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『歳神』(仮題)

外はまだ暗いまま。日が登る気配も無い。寝返りを打ち横向けになる。
机の方に視線をやる…………
何だ?………誰かいる!
布団をはね退け飛び起きて明かりをつけると、そこには上は白、下は赤い袴という巫女のような恰好をした女の子がいた。

「……誰…だ?」
「…………私は…」
「……」
「……トシガミ」
「…?」

『歳神』
正月にやってきて、家やそこに住む人を守ると言われる神道の神様

彼女曰く、歳神の姿は人間には見えないし触る事もできないらしいが…
「………見えてるが…」
「………稀に…見える人が…」
「……俺は……それだと…」
(こくん)
「…信じられない」
「………」
彼女は急に立ち上がり壁に向かい歩き出す。
すると彼女の身体は壁に飲まれるように消えた。そして今度はドアが開き彼女は何事もなかったかのように部屋に戻って来た。
信じられない。けどこれは俺の目の前で起きた現実だ。
困惑している俺を彼女はじっと見ている。
「……もう一つ」
…何か見せてくれる訳か…
「…いきます…」
呼吸を整えると彼女は俺に向かって飛びかかってきた。
その衝撃で一瞬息がが止まった。長い髪が俺の顔にふりかかる。
「…………」
彼女は予想外な事に呆けている。
どういう事だ?触れられないはずの彼女に今、間違いなく俺は触れている。彼女の体温、匂い、息遣い、それらを感覚している。
…て、まてまて。この状況はかなりヤバい。相手は神様だぞ。

作者 4-113
2008年01月20日(日) 08:34:07 Modified by n18_168




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