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無口で甘えん坊な彼女 〜彼女の自己紹介〜

真新しい少し大きめの制服に身を包み、俺達は教室で各々の座席に座っていた。
中には小、中学校からの腐れ縁もいるが他は知らない人だ。
秋葉は大丈夫だろうか?
ちらりと後ろを振り返る。俺に気付いた秋葉は優しく微笑み返してきた。
これなら心配なさそうだ。秋葉は無口なだけで人見知りするタイプではないし。
それに何かあったらすぐに助けてやれるわけでもない。
俺達が付き合っているなんて周りに知られたら冷やかしの対象になってしまうから。
そう時が経たない内に担任が姿を現した。性別は女性、妙齢だが二十代前半だろう。
担任は自分の名前だけ告げると徐に文庫本を取り出した。
「後ろの人から自己紹介してもらおう。えー……よし、結城、お前からだ」
本を開きながら思い出したように自己紹介を促す。なぜか出席番号の後ろから。
「早くしてくれ」
そう言う担任の目は本から離れることはなかった。
俺はひとまず名前と趣味くらい言って次の人へと回す。どうせ一回では覚えきれない。
自己紹介なんてそんなものだ。
軽い気持ちで聞き流しているといよいよ秋葉の番がやって来た。
秋葉は静かに椅子から立ち上がる。
「……桐山秋葉です」
澄んだ声で一言。
不思議と教室は静寂になり皆が次の言葉を待っていた。
「…………」
秋葉は何も言わない。何を言えばいいのか困っているようだった。
「そう緊張するな。自分の趣味や好きなことでも言えばいい」
相変わらず本に視線を向けている担任が面倒くさそうに口を開いた。
「好きな……」
小さく呟いた秋葉が俺を見て微笑んだ。そんな気がした。
「結城雪春が……大好きです」
突然の一言に教室中が今度は俺に向き直った。全員の視線が集まるのを感じる。
しばらくは秘密にしようと思ったのに……秋葉、何てことをしてくれるんだ。
すっきりした表情で席に座る秋葉が恨めしい。
「そうか、桐山と結城はラブラブと。問題ない私は男女交際は大歓迎だ」
この時になって初めて担任は視線を俺達に移し、楽しそうな表情を浮かべた。


「それにしても何度思い出しても笑っちゃうね」
昼休み。俺と秋葉と友人である茜は屋上で昔話をしていた。
茜もあの時教室にいた一人で『自己紹介事件』として言いふらしている。
お陰で俺達は校内で最も有名な二人になってしまった。
「うるさい、茜。それにしても秋葉は何であんなこと言ったんだ?」
平然と箸を進めていた秋葉は突然の振りについて行けず、ただ首を傾げた。
「だからさ、あの時に何であんなこといったのかなと思って」
目をぱちぱちさせたかと思うと嬉しそうな笑みを浮かべて答えてくれた。
「………好きだから…ダメ?」
この顔は反則だ。ただでさえ俺は秋葉に弱いんだから。
否定することなんて出来ない。
「はいはい、そこまでー。二人の世界に入らない」
パンパンと手を叩き茜が空気を元に戻す。しかし笑いを堪えるのに必死なようだ。
あの事件以来、茜にとって俺達は面白い対象らしく何かと笑われる。こっちはいい迷惑だ。
秋葉も眉を潜めたがすぐに元に戻ると俺の袖をクイクイ引っ張り出した。
俺を見つめるその瞳は何かよからぬことを望んでいるのが読みとれた。
視線を俺の弁当に移し卵焼きの一つを指さす。次に俺の箸を見ると今度は己の唇を指さした。
「まさか……食べさせてほしいとか?」
嬉しそうに頭をコクコクと縦に振り急かすように口を開いた。
ちらりと横を見ると茜がわざとらしく深いため息をついていた。
こうなったらやるしかない。もし断ったらどうなるかわからない。「ほらよ」
雛鳥の餌付けのごとく口に卵焼きを放り込む。
小さいそれを時間をかけてもぐもぐと食べ終えた秋葉は納得したように頷いた。
「……やっぱり雪香さんのは美味しいね」
そんなに美味しいだろうか?この味に慣れてしまっている俺には分からない。
それにここだけの話、秋葉の作る卵焼きもかなりの味だ。
秋葉の料理は俺の母さん仕込みだから当然とも言えるが。
そんなことを思っていると茜の笑い声が耳に入ってきた。
「ほんっと、二人にはかなわないね。私の目の付け所は間違ってなかったわ」
俺達は茜に振り回されっぱなしだ。茜が再建した部活にもいつの間にか入れられてたし。
文化祭の時も……思い出すのはやめよう。
茜によって命名された『文化祭事件』は『自己紹介事件』以上に有名になってしまっている。
「じゃあそろそろ私は行くね。秋葉、教室で待ってる」
そう言い残すと、相変わらず人より少し短いスカートを翻して茜は去っていった。
「やれやれ…茜は出会ってから変わらないな」
「……そこがいいんだよ…それに雪春も」
弁当箱を片づけながらポツリと秋葉が呟いた。秋葉にとって茜は高校で初めての友人だ。
お互いに波長が合うのだろう。
茜との友人関係、それは秋葉自身も何も変わらないことを示している。
「それにしても…俺もそんなに変わってないか?」
それはそれで少し残念な気がしないでもない。秋葉と出会ってから成長したつもりだ。
しかし秋葉は頭を上下に振った。
「……私の大好きな雪春のまま変わってないよ」
優しく微笑みながら言ってきたそのセリフに何も言い返せない。
とっさに顔を伏せると秋葉が抱きついてきた。
「へへ…大好き」
俺に出来るのはせいぜい頭をなでてやることくらいだった。
2011年05月08日(日) 22:45:51 Modified by ID:b+GVV9iJpQ




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