日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼鉄道輸送中の新型軽戦車(右側2輌)。左側2輌は99A2式戦車?


性能緒元
重量
全長
全幅
全高
エンジン
最高速度
航続距離
武装105mmライフル砲もしくは125mm滑腔砲×1
 12.7mm重機関銃×1
 7.62mm機関銃×1
装甲
乗員3名(車長、砲手、操縦手)?

中国陸軍では、62式軽戦車の実用化後も数種類の軽戦車を開発していたが、いずれも試作に留まっており、制式化に漕ぎ着けた車輌は存在しなかった。

62式軽戦車自体、制式化から50年以上が経過しており旧式化は否めず退役が進んでいる。一方、02式100mm装輪突撃砲(PTL-02)など装輪装甲車に100〜105mmクラスの砲を搭載した装輪火力支援車輌が現れた事もあって、中国軍における軽戦車というジャンルは62式を最後に消滅するとの見方もあった。

しかし、2011年になってチベット高原で撮影されたと見られる鉄道輸送中の新型軽戦車の写真がインターネット上に公開された事で、中国が新しい軽戦車の開発を進めているのが明らかになった[1][2]。写真では、新型軽戦車だけでなく99A2式戦車?09式装輪105mm突撃車(装輪坦克/ZTL-09)?といった開発中の新型AFVが搭載されていた事から、これら新型AFVの高地試験のための輸送中に撮影されたものと思われる。

【性能推測】
新型軽戦車に関する情報は乏しく、開発目的やその経緯、車輌の性能や特徴といった情報は殆ど公開されていない。そのため、本稿では外観から分かる事を中心として記載を行うが、その記述には推測が極めて多いものとなっている。

新型軽戦車のシャーシは、既存の中国AFVでは類似した形状のものは存在せず、新規に開発されたと考えられる。車体重量やサイズについては不明だが、トランスポーターに搭載された写真などを見ると、軽戦車とはいえある程度の大きさがあるように見受けられる。新型軽戦車が、純然たる軽戦車なのか、主力戦車の小型版としてある程度の攻撃力と防御力を備えた戦車として開発されたのかは不明であり、更なる情報が期待される。

大きな特徴としては、懸架装置に油気圧式を採用しており車体高を調節できる点がある[1]。中国軍のAFVでは、1970年代に試作された122型戦車(WZ-122)が姿勢制御機能付き油気圧サスペンションを採用しており、実用車輌としては03式空挺歩兵戦闘車(ZBD-03/WZ-506)、ロシアから輸入したトールM1地対空ミサイルシステムの自走ミサイル発射機のシャーシであるGM569装軌式汎用車輌などが油気圧サスペンションを採用している。

新型軽戦車がどの程度の姿勢制御機能を有するか否かは不明だが、車高を低くした状態で鉄道輸送されているのが撮影されている事から、少なくとも新型軽戦車の油気圧サスペンションは車高調整機能を備えているのは間違いない。油気圧サスペンションを導入した意図については、新型軽戦車は山地での運用を前提として開発されたため、油気圧サスペンションによる車高調整や姿勢制御を行うことで、稜線から砲塔だけを露出させて攻撃を行う稜線射撃が行い易くなり、山地での戦闘で有利に働くことを想定しているのではないかとの推測がある[1]。ストロークを大きく取りやすい油気圧サスペンションの特徴から、優れた不整地走破性が実現できるというのも道路事情が悪い山地運用における利点といえる。

車内配置は、前から操縦室/戦闘室/機関室という通常の戦車と同じ配置を採用。操縦手席は車体前方中央に配置されて、ハッチと外部視認用ペリスコープを備えている。最初に撮影された車輌は鉄道輸送のためかサイドスカートを取り外した状態だったが、後に撮影された写真ではサイドスカートを装着しているのが確認されている[3]。

【砲塔部分】
最初に撮影された新型軽戦車の砲塔は、偽装網で覆われて外観が分からないようにされていた。その後、不鮮明ながら偽装網を取り外した状態の写真も撮影された事から、ある程度の推測は可能[2][3]。

新型軽戦車の砲塔前面は99式戦車96A式戦車のように楔形付加装甲が取り付けられており、砲塔側面にも箱型構造物が配置されている。これらの付加装甲により新型軽戦車の砲塔は角張った外観となっている。砲塔後部は後方に張り出したバスルを形成しており、砲弾収納に使用されることが考えられる。

戦車砲の口径は不明。105mmライフル砲との推測が多かったが、125mm滑腔砲の可能性も指摘されている[1]。外観からだと、エバキュエーターの位置やサーマルスリーブの装着方法を見ると、96/99式戦車の125mm滑腔砲とは異なる部分が多く、59D式戦車などに搭載されている94式58口径105mmライフル砲、99A2式戦車?の初期試作車に搭載された125mm滑腔砲との類似点が多い様に見受けられる。副武装としては、他の中国戦車と同じく砲塔上面の12.7mm重機関銃と戦車砲同軸の7.62mm機関銃を備えていると思われる。

