葵(仮題)
「旅行?」
「明日から一泊」
「随分急だな…まあいいや、行こうか」
「……親、来るから」
「待てお前それは(プツッ!)…切れた」
というわけで企画された、幼馴染み兼恋人の華岡 葵と、そして双方の親を巻き込んだ家族旅行。
暗い部屋の天井の幽かな明かりを見つめながら、早峰 涼は眠れない夜を過ごしていた…少し離れた隣の布団に、小さな呼吸音を聞きながら。
どれだけ経っただろうかと、テレビ台備え付けのデジタル時計を見る。緑の蛍光がゼロを四つ並べていた。日付が変わっている。
(生殺しかよ……)
もともと夜は早い方だが、意識は冴えっぱなしだ…状況が状況だけに。
いざ就寝となって、公然と
「私たちは私たちでいちゃつくから、アンタたちはアンタたちで仲良くやんなさい♪」
と言われて二人部屋に放りこまれ、しかし素直に従えるわけもなく。
「…」
「な、なあ葵、」
「寝る」
「あ、さいですか」
という流れを経てこのザマだ。これでもう一週間、葵とシてないことになる。
鼓動が痛いほどに高まる、という程初心ではない。だがそれでも惚れた相手が浴衣姿で横になっていて平静を保てるほど老成はしていない。
(…葵は、平気なのか…?)
確かに男は年中発情期と言っても過言ではないが、かといって女にも性欲が無いわけではない。
だのにあの寡黙な、それでも考えていることは判る幼馴染みは、しかし事もなげに布団を敷いた後、背中を向けてそれっきりだ。今回ばかりはその心の内を察する手だては無い。
もしかして…襲って来るのを待ってたり、とか…
(……空しい)
どうして恋人を隣にして、こんな空虚な妄想に浸らねばならんのだ。
くっついて来た親どもを心底恨みながら、涼はため息と共に目を閉じた。
……と。
「?」
みしり。
畳から、小さな音。自分ではない。
気のせいかと思えばもう一度、藺の擦れる乾いた音。
考えられるのは……一人。
「…葵……?」
目を開けばそこには浴衣姿の葵が立っていて、寝転がったままのこの男を見下ろしていた。
「…………ヘタレ」
「は?」
「っ……………ど、…鈍感っ」
「どっ…」
鈍感呼ばわりされる謂れはない、と言おうとして止めた。
橙色の小さな電灯の光を湛えた視線も、どこか濡れているような、熱っぽいような。
「……来る?」
同時に聞こえた、息を呑む微かな音。
否定の声が無いところを見ると、どうやらそうらしい。
…つまり、そういうこと。
まあ、あれだ。馬鹿親どもの話に乗るのは癪だが、確かに二人とも色々な意味で「お年頃」だ。そう易々と我慢できる筈もなく。
「おいで」
布団を上げてやると頬を染めながら、おずおずと潜り込んで来た。
一週間振りの口付け。
ついばむようなキスを、それでも思う存分堪能する。
勿論深い方もしたいのだが、後回しだ。付き合うようになって聞いたことだが、深い方は葵にとって、思った以上に刺激が強いのだ。
普段の態度の割に、恋愛関係や「そっち」は弱いというか、奥手というか。
「寝るって言ったくせに」
「………うっさい」
唇を離して言ってやると、蕩けかかった顔をむくれさせてぷいと背けた。
…こういう仕草が凄く可愛いって、わかってやっているのだろうか。
堪らなくなって、今度は強引に唇を奪う。
「…!」
珍しく驚愕の表情を浮かべるのを余所に、そのまま舌を割り込ませる。
そのまま蠢く葵のそれに絡ませ、犯す。熱い歯茎を舐め、硬い歯の裏を滑らせる。この感触はどれほど楽しんでも飽きが来ない。
抗議の声も聞こえないことにする。実際背中に回した腕に力を込めると、堪念したようにボリュームが下がっていった。見開かれた目も再び熱を帯びていく。
