日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼ネームシップのPNS「アズマット」

▼竣工後、本国への回航途上で香港に寄港するPNS「アズマット」

▼対艦ミサイル発射機の後部に面している部分のブルワークは、発射時の爆風を逃がすためにカットされている。


性能緒元(原型)
排水量631t
全長63m
全幅8.8m
喫水2.4m
主機ディーゼル 4基4軸
速力30kts
航続距離800nm/30kts
乗員55〜60名

【兵装】
対艦ミサイルC-802もしくはC-802A/4連装発射機2基
近接防御AK-630 30mmCIWS1門
 25mm連装機関砲1門

【電子装備】
レーダー対空/対水上捜索レーダー1基
TR47C(LR−66)火器管制レーダーAK-630M用
 航海レーダー1基
センサー電子/光学センサー1基
チャフ/フレア発射装置2基
敵味方識別装置(IFF)
C3システム    
データリンクシステム    

アズマット級ミサイル艇(Azmat-class fast attack craft)は中国船舶重工国際貿易有限公司(China Shipbuilding Industry Corp:CSOC)がパキスタン海軍から発注を受けて開発を行ったミサイル艇。パキスタンでは、2010年2月に新型ミサイル艇の国際入札を開始、同年12月にCSOCの提案が採用されるに至った[1]。ネームシップは中国の天津新港造船廠で建造され、二番艇以降はパキスタンのKarachi Shipyard & Engineering Works(KSEW)で中国の技術支援の元で建造を行うことが取り決められた[2][3][8]。一隻あたりの建造費用は5000万ドル[3]。

【性能】
アズマット級はミサイル艇としては比較的大型の部類に属し、コルベットにも分類可能なサイズとなっている[1][2]。これは、パキスタン海軍が、有事の沿岸防衛任務に加えて平時における領海警備やソマリア沖における国際海上警備活動への参加といった任務を行い得る良好な航洋性能を求めたことによる[1]。

同級のサイズは、排水量631t、全長63m、全幅8.8m、喫水2.4m。船体やマストには近年の流行であるレーダー反射断面積(Radar Cross Section:RCS)低減化設計が施され、艦首と艦尾にはRCS値を減らすため甲板上の装備や艦砲を隠す目的でブルワークが設置されている[1][4]。ただし、電子装備や対艦ミサイル発射機は在来型であり、艦首碇が外装式など、そこまで徹底したRCS値低減策が施されているわけではない[4]。上部構造物は比較的大型で、主船体と一体化させた構造を採用。艦尾には、搭載艇を迅速に水面に下ろすためのスリップウェイが設けられた。これは、臨検や洋上警備、救難活動などに適した機能で、アズマット級が洋上での警備活動を重視していることに起因する装備である[4]。

機関はディーゼルエンジン4基。スクリューは4軸で、最高速度30ktsを発揮する。航続距離は800nm/30kts[4]。外洋での比較的長期の活動を前提としているため、乗員の居住性に配慮して船体動揺を抑えるフィン・スタビライザーが設置されている。煙突は装備されておらず、舷側排気を行う[4]。排煙が熱源として探知されるのを防ぐため、高速航行時に排煙が大量発生する際には海水を放出して水の膜を作り排煙を冷却する機能が備わっている[4]。煙突を設置しなかったことで、上部構造物の設計が容易になり全体のサイズも小型化できるのでステルス性の面でも有利になるとされる[4]。

主兵装である対艦ミサイル(C-802とC-802Aの二種類の説がある)の4連装発射機2基は、上部構造物直後の後部甲板上に横向きに搭載[4]。発射機後部に面している部分のブルワークは切り取られており、爆風を逃がす様になっている[4]。

近接火器としては、艦首部に25mm連装機関砲1基、上部構造物後部にAK-630 30mmCIWS1基を装備している。これは中国陸軍で使用されている87式25mm連装機関砲の艦載型と思われる。25mm機関銃の管制は砲側要員による目視管制を行うが、艦橋上の電子/光学センサーを使用して目標指示を行うことも可能[4]。艦首部の25mm連装機関砲は発射速度の問題から、対艦ミサイルへの対応はあまり考えられておらず、主に哨戒・警備活動における水上目標への対処に使用されるものと思われる。上部構造物後部の30mmCIWSは、マスト直後に搭載されているTR47C(LR−66)火器管制レーダーにより自動管制を行う。この他、チャフ・フレア発射装置2基が対艦ミサイル手前の第2甲板上に配置されている[4]。

電子装備としては、対空/対水上捜索レーダー1基、TR47C(LR−66)火器管制レーダー1基、航海レーダー1基、電子/光学センサー1基を備えている。アズマット級が搭載している対空/対水上レーダーは、12目標を同時に探知しつつ、4目標に対して同時追尾が可能な能力を有している[4]。ただし、マストの位置が低いこともあり、水上艦艇の探知距離は最大30kmに限られている。これは他国のミサイル艇にも共通する課題であり、対艦ミサイルの射程を有効活用するにはデータリンクにより他の艦艇や航空機から得た目標情報を利用する必要がある[4]。

【建造状況】
一番艦「アズマット」は、天津で建造作業が進められ2012年4月にパキスタン海軍に引き渡され、パキスタンに回航後の同年6月21日に正式に同国海軍に就役した[4]。二番艦「デフシャット」は、パキスタンのカラチ造船所で中国の技術支援の元で建造が行われ、2014年6月12日に同国海軍に就役[7]。2013年6月と2014年6月には三番艇と四番艇についてカラチ造船所で建造する契約が調印され、建造作業が進められている[8][9]。

1番艇アズマットPNS Azmat1013天津で建造中。2011年3月起工[1]、2011年9月20日進水、2012年4月パキスタン海軍に引渡し、2012年6月21日就役[5]。
2番艇デフシャットPNSM Dehshat1014カラチ造船所で建造。2012年8月17日進水[6]。2014年6月12日就役[7]
3番艇カラチ造船所で建造中。2015年8月起工、2016年9月17日進水[8]。
4番艇カラチ造船所で建造中。2016年12月15日起工[9]。

【参考資料】
[1]Defense News「China Launches Pakistani Patrol Craft」(USMAN ANSARI/2011年9月21日)
[2]Information Dissemination「Chinese 500 ton FAC for Pakistan」
[3]TRISHL「PNS Azmat FAC-M’s Sea Trials To Get Underway」(2012年5月9日)
[4]李建春「“阿茲馬特”号導弾快艇」(『兵器』総158期・2012.7/《兵器》雑誌社)12〜15ページ
[5]Pakistan Military Review「Pakistan Navy Inducts PNS Azmat, Fast Attack (Missile) Craft FAMC」(2012年6月21日)
[6]Pakistan Observer「2nd fast attack craft ‘Dehshat’ launched」(2012年8月17日)
[7]IHS Jane's Navy International「Pakistan inducts second Azmat missile patrol craft」(Ridzwan Rahmat/2014年6月12日)
[8]IHS Jane's Defence Weekly「Pakistan prepares to launch third Azmat-class patrol vessel」(Ridzwan Rahmat/2016年9月18日)
[9]Quwa「KSEW cuts steel for fourth Azmat-class fast attack craft」(Bilal Khan/2016年12月18日)

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