当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2017年6月25日放映のアメトーークを見た。テーマは「動物研究会」である。

 アンタの柴田がいたので、リチャードホールのパンダPみたいなおもしろい話(の、新作)が聞けるのではないかと期待していた。そうはならなかったとしても、筆者自身も動物は好きなので、最低限見てはいられる出来になるだろうとは思っていた。

 蓋を開けてみれば、本当に見てはいられる最低限の仕上がりでしかなかったのが悲しかった。
 柴田の動物トークはそんなに笑いに特化していたわけでもなく、おもしろかったのも既出のアリクイの話だけだった。
 あとのメンバーから出てくる話も基本的に「ファニー」ではなく「インタレスティング」に特化していた印象である。ただ、動物をテーマに「インタレスティング」な番組を作るのであれば、それこそナショナルジオグラフィックみたいな海外のドキュメンタリーやNHKの「ダーウィンが来た」にかなうわけがない。いずれの番組も、現地で長期間かけて取材(=自然界で生きる動物の撮影)をしている。その画力(えぢから)と比べたら、芸人のトーク術で伝えられることなんぞ高が知れている。これは、芸人やトークが悪いと言っているのではなく、動物で視聴者の知的興味を引くのであれば時間と手間(と、あと金)をかけて動物の映像をたくさん撮ってくるのが一番いいということを言っているに過ぎない。動物の映像そのものを見せられた方が、「その動物についての話(トーク)を聞く」という間接化された形で情報を受容するより何倍も訴求力があって分かりやすいのは自明の理だろう。アメトーークという番組のスタイルが今回のテーマに向いていないというだけである。
 それは番組側も把握していたのか、オンエアでは何度もナショナルジオグラフィックの映像が使われていた。ただこれは自ら自分のフォーマットの負けを宣言するようなものなので、かっこ悪いことこの上ない。

 まあ、パンダPのネタみたいに「ファニー」に特化できないのであれば、やっちゃいかんテーマだと思う。訴求力を重視して現地で撮った映像中心の構成にしたり、志村どうぶつ園みたいにスタジオに実際の動物を連れてきたりすれば、それはもはやアメトーークではない。森泉のペットのナマケモノがスタジオで可愛がられている瞬間に宮迫が「これ何の番組?」と吐露したのが全てを現している。二度目は、もっと考えた方がいい。トークがこれらの映像に勝てる部分があるのであれば、筆者も是非この目で見てみたい。

 ここからは少し蛇足であるが、動物を扱うのであればやっぱりナショナルジオグラフィックや「ダーウィンが来た」みたいな時間と手間と金をかけたドキュメンタリーが一番向いている。今の日本だと、NHK以外にはあんなに金のかかるドキュメンタリーは難しいらしい。数字も、かける金に見合うほどのものはとれないのだろう。
 ただ、一つだけ言えることがある。この手のドキュメンタリーに関しては現地で撮った映像をきちんと編集して出せばそれだけでかなりちゃんとしたものになるので、「演者」で必要なのは、ナレーター一人ぐらいである。スタジオ部分や余計な芸能人は要らない。彼らの薄っぺらい感想を聞いても特にこちらの知的興味は満たされないので、テンポを阻害しているだけなのである。
 民放がこの手のVTR中心のドキュメンタリーを作るとどうしても余計なスタジオ部分や芸能人が登場する(「世界仰天ニュース」や「まる見え」や「アンビリーバボー」を想像してもらえればあまり間違いはない。そして、NHKにもそういう番組は結構ある)が、これを全部リストラしてギャラを浮かせれば、ある程度金は生まれると思っている(取材にかかる膨大な制作費と比べればほんの雀の涙なのかもしれないが、余計なところは切って本当に必要な部分に金を回そうという発想が大事である)。

 できないとすれば、芸能事務所が癌なのだろう。あるいは、忖度しすぎる制作側も悪いのかもしれない。

 ままならんものである。

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