日本で発生、及び海外における日本人の未解決事件・失踪/行方不明事件の一覧・まとめ・リスト・データベース。

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・主な未成年者監禁事件一覧 ※平成

女子高生誘拐飼育事件(女子高生籠の鳥事件)

 昭和40(1965)年11月25日の夜。横殴りの雨が降る豊島区西武池袋線椎名町駅近くの路上を、
友達と遊んだ帰りの女子高生(誘拐当時17歳)が、家路へと急いでいた。
自宅近くに差し掛かった頃、突然後から男が駆け寄り金属製の靴べらが彼女の首筋に当てられて
「静かにしろ!騒ぐと殺すぞ!まずお前の傘をたため!」と脅された。
彼女は恐怖のあまり助けを呼ぶこともできず男の言葉に従ってしまう。
男は彼女をレインコートにすっぽり包みこんで、近所の自宅アパートまで彼女を連れて行った。
誘拐された女子高生は共栄女子商業高校3年のS子さん。
男は「日野雅史」という偽名で翻訳家を自称していた角園九十九(誘拐当時43歳)。
頭髪の薄くなった冴えない中年男であった。

 角園は大正11年に神奈川で生まれ、戦時中は海軍で中尉まで勤めていた。
昭和22年には結婚し女児をもうけているが、やがて離婚。
離婚後は定職を持たず、英語が得意なことから外国人相手に観光ガイドをするなどして生活。窃盗の前科が複数あった。
角園は以前に見た映画『コレクター』(ウィリアム・ワイラー監督)で、男が別荘の地下室に美しい女学生を監禁する
という内容に感化され、女性を誘拐して監禁するという妄想を英語で日記に綴っていた。
その内容は
「俺は孤独な男。だから”桃”を探さねばならぬ。それは白く熟れた甘い桃だ」
「俺は若い女が大好きだ。また、豊満なのもいい。坂本スミ子のような女だ」
といったものであった。
実は角園には狙いをつけていた近所のOLがいて、
「俺の生け贄が帰って来た。こんな夜中に。今のうちに楽しんでおくがいい。そのうちにかならずモノにしてみせる」
と日記に綴っている。
しかしある時、覗きで目撃した彼女の弛んだ腹に失望し、新たな獲物を探していた矢先の犯行だった。

 自宅アパートに連れ帰った後、角園はS子さんに手錠をかけ目と口には絆創膏を貼り、
果物ナイフをかざして服を脱ぐように脅した。
角園は裸にしたS子さんを強姦しようとするが、処女のS子さんが激しく痛がる為に断念。
変わりにナイフを首筋にあてて口淫(フェラチオ)を強要した。
この日から角園はS子さんに対して性交を何度か試みるがS子さんが痛がり拒絶した為失敗し、
愛撫や口淫をさせることで欲望を満たしていた。
誘拐翌日、S子さんは角園に手錠を外すように懇願し、角園もその言葉に従って手錠を外した。
これ以降性交を強要する以外、角園はS子さんに対して比較的丁寧に接していて、
誘拐4日目にはS子さんを1人残して大丸デパートへ出かけ、下着やワンピース、オーバー等の衣類、
ミシンや布地なども買ってきてS子さんに与えている。
こうして奇妙な同棲生活がスタートした。

 12月4日には、2人で伊東の温泉旅館へ旅行に出かける。
アパートに風呂が無い為、誘拐以来入浴できていなかったS子さんの機嫌を取るのが目的であった。
旅館で角園は偽名の日野雅史を名乗り、S子さんには「みどり」と名乗らせ、
角園を「パパ」と呼ばせて親子を演じていた。
(「みどり」とは角園の実娘と同じ名前であり、偶然なのか歳も近い)
 旅行後、2人の関係は変化を見せる。
1月半ばになって、初めて角園は強引にではなく、同意の上でS子さんとの性交を果たす。
この頃、角園はアパートの大家に玄関前に風呂場を建てる交渉をしたが断られ、
S子さんに行水させる目的で大型のポリバケツを購入している。
2人はたびたび一緒に外出していて、角園の腕にしがみついて楽しそうに歩くS子さんの姿を
目撃していた管理人は、S子さんを角園の新しい恋人と思っていた。
また角園は家具を買い揃えていき、「日野みどり」名義で口座を作ってS子さんの為に貯金までしていた。

 しかし半年あまりたった昭和41(1966)年5月18日。同棲生活は唐突に終わりを告げる。
偶然S子さんを目撃した人の通報によって発覚、警察に逮捕されたのである。。
逮捕される時角園は「その少女が『家に帰りたくない』と言うので、住所をたずねると自分のアパートの近くだった。
『一緒に帰ろう』と言って連れ帰り、そのまま一緒に暮らし始めた。
死に別れた妻にS子がよく似ていたので結婚するつもりだった。行方不明で騒いでるのは知っていたが、帰すつもりはなかった」
と供述し、S子さんも「あの日、池袋駅で友達と別れたあと、なんとなく国電に乗って渋谷に来た。
ハチ公の銅像前で雨に濡れて立っていると、「どうしたの?」と傘をさしかけたおじさんがいた」
と保護した警察官に嘘の供述をしている。これは角園にあらかじめ口裏を合わせるように言い含められていた為である。