唾液をこね合わせ、半分ずつ分け合ったところでようやく唇を離す。二人分の雫が布団に落ち、見えないところに染みを付けた。
「……ず、るい」
潤んだ瞳で睨まれると本当は弱い。が、こういう場合は別だ。
「狡くないだろ…誘ったのはお前じゃないか」
「………したかったくせに」
「ああ。でも、お前もだろ?」
向かい合ったまま浴衣の布地をさらに広げ、豊かな双丘を包み込んむ。
肌蹴た布の内側、押せば飲み込み、引けば弾く若々しい肉の質感。
ふぅっ、と熱い吐息が漏れてくる。俯いた顔から表情は窺えないが、身体の震えは隠せない。感度の良さは相変わらずのようだ。
「…大きくなってるな」
掌に余るその感触が僅かに、しかし感知できるほど変化しているのに気付いた。もともと涼の手に余る程はあったのが、掌から零れる量はより多くなっている。
もし、間に挟んだら…いや止そう。それを頼むのはいくらなんでも恥ずかしい。恥ずかし過ぎる。また今度だ。
「りょ、涼のっ、せい……、っ、」
指の股で突起を摘んでやると、切なげな息が吐き出される。
「…そりゃそうだな」
俺以外はこんなことしてないし、させてやる気もない。
言外に思いを込め、少し強く挟んでやる。あぁ、ぁ、と声が漏れ、小さな肩が軽く震えた。
「今さら、我慢するな」
「………が、我慢、なんか」
だが、まだ声を抑えていると見える。
相対していたのを横にころんと転がし、緩んでいた浴衣を完全に脱がせる。後ろから抱き着くと、上半身だけ起き上がる。
「っぁ」
あぐらをかき、葵の身体を隙間にすっぽりと収める。より触りやすい格好…背面座位の体勢だ。
「…や……ぁ、っ………!」
片手で乳房を揉みしだきながら、残りの手を下半身に滑らせる。控え目な茂みを通り過ぎ、直接そこへ。
「ゃっ、ま、待っ、当たって……はぁっ…!」
いきり立ったモノのことを言っているのだろうが、それより早く到着した。
湿り気を帯びたそこに指を遊ばせ、入口を往復する。入れるよりさすられる方が好きなのだとか。掌でクリトリスを押し、強すぎないように刺激してやる
「や、ぁ、…っ……。ちゃ、と…涼、ので…」
「これか?」
自分の浴衣を開き、充血した分身を足の付け根、滑らかな太股に押し付ける。
葵の身体を回転させ、座ったまま相対する。完全に脱ぐと、擦りつけながら位置を上にずらし、たどり着いた秘裂を裏側で撫で上げた。
「〜〜〜っ」
快感に顎をつんと出しながら、恥ずかしげに目をぎゅっと閉じる。
「っ……生えたみたいだな」
「…ば、か……ぁっ」
そのまま上下に揺らすと、ちょうど雁の部分が敏感な突起を小突く形になる。その度に小さな電流が流れ、あ、あ、と声を上げた。押し殺す事が出来ず、葵は羞恥に眉を寄せた。
恥ずかしがる顔をもっと見たくて、そのまましばらく続ける。すると閉じていた双眸がゆっくりと開かれ、濡れた漆黒の瞳が現れた。
「入れたい?」
「…」
訴えかけるような切ない、でもちょっぴり怒ったような視線。
「…………意地悪」
「…済まん」
そろそろ我慢できないのは、涼も同じで。
「…入れるよ」
返事を待たずに、割って、埋めた。
「あ…はわっ……あぁ…ッ…!!」
水音も顕わに、飲み込まれていく。
葵は涙に濡れた瞳を「そこ」に向けながら、秘肉を分け入るたびに鼻にかかった喘ぎをこぼした。
自分で処理をしなかっただけあって、正に背筋が震える快楽だった。入ったばかりだというに、強烈な収縮に思わず果ててしまいそうになる。
だが一週間振りの機会をこの程度で終わらせてなるものかと、足を絡めてしがみつく葵を逆にきつく抱き返し、何とか堪え、押さえこんだ。
「っ……大丈夫、か?」
