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ドミナント・デザイン【Dominant Design】


 自動車産業の黎明期、人目を引く奇抜なデザインのガソリン自動車のみならず、電気自動車、蒸気自動車など、驚くほど多種様々な形の自動車が生み出されました。

 しかし今ではほとんど同じようなデザインや型のガソリン車ばかりです。

 携帯電話、プリンター、テレビ、洗濯機、パソコン、デジカメ…。これらの商品も、かつてはメーカーによって本当に様々なデザインであふれていました。今ではほとんど同じようなデザインになっています。

 製品投入初期は個性的なデザインをした商品も、生産工程の変革とマーケットの荒波にさらされてイノベーションを繰り返していくうちに、同じようなデザイン、ドミナント(支配的な)デザインになっていくという法則があります。

 米国のアバナシーとアッターバックがこの法則を発見しました。

 イノベーションには、流動期→移行期→固定期という流れがあります。

 縦軸にイノベーションの発生率、横軸に流動期→移行期→固定期をとります。

 製品イノベーションの発生率は登場初期が一番高く、グラフはそのまま流動期→移行期→固定期へと右下がりに低下していきます。

 しかし、工程(プロセス)イノベーションの発生率は、登場初期から徐々に上昇し、移行期において頂点に達します。そして固定期へ向けて右下がりに低下していきます。

 この工程イノベーションの時期に、それまでの多種多様な製品は、ユーザーのニーズを満足させるのに最も適した形態であることを市場で証明された型やデザイン、あるいは、法的規制や調整によって認められた標準規格に合わせられ、標準的なデザインに取って代わられるのです。

 固定期の時期に至った産業や製品は、費用、量、生産能力が極端に重視されます。そして、製品イノベーションと工程イノベーションは小幅で漸進的に現れるようになるのです。

 時間がたつにつれて、繰り返されるイノベーションとコストや売れ行きによってそのデザインが洗練されて標準化されていくのですね。

 消費需要の最大公約数に落ち着き、ドミナント・デザインが完成したら、商品の成熟期、あとは熾烈な競争が待ちうけています。

 次なる新たな商品を投入しておくか、既存プロセスや現状を否定して棄却しても生き残れるような、破壊的技術製品を開発して乗り換えるか、マーケティング手法が問われてきます。


戦略経営の視点
2007年08月19日(日) 20:04:26 Modified by mizunobara




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