過去の日記〜お気に入り

*お気に入り/コレルリ、ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ全12曲、E.Gatti他('05/4/4)

 Enrico Gatti (Violin), Gaetano Nasillo (Cello), Guido Morini (Cembalo) によるコレルリのヴァイオリン・ソナタOp.5 (全12曲) のCDを聴きました。
実は、昨年暮れに注文していたものが一昨日ようやく届いたのでしたが、いや、もう待った甲斐がありました。素晴らしいです!
 録音は2003年で、昨年発売されています。名手ガッティが満を持して発表ということですね。
 
 コレルリのOp.5は、ヴァイオリンのみならずリコーダーやフルートなどの旋律楽器奏者の必須レパートリーですし、チェンバロ奏者にとっても、必ず演奏するものの一つで、通奏低音パートも弾いていて、非常に楽しいのです。
ともかく、12曲どれもが、シンプルで且つ音楽のエッセンスそのものと言える美しい作品です。
 それにしても、この3人の演奏は、文句なくイタリアの夏の陽射しを思い起こさせます。
陽射しに照らされないていない日陰の暗さをも感じさせるほどに目映く、正にイタリアの空気と音を描き出しているように感じました。
 どういうところが「イタリアの太陽」なのかというと、例えば、繰り返しをした2回目には、ヴァイオリンの装飾が行なわれますが、この装飾は確かに凄いヴィルトゥオーゾで、思わず息を飲む感じなのですが、それだけではない、歌や語りでもあり・・なんというか、冷たくない、聴いていてとっても「幸せな感じ」なのです。
嫌みとか虚仮おどしにならずに、これだけの装飾が出来るというのは、研究したことが彼の内で身体化するまで熟成させたということなのだと思います。
メロディのディミュヌーションのマニュアル(的な)本や、声楽の装飾法、通奏低音の理論書等も含め、当時の文献を沢山読んだとしても、ただその通りに弾くだけでは、このように説得力のある演奏にはならないでしょう。
もちろん、この演奏からは、相当に深く理論を勉強しているな、と感じますが、ヴァイオリンから、これだけのものを引き出して来るには、ヴァイオリンの技術はもとより、和声感とか、歌や言葉の感覚が必要ですし、それにやはり愛情ですね。
月並みなことに思えますが、作品への尊敬と愛情でしょうか。
何十年と新しいアイデアを思いついては試し、試してはまた様々な角度から考えて、を繰り返しながら弾き続けてきたのだな、ここまで熟するのを待ったのだな、という音に聴こえるのです・・。
 
さて、2人の通奏低音奏者も良いです。それぞれやはり装飾を聴かせてくれますが、抑制が利きつつも、聴かせどころはパンチありますね。
なんだか、私も弾きたくなってきました。
自分がヴァイオリン弾けないのに、聴いて通奏低音を弾きたくなってしまう曲は、この曲が唯一でしょう。
この曲集が出版された1700年前後は通奏低音の様式が熟した時期で、とても面白いのです。
ドイツの作曲家G.ムッファトはローマでコレルリと共演したことを大変誇りに思い、コレルリのスタイルに基づく通奏低音の理論書を1699年に著わしました。
そこには、厳格な対位法と共に、色彩に富んだ美しい和声の例が並べられています。

*お気に入り/Frescobardi似の…('05/4/14)

 このページに住んでいるハーボットのもりもりと遊んでくださった方々は御存じと思いますが、もりもりが「今、知ってること」の中で「よこよこのこと」を「フレスコバルディ似の野球好き、だと言ってる」、と私を紹介してくれます。
 さて、野球好きというのは、もう嫌っちゅうくらいにおわかりいただけたと思いますが、フレスコバルディとは何奴??とお思いの方もおられるのではないか、ということでちょこっと紹介。
 
 Girolamo Frescobaldi (1583~1643)は、イタリアのFerrara生まれ、1608年から終生ローマのサン・ピエトロ大聖堂のオルガニストをつとめ、数多く残されたオルガンやチェンバロの作品は、後のバロックの作曲家に大きな影響を与えた・・と辞典的に言うならこんな人物ですが、とにかく私の最も好きなバロックの作曲家です!
何が、と言って彼の音楽は「色っぽい」ということです。
俗な感情が、気品や気高さをまとって表れる、というのかな。
この時代のイタリアはバロック音楽の発祥地ですから、綺羅星のごとく優秀な作曲家がおりますが、同時代の鍵盤曲と比べると、生気溢れる旋律線、ここぞという所での不協和音の使い方、エモーショナルなパッセージ等、やはり別格な感じです。
私が入れ込んでいるから、そう聴こえるのかもしれませんが、まあダマされたと思うて一遍聴いてみてください。
お勧めの曲もここで紹介していきますね。

 そもそも、もりもりを住まわせる時に「誰に似てる?」といきなり訊かれ、咄嗟にあわてて答えたのでしたが、これを機に、ここで紹介した曲を集めてリサイタル開催、ということも出来るかも?!
と一応宣言してみたりしておきます。

