リレー小説〜his & her side〜(思い出)
〜her side〜
今日も、あの人がとなりに座る。
席替えで決まった席順、たまたま私はあの人のとなりの席に座る。
ずっと気になってた男の子。
神様が気を利かせてくれたのか。
でもそれは、お節介。
こうして、あの人の一番近くに座っていても、私はあの人に、声をかけることも出来ない。
ずっと、本を開いてページに目を落とすだけ。
もちろん、本の中身なんて、ちっとも頭に入らない。
私が、好きなヒトに声をかける勇気がないことを知っていて、神様はこんな意地悪をしてくるのだ。
いま、333君が、こっちを見た。
私が今読んでる本に興味を持ったのだろうか。
それとも、次の授業で提出する宿題を忘れたのだろうか。
教科書を忘れたって言うんだったら、机を寄せて、いっしょに見ようか? って言ってあげてもいい。
まだ333君は私を見てる。
うん! 勇気を出して、私!
声をかけて、きっかけを作らなきゃ!
「あ・・・」
声が出ないよ〜っ!
頑張れ、頑張れ私!
「あの・・・・・・」
よし! もうひといき!!
「わたしに、なにか?」
やったっ! いえたよっっ!!
って、もう333君、こっちを見てない〜っ!!
「あの、あのっ!・・・」
聞こえてない〜っ!!
神様は、意地悪です。
私が、声も小さくて、引っ込み思案なことを知ってて、大好きなあの人のとなりに座らせるなんて。
きっと神様は、こんな私を見て、天国で笑っているはず。
でも私、めげません。
私にはまだ、あしたがあるんだから。
翌日は、席替えでした。
かみさまの、いじわる。
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次話
作者 無口スレ住人
2008年01月20日(日) 20:11:30 Modified by n18_168