締め付けがひとしきり収まった後、涼はそれでも絶えず送られる快感に耐えつつ尋ねる。
達したかどうかは聞くまでもなかった。分身からは内部の痙攣が伝わって来たし、留まりきらずに漏れた愛液の量も半端ではない。何より背中に食い込んだ爪の後が雄弁に物語っている。
男の自分に女の快感はわからないが、それでも果てた後が辛いのはよくわかる。それも今のは一週間振りの、本物の絶頂の筈だ。
「はぁ、…は、ぁっ…ふぁ…」
あまり大丈夫ではなさそうだ。呼吸が荒い。
「ぁ……っ、…はっ、…い、れるの……早、すぎ………」
葵は息も絶え絶えといった様子で答えた。タイミングではなく、入れるスピードのことを言っているようだ。
荒い呼吸で身体が上下する度に、淡い朱色を差した火照った果実が二つ、揺れている。
「……はぁ、は……ぁっ……ふぅ……んっ……」
「………」
前後にも少し動きがあるため、ちゅ、ちゅ、と音が漏れる。
中が擦れる。
眼差しに入り混じった、困惑と羞恥。
快楽の残滓。
「…わ、るい」
…理性が飛んだ。
「え……んぁっ! あぁっ!」
男の意地だとか、もっと長く楽しもうとか先に出したくないだとか、そういう考えは直ぐさま吹き飛んだ。
体勢を変えることすら忘れた。座って向き合ったまま、添えた手で腰をがっちりと掴み。
突き上げる。
「あっ! だ、め…ふあ、あんっ! や、やぁ…ぁ、ひああ!」
唐突な攻勢に、葵は身震いして悶える。一週間振りのその快感に、抗議もできなかった。
突けば敏感な最奥まで届き、引けば葵の体重で加速する。内壁の襞が涼のモノを擦り上げ、更に血量を増した男根が次々と蜜を掻き出す。溢れたそれは二人の肌の間で糸を引き、打ち付けるたびにぐちゃぐちゃと音を立てた。
より大きく。より卑猥に。
「あぁ! んあ! はあ! ふあっ!」
葵はだらし無く唾液を垂らし、口を半開きにしたまま喘ぐ。
暴力的なまでの、圧倒的な快楽。他の事を考える余裕などなかった。
やがて、声が切羽詰まっていく。
締め付けの間隔が狭まり、しがみつく腕がきつくなる。
もともと達しかけ、高まっていただけあって、涼にもとうとう限界が来た。
「い、く…ぞっ!」
最後とばかりに、腰を思い切り叩き付ける。より激しく。より強く。
「あぁ、あぁっ! はぁ、はあ、う、んっ! ひぃぁ、いあっ!」
最後の一突きで自分の腰をぐいと押し付け、目の前にある葵のそれは、逃がさぬよう押さえ付け。
「っ!」
勢いよく、滾りを放出した。
「へあ、ふああぁ! あぁぁぁっ!!」
強烈な締め付けが容赦なく襲い掛かった。搾り出される感覚に、思わず呻きが咽を震わせる。
「はぁあ! あ、ひああぁぁんッ!!!」
大量の灼熱が奥を叩くのを受け、葵も追って二度目の絶頂へと達した。ぶるぶると身体をわななかせ、鮮烈なまでの快楽を全身で表現する。
一際大きな、悩ましげな鳴き声を上げ、痙攣と同時におびただしい量の愛液を吐き出す。膣内に満ちた白濁と混じり合い、入りきらない分は結合部の隙間で圧力を受け、ぴゅ、ぴゅ、と漏れていく。
ぎゅぅ、と抱き着かれる。温かい身体。
意識が薄れ、しがみついた○○と一緒に横になった。
心地よい脱力。
軽い睡魔。下へ。
下へ…
「馬鹿」
「…はい」
「鬼畜。色情魔。節操無し」
「いや節操無しはないだろ、こういうことはお前にしか」
「ケダモノ」
「ゴメンナサイ」
時刻は午前1時。
二人で布団を被ったまま、涼は一方的なお説教を喰らっていた。
いかに一週間振りだったとはいえ、理性が吹っ飛んだ後は半ば葵を無視した揚げ句、完全に中に出してしまったのだ。ケダモノと言われようが言い返せる身分ではない。
……中に?