*お気に入り/五島軒「カレー百年物語」('05/4/21)
 
 世にレトルトカレーは星の数ほどあれど、今日いただいた「五島軒 百年物語 中辛」はとてもレトルトと思えない逸品であるので、皆さんにぜひともお勧めしたいのです。
これはまさに函館元町の本店で食べている味です。香り高いですし、牛肉も野菜もたっぷりと入っていて大袈裟でなく、疲労回復しますよ。値段は張りますが、それだけのことは有ります。
 函館といえば、イカソーメンに塩ラーメンだけど、忘れちゃいけない、ここは洋食がとっても美味い街。五島軒は洋食の老舗中の老舗。元町界隈でのコンサートの時には、度々ランチに通いました。本店の外観は現代風なのですが、内部は昔ながらの洋館の造りがそのまま残されていて、とても素敵です。
なんかCM&観光案内になっちゃってますけど、どうぞお試しください。

*お気に入り/ヘビメタさん('05/7/6)

ウチのテレビは地上波のみ、しかもDVDレコーダーはもちろんのこと、ビデオすらないので観たい番組はどんな深夜でも全てリアルタイムで観なければならない。(って別に観なきゃいいんだけど)と言っても、万難を排して観なければ、と思える番組はほとんどなく、そう不便を強いられているわけではない。

さて、そんな中で最近特に「観たい!」のは、テレビ東京系火曜深夜放送の「ヘビメタさん」だ。昨晩は7月第1週で、ひょっとして1クールで終わっちゃってないよなあ、と一抹の不安を感じつつ、24時過ぎからチャンネルを廻しつつ待つ。もちろんこの間NHK教育「ハッチポッチステーション」でしのぎつつ、こちらも「ROCK」魂をひしひし感じる番組なので、熱く語りたいところだが、それはまたいずれ。

昨晩の「ヘビメタさん」のゲストはROLLY、レギュラーのマーティ・フリードマンを圧倒するツッコミと絡みも面白かったが、圧巻はスペシャルゲストのジェイク・シマブクロと共に、3人のウクレレによる「メタルハワイアンズ」〜KISSのDetroit Rock Cityの演奏…。いや、ウクレレによるメタルロックというのを初めて聴いてスゴいもんだと思ったし、3人が互いにそれぞれを尊敬し合っている感じが伝わってきてとても好い感じだった。

番組では、毎週「スクール・オブ・メタル」というコーナーがあり、テーマごとにいろいろなバンドの演奏VTRが流され、出演者がその場でトークと演奏も聴かせてくれるのだが、それこそ'70年代のロック少年少女だった世代にはたまらない!空気が流れている。昨日はグラムロックがテーマで、T.REXのマーク・ボランのことをマーティが熱っぽく語っていた。何週か前は野村ヨッちゃんの”なんでもロックになっちゃうんだなコーナー”と化していて、演歌がそのままZEPPELINの「移民の歌」になってたりしたけど。

深夜ってことで、とてもゆる〜くてオタッキーな番組なのだが、昨日のようにまさにライブな、ここだけでしか観られないようなものを見せられると、深夜ならではというディープな感じがして、たのしい。

*お気に入り/地中海の色('05/9/6)

2日に行った万博、モロッコ館のおみやげ。前からこういう装飾の入ったガラスのコップが欲しかったので、嬉しい。
チュニジア館では小さな太鼓も買い、エスニック好きの私としてはこのまま行けば買い物モード全開になるところだったが、やはり「万博値段」というか、これ、現地で買ったら、この5分の1で買えるんちゃうの?!というあってなきがごとしの価格への冷静な判断が暴走寸前の私を踏みとどまらせたのだった。

その翌日、友人と会った高島屋でちょうど洋書のバーゲンをやっていて、見つけたのが「Mediterranean Color/写真&文 Jeffrey Becom」(Abbeville Press, N.Y.)という写真集だった。地中海モードは続いていたわけだ。地中海の文化を「色」で切り取るという趣向のこの写真集、私は久々に「あっ」という驚きと理屈抜きに「引き込まれる」感じを味わった。イタリア、スペイン、モロッコ等の何気ないドアや壁の色とその組み合わせ、各国ごとに差はあるものの、海と風を感じさせ、しかもとても夢見るような配色…これは口ではうまく説明出来ないけど、とてもオシャレで、はっきり言えるのは絶対日本にはないものだ、ということ。

イタリア、スペインの作品を弾いていて常々思うのは、この「色彩感」なのだが、日本人の自分の中に絶対的に「ない」ものを想像やイメージで補うのは、やはり限界があると改めて思った。殊にオルガンの音色は、日本の場合圧倒的にドイツ系の楽器が多いし、これこそ精神論では決して越えられない部分だろう。
2006年07月03日(月) 23:16:03 Modified by moriyoko1




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