当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

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高校現代文のキーワードみたいな話。

A.「物語」

 高校現代文では、よく「神話」と「物語」という言葉が出てくると思います。
 この二語の意味についての筆者なりの理解を記しますと、いずれも、「理由説明の体系」のことを指すと考えております。「物語」は基本的にはより広い概念で、「神話」はこれに包含されます。

 太陽は、東から登って西に沈みます。これはなぜなんでしょうか。世界各地には様々な神話があり、それぞれの神話なりの説明があります。筆者は神話自体には詳しくないのでよく分からないですが、日本神話だったら天照大神がどうしたみたいな説明をするのでしょう。ギリシャ神話だったら、太陽の神ヘリオスが云々みたいな説明をするのでしょう。
 他のことについても同じです。なぜ雨が降るのか、なぜ雷が鳴るのか、なぜ今年は飢饉になったのか…。
 このように、人間が見聞きする様々な事象の理由や因果を説明する体系の一つが、神話です。
 このような体系は、神話以外にもあります。例えば宗教にもこういう体系はあります。なぜ太陽が昇るのか、なぜ雨が降るのか、キリスト教や神道にはそれぞれ何らかの説明の体系があることでしょう。
 科学もその一つです。太陽がなぜ東から登って西に沈むのか。太陽系という恒星系があって、地球はその恒星系の中の一つの惑星で、地球は東回りに自転しているから…みたいなのが科学の説明になるでしょう。
 こういった説明の体系をひっくるめて「物語」ということがあります。そういう意味で、神話は物語に包含されるのです。ただ、「物語」といった場合、科学を除く「非科学的」な体系のみをさす場合もあるので、この点は注意が必要です。
 こういった説明は、必ずしも体系立つほどの量が必要なわけではありません。一つの事象について為された単発的な説明も、それはそれで物語です。セミはなぜ鳴くのか、ラクダにはなぜコブがあるのか。例えばこういう疑問を子供にぶつけてみれば、彼らは彼らが自分なりに考えた理由を言ってきます。「セミはお母さんを呼んでいるんだ」「ラクダは病気であんな大きなコブを持っているんだ」。これらは、体系だった説明ではありませんが、一応物語の範疇には入ります。

 このように、科学も基本的には神話と同レベルのものなのです。ただ、科学が、今のところこの世の事象に対する説明として致命的な矛盾を来すに至っていないというだけに過ぎません。神話や宗教は、基本的には土地土地に根差したものなので、その土地で観察できる事象の説明しかしていません。そうなると、その土地では起きない事象が出てきたときに、それが説明できなくなってしまうということが往々にして出てきます。だから、結局フィクションという評価を受けるに至ったわけです。

B.科学の手法

 これも言い古された言説ですが、科学が事象の理由を解明するに当たりどのような手法を用いているか、というお話です。
 ある事象はなぜ起きるのか。科学では、「理由aがあるから事象Aは起きるのではないか」という仮説を立てます。
 次に、この仮説の正しさを検証するわけですが、ここで理由aがある状況を再現してみるわけです。この再現を何度も何度も繰り返し、事象Aが起きるかどうかを調べます。これがしばしば「実験」と呼ばれる過程です。当然ながら、実際の実験では、理由aを生ぜしめてみても、事象Aが起きない場合や、起きる場合の両方が出てきます。ただ、理由aを再現した時に事象Aが一定の高い確率で起きるならば、この仮説は正しいとしてしまうのが通常の科学です。この確率をどの程度の値にするかは、分野や文脈によって異なります。
 科学はそういう意味で、最後の最後のところに妥協があるわけです。この妥協は、理由aを生ぜしめたときに事象Aが起きなかったという仮説に反する実験例を無視し、仮説に与する実験例を抜き出すという二つの行程から成っていますが、しばしば前者の無視の過程を「捨象」、後者の過程を「抽象」と呼んでいます。
 そういう一定程度フィクショナルな部分があるところが科学の弱点だと言われております。

C.冥王星とセーラームーン

 冥王星や惑星に依拠した「物語」は結構多いかと思います。「火星と冥王星の位置関係がどうたら…」みたいな占いなりお話なりの理由説明の体系はあったかと思います。これも、物語の一種です。
 ところが、冥王星を火星や金星と同等の存在と扱ってきたのは、他ならぬ科学です。その科学が、冥王星を惑星と認めないとの軌道修正をしたことで、この科学の過去の知見に依拠していた他の物語たちは、少なからず動揺しました。
 そもそも物語を標榜するからには、あまり科学の知見に依拠せずに全てを一から考えるほどの気概が欲しいと思っています。科学の知見に頼るから、科学がますます幅を利かせてしまうのです。

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