日本の周辺国が装備する兵器のデータベース




性能緒元
重量24〜25トン
全長7.2m以上
全幅3.2m以上
車高2.5m以上
エンジン150型6気筒水冷式ターボチャージド・ディーゼル・エンジン(590馬力)
最高速度65km/h
水上航行速度6〜8km/h
航続距離500km
武装100mm低初速砲×1(22発)
30mm機関砲×1(500発)
7.62mm機関銃×1(2,000発)
砲発射式対戦車ミサイル×(8発)
ガンポート×3基
装甲圧延鋼板装甲+付加装甲(車体)/アルミニウム合金+付加装甲(砲塔)
乗員乗員3+搭乗歩兵7名

04A/08式歩兵戦闘車(ZBD-04A/08。生産ナンバーはWZ-502G/WZ-502改)は2011年頃から中国軍への配備が開始された新型の装軌式歩兵戦闘車[1]。生産ナンバーのWZ-502Gは、この車輌がWZ-502(04式歩兵戦闘車)の改良型であることを表している[2]。制式名称については、ZBD-04AとZBD-08の二種類の名称が知られているが、現段階ではどちらが正しい制式名かは不明。制式名が未確定のため、以下の記述では生産ナンバーのWZ-502Gを使用する。

【開発経緯】
1990年代、中国では次世代歩兵戦闘車の開発に際して、ウォータージェットを装備する水上航行性能を重視した設計案と、水上航行性能はそれほど重視せず装甲防御力に重点を置いた設計案の2つが検討された[1]。前者の設計案が04式歩兵戦闘車(ZBD-04/WZ-502)として2004年に制式採用されたのは周知の通り。

この時点では判明していなかったが、実はZBD-04と並行してもう1つの設計案についても研究開発が継続されていた[1]。2007年頃から、中国のインターネットでこの車輌の写真が紹介される様になってきた[2]。2008年に登場した写真では、「(WZ)502改が、メーカーでの設計定型試験の全ての項目を終えて、現在制式採用に向けた試験に備えている」というキャプションが付されており、既に新型歩兵戦闘車が試作段階にある事、この車輌のメーカー生産ナンバーがWZ-502/ZBD-04の発展型であることを表すWZ-502改(もしくは改gǎiの頭文字を取ったWZ-502G)という事も判明した。

似たような車体規模・性能の歩兵戦闘車を二種類並行して開発・配備するというのは外国ではあまり見られない状況だが、この要因としてはZBD-04の防御面での問題を挙げる事が出来る[1]。ZBD-04の設計では水上航行性能を重視した事から、浮力を増すため車内容積を比較的大きく取っている。しかし、装甲重量が重くなりすぎると浮力が減少して水上航行性能が悪化するため、近年の歩兵戦闘車としては比較的軽い防御力に留められている(全周からの12.7mm重機関銃弾の命中、車体正面からの20mm機関銃弾命中に抗堪[1])。同様の問題から近年の歩兵戦闘車では一般的な付加装甲の装着についても、ZBD-04では確認されていない。

WZ-502GのシャーシはZBD-04と同じく圧延溶接装甲で製造されている。ただし、WZ-502Gでは嵩張るウォータージェットを搭載しておらずZBD-04ほど浮力を確保する必要も無いため、シャーシの設計変更を行って車高をZBD-04よりも低くしている[2]。この車高低減は、装甲強化に必要な重量を捻出するための措置でもある[2]。ZBD-04の車体側面は僅かに内側に傾斜した形状になっているが、WZ-502Gでは設計が簡略化され車体側面は垂直になり[1]、ZBD-04には無かった付加装甲がボルト止めされている[1]。足回り上部にサイドスカートを配置するのはZBD-04と共通しているが、サイドスカートの形状は異なったものが採用されている。WZ-502Gは車体正面からの30mm機関砲弾、車体側面からの14.5mm重機関銃弾、車体後部からの7.62mm機関銃弾の命中に抗堪すると見られている[2]。これはZBD-04よりも高い防御力であるが、必要に応じて付加装甲を変更する事で防御力をさらに向上させることが可能と考えられている。

【防御力以外の性能について】
WZ-502Gの車内配置はZBD-04を踏襲しており、車体前方右側が動力系統、左側が操縦手席、車体中央に砲塔を配置、その後部が兵員室となっている。乗員は車長、砲手、操縦手と搭乗歩兵7名より構成される。乗車時の兵員の体力維持のためエアコンが設置されており、室外機が車体後部中央の昇降用ハッチの直上に取り付けられている。

エンジンについてはZBD-4と同じディーゼルエンジンが搭載されているが、ZBD-04で採用されていた水上航行時に出力を向上させる機能は廃止されており、システムの簡略化により整備性が向上している[1]。WZ-502Gは装甲強化により重量が増加したため、路上最高速度は65km/hと、ZBD-04の70km/hよりも僅かに低下している[2]。