「そ、そうだお前、その…」
「……薬、ある」
「あ…そうか、す、すまん」
そのうえ男性が気を使うべき最低限の事にすら思いが至らなかったことを知り、さらに情けなさで縮こまる。
ダメ人間の宣告を受けているようで、心が…痛かった。
「……」
「?」
言葉が沈黙に消え、涼はおやと顔を上げた。
目の前の葵は、なにやら視線を反らし、ほんの僅かに俯いていた。
微妙に頬が染まっている。
「……薬……ある、から…」
「は?」
発言の意味がいまいち読み取れない。薬があるから…何なのか。涼は首を傾げる。
すっと顔が上がり、上目使いの視線が向けられる。ちょっと待てお前それは反則だろう。そんなに俺の理性を虐めたいのですか。
…だが後に続いた言葉は、さらにそれを焼き焦がしてくれた。
「あ、あおいさん?」
「………………つ、次…優しく、して」
翌日、防音への配慮の甘さを思い知らされることになるが…それは別の話。
作者 1-180
「明日から一泊」
「随分急だな…まあいいや、行こうか」
「……親、来るから」
「待てお前それは(プツッ!)…切れた」
というわけで企画された、幼馴染み兼恋人の華岡 葵と、そして双方の親を巻き込んだ家族旅行。
暗い部屋の天井の幽かな明かりを見つめながら、早峰 涼は眠れない夜を過ごしていた…少し離れた隣の布団に、小さな呼吸音を聞きながら。
どれだけ経っただろうかと、テレビ台備え付けのデジタル時計を見る。緑の蛍光がゼロを四つ並べていた。日付が変わっている。
(生殺しかよ……)
もともと夜は早い方だが、意識は冴えっぱなしだ…状況が状況だけに。
いざ就寝となって、公然と
「私たちは私たちでいちゃつくから、アンタたちはアンタたちで仲良くやんなさい♪」
と言われて二人部屋に放りこまれ、しかし素直に従えるわけもなく。
「…」
「な、なあ葵、」
「寝る」
「あ、さいですか」
という流れを経てこのザマだ。これでもう一週間、葵とシてないことになる。
鼓動が痛いほどに高まる、という程初心ではない。だがそれでも惚れた相手が浴衣姿で横になっていて平静を保てるほど老成はしていない。
(…葵は、平気なのか…?)
確かに男は年中発情期と言っても過言ではないが、かといって女にも性欲が無いわけではない。
だのにあの寡黙な、それでも考えていることは判る幼馴染みは、しかし事もなげに布団を敷いた後、背中を向けてそれっきりだ。今回ばかりはその心の内を察する手だては無い。
もしかして…襲って来るのを待ってたり、とか…
(……空しい)
どうして恋人を隣にして、こんな空虚な妄想に浸らねばならんのだ。
くっついて来た親どもを心底恨みながら、涼はため息と共に目を閉じた。
……と。
「?」
みしり。
畳から、小さな音。自分ではない。
気のせいかと思えばもう一度、藺の擦れる乾いた音。
考えられるのは……一人。
「…葵……?」
目を開けばそこには浴衣姿の葵が立っていて、寝転がったままのこの男を見下ろしていた。
「…………ヘタレ」
「は?」
「っ……………ど、…鈍感っ」
「どっ…」
鈍感呼ばわりされる謂れはない、と言おうとして止めた。
橙色の小さな電灯の光を湛えた視線も、どこか濡れているような、熱っぽいような。
「……来る?」
同時に聞こえた、息を呑む微かな音。
否定の声が無いところを見ると、どうやらそうらしい。
…つまり、そういうこと。
まあ、あれだ。馬鹿親どもの話に乗るのは癪だが、確かに二人とも色々な意味で「お年頃」だ。そう易々と我慢できる筈もなく。
「おいで」
布団を上げてやると頬を染めながら、おずおずと潜り込んで来た。
一週間振りの口付け。
ついばむようなキスを、それでも思う存分堪能する。
勿論深い方もしたいのだが、後回しだ。付き合うようになって聞いたことだが、深い方は葵にとって、思った以上に刺激が強いのだ。
普段の態度の割に、恋愛関係や「そっち」は弱いというか、奥手というか。
「寝るって言ったくせに」
「………うっさい」
唇を離して言ってやると、蕩けかかった顔をむくれさせてぷいと背けた。
…こういう仕草が凄く可愛いって、わかってやっているのだろうか。
堪らなくなって、今度は強引に唇を奪う。
「…!」
珍しく驚愕の表情を浮かべるのを余所に、そのまま舌を割り込ませる。
