2018年3月3日放映のめちゃイケを見た。メンバーの芸人6組（ナイナイ・極楽とんぼ・よゐこ・オアシズ・ジャルジャル・たんぽぽ）にネタをやってもらうという企画である。
色々と言いたいことをなんとかかんとか抑え込んで、まずは各ネタの寸評から記す。
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山本の「動き」と2人の「喧嘩」という極楽の笑いの中核を全面的に押し出してきたネタである。ただ4分という短いネタ時間では事前に作った台本通りのものしかできないだろう。加藤も山本と同じ動きで合わせてきていたが、それができるのは台本通りのことしかやっていないからである。そして、それでも笑いが起きるのは、2人とも顔が売れているからである。
VTRに出てきた品川庄司も言っていた通り、山本の「動き」も2人の「喧嘩」ももっと長い時間泳がせて、アドリブでの細かいバリエーションを出させることでどんどんおもしろくなる。「油谷さん」なんかを見れば分かりやすいだろう。わざわざネタというフォーマットに閉じ込めてつまらなくする必要はない。
�▲�アシズ
2人の老いとブスを題材にした、ある種古典的な漫才だった。今いくよ・くるよみたいな貫禄が出ていたが、もっと声を大きくして派手にやった方がいいかも。
��よゐこ
「こんなロボットはいやだ」という大喜利をロボットの画像を使いながらひたすら重ねていくネタ。画像を使った大喜利という意味では陣内のネタっぽくもあったが、ひたすらスポンサーの広告がロボットに乗っかっていくだけで大喜利の回答自体にあまり深みや意外性がなかった。
子供にウケるのは、大喜利の内容が単純だからである。そこをターゲットにするのであればそれでいいんだろうが、筆者としてはもっとひねりが欲しい。
あと、やっぱり2人とも芝居が下手である。
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「万引きGメンの講習」という設定で、福徳が講師役、後藤が生徒役である。福徳が「万引きは顔で分かる」と言い出して後藤に次々と顔写真を見せ、万引きかどうかを判定させる授業を行うものの、後藤は福徳の身内の写真の時に限って「万引きだ」と言ってしまうというネタである。
まず、後藤のボケが基本的に上記のものばかりでバリエーションが少なく、飽きが早く来てしまう。それから福徳の怒る芝居に迫真性があんまりないので、ツッコミとしての機能が低い。
福徳が後藤に見せている写真を（よゐこが使っていた画面に表示するなどして）こちらにも分かるように見せて欲しいのだが、それだと違う種類の笑いが起きてしまうので考えどこである。「福徳の身内の写真」として説得力のあるもの（福徳に絶妙に似た顔の老若男女の写真）を用意するのも結構な手間だろうし。ただ、こっちは後藤が実際に見ている写真の顔がどんなものかが気になっていまいちネタ自体に集中できないのも確かなので、どっちに転んでも難点の残る扱いづらいネタである。
本当に優勝しにいくんだったらもっと違うやつをやった方が良かったと思うが、何かしらの見えない力が働いてあのネタになった可能性もあるのでこれ以上は言わない。
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テツトモの完全なるパクリであった。
矢部の動きにキレがない。岡村のギターも上手くはないのだが、それは笑いに昇華できていた。矢部のどんくさい動きはそういう感じでもなく、ただただ痛々しかった。
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2人でやりだしたドラマが最終的に明後日の方向に行ったまま帰ってこないというようなネタなのだが、最初に打ち上げたボールの弾道がただただ逸れていくだけのこの種のネタ（ボーボボのようなネタ）は個人的に苦手である。ただ2人とも会場が温まったタイミングでよく動けていたので、ウケてはいた。
<総評>
大事なことなのでもう一度言う。
「ネタ」という手法は、お笑いの手法の中でも「つまらない」部類に入る。確実に、下から数えた方が早い位置にいる。
その理由も極めて論理的に説明できる。
・「今からおもしろいことをやる」ということが客に伝わってしまうので、無駄にハードルを上げてしまう
・（特に現代のネタは）アドリブというものが入る余地が極めて少ないうえに天然による失敗も忌避されるので、展開も笑いも想像の範疇を超えてこない
・登場人物がネタをやる芸人だけ（多くて3〜4人）なので表現にも限界がある
それなのに、なぜ今更ネタなのか。
めちゃイケというお化け番組が、終了目前にでかい花火を打ち上げようとしている中で、なぜ今更ネタなのか。