WZ-502Gは浮航性能自体は維持されているが、水上航行時の推進力は履帯の回転によって得られる方法に変更されたため、水上速力は6〜8km/hとZBD-04の半分以下の速力に留まっている[2]。水上航行に関連した話題として、WZ-502Gの車体後部には中央部の昇降用ハッチを挟んで2つの箱型構造物が装着されているが、これは水上航行時に車体後部の浮力を高めて前後のバランスを取るためのものと推測されている[1]。ZBD-04では車体前方下部に大型のボウ・フラップを配置して水上航行時に展開しているが、WZ-502Gではこの装置は廃止され、車体先端上部に小型の波除板を装着するに留めている[1]。

近年の中国AFVと同じく、WZ-502Gも情報化に対応したC4ISR機能、データリンクや衛星位置測定システムを備えているものと思われるが、詳細についてはまだ明らかになっていない。

【兵装】
WZ-502Gの兵装は、基本的にZBD-04のものを踏襲している[1][2]。車体中央部に配置された2名用砲塔はロシアのBMP-3Mなどに搭載されたモジュール砲塔「БАХЧА(ローマ字表記だとBakhcha)」のライセンス生産型[2][3][4]。ただし、砲塔形状やセンサー類についてはZBD-04のものと比べると一部変更が加えられている模様。

この兵器システムは、同軸装備された100mm低初速砲2A70、30mm機関砲2A72、7.62mm機関銃6P7と射撃統制システム、砲安定装置、自動装填装置を含む給弾機構等を搭載した砲塔で構成される[3]。システムの総重量は3.6〜3.98トンで、AFV(13トン以上の重量が必要)、水上艦艇、固定式陣地など多用なプラットフォームへの搭載を想定している[4]。砲塔の基本構造はアルミニウム合金製だが、前面部には防弾鋼板がスペースド・アーマー式に装着[3]、砲塔側面はスラットアーマーを兼ねたと見られる装具ラックを配置している。装具ラックはZBD-04には装着されておらず、WZ-502G独自の装備となる。WZ-502Gは、砲塔前面と側面に合計6〜10基の発煙弾発射装置を装備しており、砲塔上部には中国製のレーザー照射警告装置が設置されている[1]。

100mm低初速砲2A70はライフルリングを腔内に切った火砲であるが、発射装薬の少ない小型カードリッジを持つ低初速砲弾、もしくは一体型の砲発射式誘導ミサイルを発射する[3]。砲弾搭載数は100mm砲弾22発と対戦車ミサイル8発[2]。自動装填装置により毎分10発の発射速度を維持する[2]。

2A70の破片効果榴弾(HE-FRAG)は有効射程7,000mで、直接/間接照準射撃により兵員、各種機材、陣地などの攻撃に使用する[3][4]。砲発射式対戦車ミサイルはロシアから技術導入した9K116バスチオン対戦車ミサイル・システムをベースに開発された。RHA値で660mmの装甲貫通力を有しており、射程は100〜4,000m[1]。戦車や装甲車両だけでなく、トーチカなどの防御拠点や低空飛行を行うヘリコプターへの攻撃が可能[1]。誘導方式はレーザー・セミアクティブ誘導で、砲塔上の照準器から発せられるレーザービームに誘導されて目標に向かって飛行する。ミサイルの命中精度は80%以上[2]。

100mm砲の右側に同軸装備されている30mm機関砲2A72は徹甲弾(AP)と破片効果榴弾(HE-FRAG)を毎分300発の速度で射撃可能[5]。機関砲の有効射程は15,00〜2,000m[5]。7.62mm機関銃は100mm砲の左側に同軸装備されており、搭載段数は2,000発[2]。

上記の三種類の火砲は-5〜+60度の俯仰角度で指向させることが出来、30mm機関砲での対空射撃に十分対応できるものとなっている[3]。各種火砲の能力を万全に発揮するために、主力戦車なみの高度な射撃統制システムを搭載しているのもバフーチャの特徴。弾道計算コンピュータ、電子制御式スタビライザー、レーザーレンジファインダー、ミサイル誘導装置等から構成され高度に自動化されている[1][3][5]。射程1,000mの目標に対して3秒以内に90%以上の命中精度をもって火器を発射、射程2,000mの目標に対しても14秒以内に火器発射が可能[3]。

ZBD-04では車長は車長用ハッチ上部のペリスコープと液晶端末に映し出される砲手用サイトの映像で外部視認を行ったが、WZ-502Gでは新たに車長専用サイトが設置されており、車長は砲手が照準中も目標捜索を実施するハンター・キラー能力、優先目標を発見した場合は車長が優先して照準を行うオーバーライド機能が備えられたと考えられる[1]。

