日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼発射されるハーピー

▼機体搬送車輌に搭載されたハーピー

▼CCTVで放映された中国軍のハーピー。シーカーの形状の異なる2種類の機体が登場している。


性能緒元
全備重量135kg
全長2.7m
翼幅2.1m
エンジンAR731ロータリーエンジン×1(38馬力)
最大速度185km/h
航続距離500km
炸薬32kg

ハーピー(HARPY)無人機は、イスラエルのIAI社が開発した(unmanned aerial vehicle:無人航空機)で、レーダーサイトの捜索・攻撃を目標として開発された[1]。

イスラエルは第四次中東戦争においてアラブ側の防空システムにより大きな損害を出した戦訓から、防空システムの無力化を図る敵防空網制圧任務を重視するようになった。しかし、通常の航空機による攻撃では、反撃により被害を出す危険性が高いことから、レーダーサイトの探知から破壊までの一連の作戦を、人的被害を出すことのないUAVに遂行させるとの発想の元で開発されたのがハーピーである。

【性能】
ハーピーは、全長2.7mの胴体にウイングレット付きデルタ翼を装着しており、38馬力のAR731ロータリーエンジンで推進式プロペラを回転させて飛行する[2][3][4]。機首にはレーダー波を探知するパッシブレーダーシーカーを内蔵しており、機内には32kgの炸薬が装填されている。機体の制御は自動制御システムを採用しており事前に入力されたコースを自律飛行するので、射出後に地上から遠隔操作を行う必要はなく「打ちっ放し」が可能[1]。

機体は密封式ランチャーに搭載されており、前線での整備は必要ないフリーメンテナンスを実現している[1]。ランチャーは機体搬送用トラックの荷台に搭載されて前線に輸送される。機体の射出はランチャーから直接離陸促進ロケットにより打ち出すため滑走路などは必要なく迅速な発進が可能。

射出後、ハーピーは事前に入力されたコースを自律飛行しながらレーダーサイトから発信されるレーダー波を捜索する[2]。対象地域内で発見されたレーダー波を比較して脅威度を判定、最も脅威度が高いと判定された目標に対して攻撃を決定[2]。攻撃モードに入ると、目標に対して真上から機体を突入させてレーダーサイトを無力化させる[2]。なお、目標の状態に応じてより有効なダメージを与えるため、目標に直撃させて爆発させるか、目標真上で炸薬を爆発させるかを選択することが出来る[2]。

ハーピーは低空飛行を行うため地上からの発見は困難であるが、仮に相手がハーピーの存在に気付いてレーダーを停止してレーダー波放出が止んだ場合は、攻撃を中止して飛行モードに復帰しレーダー波の再放出を待つ[2]。そのため、たとえサイトを破壊できなかったとしても相手側にレーダーを作動させることを抑制させる効果がある。ハーピーは500kmの航続距離を有しており、低空を長時間に渡って飛行することが可能。最終的に目標を発見できなかった場合には、指定された領域で自爆するようにプログラミングされている[2]。

制圧効果を高めるため、一つの領空に複数のハーピーを同時投入するが、それぞれの機体は干渉することなく自律的に目標の捜索を行うことが可能[2]。

ハーピーを装備するUAV中隊は、ハーピー本体、指揮統制装置、整備支援装置、機体搬送用トラック3両などで構成されている[2]。機体搬送トラックは一両あたり最大18機のハーピーを搭載可能で、中隊では合計54機のハーピーを装備することが出来る。此等の装備はいずれもC-130輸送機による空輸が可能[2]。ハーピーは、船舶からの発射も可能で、艦艇への攻撃や着上陸作戦において沿岸部のレーダーサイトを制圧するのに用いられる[1][2]。

【中国におけるハーピー】
中国は1994年からハーピーの輸入を開始し1999年までに50機を調達したが、その事実は2004年に台湾海峡で行われた演習にハーピーが使用されているのが発見されるまで明らかにされなかった[2][5]。これに対して、先進軍事技術の中国への移転を警戒するアメリカがイスラエルに圧力をかけたことにより、イスラエルは中国への兵器輸出を停止することを決定する事態になった。

IAI社ではハーピーの改良を続けており、誘導システムに光学センサーを併用することで、相手がレーダーの作動を停止してもその目標に突入することが可能になった[2]。中国ではこの改良型の導入を希望して、既存のハーピーをイスラエルに送ってアップグレード作業を依頼していたが、イスラエルの政策変更により改装作業は中止されそのまま中国に送り返された[7]。

これ以降、部品の供給も停止されたので中国軍でのハーピーの運用は困難に陥っているのではないかと推測されていた。しかし、2011年にはCCTV(中国中央放送)の放送の中で部隊運用中のハーピーが確認されて運用が継続されていることが判明した[8]。放送ではシーカーの形状の異なる2種類のハーピーが登場しており、中国がリバースエンジニアリングによりハーピーのコピー生産と独自の能力向上を実施した可能性が指摘されている[7][8]。

【参考資料】
[1]Israeli Weapons Ltd.「HARPY」
[2]Defense Update「Harpy Air Defense Suppression System」
[3]Hemi Oron, Elbit Systems「UAV Engines in the next decade - Turbine
Engines, Piston Engines and the newly Combat Proven Rotary Engine」(2006年11月6日)
[4]UAV Engines公式サイト「AR731 - 38 BHP - UAV TARGET ENGINE」
[5]Chinese Defence Today「Harpy Unmanned Aerial Vehicle」
[6]SIPRI Arms Transfers Database
[7]Chinese Military Aviation「Harpy」
[8]China Defense Blog The Harpy UAV Affair, the next chapter

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