誰かきちんと説明してほしい。
今はもうテレビでほとんどネタをやらないオリジナルメンバーの面々にネタをやらせたら、そのおもしろさを客の投票で競わせたらM-1みたいでおもしろいんじゃないかという単純な発想で生まれてしまった企画としか思えない。それは、パクリというのである。M-1の、パクリである。おもしろい頃のめちゃイケには、企画会議で「そんなことだけじゃおもしろくないだろ」と反対する作り手がいたはずである。今は、もう、「M-1をパクればそれなりに撮れ高はある」というところで思考停止してしまうような人しかいないのだろう。
筆者が唯一期待していたのは「ナイナイのネタをちゃんと見られる」という一点だけであったが、ナイナイはテツトモをパクってその反則で笑いをとるという方向に逃げてしまった。誰の差し金でそういう形になったのかは分からないが、唯一の期待さえ打ち砕いてくる隙のなさには開いた口が塞がらない。「ナイナイのネタ」で見たことがあるのはマジで岡村が身長を誤魔化すクダリだけので、1回でいいから、4分でいいからナイナイのネタをきちんと見てみたいのである。ここまでに頑なにやらないとなると、多分そんなにおもしろくはないのだろうが、それを確認したいのである。別にネタがおもしろくないことが悪いと言いたいわけではない。ネタは前述の通り「つまらない」方の手法なので、ナイナイがおもしろいネタをできないのは全然構わないことである。ナイナイはもっと違った形でおもしろさを出せる芸人なので、そちらに注力してくれればいい。
めちゃイケは、ネタという手法の悪い部分を極力排することで天下をとった番組だったはずである。実際には台本のあるコントを台本のないアドリブの展開（＝ドキュメンタリー）のように撮ることで油断している視聴者に奇襲を仕掛けた。編集に力を入れ、つまらないクダリは切ってくれるという安心感を与えることで演者のアドリブや天然をどんどん引き出していった。そのドキュメンタリーコントを、大勢の演者で作り上げた。そのめちゃイケが今まで確立した手法をすべて放逐して今更つまらないやり方に還るというのは全く合点がいかない。
番組の最後の最後にネタ披露の会場が仙台であり、今回の企画もめちゃイケがこれまで力を入れてきた東日本大震災の被災地支援の一環だったことが暴露されていたが、それだって「東北支援」を利用して中身のおもしろくなさを誤魔化しているような気がしてしまい、卑怯だと思った。
なんかやっぱり、悪口だとたくさん出るなあ。
色々と言いたいことをなんとかかんとか抑え込んで、まずは各ネタの寸評から記す。
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山本の「動き」と2人の「喧嘩」という極楽の笑いの中核を全面的に押し出してきたネタである。ただ4分という短いネタ時間では事前に作った台本通りのものしかできないだろう。加藤も山本と同じ動きで合わせてきていたが、それができるのは台本通りのことしかやっていないからである。そして、それでも笑いが起きるのは、2人とも顔が売れているからである。
VTRに出てきた品川庄司も言っていた通り、山本の「動き」も2人の「喧嘩」ももっと長い時間泳がせて、アドリブでの細かいバリエーションを出させることでどんどんおもしろくなる。「油谷さん」なんかを見れば分かりやすいだろう。わざわざネタというフォーマットに閉じ込めてつまらなくする必要はない。
�▲�アシズ
2人の老いとブスを題材にした、ある種古典的な漫才だった。今いくよ・くるよみたいな貫禄が出ていたが、もっと声を大きくして派手にやった方がいいかも。
��よゐこ
「こんなロボットはいやだ」という大喜利をロボットの画像を使いながらひたすら重ねていくネタ。画像を使った大喜利という意味では陣内のネタっぽくもあったが、ひたすらスポンサーの広告がロボットに乗っかっていくだけで大喜利の回答自体にあまり深みや意外性がなかった。
子供にウケるのは、大喜利の内容が単純だからである。そこをターゲットにするのであればそれでいいんだろうが、筆者としてはもっとひねりが欲しい。
あと、やっぱり2人とも芝居が下手である。
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「万引きGメンの講習」という設定で、福徳が講師役、後藤が生徒役である。福徳が「万引きは顔で分かる」と言い出して後藤に次々と顔写真を見せ、万引きかどうかを判定させる授業を行うものの、後藤は福徳の身内の写真の時に限って「万引きだ」と言ってしまうというネタである。
まず、後藤のボケが基本的に上記のものばかりでバリエーションが少なく、飽きが早く来てしまう。それから福徳の怒る芝居に迫真性があんまりないので、ツッコミとしての機能が低い。