この他、車体側面左右と車体後部の昇降用ハッチにガンポートと視認窓が各一基ずつ設けられており、搭乗歩兵による乗車戦闘が可能。諸外国の歩兵戦闘車の中には増加装甲装着の邪魔になるガンポートを廃止した車輌も存在するが、中国軍の歩兵戦闘車は(WZ-502Gを含めて)ガンポートを維持し続けており、現在も乗車戦闘に一定の価値を見いだしているものと推測される。

【派生型】
WZ-502Gの登場と前後して、類似した設計の装軌式シャーシに各種装備を搭載した一連の装甲車ファミリーが確認されるようになった。この装軌装甲車ファミリーの詳細は当初不明であり、89式装甲兵員輸送車の発展型ではないかと考えられて「89G式」「89式改進型」などの仮称で呼ばれていた。

この装軌式装甲車とWZ-502Gとの関連性についてはまだ明らかにはなっていないが、本稿では参考資料[2]の記述に基づき、この装軌式装甲車ファミリーをWZ-502Gの派生型として考える。

【派生型一覧(暫定的なもの)】
種類制式名称生産ナンバー
歩兵戦闘車ZBD-04A/08WZ-502G
装甲兵員輸送型武装はピントルマウント式に搭載された12.7mm重機関銃[2]
自走120mm迫撃砲PLZ-05A旋回式砲塔に後装式120mm迫撃砲を搭載[2][7]
コマンドポスト型車体後部の天井を嵩上げして必要なスペースを確保。自衛用武装として12.7mm重機関銃を搭載[2]
自走対戦車ミサイル車輌新開発の対戦車ミサイル発射機を車体後部に搭載[2][8]
地対空ミサイル・システム詳細不明[2]
自走砲兵レーダー車輌コマンドポスト型と同じシャーシにレーダー(対砲レーダー?)を搭載[2]
装甲観測車コマンドポスト型と同じシャーシに各種偵察用機材を搭載[2]。偵察用機材は伸縮式マストに搭載されており、必要に応じてマストを展開して高所から偵察を行う
装甲輸送車コマンドポスト型と同じシャーシにクレーンを装備。弾薬やその他消耗品の輸送に従事[2]
車体短縮型転輪数を1つ減らして5つとして車体長を短縮したタイプ[2]

【今後の展望】
WZ-502Gは、86式歩兵戦闘車(WZ-501/BMP-1)を更新する車輌として量産が進められると見られている[2]。

WZ-502Gは、ZBD-04と並行して研究が行われており、ZBD-04の配備開始後も開発が継続された事から、ZBD-04の配備後に何らかの問題が生じたために開発されたと考えるのは難しい。おそらく、水上航行性能を重視した歩兵戦闘車(ZBD-04)と装甲防御力を重視した歩兵戦闘車(WZ-502G)の二種類を開発・配備するというのは当初からの方針だったと思われる。

2013年9月には蘭州軍区の第21集団軍所属の装甲旅(旅団に相当)にWZ-502Gが配備されているのがテレビ報道の画像により確認されている[6]。WZ-502Gの配備が進めば、ZBD-04との間でどのような使い分けが成されるのかが明らかになると思われるので、今後の報道が注目される。

▼鉄道輸送中のWZ-502G。「超級超限」の文字は、貨物の幅や高さが貨車の搭載規格を超えた場合に付されるもので、三段階の制限越えサイズの内で最も大きなものを表す。

▼車体上面の写真(左)/ガンポートと視認窓の拡大写真

▼初期試作車の写真


【参考資料】
[1]軍武狂人夢「04式/WZ-502改裝甲步兵戰鬥車」
[2]Military-Today.com「ZBD-08 Infantry Fighting Vehicle」
[3]古是三春「ソ連が生んだニューカテゴリーAFV - 歩兵戦闘車BMP(3)」『月刊グランドパワー』2006年12月号/No.151(ガリレオ出版)70-108頁。
[4]ОРУЖИЕ РОССИИ, Информационное агентство「」
[5]Chinese Military Today「ZBD97 Infantry Fighting Vehicle」
[6] 007兄弟的BLOG「官泄兰州军区第21集团军装甲旅换装国产04A新型步兵战车」(2013年9月28日)
[7]Military-Today.com「PLZ-05A 120-mm self-propelled mortar system」
[8]China Defense Blog「Photo of the day: ZBD08 ATGM carrier variant」(2012年6月18日)

中国陸軍

amazon

▼特集:自衛隊機vs中国機▼


▼特集:中国の海軍力▼


▼特集:中国海軍▼


▼中国巡航ミサイル▼


























































メンバーのみ編集できます