トピック解説レポート １４
「ＥＲＰを支えるＭＲＰ�供弊渋せ餮桟弉茵法�
本間 峰一
１．ＥＲＰ生産管理は日本企業にはむいていない？
企業が基幹業務の情報システムを再構築する時に、ＥＲＰパッケージを利用して構築するケースが増えている。ところが、そのＥＲＰパッケージの生産管理機能に関して、日本企業にあわないといった声がよく聞かれる。そのためか全社をあげてＥＲＰパッケージを利用しようと決めた企業の工場部門などには、ＥＲＰと聞いただけでパニックになり、ＥＲＰパッケージ反対の合唱になったりしている企業もある。
しかし､本当にＥＲＰパッケージの生産管理機能は日本企業には合わないのであろうか？私たちＭＩＦ研究会ではこの話題を長年にわたって議論してきた。その結果私たちがだしたひとつの結論は、ＥＲＰパッケージの生産管理機能の問題は、機能そのものの問題というよりも、ＥＲＰ生産管理のベースとなっているＭＲＰ�兇鰺�解しないで、生産管理機能を使おうとすることにあるのではというものである。
２．ＥＲＰパッケージとＭＲＰ��
ＥＲＰパッケージの多くは、欧米で広く利用されているＭＲＰ��(Manufacturing Resource Planning�供Ю渋せ餮桟弉�)生産管理パッケージをベースに開発された（図１）。そのため、大半のＥＲＰパッケージの生産管理機能はＭＲＰ�兇竜’修鬚修里泙淮�用している。ところが、日本ではＭＲＰ�兇呂曚箸鵑鰭甬擇靴討い覆ぁ�ＭＲＰ�兇亡悗垢覯鮴睨椶眤減澆靴覆ぁ�ＭＲＰ�兇�何かすら知らないでＥＲＰパッケージの生産管理をサポートしているＳＥも多く、中にはＭＲＰとＭＲＰ�兇鮑�同しているＳＥさえもいる。これでは日本企業がＥＲＰパッケージをうまく使いこなせないのも仕方がない。そこで、私たちＭＩＦ研究会では、ＥＲＰパッケージを利用しようとしている企業やＥＲＰパッケージ導入を仕事にされている方々のためにＭＲＰ�兇粒詰廚鮠匆陲靴討い�ことにした。
３．ＭＲＰとＭＲＰ�兇楼磴�
ＭＲＰ�兇箸蓮■唯劭�(Material Requirements Planning：資材所要量計画)を発展させてできた生産計画・管理手法である。ＭＲＰは、一言でいえば生産を行うための資材をいつ調達すればいいのかを計算するための計算ロジックである。ＭＲＰを使えば、必要な時に必要な資材を調達することが可能となるため、余分な仕掛り在庫などを持たなくてもすむ。
ところが、ＭＲＰにはいくつかの大きな限界があった。
- 製品の生産計画変動が大きい場合、ＭＲＰ計算が納期管理をかえって難しくする
- 資材があっても製造能力がないと製品が作れないことがある
- 資材以外の製造資源の管理ができない
欧米の生産管理の専門家はこうしたＭＲＰの限界をシステムで補うためのアイデアを生み出した。それを集大成したものがＭＲＰ�兇任△襦�
ＭＲＰ�兇硲唯劭个虜蚤腓琉磴い蓮∪源佐浜�の対象を資材調達だけではなく製造に関わる資源全般に広げた点にある。ＭＲＰ�兇任蓮∧�、製造設備、人、資金、物流、情報などを統合的に管理する。製造資源計画と資材調達計画の連携に加え、生産計画と財務計画との連携､生産計画と販売計画の連携などだ。これらの連携により生産現場全体の統合管理が可能となった。ＥＲＰはこの概念を製造現場だけでなく企業全般に広げたのものである。
また、ＭＲＰ�兇錬唯劭个婆簑蠅箸覆辰討い神源嵯弉菠册阿鰺泙┐襯▲ぅ妊△眇�多く取り入れている。とくに各製品(独立需要品目)単位の生産計画であるＭＰＳ(Master Production Scheduling：基準生産計画)の精度を高めることが重視されている。ＭＲＰ�兇錬唯丕咾砲茲辰討垢戮討寮源些萋阿鬟灰鵐肇蹇璽襪靴討い�が、ＭＰＳの計画変動が激しいようでは効率的な生産は行えない。そのため、ＭＲＰ�兇任論渋ど�門と販売部門との連携によりＭＰＳ(基準生産計画)の精度を高めていこうとする。それが、ＡＴＰ（Available To Promise：販売枠）管理、Ｓ＆ＯＰ(Sales & Operation Planning：販売・操業計画) 、需要予測機能、タイムフェンス管理といった、一連の需給調整機能である。
４．日本企業とＭＲＰ��
日本の製造企業ではＭＲＰを発展させることよりも、人間がＭＲＰを補完する形で対応することを重視してきた。一応ＭＲＰで計算はするが、変更が発生した場合は人手で督促しフォローするというものだ。その原因の一つには、日本の製造現場に蔓延している計画はあてにならないという思い込みがあった。日本の製造現場では計画の精度を云々することよりも、計画変動が起きたときにどう追随するほうが重視された。生産管理自体も表面的にはＭＲＰ計算をしているが、実際は「とりあえずオーダーを流しておき、後で進行状況にあわせて生産や調達の督促を行う」という「進行管理型生産管理」で行っている製造現場が多い。しかし、進行管理型生産管理が機能していたのは、市場自体が成長していたので少しくらい計画がずれても何とかなったということが背景にあったためである。現在のように市場の成長が止まるような環境下では進行管理型生産管理はうまく機能しない。気がついたら在庫であふれかえっていたり、納期遅れが多発するといった弊害に悩まされている企業が急増している。
最近はこういった問題に直面した企業を中心にＭＲＰ�兇亮�給調整機能に対する再評価がはじまっている。その結果、ＭＲＰ�兇鬟戞璽垢箸靴殖釘劭丱僖奪院璽犬鮓�直す企業もできている。日本企業のＭＲＰ�尭各�（＝ＥＲＰ生産管理導入）はまさにこれからが本番ともいえる。しかし、そのためには、まずはＭＲＰ�兇箸浪燭覆里�を関係者がしっかり理解する事が大事である。わたしたちＭＩＦ研究会がＭＲＰ�兇粒祇發鮃�く紹介していこうと思い立った理由はまさにそこにある。
2008年04月13日(日) 11:08:28 Modified by mifken