福徳が後藤に見せている写真を（よゐこが使っていた画面に表示するなどして）こちらにも分かるように見せて欲しいのだが、それだと違う種類の笑いが起きてしまうので考えどこである。「福徳の身内の写真」として説得力のあるもの（福徳に絶妙に似た顔の老若男女の写真）を用意するのも結構な手間だろうし。ただ、こっちは後藤が実際に見ている写真の顔がどんなものかが気になっていまいちネタ自体に集中できないのも確かなので、どっちに転んでも難点の残る扱いづらいネタである。
本当に優勝しにいくんだったらもっと違うやつをやった方が良かったと思うが、何かしらの見えない力が働いてあのネタになった可能性もあるのでこれ以上は言わない。
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テツトモの完全なるパクリであった。
矢部の動きにキレがない。岡村のギターも上手くはないのだが、それは笑いに昇華できていた。矢部のどんくさい動きはそういう感じでもなく、ただただ痛々しかった。
�Δ燭鵑櫃�
2人でやりだしたドラマが最終的に明後日の方向に行ったまま帰ってこないというようなネタなのだが、最初に打ち上げたボールの弾道がただただ逸れていくだけのこの種のネタ（ボーボボのようなネタ）は個人的に苦手である。ただ2人とも会場が温まったタイミングでよく動けていたので、ウケてはいた。
<総評>
大事なことなのでもう一度言う。
「ネタ」という手法は、お笑いの手法の中でも「つまらない」部類に入る。確実に、下から数えた方が早い位置にいる。
その理由も極めて論理的に説明できる。
・「今からおもしろいことをやる」ということが客に伝わってしまうので、無駄にハードルを上げてしまう
・（特に現代のネタは）アドリブというものが入る余地が極めて少ないうえに天然による失敗も忌避されるので、展開も笑いも想像の範疇を超えてこない
・登場人物がネタをやる芸人だけ（多くて3〜4人）なので表現にも限界がある
それなのに、なぜ今更ネタなのか。
めちゃイケというお化け番組が、終了目前にでかい花火を打ち上げようとしている中で、なぜ今更ネタなのか。
誰かきちんと説明してほしい。
今はもうテレビでほとんどネタをやらないオリジナルメンバーの面々にネタをやらせたら、そのおもしろさを客の投票で競わせたらM-1みたいでおもしろいんじゃないかという単純な発想で生まれてしまった企画としか思えない。それは、パクリというのである。M-1の、パクリである。おもしろい頃のめちゃイケには、企画会議で「そんなことだけじゃおもしろくないだろ」と反対する作り手がいたはずである。今は、もう、「M-1をパクればそれなりに撮れ高はある」というところで思考停止してしまうような人しかいないのだろう。
筆者が唯一期待していたのは「ナイナイのネタをちゃんと見られる」という一点だけであったが、ナイナイはテツトモをパクってその反則で笑いをとるという方向に逃げてしまった。誰の差し金でそういう形になったのかは分からないが、唯一の期待さえ打ち砕いてくる隙のなさには開いた口が塞がらない。「ナイナイのネタ」で見たことがあるのはマジで岡村が身長を誤魔化すクダリだけので、1回でいいから、4分でいいからナイナイのネタをきちんと見てみたいのである。ここまでに頑なにやらないとなると、多分そんなにおもしろくはないのだろうが、それを確認したいのである。別にネタがおもしろくないことが悪いと言いたいわけではない。ネタは前述の通り「つまらない」方の手法なので、ナイナイがおもしろいネタをできないのは全然構わないことである。ナイナイはもっと違った形でおもしろさを出せる芸人なので、そちらに注力してくれればいい。
めちゃイケは、ネタという手法の悪い部分を極力排することで天下をとった番組だったはずである。実際には台本のあるコントを台本のないアドリブの展開（＝ドキュメンタリー）のように撮ることで油断している視聴者に奇襲を仕掛けた。編集に力を入れ、つまらないクダリは切ってくれるという安心感を与えることで演者のアドリブや天然をどんどん引き出していった。そのドキュメンタリーコントを、大勢の演者で作り上げた。そのめちゃイケが今まで確立した手法をすべて放逐して今更つまらないやり方に還るというのは全く合点がいかない。
番組の最後の最後にネタ披露の会場が仙台であり、今回の企画もめちゃイケがこれまで力を入れてきた東日本大震災の被災地支援の一環だったことが暴露されていたが、それだって「東北支援」を利用して中身のおもしろくなさを誤魔化しているような気がしてしまい、卑怯だと思った。
なんかやっぱり、悪口だとたくさん出るなあ。
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