人には見えない何か
村の少女がある日、里山に出かけた時
道に迷って家に帰れなくなってしまい、空腹で倒れそうになって
川の源流、清水が流れる不思議な場所に咲いていた、綺麗な花を口にしてしまう
気がついたら村人に介抱されていて、布団の上
山の出口で倒れていたところを、発見されたらしい
少女は言葉が出なくなっていた。村人は何か恐い物でも見たのではないかと噂した
そして少女は、あの花の味が忘れられず、何を食べても美味しいと感じなくなってしまった
山に度々、一人で足を運ぶようになった少女
体の渇きに落ち着くことが出来ず、何度も奥に入っては意識を失って
いつの間にか村に戻って来ている。「あの花のあった場所」が分からない
少女は花を食べるようになった。道端に咲いているものや、頂いた花
洗って、そのまま食む。それだけで渇きは収まって、何も要らない
段々と変わっていく少女を、村人は恐れ始める
感情は希薄になり、物を食べず痩せ細っていき、虚ろな瞳には、人には見えない何かが映っているかのよう
少女は今日もまたふらりと、山の中へ消えていく
といった蟲が憑いたような無口っ子を書きたいが、雰囲気出すの難しいな
段々自然に埋もれるようにして心を忘れていく少女を、一度だけこちらに引き戻して抱きたい
2011年08月23日(火) 11:37:40 Modified by ID:uSfNTvF4uw