最終更新: rglc85tj8h 2008年01月27日(日) 04:11:38履歴
▼1番艦「パタニ」
▼2番艦「ナラティワート」。搭載ヘリはアグスタ・ウェストランド製スーパーリンクス。
■性能緒元
満載排水量 | 1440t |
全長 | 95.0m |
全幅 | 11.6m |
主機 | ディーゼル 2軸 |
Rushton 16RK270ディーゼル 2基 | |
速力 | 25kts |
航続距離 | nm/15kts |
乗員 | 84名 |
【兵装】
砲 | OTO-MELARA 62口径76mm単装砲 | 1基 |
近接防御 | 40mm連装機関砲 | 2基 |
搭載機 | ヘリコプター | 1機 |
【電子兵装】
対空レーダー | RUN-30(Xバンド) | 1基 |
火器管制レーダー(砲用) | TMX/EO | 1基 |
航海用レーダー | ||
戦闘システム | COSYS/ARGOS |
タイ海軍は、2000年から領海警備に当たるOPV(Offshore Patrol Vessel:外洋哨戒艦) 2隻を調達する事を計画し、ドイツや中国など各国の造船メーカーが要請に応じて提案を行った。3年間に及ぶ検討期間を経て、2002年12月20日に独ブローム・ウント・フォス社のMEKO型フリゲイトを破り、中国造船貿易公司を中心とする企業集団案の採用が決定した。契約総額は7,500〜8,000万ユーロであったが、この中には船体がタイに到着した後に行われる独アトラス・エレクトロニック社主導の兵装・システム設置費2,500万ユーロが含まれている。
本艦は独企業の指導と監督の下で船体を中国で建造し、タイに到着後兵装や電子装備、各種管制システムを搭載する建造方針をとった。これはタイが1994年に中国から輸入したF-25T型フリゲイト(ナレースワン級)でも採用された方式である。このような変則的方法は、中国の造船技術の後れや西側諸国の対中武器輸出規制などに起因する。反面この方式は建造コストの安い中国で船体を建造し、経験のある西側企業がシステムを構築し実績のある西側製電子装備を組み込むことで、低コストで実用性の高い艦を調達できるメリットもある(システムインテグレーションが難しくなるが)。
2隻には「パタニ」(1番艦)、「ナラティワート」(2番艦)の艦名が与えられたが、これはいずれもタイ南部の県名に由来している。パタニ級はナレースワン級フリゲイトを建造した上海の滬東造船廠で建造された。艦形はナレースワン級を小型化した様な形状であるが、船体各部の設計はよりステルス性に配慮したものになっている。現状の兵装はオットー・メララ社製の62口径76mm単装砲1基と40mm連装機関砲2基であるが、艦橋と煙突の間に艦対艦ミサイル発射機を搭載可能な空間を確保しており、必要に応じて兵装の強化が可能。船体後方には格納庫があり、ヘリコプター1機を搭載する。
パタニ級の電子装備は、伊SELEX Sistemi Integrati社製RUN-30対空捜索レーダー(Xバンド)1基、TMX/EO火器管制用レーダー1基などを装備。戦闘システムはAtlas Elektronik社製COSYS/ARGOS多目的戦闘処理システムを採用。これらの火器管制システムはOerlikon Contraves AG社から供給された。通信システムはRohde & Schwarz社製。Raytheon Marine GmbH'sはシステムの統合と各種機械系統、航海用システムを供給という様に、パタニ級の装備は西側各国の兵器メーカーから供給されている事が分かる。COSYS/ARGOS多目的戦闘処理システムは、3台のBM-2000液晶モニターを有しており、艦に関する全般業務を遂行するためのソフトウェアがインストールされている。
1番艦「パタニ」は2005年11月にタイ海軍に引き渡され12月6日にタイに到着、翌年2月には2番艦「ナラティワート」が就役した。タイ海軍ではパタニ級の追加調達も検討していると伝えられている。
1番艦 | パタニ | HTMS Pattani | OPV-511 | 2005年11月就役 |
2番艦 | ナラティワート | HTMS Naratiwat | OPV-512 | 2006年2月就役 |
▼建造中の2番艦「ナラティワート」
▼本国に回航される途中、香港に入港した「ナラティワート」。兵装は未搭載。
▼COSYS/ARGOS多目的戦闘処理システムのBM-2000液晶モニター。
【参考資料】
Kojii.net 2005年11月25日「今週の軍事関連ニュース」
世界の艦船 2006年2月号(海人社)
INDIA DEFENCE CONSULTANTS 2006年1月18日“ THAILAND ACQUIRES CHINESE OPVs & APCs”(By Prasun K. Sengupta)
SIPRI “The SIPRI Arms Transfers Database”
中国海軍