636 :実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー:2014/12/31(水) 01:09:37.96 0
ふおおギリギリ年内には間に合ったー!
ものっそい遅れましたが>>632さんに便乗させて頂きましたごめんなさい!

URL:www1.axfc.net/u/3382938
タイトル:鞭ときどき飴
PASS: mugen
ネタ元&設定等: スレネタ及び>>611
カップリング(登場キャラ): K’×一方通行
性描写の有無:全年齢(若干破廉恥)
内容注意:会話の中で女性キャラが出てきます

祝・初タッグという事で…動画後半見ましたが何かもうホントすみませんという気分になりましたorz
私も絶対お別れに負けると思ってたんですけどね…
希/望/絶/望に2人共出ててやったー!と思ったら一方通行が絶望側だったというオチががが

>632
軋内アリなんですか!やったー!
続きも考えてみたんですが、どうも内藤に夢見すぎてる気がしますハイw

く、靴下の後ですか!? えーっと、
1:機嫌損ねた一方通行を男2人でひたすら宥める
2:サカるなら他所でやれ!と追い出されるK’と一方通行
3:売り言葉に買い言葉によるまさかの3P【R-18】
のどれかじゃないですかね…?
>633
T/a/g/T/e/a/m/F/e/s/t/i/v/a/lにK/I/L/Lとユウキがペアで出てますー
専用AI積んでるので連携が凄まじいですあれはマジ惚れる…!


ちょっと話変わるんですが、診断系のネタとかクロスネタとかはここ向けじゃないですよね…?



※あてんしょん※

・男性同士の恋愛的描写を含みます
・好/き/勝/手/タ/ッ/グ/ト/ナ/メ決勝直前のK’×一方通行
・全年齢ですが若干破廉恥です

・会話の中に女性キャラが出てきます
・新/章/第/三/回/希/望/v/s/絶/望/大/会の話が出てきますが出てくるだけです

・原作設定は理解した上で投げ捨てるもの

・上記で嫌な予感がした方はファイルを削除をオススメします





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鞭ときどき飴




「…なァ」

「何だ?」

「なンでナチュラルに俺の事抱えてンの? オマエ」

とある大会の控室。
二人で使うには充分すぎる大きさのソファの上で―――正確には、ソファに座るK’の脚の間で――― 一方通行が眉を顰める。
K’はその問い掛けには答えずに、眼下の真っ白い頭に顎を乗せて目を閉じた。

「甘ぇ」

「…桃だろ、多分」

柔らかい髪が纏う甘い匂いにすん、と鼻を鳴らせば、腕の中で擽ったそうに身を捩る。

「桃?」

「押し付けられたンだよ。ガキ扱いだからなァ」

不貞腐れたような声音とは裏腹に一方通行の表情は穏やかで、それが少しだけK’の気分を逆撫でた。
能力の特殊性故に一方通行が大会に、それもタッグ戦に出ることは珍しい。正確には、ランダム以外では片手で数える程しかない。
そんな中折角タッグを組めたのに、そこに見知らぬ誰かの影がちらつくのは、矢張り男としては面白くなくて。

「―――ッ、」

びくりと抱き締めた身体が強張った。
逃げようとするのを右手で押さえ付けて、空いた左手で肉付きの薄い腹を撫で回す。

「急に、っ、サカってンじゃ、」

比較的細身のK’だが、それでも一方通行とは15センチ、18キロの体格差がある。
脚の間に挟まれた体勢で、体重を掛けて押さえ付けられてしまえば、筋力の乏しい身体は身動きする事さえ難しい。
そもそも一方通行にしてみれば、『甘え懐いていた飼い犬が突然飛び掛ってきた』としか言い様がないこの状況には唯々困惑するばかりで。

「…アンタが他の男の匂いさせてんのが悪い」

噛み付くように耳朶に唇を寄せて、低く囁いた声音に滲むのは、独占欲。
少女が好みそうな甘い果実の匂いを贈った相手がいる事と、それをK’の前で平気で身に付ける一方通行に苛立ちを覚えた。
言葉を失くした一方通行の唇に左手指で触れる。緩く開かれた隙間に親指を差し込んで、

「痛っ」

―――噛まれた。

真っ白い身体からドス黒いオーラが漏れ出るのを幻視して、K’は舌打ちしながら拘束を解除する。
好成績を残せれば今後も組める可能性があるのに、試合前に仲違いするのは得策ではない。
一方通行は肩越しにK’の顔を睨むと、ぐったりと疲れた表情で溜息を吐いた。

「勝手に勘違いして暴走してンじゃねェぞこの馬鹿。…桃だっつったろ」

「あ? …あー…」

そういえば、数少ない一方通行のタッグ相手に『桃』の字が付く人物がいたような。
確か、背の高い、桃色の髪の―――人妻、だった気がする。
K’ですらあれやこれやと世話を焼きたくなるのだ。実際に子供を持つ母親ならば、庇護欲を掻き立てられたとしても不思議ではないだろう。