 事件当時、マスコミや世間は「逃げる機会はあったのになぜS子さんは逃げなかったのか?」と疑問を抱き、
その奇妙な同棲生活や保護時のS子さんの言動に世間からは好奇の目が向けられた。
今日ではストックホルム症候群(犯罪被害者が犯人と一時的に時間や場所を共有することによって、
過度の同情さらには好意等の特別な依存感情を抱くこと)は広く一般にも知られているが、
当時はストックホルム症候群の由来となった事件が起きる前(1973年発生)だったことから、
S子さんの心理状態が理解されず、奇異に映った為と思われる。
実際S子さんは誘拐当初、角園に日常的に「逃げたら殺す」と脅され、
口淫を強要されてからは「もうこんな体では逃げて帰ってもしかたがない」と思うようになっていったと証言している。
また、「こんな体にした角園は自分の家も学校も知っている。逃げても追われるだけだ。
そんなことになったら家の者も迷惑するし、自分一人が犠牲になれたいいのだ」と追い詰められたとも証言している。
(後の新潟少女監禁事件における被害者女性も、脅迫による自身と家族に対する危害への恐怖からあきらめが発生している。
こういった心理状態を「学習性無力感」といい、監禁事件の被害者にはよくみられる)
他にもS子さんは「脅されてはじめは逃げられなかった」「伊東に行ってからは帰る事をあきらめた」
「あきらめはあったけれど、生活しているうちには楽しいこともあった」「服、下着、靴などを買ってもらった時には嬉しかった」
「(角園が)貯金しているのも知っていた」等と複雑な心境を上申書で述べている。
S子さんがそうした心理状態であったゆえに、角園は力ずくでなく肉体関係を持てたのだと想像できる。

 保護された後、両親と再会したS子さんは「お父さん歳とったね、おかあさん、やせたのね。心配をかけてごめんなさい」
と両親に詫び、家に帰ってからは泣き崩れたという。。

 裁判で角園は懲役6年の刑が確定している。

◎参考サイト
http://yabusaka.moo.jp/lonely.htm

当事件掲載『定本犯罪紳士録』小沢信男(「女子高生籠の鳥事件」)


事件を題材にしたノンフィクション小説『女子高校生誘拐飼育事件』松田美智子 幻冬舎アウトロー文庫
※小説形式なので、著者の想像や事実に基づかない内容も含まれている



↑を原作とした映画『完全なる飼育』和田勉監督 竹中直人/小島聖主演


【主な女性監禁事件】 ※年月は事件発生時

昭和40(1965)年11月 女子高生誘拐飼育事件(東京/豊島)※発見 昭和41(1966)年5月
http://wiki.livedoor.jp/mikaiketsujiken/d/%bd%f7%b...
http://yabusaka.moo.jp/lonely.htm
昭和63(1988)年11月 女子高生コンクリ詰め殺人事件(東京/足立)※殺害 昭和64(1989)年1月
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E5%AD%90%E9...
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/josikous...
平成 2(1990)年11月 新潟少女監禁事件(新潟/三条)※発見 平成12(2000)年1月
http://yabusaka.moo.jp/niigata.htm
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E6%BD%9F%E5...
平成 8(1996)年 月 北九州一家監禁殺人事件(福岡/北九州)※発覚 平成14(2002)年3月
http://wiki.livedoor.jp/mikaiketsujiken/d/%cb%cc%b...
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E4%B9%9D%E5...
http://www8.ocn.ne.jp/~moonston/ikka.htm
平成13(2001)年 9月 北海道・東京連続女性・少女監禁事件(監禁王子事件)(東京/足立他)※逮捕 平成17(2005)年5月
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9...
http://shadow9.seesaa.net/article/108642376.html
平成15(2003)年 7月 赤坂女児監禁事件(プチエンジェル事件)(東京/港)※同月保護
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%81%E3...
http://www.wikihouse.com/dorosuki/index.php?2003%2...
平成26(2014)年 3月 朝霞女子中学生誘拐・監禁事件(埼玉/朝霞)※平成28(2016)年3月保護

このページへのコメント

少しつかみどころがない事件が起きたからって、 すぐに小説や映画などで物語化するのは、 あまり歓迎できることではないように思われる。 事件を商業化もほどほどにしないと、 愉快犯や模倣犯を生むベースになるのでは? ・・ いろいろ誤解をはらむ事にもなるでしょう、 マスコミさんも(笑ぃ あと、 ノンフィクション小説といっても、 書き手が恣意的に創ったら、 それはもうノンフィクションじゃないじゃない。 それ、 普通の創作小説と思うけど・・

Posted by 籠の又三郎 2015年10月04日(日) 00:38:39

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