射撃統制システムについては不明だが、レーザー測遠器、暗視措置、砲安定装置、弾道計算コンピュータなどから構成された主力戦車並みのものが搭載されているものと思われる。車長用独立サイトが搭載されている事から、目標の照準中も周辺の捜索を継続する事が可能となり、新たに脅威となる敵を発見した場合は車長が優先してその目標を照準・攻撃を行うオーバーライド機能を備えているだろう。

新型軽戦車は、砲塔左側に砲手用サイト、砲塔右側のキューポラに車長用独立サイトが搭載されており[1]、車長が砲塔右側、砲手が砲塔左側という配置になっていると思われる。通常、中国戦車では装填手がいる場合は、砲塔左側が砲手と車長、砲塔右側が装填手という配置で、車長が砲塔右側、砲手が砲塔左側というのは自動装填装置により装填手を廃止した99式戦車96式戦車などの配置方法。この事から、新型軽戦車では自動装填装置を採用しており、乗員は車長、砲手、装填手の3名で構成されている可能性が高いものと考えられる。

新型軽戦車も近年開発された中国AFVと同じく、戦場におけるネットワーク化に対応するための戦場情報管理システム、データリンク、衛星位置測定システムといった各種装置を搭載するものと想定される。

【今後の展望】
新型軽戦車は主に、インドと国境を接するチベット自治区などの山地での運用を前提として開発されたと考えられている。中国の西南地域は広大な高原や山地が広がっているが、山地や丘陵では大型かつ大重量の主力戦車を運用するのは困難。かつての62式軽戦車も軽量化により山地でも機動可能な重量に抑える事で、平時は国境警備任務、有事には偵察任務や歩兵部隊に追随して火力支援を行う事を目的として開発された経緯を持つ[4]。

軽量化の場合、問題となるのは防御力に割ける重量が減ってしまう事で、62式軽戦車もその脆弱な防御力が中越紛争における大きな損害を招く要因となった[4]。新型軽戦車がこの問題にどう対処するのかは重要なポイントになるものと思われる。付加装甲による直接防御力の向上、油気圧サスペンションによる姿勢制御で地形を利用して車体を隠す間接防御力の向上などの対策が取られているのが分かっているが、これに加えてアクティブ防御システムを採用する事も考えられ、今後詳細な情報が明らかになる事が期待される。

新型軽戦車の設計コンセプトの方向性が不明な点が、防御力に関する考察を難しいものとしている。前述の通り、新型軽戦車が62式軽戦車と同じく装甲重量を減らして軽量化を図っているのか、小型化と同時に火力と装甲についても相応の能力を保つ「小型の主力戦車」という方向性を採っているのか現時点では不明。中国のインターネットでも、新型軽戦車について「軽型坦克」[3]という表現と「軽型主戦坦克」[5]という二通りの表現がなされているのも、この新型軽戦車の性格付けについて見解が割れている事の表れといえるだろう。

広大な国土と多様な気象条件を有する中国では、直面する脅威も同一ではない事もあり地方によって必要とされるAFVの条件が異なり、地域ごとの条件に合わせたAFVの開発・配備が行われており、新型軽戦車もその一環と考えられている[1]。

▼トランスポーターで輸送中の新型軽戦車

▼サイドスカートを装着した状態で鉄道輸送中の新型軽戦車。上の写真とはサスペンションの高さが異なっているのが確認できる

▼走行中の新型軽戦車。不鮮明な写真ながら偽装網を外した状態での外観が確認できる。

▼写真サイズを合わせた96A式戦車と比較。(96A式の写真は元画像を反転させて方向を合わせているので注意)。車体長は新型軽戦車の方が僅かに短いが、砲塔長は(偽装網のせいで大きさが不明確になっているが)96A式よりも長い事が見て取れる。

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【参考資料】
[1]Вестник Мордовии「Китайский совершенно секретный "горный танк" вновь попал под объективы трейнспоттеров」(2012年7月20日)
[2]Вестник Мордовии「В 2012 году стало известно о появление в Китае нового совершенно секретного танка」(2012年12月21日)
[3]鉄血社区「中国新式軽型坦克山地測試曝光:外形真威猛!」
[4]古是三春「中国戦車開発史(2)」(『月刊グランドパワー』2004年7月号/ガリレオ出版)120〜139ページ
[5]三軍情報「解放軍最新式軽型主戦坦克高原運輸猛図曝光!组図」(2013年8月7日)

中国陸軍

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