2011年7月16日。
Amputee キャバレー『切断女の夜』というイベントが新宿であり、行ってきましたよ・・・

そもそも、新宿と言う街がありとあらゆるマイノリティーを受け入れてくれる混沌の街。
椎名林檎だって「新宿系」とか言ってたしね。



開会の15分ぐらい前に来たら、既にこの行列。

会場の収容客数は40人。
それで先着40人で募集していた所、結局立ち見と言うことで70人まで入れることにしたという。
それでも同企画の公式ツイッターアカウントでは、「もう〆切になっちゃったんですか。次は行きたいです」という書き込みが殺到していた。
そして、会場側は「こんなに早く会場が埋まるイベントはここ最近ない」という。
このイベントの盛況ぶりが推して知られようというもの。

自分のようなあからさまな変態ばかりかと思ったらさにあらず。
むしろ普通におしゃれな若い女が多くないか?

で、オリジナルカクテル「切り株」だと。
amputee devoteeの世界では「stump」(切り株)という用語はよく出て来る。つまりは断端のこと。


本日のamputeeキャバレーのキャバ嬢ホステスさん達。
GIMICOさん、カタヤマリさん、須川まきこさん、オリモマサミさん。


しかしGIMICOさんの頭の上の足は何でしょうか。
まるでNHKの朝ドラ「ふたりっ子」に出て来たオーロラ輝子の頭の上の通天閣ではないか。

GIMICOさんの頭上に聳える美脚は、さながらオーロラGIMICO

冒頭はカタヤマリちゃんの挨拶で始まる。
現在美術系の大学院で卒業制作に忙しい彼女は、中学校か高校の頃からホームページを作成し、日本のamputee(devotee)界を「女神」の立場で代表してきたと言っても過言ではない。


司会はマーガレットさんで、ドラッグクイーンだと言う。
ドラッグクイーンと言うのは、薬物をキメている女王という意味ではないようで、要は新宿2丁目界隈にいるような種の方らしい。
そしてこの人もまた、devotee。


第1部は義足に関するトーク。
バンド「Shampoo」でボーカルを務めるオリモマサミさんの右足はインテリジェント義足。
「マイコンが入っていて、歩くスピードが変わっても対応できるんです」
マーガレットさんは「電気釜にもマイコンが入っているものね」

GIMICOさん「私とオリモさんは片足だけだけど、カタマリちゃんは両足だから足の長さが変えられるのよね」
カタヤマリちゃん「両足義足の場合は『基準身長』と言うのがあって、両手を広げた時の長さがその身長です。私の場合、ただでさえ身長高いのに、今日は10センチのヒール履いてるから、190cm超えてるんです」

しかし、義足の膝を逆に曲げて解説するシュールな光景・・・


そして、本日はイケメンのボーイも2名手伝いに来ていて、2人とも義足を使っている。
そしてまたこの柔軟性。


快調にオーロラGIMICOっぷりを発揮しているGIMICOさんであるが、後日のオリモさんによれば、
思えばこの人の頭の上の足から身を守るというのが常に意識の20%くらいを占めていました
だと。


そして第1部が終わり、しばしのフリータイム。
このamputeeキャバレーは、「義足に限りおさわり自由


で、第2部。

何やら真面目にパワーポイントで説明である。
講師は、鉄道弘済会義肢装具サポートセンターの義肢装具師・臼井二美男さん。
パラリンピックアスリートの義肢製作にも携わる義肢職人である。


この臼井さんが、この手のイベントに出られる、と言うことに対しては、非常に深い感慨を覚える。
昔から、「夢人島」はじめ、amputeeサポートのページはdevotee共に対する警戒心を隠さないで来た。
かたやdevoteeの方も、ある程度心の中に「自分は不謹慎な趣味をやっている」という意識を持ちながら、地下潜行裡にこの趣味を続けて来た所はあるはずである。

アテネや北京のパラリンピックに出場された下腿義足のアスリート・佐藤真海さんのブログ2005年4月30日のエントリに臼井さんが残されたコメントは、
それはさておき忠告があります。添付してる画像のサイズが立派過ぎますよ、あまり画像がよいと他で転用される危険があります。いつものケータイ画像サイズくらいにして下さい。XPのプログラム、アクセサリーのソフトのペイント、で簡単にサイズ変更出来ますから今度、職場の達者な人に教えてもらって下さい。必ずですよ。
Posted by usuE at 2005年05月01日 00:09
著作権を守ることは当然のこととして、これはdevoteeの存在が念頭にあってのものだったであろう。
それから6年が経過した。
こういうイベントに出てもらえると言うだけでも、隔世の感を感じる。

一部のdevoteeは、「欧米ではdevoteeに対する理解がある」みたいな言い方もする。
実際にアメリカで「miss amputee」という企画があったりはするようだが、それでもアメリカのamputeeサポートページのトップに、「いわゆるdevoteeに告ぐ」みたいな注意書きがあったりする。



