはする。横に薄く広がった。見てる奴はネットのことは何でも詳しい。

山形:いまだに2ちゃんねらーだというのは社会的にいいことだとは思われてないでしょ。

鈴木:でも昔ほどカミングアウトするのがまずくなくなってないですか。電車男以降。むかしは某匿名掲示板。昔だったら2ちゃんねる対ミクシィなんてタイトルにできなかったでしょ。わかんないけど。時代は変わったなあ。

斎藤:電車男でも、表紙には2ちゃんねるって単語は出てこないんだよね。

鈴木:それはライツ系の問題?ともあれ市民権を得た気はする。でも意外にもうみんな使ってないかも。ネットって文化自体が、今の30代、40代と一緒に年を取っていって、下の世代はもう携帯しか見てない、みたいになっていくのかなあって。

斎藤:山形さんと鈴木健のインターコミュニケーションの対談。新しいのがいっぱい出てきてる。

山形:セカンドライフとか、グモンジとか。

鈴木:セカンドライフって3Dのサイバー空間でモノを売り買いできる。アメリカで大ヒット、日本でも今度スタートする。あれって流行るの?

山形:日本ではどうかなあ。またたぶん一部賑やかな人が入って一瞬盛り上がるんじゃない。

鈴木:で、しばらくして「セカンドライフも最近ダメになったねー」とか言い出してw

山形:当然wちなみにエコノミスト読んでたらセカンドライフにはまってるというアメリカ人のインタビューが出てたけど、お前がこのねーちゃんの顔を持っているというのは詐欺だろう、ってのがwwwこういうのがたくさん出てくるとみんな嫌になるに違いない。

鈴木:はてな顔出し、orkut、はじめて日本で、ネットで顔写真を晒していいんだブーム。SNSがはやる直前。あの時の感想を聞きたい。2ちゃんのオフ会。「みんな普通の人ばっかりだねー」って感想。ネットが普及したから。でもそれがわからなくって、写真を晒した瞬間に、みんな普通だっていうのが分かって安心した。それがSNSの原動力になった。お前それ違うだろう、ってのじゃなく、とびきり美人でもかっこよくもないけど、こういう人が書いてるなら安心できる、っていうものだったんじゃないか。出会い系ちっくに使ってたわけじゃない?

鈴木:メール、日本ってどうして匿名を使用する人が多い?アメリカは匿名少ないの?

山形:ときどき言われる。裏付けがあるかどうかは知らない。もしほんとだとしたら、自分を出す教育があるからないから、って話にはできるけど。

鈴木:ふたつくらい気になることがあって、ひとつは文化論ちっくな話。日本の場合、人の名前、本名を呼ぶことがタブー。本名いっちゃうと言霊で魂を抜かれて、みたいな。あだ名も。もうひとつ、匿名だから信用できない問題。ダン・ギルモアと話したときのこと。コメント付けてくる奴が名乗ったプロフィールがウソついてたらどうするんだよ、という話。ギルモアいわく、そいつが名乗った以上は信頼する、と。それがすごいな。匿名・非匿名以前に、人を信頼するって文化がある。日本人は名乗ったくらいじゃ人を信頼しない。ビジネスなら肩書き、コミュニケーションなら話して気が合いそうとか。名前、プロフィールと結びついてないんじゃないか。人を信用する基準が匿名・実名以前に全然違う。匿名だから信頼できないって思ったことあります?

仲俣:そんなことはあり得ないよね。ただネットじゃなければ、初対面の人でも表情とか言動で判断できる。ネットの場合、言ってるこいつが全部同じ奴なのとかアイデンティティ問題。あと名前の後に@に続けて会社名入れる文化とか。実社会のルールをネットに持ち込んでたのは日本。そういうのがなくなって不安。「やまがた」だけで信頼できるか。

鈴木:こういうことを言う「やまがた」はきっと本物だとかで判断されちゃう。

山形:そうでもなくて最近ニセモノの偉い奴がたくさん出てきて頼もしい。

鈴木:そっくりさんが出てきてるんですか。

山形:僕とそっくりのことを言うのはそんなに難しくない。今度どっかにコツを書いておきます。

鈴木:やまがた増殖w「やまがた」が一つのジャンルになっちゃってねw

山形:「最近やまがたが増えて困る」とか社会問題化してねw

斎藤:暴走族みたいなw

鈴木:最後にメール、山形さんをゲストに迎えるのは怖くなかったですか?和気藹々と話せましたよね山形さん?

山形:まあ抑えておきました。

鈴木:あとはネットに書いてくださいw



プロデューサー長谷川から

Podcastだけじゃなくて、リアルタイムでネットで聴けるようになる。次回は「モテる技術」の文化論。

パソコンで中継を聴く場合、曲は聴けない。AM954が入る関東周辺の方は、ラジオで聴いて欲しい。

番組で、名刺サイズのAMラジオを30台用意。住所・氏名・年齢・番組の感想を書いて、12/10までに送って。当選者には12/11に連絡。12/16は聴集率調査週間で、番組でもリクエストとかかけるので是非ラジオで聴いて欲しい。



外部リンク


2006年12月09日(土) 08:15:38 Modified by life_wiki




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