そのまま蠢く葵のそれに絡ませ、犯す。熱い歯茎を舐め、硬い歯の裏を滑らせる。この感触はどれほど楽しんでも飽きが来ない。
抗議の声も聞こえないことにする。実際背中に回した腕に力を込めると、堪念したようにボリュームが下がっていった。見開かれた目も再び熱を帯びていく。
唾液をこね合わせ、半分ずつ分け合ったところでようやく唇を離す。二人分の雫が布団に落ち、見えないところに染みを付けた。
「……ず、るい」
潤んだ瞳で睨まれると本当は弱い。が、こういう場合は別だ。
「狡くないだろ…誘ったのはお前じゃないか」
「………したかったくせに」
「ああ。でも、お前もだろ?」
向かい合ったまま浴衣の布地をさらに広げ、豊かな双丘を包み込んむ。
肌蹴た布の内側、押せば飲み込み、引けば弾く若々しい肉の質感。
ふぅっ、と熱い吐息が漏れてくる。俯いた顔から表情は窺えないが、身体の震えは隠せない。感度の良さは相変わらずのようだ。
「…大きくなってるな」
掌に余るその感触が僅かに、しかし感知できるほど変化しているのに気付いた。もともと涼の手に余る程はあったのが、掌から零れる量はより多くなっている。
もし、間に挟んだら…いや止そう。それを頼むのはいくらなんでも恥ずかしい。恥ずかし過ぎる。また今度だ。
「りょ、涼のっ、せい……、っ、」
指の股で突起を摘んでやると、切なげな息が吐き出される。
「…そりゃそうだな」
俺以外はこんなことしてないし、させてやる気もない。
言外に思いを込め、少し強く挟んでやる。あぁ、ぁ、と声が漏れ、小さな肩が軽く震えた。
「今さら、我慢するな」
「………が、我慢、なんか」
だが、まだ声を抑えていると見える。
相対していたのを横にころんと転がし、緩んでいた浴衣を完全に脱がせる。後ろから抱き着くと、上半身だけ起き上がる。
「っぁ」
あぐらをかき、葵の身体を隙間にすっぽりと収める。より触りやすい格好…背面座位の体勢だ。
「…や……ぁ、っ………!」
片手で乳房を揉みしだきながら、残りの手を下半身に滑らせる。控え目な茂みを通り過ぎ、直接そこへ。
「ゃっ、ま、待っ、当たって……はぁっ…!」
いきり立ったモノのことを言っているのだろうが、それより早く到着した。
湿り気を帯びたそこに指を遊ばせ、入口を往復する。入れるよりさすられる方が好きなのだとか。掌でクリトリスを押し、強すぎないように刺激してやる
「や、ぁ、…っ……。ちゃ、と…涼、ので…」
「これか?」
自分の浴衣を開き、充血した分身を足の付け根、滑らかな太股に押し付ける。
葵の身体を回転させ、座ったまま相対する。完全に脱ぐと、擦りつけながら位置を上にずらし、たどり着いた秘裂を裏側で撫で上げた。
「〜〜〜っ」
快感に顎をつんと出しながら、恥ずかしげに目をぎゅっと閉じる。
「っ……生えたみたいだな」
「…ば、か……ぁっ」
そのまま上下に揺らすと、ちょうど雁の部分が敏感な突起を小突く形になる。その度に小さな電流が流れ、あ、あ、と声を上げた。押し殺す事が出来ず、葵は羞恥に眉を寄せた。
恥ずかしがる顔をもっと見たくて、そのまましばらく続ける。すると閉じていた双眸がゆっくりと開かれ、濡れた漆黒の瞳が現れた。
「入れたい?」
「…」
訴えかけるような切ない、でもちょっぴり怒ったような視線。
「…………意地悪」
「…済まん」
そろそろ我慢できないのは、涼も同じで。
「…入れるよ」
返事を待たずに、割って、埋めた。
「あ…はわっ……あぁ…ッ…!!」
水音も顕わに、飲み込まれていく。
葵は涙に濡れた瞳を「そこ」に向けながら、秘肉を分け入るたびに鼻にかかった喘ぎをこぼした。
自分で処理をしなかっただけあって、正に背筋が震える快楽だった。入ったばかりだというに、強烈な収縮に思わず果ててしまいそうになる。
だが一週間振りの機会をこの程度で終わらせてなるものかと、足を絡めてしがみつく葵を逆にきつく抱き返し、何とか堪え、押さえこんだ。
「っ……大丈夫、か?」
締め付けがひとしきり収まった後、涼はそれでも絶えず送られる快感に耐えつつ尋ねる。
達したかどうかは聞くまでもなかった。分身からは内部の痙攣が伝わって来たし、留まりきらずに漏れた愛液の量も半端ではない。何より背中に食い込んだ爪の後が雄弁に物語っている。
男の自分に女の快感はわからないが、それでも果てた後が辛いのはよくわかる。それも今のは一週間振りの、本物の絶頂の筈だ。
