日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼訓練中のPGZ-07。捜索レーダーは収納状態。


07式35mm自走高射機関砲(PGZ-07)は近年配備が開始されたばかりの新型自走高射機関砲システム。

【開発経緯】
中国軍では1990年代に25mm機関砲と地対空ミサイルを組み合わせた95/04A式25mm自走高射機関砲(PGZ-95/04A)を開発し、機械化部隊に直属して中・低高度域の経空脅威に対して防空任務に当たる車両の実用化に漕ぎ着けた。

95/04A式の配備に着手した1990年代末、中国軍はさらに能力を向上させた第二世代の自走高射機関砲に関するスタディを開始した[1]。コンセプトとしては、95/04Aと同様に装軌式シャーシに大口径の35mm単装機関砲2門を装備する案と、1990年代以降開発が盛んになっていた装輪式装甲車のシャーシに30mmr連装機関砲2門を搭載する案の2つが存在した。

どちらの案でも、捜索用レーダーと追尾用レーダーを一両の車両に搭載することになっていた[1]。前タイプの95/04A式は。搭載するレーダーは捜索用のみで追尾は光学/電子センサーで行っていたが、追尾可能な距離が制約されたり悪天候下での追尾に限界がある等の問題があった[6]。第二世代の自走高射機関砲では、捜索用と追尾用に別々のレーダーを搭載することにより、目標の探知から追尾、攻撃までの一連の過程を自己完結的に行い、追尾中にも捜索レーダーが稼動しているので別目標の接近を探知することが可能となっている[1]。これは、1970年代に西ドイツ(当時)で開発されたゲパルト35mm自走高射機関砲で導入され、以降各国の対空自走砲で取り入れられた設計方法であった。

評価の結果、後者の装軌式シャーシに35mm機関砲を搭載した案が採用され、本格的な開発が行われることになった。(なお、装輪案は輸出向け車両として開発が継続されることになった。詳細:30mm装輪自走機関砲(WZ系列装輪装甲車派生型)

設計案の妥当性を実証するために、35mm自走高射機関砲の技術実証車が製造された。技術実証車は90式35mm連装機関砲(GDF002)の35mm機関砲を新規製造の装軌式シャーシに搭載した。このシャーシは、63式装甲兵員輸送車のシャーシや77式水陸両用装甲兵員輸送車の足回りや転輪など既存車両のコンポーネンツを利用して製造されたものであった[2][3]。この段階では、部隊配備ではなくコンセプトの実証が目的だったこともあり、レーダーや射撃統制装置、機関砲などを搭載する砲塔は車体に比べてかなり大柄で、一応の形にはしたもののまだまだ再考の余地のある荒削りなものだった。

全規模開発に着手してから約10年を経た2007年前後に実用化に漕ぎ着け、「07式双35mm履帯式自走高炮(PGZ-07)」として制式化された[2]。この頃から部隊での運用も開始され、2011年から部隊運用中の写真がインターネット上に出回るようになった[2]。

【性能】
PGZ-07は、フロントエンジン式の装軌式シャーシの車体後部に、機関砲・レーダー・射撃統制装置などを組み込んだ砲塔を搭載している。この車体は「第二世代履帯式共通シャーシ(第二代履帯式通用底盤)」と呼ばれるシャーシであり、各種自走砲の共通プラットフォームとして開発された[5]。第二世代履帯式共通シャーシは既にPLZ-45 155mm自走榴弾砲などで使用されているが、PGZ-07と比較すると車体前面の形状、履帯のゴムパッドの変更(各履板に横長のゴムパッド1枚が装着されていたのが、正方形のゴムパッド2枚を装着する方法に改められた)など細部にかなりの相違が見られる。

乗員は、操縦手、車長、砲手の3名で、操縦手は車体前方左側、車長と砲手は砲塔に搭乗する[4]。機動力に関する数値は、最高速度55km/h、航続距離450kmという数値が上がっている[4]。サスペンションはトーションバー方式[4]。なお、PGZ-95/04Aと同じく、射撃統制システムやレーダー、砲塔駆動に用いる電力を確保するため補助動力装置が搭載されているものと思われる。

【武装】
PGZ-07の砲塔は、追尾用レーダーを砲塔前面に、捜索用レーダーを砲塔後部上方に配置しており、35mm機関砲は砲塔側面に外装式に搭載している[4]。この配置方式は、ドイツのゲパルト35mm自走高射機関砲が先鞭をつけ、その後ロシアのツングースカ ガン/ミサイル複合防空システム、ポーランドのPLA ロアラ35mm自走高射機関砲などでも採用されている。砲塔側面下部には4連装発煙弾発射機が左右各1基ずつ搭載されている[4]。PGZ-07の追尾レーダー側面には光学/電子センサーが装備されている。これは、昼間/夜間兼用のテレビカメラとレーザー測遠器で構成されており、電子妨害によりレーダーが使用できない場合もこれらのセンサーにより目標の捜索・追尾を行うことが出来る[4]。

35mm機関砲は、最大有効射程は4,000m、有効射高は3,000mで、一門あたり毎分550発の最高発射速度を有している[2][6]。ただし、実際には搭載弾数の制約や銃身の加熱といった問題が生じるので、連射時間は短いものになるのが通常。中国北方工業集団公司(NORINCO)は35mm機関砲用の各種砲弾を開発しており、PGZ-07は、HEI(high-explosive incendiary焼夷榴弾)、HEI-T(High Explosive Incendiary with Tracer曳光焼夷榴弾)、SAPHEI-T(Semi-Armor Piercing High Explosive Incendiary-Tracer半徹甲曳光焼夷榴弾)、TP-T(Target Practice with Tracer曳光訓練弾)、調整破片型ABM(Air Burst Munition)弾の5種類を使用可能[2][3]。最後のAMB弾は、エリコン・コントラバス社(現在はラインメタル社の傘下)が開発した35mm AHEAD(Advanced Hit Efficiency And Destruction)弾に相当する機能を備えており、35mm機関砲による対空目標打撃能力を大きく向上させるものといえる[2]。(GDF-06 35mm対空機関砲を使用するパキスタンからAHEAD弾の関連技術を入手した可能性が指摘されている[2])。