やはり障害者サポートの立場からすると、devoteeは洋の東西を問わず「警戒すべき存在」であることには変わりないだろう。

カタヤマリちゃんの冒頭の挨拶でも、
「devoteeの方にお会いした事は何度かあるが、みな穏やかな社会人で、『なんでこんな普通な方が鬼畜なことを考えてるんだろう』と思った」
という。

やはり、devoteeは誰がどう見ても「鬼畜」であることを、常に心にセットしておいた方がいいということであろう。

それはともかく、臼井さんによる須川まきこさんの股義足の説明。

股義足なので、スポッとはめるソケットが存在しない。
それで、股関節を巻くようにして義足を固定するわけだが、それだと体の線が出るようなドレスアップの時に、いかにも股義足と言うようなごついラインが出てしまう。
これまでは、それも仕方ないものと諦めて来たところ、臼井さんの話を聞き、是非ドレスアップしても響かないソケットを作って欲しいと頼み、それを実現させたというのである。
その悩みの深さは、タイトスカートやパンツスーツのパン線がひびくことの比ではなかったであろう。

ところで、司会のマーガレットさんなのであるが、このように脇と背中は丸出しなのである。

その姿は、さながらマサカリ担いだ金太郎

かくて第3部。
キャバ嬢ホステスさん達の歌や踊りのパフォーマンスである。

まずはカタヤマリちゃんの歌。
アメリカで、杖をつきながら歌っていたことで知られると言うジャズシンガーのナンバー。
マリちゃんの歌声は、なかなかどうしてパワフルで伸びがある。歌姫に手足は必要ない

歌姫に手足は必要ない
大切なことなので、2度言いました。

そして「Shampoo」のボーカル・オリモマサミさんのライブ。
「ラ・ゴエモン」。ゴエモンとは五右衛門風呂のことではなくてフランス語で「海藻」だと。
何と言うか・・・映画で見るような場末のショーパブのけだるさと言うんでしょうか。
急にバーボンとかカクテルが飲みたくなった。普段は焼酎派なんだけど。
ちなみにオリモさん御自身はアルコールは飲まない人のようだ。それでカクテル「切り株」もノンアルコールで頼んでいた。


さて、この狭い小屋の人口密度が分かっていただけようか。
ホステスに御馳走してあげたかったけど、人が動くこと自体が難儀な状態で、それも無理だった。


そして、オリモさんと言えば「Leg Two」という、義足に弦楽器を付けた世界唯一という楽器。

何とも不思議な音色である。不思議としか言いようがない。
実際にShampooのライブに行って聞いてみてほしいところ。
ところで、このLeg Twoは義足屋さんが作るんでしょうか?楽器屋さんが作るんでしょうか?

そしてオリモさんが歌っていると、他3人が狭いテーブル上で絡みだす。

この場面が、今日の出演者4名の個性を最も明確に出していたと思う。
オリモさんは、おそらくいつもやっているであろう堂に入ったステージ捌き。
GIMICOさんとマリちゃんは、amputeeモデルで鍛えられたステージ度胸ではっちゃけたパフォーマンス。
須川さんは、元々がイラストレーターであり、また控えめな性格のようでステージに上がることには慣れていないせいか照れがある感じ。
ただし、マリちゃんによれば「須川さんは面白い人ですよ」という。

かくてこの楽しい一夜も大団円を迎えようとしている。
出演者一同が舞台上に上がる。


そして、このamputeeキャバレーを支えてくれたボーイ2名もステージへ。


全員で決めポーズ。


この人は確かDJ。


イケメンボーイ2名、尻を守りきれよ。。。


かくて盛会裡に終了。
「次はロフトプラスワンでやりましょうねーーー!!!」

そして2次会は韓国料理。

2次会で、須川さんは「ごきげんよう」と言ってタクシーで去って行った。
リアルで「ごきげんよう」と言うセレブな人に生まれてはじめて会った。

3次会は朝まで飲み明かす。
しかしこの値段。。。

NHKの「きらっと生きる」で、義足についての特集があったみたい。
ディレクターも熱心な人で、NHKでできる限りのことをやろうとしていたみたい。
しかし、NHKもまたマスコミで、できることとできないことがあるようで云々・・・みたいな。

終わったら朝ですよ。


いやあしかし楽しかったね。
是非ロフトプラスワンでやってほしいね。

この企画に携わった皆さん、お疲れさまでした。
楽しい企画をありがとうございました。


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このページへのコメント

k8EPj5 Very informative article post.Thanks Again. Fantastic.

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Posted by awesome things! 2014年01月21日(火) 00:09:45 返信

fM9Cby A big thank you for your post.Really thank you! Awesome.

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Posted by check this out 2013年12月20日(金) 12:55:10 返信

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