「はぁ、…は、ぁっ…ふぁ…」
あまり大丈夫ではなさそうだ。呼吸が荒い。
「ぁ……っ、…はっ、…い、れるの……早、すぎ………」
葵は息も絶え絶えといった様子で答えた。タイミングではなく、入れるスピードのことを言っているようだ。
荒い呼吸で身体が上下する度に、淡い朱色を差した火照った果実が二つ、揺れている。
「……はぁ、は……ぁっ……ふぅ……んっ……」
「………」
前後にも少し動きがあるため、ちゅ、ちゅ、と音が漏れる。
中が擦れる。
眼差しに入り混じった、困惑と羞恥。
快楽の残滓。
「…わ、るい」
…理性が飛んだ。
「え……んぁっ! あぁっ!」
男の意地だとか、もっと長く楽しもうとか先に出したくないだとか、そういう考えは直ぐさま吹き飛んだ。
体勢を変えることすら忘れた。座って向き合ったまま、添えた手で腰をがっちりと掴み。
突き上げる。
「あっ! だ、め…ふあ、あんっ! や、やぁ…ぁ、ひああ!」
唐突な攻勢に、葵は身震いして悶える。一週間振りのその快感に、抗議もできなかった。
突けば敏感な最奥まで届き、引けば葵の体重で加速する。内壁の襞が涼のモノを擦り上げ、更に血量を増した男根が次々と蜜を掻き出す。溢れたそれは二人の肌の間で糸を引き、打ち付けるたびにぐちゃぐちゃと音を立てた。
より大きく。より卑猥に。
「あぁ! んあ! はあ! ふあっ!」
葵はだらし無く唾液を垂らし、口を半開きにしたまま喘ぐ。
暴力的なまでの、圧倒的な快楽。他の事を考える余裕などなかった。
やがて、声が切羽詰まっていく。
締め付けの間隔が狭まり、しがみつく腕がきつくなる。
もともと達しかけ、高まっていただけあって、涼にもとうとう限界が来た。
「い、く…ぞっ!」
最後とばかりに、腰を思い切り叩き付ける。より激しく。より強く。
「あぁ、あぁっ! はぁ、はあ、う、んっ! ひぃぁ、いあっ!」
最後の一突きで自分の腰をぐいと押し付け、目の前にある葵のそれは、逃がさぬよう押さえ付け。
「っ!」
勢いよく、滾りを放出した。
「へあ、ふああぁ! あぁぁぁっ!!」
強烈な締め付けが容赦なく襲い掛かった。搾り出される感覚に、思わず呻きが咽を震わせる。
「はぁあ! あ、ひああぁぁんッ!!!」
大量の灼熱が奥を叩くのを受け、葵も追って二度目の絶頂へと達した。ぶるぶると身体をわななかせ、鮮烈なまでの快楽を全身で表現する。
一際大きな、悩ましげな鳴き声を上げ、痙攣と同時におびただしい量の愛液を吐き出す。膣内に満ちた白濁と混じり合い、入りきらない分は結合部の隙間で圧力を受け、ぴゅ、ぴゅ、と漏れていく。
ぎゅぅ、と抱き着かれる。温かい身体。
意識が薄れ、しがみついた○○と一緒に横になった。
心地よい脱力。
軽い睡魔。下へ。
下へ…
「馬鹿」
「…はい」
「鬼畜。色情魔。節操無し」
「いや節操無しはないだろ、こういうことはお前にしか」
「ケダモノ」
「ゴメンナサイ」
時刻は午前1時。
二人で布団を被ったまま、涼は一方的なお説教を喰らっていた。
いかに一週間振りだったとはいえ、理性が吹っ飛んだ後は半ば葵を無視した揚げ句、完全に中に出してしまったのだ。ケダモノと言われようが言い返せる身分ではない。
……中に?
「そ、そうだお前、その…」
「……薬、ある」
「あ…そうか、す、すまん」
そのうえ男性が気を使うべき最低限の事にすら思いが至らなかったことを知り、さらに情けなさで縮こまる。
ダメ人間の宣告を受けているようで、心が…痛かった。
「……」
「?」
言葉が沈黙に消え、涼はおやと顔を上げた。
目の前の葵は、なにやら視線を反らし、ほんの僅かに俯いていた。
微妙に頬が染まっている。
「……薬……ある、から…」
「は?」
発言の意味がいまいち読み取れない。薬があるから…何なのか。涼は首を傾げる。
すっと顔が上がり、上目使いの視線が向けられる。ちょっと待てお前それは反則だろう。そんなに俺の理性を虐めたいのですか。
…だが後に続いた言葉は、さらにそれを焼き焦がしてくれた。
「あ、あおいさん?」
「………………つ、次…優しく、して」
翌日、防音への配慮の甘さを思い知らされることになるが…それは別の話。
作者 1-180
2007年12月12日(水) 09:54:17 Modified by n18_168