PGZ-07の35mm機関砲をPGZ-95の25mm機関砲と比較すると、射程は2,000mから4,000mと倍になり、機関銃弾一発あたりの威力も強まっているので、より少ない弾数で目標を撃破することが可能となっており、ABM弾の導入も相まって対空自走砲としての能力は大きく向上していると評価できる。

PGZ-07は、前身のPGZ-95/04Aと同じく、機関砲基部に携行式地対空ミサイルを4基装着するとされる[4]。ミサイルを搭載したタイプの車両の写真も確認されているが搭載ミサイルの種類は不明。

【指揮管制車】
PGZ-07の自走対空砲中隊は1輌の指揮管制車によって指揮される。この指揮管制車はPGZ-07と共通のシャーシを使用しているが、車体後部上には大型の捜索レーダー1基が搭載されており、車内容積を増すために車体後部が嵩上げされている。PGZ-95/04Aの指揮管制車と同様に、捜索レーダーから得た情報や他部隊から伝達された目標情報などを総合して空域の状況や目標の脅威度判定を行い、隷下の各自走砲に対して迎撃担当空域の割振りや目標指示を下すものと思われる[1]。指揮管制車は固有の武装は装備していないが、自衛用に4連装発煙弾発射機2基を装着している。

【射撃手順】
通常は自走対空砲中隊の指揮管制車が各自走砲に目標情報を伝達し射撃を管制するが、自走砲単体での目標捜索、射撃も可能。

対空射撃を実施する際には、砲塔後部の捜索用レーダーが目標の接近を探知するため全周旋回しながら対空捜索を実施。目標を探知して敵であると判断すると砲塔前面の追尾レーダーによる照準が開始される。追尾レーダーにより得られた目標データを基に射撃統制システムの弾道計算機が射撃諸元を割り出して、機関砲による射撃を実施する。これらの過程は自動化されており、砲手は目標が攻撃範囲内に侵入した場合直ちに射撃を開始する事ができる。

【配備状況】
PGZ-07は、最初に北京軍区の第38集団軍第112機械化歩兵師の防空団(連隊に相当)に配備が開始され、その後広州軍区の第41集団軍第123機械化歩兵師や瀋陽軍区の第39集団軍第116機械化歩兵師、へと配備が拡大されている[7][8]。

PGZ-07は、中国軍の対空自走砲としては最も高い性能を実現したと評価できるが、高度な電子機器を搭載するこの種の車両の性格上、製造コストの高騰は避けられない。(個人ブログの記述だが、一両あたりの単価が1,000万米ドルに達するとの話もある[9])

制式化から数年で3つの軍区の部隊に配備が実施されており、高額な車両の割に調達ペースは順調といえる。これは地上部隊の局地防空能力改善に対する軍の積極的な姿勢の表れと見做し得る。ただし、配備された部隊でもすぐには全ての装備を更新できないこともあり、新旧の装備を組み合わせて有効に運用するための訓練が実施されている[8]。

PGZ-07は、各軍区の重点機械化部隊を中心に配備が進められているが、価格の高さもあってどこまで配備が拡大するかは現状では未知数。また、装輪車両を中心とした軽機械化歩兵部隊でも装軌式のPGZ-07は配備されないものと思われ、同部隊には装輪式の自走対空砲が配備される可能性もある。

性能緒元
重量30t台?
全長6.7m
全幅3.20m
全高
エンジン
最高速度55km/h
航続距離450km
武装35mm機関砲×2
 地対空ミサイル(種類不明)×4
 4連装発煙弾発射機×2
装甲均質圧延鋼板
乗員3名

▼当初公開された技術実証車。


▼制式採用されたPGZ-07。上の車両と比較するとシャーシが変更され、砲塔形状や各種センサー、機関砲の細部などが大きく異なっている。



▼捜索レーダーを搭載した指揮管制車


▼機関砲側面にミサイルランチャーを装着したPGZ-07の写真。改良型の試作車か?


【参考資料】
[1]Bigblu「盤馬彎弓射天狼」(『現代兵器』2009年11月号(総第371期)/中国兵器工業集団公司)28-35ページ
[2]MDC軍武狂人夢「95/04式砲/彈合一自走式防空系統/雙聯裝35mm自走防空砲」
[3]平可夫「中国改進90式AF902高射砲」(『漢和防務評論』2012年10月号)27ページ
[4]Army Recognitio「PGZ-07 twin 35mm self-propelled anti-aircraft gun」
[5]中国武器大全「中国新型双35毫米自行高射炮」
[6]Defense Updates「China upgrades tracked SPAAG from PGZ04 to PGZ07 for short-range air defense」(2012年12月13日)
[7]China Defense Blog「PGZ07 Twin-35mm Tracked SPAA spotted in Guangxi Province.」(2012年7月24日)
[8]分享你的世界-國防科技館-捷克論壇「沈陽軍區某防空團列裝國産新型雙35自行高炮(PGZ-07 35mm SPAAG)」(2013年2月6日)
[9]ych2000 blog.wenxuecity「“亚洲最牛最强”的防空团」(2012年12月28日)

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