「…悪かった」

「ン」

素直に謝罪を口にすれば、それ以上は不要とばかりに凭れ掛かってくる華奢な体躯。
こうしてされるがままになっている事こそが一番のデレなのだと、K’が気付くのは何時の事か。

「つゥか、」

炎の因子を持つK’の体温が心地良いのか、呟く声音はひどく眠たげで。

「オマエのタバコの匂いしかしねェンじゃねェの?」

「―――!」

どくりと心臓が跳ねた。
呆然と見下ろす眼前で、半ば夢の世界に旅立ち掛けた一方通行の唇が綻ぶ。

―――無意識なのか。本当に無意識にやっているのか、この天然小悪魔は!

「…だから、試合前にサカンなっつってンだろォが」

腹に回す手をぺちりと叩かれ、煽っているのは何処の誰だと言い掛けた言葉を寸前で飲み込んだ。
白く細い指先は少し力を込めれば折れてしまいそうで、握り返す瞬間、どうしても緊張してしまう。
そのK’の反応に苦笑しながら制御用グローブに包まれた掌をとんとんと叩き―――嗚呼、と一方通行がちいさな声を漏らす。

「俺、次の試合反射使わねェから」

「…は?」

極自然に、明日の天気の話でもするような口調で告げられた内容。
規格外の能力故に、大会の度に色々と面倒な制限を受けている事は知っている。先程の試合でも殆ど使用していなかった筈だ。
殆ど、という事は、今大会に措いては禁止されている訳ではないだろう。ましてや、次の試合の相手は、

「………。あいつら相手じゃアンタ死ぬぞ」

脳裏に巨大な刀を振り回す二人組の姿を思い浮かべ、K’が顔を顰めた。
肉体的にはその辺の子供よりも非力な一方通行が、自身の最大の武器である『反射』を使わずに彼等と対峙できるとは、到底思えない。
華奢な身体が吹っ飛び、地面に叩き付けられる様が簡単に想像できてしまう。それはあまり見たくない光景だ。

「…攻撃範囲が多方向だろ」

知らず抱き締める腕に力を込めていたらしい。一方通行が少し苦しげに身を捩るのを見下ろして、慌てて肩の力を抜く。

「反射ってのは向かってくるモンをそのまま返してるだけだ。まァ、意識すれば軌道操作できンだけど」

「―――?」

「…無意識の多方向反射にオマエ巻き込ンだら意味ねェだろォが。だから反射は使わねェっつってンだ」

怪我を心配される事は不本意だが、一方通行との実力差を考えれば仕方がないと諦めざるを得ない。
一緒の大会に出れる、と思ったら能力全開の神クラスの側だった時の絶望感は記憶に新しく―――それはともかくとして。
思わず覗き込んだ頬がうっすらと赤く染まっている。
血のようだ、と評される瞳は所在なさげに視線を彷徨わせ、染まった目元と相俟って熟れた果実を思わせた。

「心配してくれ―――ぐはッ!?」

照れ隠しにしては凶悪すぎるベクトル変換デコピンを眉間に食らって悶絶する。正直、本日一番のダメージだ。
それでも一方通行の言葉の意味を理解したK’の唇が笑みに歪むのは仕方がない事だろう。

「時間だ」

部屋の壁に取り付けられたスピーカーが安っぽい合成音を響かせた。
出番を告げるその音に、K’はにやけ顔のままソファから立ち上がり、テーブルの上のサングラスに手を伸ばす。
身支度を整えていざ部屋を出ようとして、立ち尽くす一方通行の様子に首を傾げた。
矢張り反射なしで挑むのは怖いのだろうか。K’としては、恐怖心を抱いてくれた方が嬉しいのだけれど。

「俺より自分の事優先しろよ。アンタに、」

怪我をしてほしくないのだと、懇願する筈だった言葉がふつりと途切れる。触れた柔らかい感触は一方通行の、唇。

「――”ゴホービ”は帰ったら、な」

サングラス越しに見詰め合う赤が不敵な笑みを浮かべた。
呆然と自分の唇をなぞるK’の眼前で控室の扉が閉まり、カツカツと廊下を叩く杖の音が遠くなる。

「………マジかよ…」

ずるずるとその場にしゃがみ込み、抱えた膝に額を押し付けた。
馬の目の前に人参をぶら下げる、というヤツならば、もう少しタイミングを読んで欲しいと切実に願う。
愛しいから大事にしたくて―――滅茶苦茶に壊したくて、それを必死に自制しているというのに。
扉が閉まる瞬間に見えた、羞恥に染まった綺麗な横顔が頭から離れない。



―――嗚呼、これだからアンタには敵わない。

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